不妊症に関する条例
(令和7年7月10日作成)
【兵庫県の条例】
〇 兵庫県は、不妊症に関する支援の推進のため、令和7年6月に、
兵庫県 | 令和7年6月13日公布 | 令和7年7月1日施行 |
を制定した。
〇 兵庫県は、「兵庫県で安心して不妊治療を受けられる環境整備を継続的に推進するための枠組みとして、不妊症等の対策に特化した条例を制定し、課題解決に向けた基盤を強化する」こととし、(1)基本姿勢の見える化(当事者に寄り添った環境を整備するため、県としての基本姿勢を明確化)、(2)共通意識の醸成(各関係者(行政、医療関係者、事業者、教育関係者、県民)に求められる役割を整理)、(3)施策の実効性を担保(条例として明文化することで継続的・体系的な取組みを推進)の考え方のものに、本条例を制定した(兵庫県資料「不妊症等に関する支援推進条例(概要)」)としている。
〇 本条例は、前文、第1章総則(定義、基本理念、県・市町・医療関係者・事業者・教育関係者・県民の役割)、第2章不妊治療の充実、定期健診及びプレコンセプションケアの推進等(不妊治療の充実、プレコンセプションケアの推進、定期健診等の推進等)、第3章不妊症等に関する理解の促進及び支援に係る環境整備(相談機能の強化、不妊治療等と就労の両立等)、第4章不妊症等に関する支援するための施策の推進(法令等に基づく県の不妊治療等に関する計画への位置づけ)、第5章雑則(行財政上の措置等)の5章18条から構成されている。
〇 本条例は、「不妊症」を「妊娠を希望し、避妊をしないで性交を反復している男女が、おおむね1年以上妊娠しない状態」、「不育症」を「流産、死産又は生後1週間以内の新生児の死亡を2回以上繰り返す状態」、「不妊症等」を「不妊症及び不育症」、「プレコンセプションケア」を「県民が性及び健康に関する知識を持ち、妊娠及び出産の希望を含む自らの将来を考え、健康管理を行うこと」と定義づけている(2条)。
「不妊症」、「不育症」及び「プレコンセプションケア」は、法令用語としては使用されていない。なお、「生殖補助医療の提供等及びこれにより出生した子の親子関係に関する民法の特例に関する法律」において、「生殖補助医療」は「人工授精又は体外受精若しくは体外受精胚移植を用いた医療」、「人工授精」は「男性から提供され、処置された精子を、女性の生殖器に注入すること」、「体外受精」は「女性の卵巣から採取され、処置された未受精卵を、男性から提供され、処置された精子により受精させること」、「体外受精胚移植」は「体外受精により生じた胚を女性の子宮に移植すること」と定義づけられている(2条)。
〇 政府は、令和4年4月から、人工授精等の「一般不妊治療」、体外受精・顕微授精等の「生殖補助医療」について、保険適用することとしている。その他、政府の不妊症に関する取組みについては、こども家庭庁「不妊治療に関する取組」及び「みんなで知ろう、不妊症・不育症のこと」、厚生労働省「不妊治療と仕事との両立のために」を参照されたい。
〇 本条例は、不妊症に関する総合的な施策を推進することを目的とする条例としては、全国初のものとなる。
〇 本条例の内容や制定経緯、県の取組み等については、兵庫県HP「不妊治療への支援について」を参照されたい。
【その他不妊症に関して規定する条例】
〇 不妊症に関しては、不妊症の治療費助成に関して定めた条例がある。
石川県川北町 | 平成12年3月21日公布 | 平成12年4月1日施行 |
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富山県射水市 | 平成24年3月19日公布 | 平成24年4月1日施行 |
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愛媛県八幡浜市 | 令和4年3月24日公布 | 令和4年4月1日施行 |
などである。
これらの条例は、不妊治療費に対する助成対象、助成内容、助成手続等を定めている。
〇 子育て支援条例において、不妊症に関して規定を置いているものがある。
徳島県 | 平成25年3月22日公布 | 平成25年3月22日施行 |
である。
母子の保健及び医療に係る体制の充実等として、「県は、子どもを生むことを希望する者であって不妊症又は不育症であるものに対し、相談その他の支援を行うものとする。」(17条2項)としている。