ドローン規制に関する条例

                                                  (令和3年1月22日更新)

【サミット等開催時に制定された時限的なドローン規制条例】

〇 これまで、伊勢志摩サミットやG20大阪サミット等が開催された際、関係自治体において、いわゆるドローン等の飛行を時限的に規制するための条例が制定された。

三重県

伊勢志摩サミット開催時の

対象地域及び対象施設周辺

地域の上空における小型

無人機の飛行の禁止に関する条例

平成27年12月25日公布

平成28年1月27日施行

平成28年5月28日失効

愛知県

伊勢志摩サミット開催時に

おける小型無人機の飛行の

禁止に関する条例

平成28年3月29日公布

平成28年3月29日施行

平成28年5月28日失効

大阪府

G20大阪サミット開催時に

おける小型無人機の飛行の

禁止に関する条例

平成31年3月20日公布

平成31年4月1日施行

平成31年6月30日失効

長崎県

ローマ法王の来県時における小型

無人機の飛行の禁止に関する条例

令和元年10月8日公布

令和元年10月8日施行

令和元年11月24日失効

愛知県

G20愛知・名古屋外務大臣会合

開催時における小型無人機の飛行

の禁止に関する条例

令和元年10月18日公布

令和元年10月18日施行

令和元年11月24日失効

 などである。なお、長野県軽井沢町も「G7長野県・軽井沢交通大臣会合開催時の対象地域の上空における小型無人機の飛行の禁止に関する条例」(平成28年軽井沢町条例第17号)を制定している。

〇 これらの条例は、外国の元首、首相、大臣級が参加するサミットや大臣会合等が開催されるときに、開催場所やその周辺地域、さらには空港、ヘリポート等を対象に、小型無人機の飛行を原則として禁止し、違反した者に対しては1年以下の懲役又は50万円以下の罰金を科すという内容である。いずれも、当該会議及びその前後の期間のみ効力を有し、現在は失効している。極めて短命な条例であった。

 

【ドローン等の飛行を規制する法律】

〇 現在、ドローン等の飛行を規制する法律として、航空法(昭和27年法律第231号)及び重要施設の周辺地域の上空における小型無人機等の飛行の禁止に関する法律(平成28年法律第9号)がある。

〇 航空法は、航空法の一部を改正する法律(平成27年法律第67号 改正航空法)により、無人航空機の飛行の規制に関する規定が追加された(平成27年9月11日公布、平成28年12月10日施行)。規制の対象の「無人航空機」は、「航空の用に供することができる飛行機、回転翼航空機、滑空機、飛行船その他政令で定める機器であって構造上人が乗ることができないもののうち、遠隔操作又は自動操縦(プログラムにより自動的に操縦を行うことをいう。)により飛行させることができるもの(その重量その他の事由を勘案してその飛行により航空機の航行の安全並びに地上及び水上の人及び物件の安全が損なわれるおそれがないものとして国土交通省令で定めるものを除く。)」(2条22項)と定義づけられ、いわゆるドローンのみならず、ラジコン機等も含まれ、一方で、200s未満のものは対象外となっている。そのうえで、何人も、無人航空機を、国土交通大臣の許可がない限り、@航空機の航行の安全に影響を及ぼすおそれのある空域(空港等周辺に設定された進入表面等の上空の空域及び地表又は水面から150m以上の高さの空域)、A人又は家屋の密集している地域の上空(国勢調査の結果を受け設定されている人口集中地区の上空)においては、飛行させてはならない(132条)とし、違反した者に対しては50万円以下の罰金を科す(157条の5)ものとしている(国土交通省作成資料「無人航空機に係る改正航空法等の概要」参照)。

〇 重要施設の周辺地域の上空における小型無人機等の飛行の禁止に関する法律(小型無人機等飛行禁止法)は、平成28年3月18日公布され、平成28年4月7日施行された。規制の対象の「小型無人機等」は、「小型無人機」及び「特定航空用機器」とされ、「小型無人機」は、「飛行機、回転翼航空機、滑空機、飛行船その他の航空の用に供することができる機器であって構造上人が乗ることができないもののうち、遠隔操作又は自動操縦(プログラムにより自動的に操縦を行うことをいう。)により飛行させることができるもの」(2条3項)と、「特定航空用機器」は、「航空法・・・第2条第1項に規定する航空機以外の航空の用に供することができる機器であって、当該機器を用いて人が飛行することができるもの(高度又は進路を容易に変更することができるものとして国家公安委員会規則で定めるものに限る。)」(2条4項)とそれぞれ定義づけられている。「小型無人機」は、航空法の「無人航空機」と同様にドローンのみならずラジコン機等も含まれるが、200s未満のものすなわち小型のものも含まれる。また、「特定航空用機器」とは、気球、ハンググライダー、パラグライダー等であるとされる。規制の「対象施設」は、国会議事堂、内閣総理大臣官邸その他の国の重要な施設等並びに外国公館等、防衛関係施設及び原子力事業所で指定されたもの(2条1項1号)としている。そのうえで、何人も、「対象施設」周辺地域の上空において、小型無人機等の飛行を行ってはならない(9条1項)とし、ただし、対象施設の管理者や土地所有者等は対象外とし(9条2項)、そうした者が小型無人機等を飛行させる場合はあらかじめ都道府県公安員会等に通報しなければならない(9条3項)としている。違反した者に対しては1年以下の懲役又は50万円以下の罰金を科す(12条)としている(警察庁作成「小型無人機等飛行禁止法の概要」参照)。

