農作物の種子に関する条例

                                                  (令和3年1月19日更新)

【条例制定状況】

〇 主要農作物種子法が平成30年4月に廃止されたが、その後、以下のような道府県が主要農作物の種子に関する条例を制定している(令和3年1月19日現在で確認できているもの)。

兵庫県

主要農作物種子生産条例

平成30年3月22日公布 平成30年4月1日施行知事提案
新潟県

新潟県主要農作物種子条例

平成30年3月20日公布 平成30年4月1日施行知事提案
埼玉県

埼玉県主要農作物種子条例

平成30年3月30日公布 平成30年4月1日施行議員提案
山形県

山形県主要農作物種子条例

平成30年10月16日公布 平成30年10月16日施行知事提案
富山県

富山県主要農作物種子生産条例

平成30年9月28日公布 平成31年1月1日施行知事提案
福井県

福井県主要農作物の品種の開発および種子の

生産に関する条例

平成31年3月11日公布 平成31年4月1日施行知事提案
北海道

北海道主要農産物等の種子の生産に関する条例

平成31年3月15日公布 平成31年4月1日施行知事提案
宮崎県

宮崎県主要農作物等種子生産条例

平成31年3月22日公布 平成31年4月1日施行知事提案
岐阜県

岐阜県主要農作物種子条例

平成31年3月27日公布 平成31年4月1日施行議員提案
鳥取県

鳥取県農作物種子条例

令和元年7月4日公布 令和元年7月4日施行知事提案
長野県

長野県主要農作物及び伝統野菜等の種子に関する条例

令和元年7月16日公布 令和2年4月1日施行知事提案
宮城県

宮城県主要農作物種子条例

令和元年10月11日公布 令和2年4月1日施行知事提案
栃木県

栃木県奨励品種の優良な種苗の安定供給に関する条例

令和元年10月11日公布 令和2年4月1日施行知事提案
熊本県

熊本県主要農産物の種子の生産及び供給に関する条例

令和元年12月20日公布 令和元年12月20日施行知事提案
茨城県

茨城県主要農作物種子等条例

令和元年12月25日公布 令和2年4月1日施行議員提案
石川県

石川県主要農作物種子条例

令和2年3月26日公布 令和2年4月1日施行議員提案
鹿児島県

鹿児島県主要農作物の種苗の安定供給に関する条例

令和2年3月27日公布 令和2年4月1日施行知事提案
群馬県

群馬県主要農作物種子条例

令和2年6月23日公布 令和2年6月23日施行知事提案
三重県

三重県主要農作物種子条例

令和2年6月30日公布 令和2年9月1日施行知事提案
広島県

広島県主要農作物等種子条例

令和2年7月6日公布 令和2年7月6日施行議員提案
千葉県

千葉県主要農作物等種子条例

令和2年10月20日公布 令和2年10月20日施行知事提案

  なお、以上は、日本の種子(たね)を守る会HPの「主要農作物種子法(種子法)廃止と種子条例制定の動きについて」を参考としている

 

【法律廃止の経緯など】

〇 主要農作物種子法は、戦後の食糧増産を背景に、稲、麦類及び大豆は、都道府県が主導して優良な種子の生産・普及を進める必要があるとの観点から、昭和27年制定されたものであり、@優良な品種の決定(8条)、A原種及び原原種の生産(7条)、B 種子生産ほ場の指定、指定種子生産ほ場及び生産される種子の審査の実施(3条〜6条)などの事務を都道府県に義務付けていた。

  しかし、@種子生産者の技術水準の向上等により、種子の品質は安定していること、A多様なニーズに対応するため、民間ノウハウも活用して、品種開発を強力に進める必要があるが、都道府県と民間企業の競争条件は対等になっておらず、公的機関の開発品種が大宗を占めていること、B都道府県による種子開発・供給体制を生かしつつ、民間企業との連携により種子を開発・供給することが必要であること、などの理由により、廃止された(主要農作物種子法を廃止する法律は平成30年4月1日施行)。

〇 主要農作物種子法廃止後の都道府県の役割について、農林水産省は、「都道府県が、これまで実施してきた稲、麦類及び大豆の種子に関する業務のすべてを、直ちに取りやめることを求めているわけではない。・・・都道府県は、官民の総力を挙げた種子の供給体制の構築のため、民間事業者による稲、麦類及び大豆の種子生産への参入が進むまでの間、種子の増殖に必要な栽培技術等の種子の生産に係る知見を維持し、それを民間事業者に対して提供する役割を担うという前提も踏まえつつ、都道府県内における稲、麦類及び大豆の種子の生産や供給の状況を的確に把握し、それぞれの都道府県の実態を踏まえて必要な措置を講じていくことが必要である。」(平成29年11月15日付け農林水産事務次官依命通知「稲、麦類及び大豆の種子について」) としている(主要農作物種子法廃止の経緯等については、農林水産省HP「稲、麦類及び大豆の種子について」を参照のこと)。

