RILG - 一般財団法人 地方自治研究機構


乾杯に関する条例

                                                  (令和3年1月19日更新)

【京都市の条例】

〇 全国各地で、地元で生産された酒などによる乾杯を奨励する乾杯条例が制定されている。条例名に「乾杯」という言葉を冠しているものは、少なくとも130自治体以上あり、条例本文中に「乾杯」という言葉を使用しているものも含めると、少なくとも170自治体以上が乾杯条例を制定している。その多くは、議員提案により、制定されている。

〇 こうした乾杯条例のうち、全国で最初に制定されたのは、

京都市 京都市清酒の普及の促進に関する条例平成25年1月1日公布

平成25年1月15日施行

 である。

  京都市条例は、平成23年2月に伏見酒造組合から、市や市議会に条例制定の要望書が提出され、これを受けて、議員提案により、制定された。4条から構成され、「本市の伝統産業である清酒・・・による乾杯の習慣を広めることにより,清酒の普及を通した日本文化への理解の促進に寄与すること」(1条)を目的とし、市の役割(2条)、事業者の役割(3条)及び市民の協力(4条)を規定している。

〇 こうした乾杯条例制定の動きを推進した団体として、「日本酒で乾杯推進会議」があった。この会議は、「日本酒造組合中央会が推進役となり、”日本酒で乾杯”をキャッチフレーズに、日本酒を通して日本文化を広く啓発することを目的」として、平成16年6月に設立された。 なお、同会議は、「140を超える地方自治体で地元の日本酒等による乾杯条例が制定され、また、10月1日日本酒の日に『全国一斉日本酒で乾杯!』イベントが全国的に開催されるなど、大きな成果を上げてきました。」として、平成30年9月に「発展的に解消」されている。

 

【全国の条例制定状況】

〇 乾杯条例は、地元で生産された日本酒や清酒を対象にするものが多い。例えば、

佐賀県 佐賀県日本酒で乾杯を推進する条例平成25年6月27日公布

平成25年6月27日施行

兵庫県伊丹市 清酒発祥の地伊丹の清酒の普及の促進に関する条例平成25年9月27日公布

平成25年10月1日施行

山形県山形市 山形市日本酒で乾杯を推進する条例平成26年2月27日公布

平成26年2月27日施行

新潟県長岡市 長岡市日本酒で乾杯を推進する条例平成26年6月30日公布

平成26年6月30日施行

  なお、長岡市条例は、「市、事業者及び市民は、この条例の実施に当たり、日本酒に対する個人の嗜(し)好及び飲酒に対する個人の意思を尊重するよう配慮するものとする。」(5条)とし、嗜好等への配慮規定を置いている。

  こうした配慮規定を置く条例は、少なくない。 また、

神戸市 神戸灘の酒による乾杯を推進する条例平成26年10月31日公布

平成26年11月1日施行

 は、清酒で著名な「灘の酒」を対象としているが、「市及び事業者は,神戸市においてはワイン,ビールその他の灘の酒以外の酒・・・の生産も行われていることから,灘の酒による乾杯を推進するに当たっては,他の神戸の酒について配慮するよう努めるものとする。」(4条)として、ワインやビールなど他の神戸の酒に対する配慮規定を置いている。

〇 日本酒だけではなく、地元で生産される酒全般を対象とするものも少なくない。例えば、

秋田県 秋田の酒による乾杯を推進する条例平成26年7月15日公布

平成26年7月15日施行

「秋田の酒」とは、「日本酒をはじめとする県産の酒類及び県産の原材料を使用して生産された酒類」(1条)

青森県黒石市 黒石市地酒による乾杯を推奨する条例平成26年10月29日公布

平成26年10月29日施行

「地酒」とは、「黒石市内で生産された日本酒その他の酒類」(2条)

長野県 信州の地酒普及促進・乾杯条例平成27年12月17日公布

平成27年12月17日施行

「地酒」とは、「本県で製造される清酒、ワイン、ビールその他の酒類」(1条)

 