〇 法律によるドローン等の飛行の規制に関しては、国土交通省HP「無人航空機(ドローン・ラジコン機等)の飛行ルール」及び警察庁HP「小型無人機等飛行禁止法関係」を参照のこと。

 

【法律と条例との適用関係】

〇 上記の三重県等の条例と航空法や小型無人機等飛行禁止法との関係はどうなっているのか。制定時期についてみれば、改正航空法は三重県条例をはじめとする5条例よりも早く公布・施行されている。また、小型無人機等飛行禁止法については、三重県条例及び愛知県伊勢志摩サミット条例はほぼ同時期に制定作業が進められたものの、施行日については両条例の方が早い。大阪府条例、長崎県条例及び愛知県G20外務大臣会合条例の3条例については、いずれも小型無人機等飛行禁止法の施行後、公布・施行されている。

〇 航空法は、人口集中地区等のみが対象エリアになり、200s未満の小型無人機は対象外となっているのに対して、5条例はすべて、必ずしも人口集中地区等でないサミット会場等及びその周辺地域を対象エリアにし、200s未満の小型無人機も規制対象にしている。航空法では、サミット会場等及びその周辺地域でのドローンの飛行を規制することはできなかったと言える。

〇 小型無人機等飛行禁止法は、国会議事堂、内閣総理大臣官邸その他の国の重要な施設等並びに外国公館等、防衛関係施設及び原子力事業所で指定されたもの(2条1項1号)が対象施設になる。問題は、サミット会場等が対象施設になるのかということであるが、外国の元首、首相、大臣級等の外国要人が所在する場所も「対象外国公館等」として指定することができる(5条1項)としており、実際にも、例えば、伊勢志摩サミットではサミット会場である「志摩観光ホテル」等が、G20大阪サミットではサミット会場である「インテックス大阪」等が、それぞれ指定(対象施設及び周辺地域並びに期間が告示)されている。

  それでは、条例は何故必要であったか。 小型無人機等飛行禁止法による指定では、周辺地域は対象施設の周囲おおむね300mの地域とされ(5条2項)、また、期間は当該サミット等の開催期間とされるのが通例となっている(例えば、伊勢志摩サミットでは平成28年5月25日から同年5月28日まで、G20大阪サミットではG20大阪サミットでは平成31年6月28日及び29日)。これに対して、例えば、三重県条例では、「志摩観光ホテル」が所在する賢島の一定の地点の半径1500m以内の区域や法律に基づき指定されていない施設なども対象にし、期間も平成 28 年3月27 日から同年5月28 日までとした(三重県作成資料「小型無人機(通称ドローン)の飛行規制について」参照)。また、大阪府条例では、「インテックス大阪」が所在する咲洲地区の周囲300mなども対象にし、期間も平成31年5月29日から6月30日までとした(大阪府作成資料「G20大阪サミット開催時における小型無人機の飛行の禁止に関する条例(案)の概要について」参照)。

  すなわち、法律に基づく指定よりも、対象エリアは広く、期間を長くしている。いわば、法律の規制の横出し条例ともいえる。これらの条例は、その作成作業過程で警察関係者等と十分な調整がなされており、法律の規制を補う役割を果たしていると考えられる。

  なお、小型無人機等飛行禁止法は特定航空用機器をも対象にしているが、5条例とも小型無人機のみを対象にしている。また、小型無人機等飛行禁止法及び5条例も、違反した者に対して1年以下の懲役又は50万円以下と同じ罰則を科している。小型無人機等飛行禁止法施行前に施行された三重県条例及び愛知県伊勢志摩サミット条例は、飛行禁止の例外を航空法と同様の許可制とし、大阪府条例、長崎県条例及び愛知県G20外務大臣会合条例は、小型無人機等飛行禁止法と同様の通報制としている。

  三重県条例については、自治体法務研究2016年夏号CLOSEUP先進・ユニーク条例「伊勢志摩サミット開催時の対象地域及び 対象施設周辺地域の上空における小型無人機の飛行の禁止に関する条例」を参照のこと。また、長崎県条例については、長崎県HP「ローマ法王の来県時における小型無人機の飛行の禁止に関する条例」を参照のこと。

 

【ラクビーワールドカップ2019はどうだったのか。東京オリンピック・パラリンピック2020はどうなるのか。】

〇 ドローン等の飛行の規制は、ラクビーワールドカップ2019ではどのようにして行われたのか。また、東京オリンピック・パラリンピック2020ではどのようにして行われるのか。