 

【各道県の条例の主な内容】

〇 各道県の条例の内容は、全体傾向としては、概ね以下のようなことが言える。

@ 廃止された主要農作物種子法の規定を踏まえ、

a 各道県の主要農作物の優良な種子の安定的な供給を図ることを目的とする。

b 対象の主要農作物は、「稲、大麦、(はだか麦)、小麦及び大豆」とする。

c 種子生産ほ場の指定、種子生産ほ場の審査、指導・勧告、原種及び原原種の生産、優良な品種の決定・試験など規定を置く。

A 新たに条例において、

a 道県の責務、種子生産者の責務等の規定を置く。

b 種子計画の策定等の規定を置く。

〇 もとより、各道県における農作物の生産状況、農作物の種子の生産状況、種子生産における民間事業者の役割についての考え方等により、各道県の条例の内容は異なっている。例えば、

@ 対象は、多くの条例は「稲、大麦、(はだか麦)、小麦及び大豆」としているが、これらに加え、北海道条例は「小豆、えんどう、いんげん及びそば」(2条)、長野県条例は「そば」(2条)、宮崎県条例は「そば」(2条)、茨城県条例は「そばその他知事が定める作物」(2条)、千葉県条例は「落花生」(2条2号)をも対象としている。

A 栃木県条例は、奨励品種の優良な種苗の安定的な供給の促進を目的(1条)とするとともに、「いちごその他の園芸作物」(2条)をも奨励品種の対象としている。また、鹿児島県条例は、主要農作物の優良な種苗の安定的な生産及び供給を目的(1条)とするとともに、主要農作物に稲,麦及び大豆のほか、「さとうきび」をも対象としている(2条1号)。 

B 種子計画は、多くの条例は知事又は県が策定することとしているが、鳥取県条例は、原則知事が種子計画を定める(5条)が、指定種子改良団体が指定された特定農産物の種類について種子計画を策定する(14条、15条)、長野県条例は、種子管理団体の長が県と協議の上で種子計画を策定する(8条)、栃木県の条例は、種苗生産等計画策定者が知事と協議して種苗生産等計画を策定する(4条)としている。 

C 原種及び原原種の生産については、兵庫県条例、埼玉県条例、北海道条例、岐阜県条例、宮崎県条例、熊本県条例、群馬県条例、広島県条例及び千葉県条例は、道県のみが生産するとし、他の県条例(長野県を除く)は、県が生産することとするものの、県が指定した県以外の者が経営するほ場において生産することができる等としている。また、長野県条例は、原原種は県が生産し、原種は種子管理団体が生産する(9条)としている

D 多くの条例は、知事が種子生産ほ場の指定と審査を行うこととしているが、長野県条例、宮城県条例及び広島県条例は、指定ではなく届出(長野県10条、宮城県11条、広島県9条)と、岐阜県条例は、指定ではなく設置の指導(岐阜県条例7条)としている。なお、埼玉県条例及び栃木県条例は、種子生産ほ場の指定、審査等に関する規定は置いていない。

E 以上のスキームとは別に、長野県条例は伝統野菜等の種子について生産等に係る支援の規定を置き(13条)、広島県条例は野菜等農作物も特定品種に加え知事の種子保存義務の対象にしている(12条)。

F 北海道条例及び栃木県条例は、知的財産権保護の規定(北海道条例14条、栃木県条例9条)を置いている。

  などである。

〇 なお、宮城県は、宮城県主要農作物等種子生産条例の制定に先立って、「(仮称)宮城県主要農作物種子条例」に関する懇話会について」を設置し、検討を進めた。当懇話会における検討資料が公開されているが、「第1回懇話会(令和元年5月22日)資料」の最終頁は、兵庫県条例など11道県の条例の内容比較表を掲載している。また、神山智美「種子法廃止と2020年度種苗法改正案から考える行政の役割と種子条例・種苗条例の今後(上)」(自治総研2020年7月号)は鹿児島県条例までの18道県の条例の比較、分析を行っており、日本の種(たね)を守る会HPは「条例比較表(令和元年12月15日作成)」を示している。

 




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