【日本酒以外の酒を対象とした条例】

〇 日本酒以外の酒を対象とする乾杯条例がある。

  まず、ワイン。例えば、

山形県上山町 かみのやま産のワインによる乾杯を推進する条例平成26年3月17日公布

平成26年3月17日施行

山梨県甲州市 甲州市甲州ワインによる乾杯の推進等普及促進に関する条例平成26年9月25日公布

平成26年10月1日施行

北海道富良野市 富良野市まずはふらのワインで乾杯条例平成25年12月13日公布

平成25年12月13日施行

富良野市条例は、ワインのみならず、ぶどう果汁も対象(1条)

  次に、梅酒、ゆず酒、みかん酒などの果樹。例えば、

和歌山県田辺市 田辺市紀州梅酒による乾杯及び梅干しの普及に関する条例平成25年12月2日公布

平成25年12月2日施行

梅酒のみならず、梅ジュースによる乾杯の奨励や、梅干し等の梅製品の普及も目的(前文)

兵庫県神河町

神河町ゆず酒による乾杯及び普及に関する条例

平成27年3月26日公布

平成27年3月26日施行

愛知県南知多町

南知多もぎたてみかん酒及び知多産の日本酒で乾杯を推進

する条例

平成26年3月20日公布

平成26年3月20日施行

南知多市条例は、みかん酒のみならず、日本酒も対象(1条)

  次に、焼酎、黒糖焼酎、泡盛。例えば、

長崎県壱岐市

壱岐焼酎による乾杯を推進する条例

平成25年9月27日公布

平成25年9月27日施行

熊本県あさぎり町

球磨焼酎は、ガラとチョクで盃(さかずき)を交わ

なしがら飲み、球磨拳を楽しみ、 食べ物は「ごちそ

うさん」の感謝の心と「もったいない」の精神で、

胃袋に消費することを推進する条例

平成26年3月17日公布

平成26年3月17日施行

鹿児島県いちき串木野市

いちき串木野市本格焼酎による乾杯を推進する条例

平成25年6月27日公布

平成25年6月27日施行

鹿児島県奄美市

奄美市黒糖焼酎による乾杯を推進する条例

平成25年10月9日公布

平成25年10月9日施行

沖縄県与那原町

与那原町琉球泡盛で乾杯を推進する条例

令和元年7月9日公布

令和元年7月9日施行

  最後に、ビール。例えば、

北海道恵庭市 恵庭産のビール等による乾杯を推進する条例平成28年12月27日公布

平成29年4月1日施行

ビールのみならず、その他の酒類及び清涼飲料水も対象(2条3号)

 

【酒以外の飲料を対象とする条例】

〇 酒以外の飲料を対象とする乾杯条例がある。

  まず、牛乳。例えば、

北海道中標津町 中標津町牛乳消費拡大応援条例平成26年3月20日公布

平成26年4月1日施行

 次に、トマトジュース。例えば、

愛知県東海市 東海市トマトで健康づくり条例平成26年9月30日公布

平成26年9月30日施行

 次に、お茶。例えば、

福岡県うきは市 お開きは、うきはの茶で乾杯条例平成26年3月25日公布

平成26年4月1日施行

 最後に、名水。例えば、

福島県磐梯町 磐梯名水乾杯条例令和2年9月18日公布

令和2年9月18日施行

 

【地元産の焼き物や器で乾杯を奨励する条例】

〇 地元産の焼き物や器で乾杯を奨励する条例もある。例えば、

茨城県笠間市 笠間市地酒を笠間焼で乾杯する条例平成25年12月19日公布

平成26年12月19日施行

愛知県常滑市 常滑焼の器に注いだ地酒による乾杯を推進する条例平成25年9月13日公布

平25年9月13日施行

秋田県大館市 秋田杉の器で地酒による乾杯を推進する条例平成26年3月17日公布

平成26年3月17日施行

 

【参考】

〇 こうした乾杯条例を論考したものとして、岩ア忠「 地方分権時代における条例立案のあり方について〜「乾杯条例」を例にした立法事実の重要性〜」 (「地域政策研究」(高崎経済大学地域政策学会)第20巻第3号2018年2月)がある。




条例の動きトップに戻る