〇 小型無人機等飛行禁止法は、国会議事堂、内閣総理大臣官邸その他の国の重要な施設等並びに外国公館等、防衛関係施設及び原子力事業所で指定されたものが対象施設になるが、ラクビーW杯や東京オリンピック・パラリンピックの会場は、多くの場合、外国の元首、首相、大臣級等の外国要人が所在する場所とはなりえず、対象施設にはならない。そのため、国会議事堂、内閣総理大臣官邸その他の国の重要な施設等、外国公館等及び原子力事業所の周辺地域の上空における小型無人機等の飛行の禁止に関する法律等の一部を改正する法律(令和元年法律第10号 令和元年5月24日公布、令和6月13日施行)により、平成31年ラグビーワールドカップ大会特別措置法(平成27年法律第34号)及び平成32年東京オリンピック競技大会・東京パラリンピック競技大会特別措置法(平成27年法律第33号)が改正され、組織委員会の要請に基づき文部科学大臣が大会会場等を小型無人機等飛行禁止法の対象施設として指定することができる旨の規定が追加され(内閣官房作成資料「小型無人機等飛行禁止法等の一部を改正する法律案(概要)」参照)、指定された大会会場等及びその周辺地域において、ドローン等の飛行を禁止することが可能となった。なお、「重要施設の周辺地域の上空における小無人機等の飛行の禁止に関する法律」は、この時の法律改正により、従前の「国会議事堂、内閣総理大臣官邸その他の国の重要な施設等、外国公館等及び原子力事業所の周辺地域の上空における小型無人機等の飛行の禁止に関する法律」から現在の法律名に変更された。

〇 ラクビーワールドカップでは試合会場など31か所が対象地域として指定された(文部科学省作成資料「ラグビーW杯における小型無人機等の飛行の禁止について(概要)」参照)。また、東京オリンピック・パラリンピックについては、今後指定される予定となっている(スポーツ庁HP「平成32年東京オリンピック競技大会・東京パラリンピック競技大会特別措置法による小型無人機等の飛行の禁止について」参照)。これらに関して、ドローン等を規制する条例の制定は、確認されていない。

 

【都市公園などでのドローン等の飛行を禁止る条例】

〇 都市公園などでのドローン等の飛行を禁止する条例がある。

千葉県芝山町

ひこうきの丘の設置及び管理に関する条例

平成28年3月1日公布

平成28年3月18日施行

静岡県南伊豆町

南伊豆町海水浴場条例

平成28年6月10日公布

平成28年6月10日施行

三重県明和町

明和町斎宮きららの森管理条例

平成29年9月20日公布

平成29年9月20日施行

栃木県小山市

渡良瀬遊水地の保全と再生及び賢明な活用に関する条例

令和元年9月30日公布

令和元年9月30日施行

 などである。

  芝山町条例では、区域内で「ドローン等の小型無人機の使用をすること」を禁止し(6条9号)、南南伊豆町条例では、何人も「小型無人機の使用など他の利用者に危害又は迷惑を及ぼすおそれのある行為をしてはならない。」(7条3項)と規定し、明和町条例では使用者の遵守事項として「無人航空機(ドローン、ラジコン機等)等それに類する物の使用はしないこと」を掲げ(8条9号)、小山市条例では渡良瀬遊水地において「ドローン、ラジコンその他の航空法・・・第2条第22項に規定する無人航空機及び同項の国土交通省令で定める機器を飛行させること」を禁止している(6条1号)。

  なお、これらの条例は、三重県条例等とは異なり、時限的なものではない。

〇 また、都市公園条例等において、「危険のおそれのある行為又は他人の迷惑となるような行為をすること」、「管理に支障がある行為をすること」等が禁止事項として規定されており、これらの規定を根拠として解釈等によりドローン等の飛行を原則禁止として運用しているものは少なくない(国土交通省作成資料「無人航空機の飛行を制限する条例」参照)。

 

【その他ドローンに関する条例】

〇 最後に、ドローンに関して少しユニークな条例があるので、紹介する。

徳島県那賀町

とくしまNAKAドローンの日条例

平成28年3月23日公布

平成28年4月1日施行

大阪府貝塚市

貝塚市立ドローンフィールド条例

平成30年3月27日公布

平成30年4月1日施行

  那賀町条例は、「町が無人航空機『ドローン』の住民生活レベルでの普及を目指すに当たり、様々な見地から調査研究を重ね、ドローンを利用した住民生活の飛躍的向上に寄与することを目的とし、自他ともに認める先進的地位を確立していくため、とくしまNAKAドローンの日を定めるものとする」(1条)とし、貝塚市条例は、「ドローンその他の無人航空機・・・の技術開発、操作技術訓練、競技会、イベント等の用に供する場を提供し、もってドローンを通じた産業の振興を図ることを目的として、ドローンフィールドを設置する」(1条)としている。




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