住民投票に関する条例
(令和6年12月6日更新)
【条例による住民投票の実施状況】
〇 住民投票については、憲法では、地方自治特別法に対する住民投票(95条)が、法律では、地方自治法に規定する議会解散や議員・長等の解職の直接請求による住民投票(76、80、81、86条)、市町村の合併の特例に関する法律に規定する合併協議会の設置に関する住民投票(4条)及び大都市地域における特別区の設置に関する法律に規定する特別区の設置に関する住民投票(7条)が定められているが、これらの憲法や法律に基づく住民投票の対象は限定されている。このため、特定の課題について住民の賛否を問うため、自治体が条例を制定してその条例に基づき住民投票を行うことが少なくない。
〇 条例による住民投票は、その対象事案から見て、市町村合併に関するものとそれ以外の地域の重要な課題に関するものとに分けることができる。武田真一郎「日本の住民投票制度の現状と課題について」(行政法研究21号(2017年12月)6頁以下)によると、前者の住民投票を「合併型」、後者の住民投票を「重要争点型」とし、条例に基づいて実施された「合併型」はこれまでで約350件(なお、これとは別に、市町村の合併の特例に関する法律に基づいて実施されたものは約50件)であり、条例に基づき実施された「重要争点型」は、38件(条例による「重要争点型」の住民投票が全国最初に新潟県巻町でなされた平成8年8月から平成29年6月までの間)であったとしている。なお、武田論文は、これら38件の住民投票及び大都市地域における特別区の設置に関する法律に基づき大阪市で実施された「大阪都構想の賛否」に関する住民投票(平成27年5月17日実施)の、それぞれの投票率、賛否の割合、請求・提案者等を掲載している。また、総務省の地方自治月報は58号から「条例による住民投票に関する調」を実施しており、平成26年4月1日から平成28年3月31日まで(58号)、平成28年4月1日から平成30年3月31日まで(59号)、平成30年4月1日から令和3年3月31日まで(60号)及び令和3年4月1日から令和5年3月31日まで(61号)を公表している。
〇 この武田論文、総務省調査、最近のインターネットでの情報等から、平成8年8月4日から令和6年8月18日までで、条例に基づき実施された市町村合併以外の地域の重要な課題に関する住民投票(重要争点型)は、50件が確認できる。以下、この50件について、住民投票が実施された自治体名、実施年月日、根拠となった条例名を示す。なお、右欄で「不成立」としているものは、住民投票は実施されたものの、条例で定める成立要件を満たさず成立しなかったものを表す。
新潟県巻町 (現在 新潟市) |
平成8年8月4日実施 |
に関する条例(廃止) |
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沖縄県 | 平成8年9月8日実施 | ||
岐阜県御嵩町 | 平成9年6月22日実施 | ||
宮崎県小林市 | 平成9年11月16日実施 |
市民投票に関する条例(失効) |
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沖縄県名護市 | 平成9年12月10日実施 | ||
岡山県吉永町 (現在 備前市) |
平成10年2月8日実施 |
住民投票に関する条例(廃止) |
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宮城県白石市 | 平成10年6月14日実施 | ||
千葉県海上町 (現在 旭市) |
平成10年8月30日実施 | 海上町における産業廃棄物終処分場設置についての 住民投票に関する条例(廃止) |
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長崎県小長井町 (現在 諫早市) |
平成11年7月4日実施 | 小長井町における採石場の新規計画及び採石場の拡張計画 についての住民投票に関する条例(廃止) |
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徳島県徳島市 | 平成12年1月23日実施 | ||
新潟県刈羽村 | 平成13年5月27日実施 | 柏崎刈羽原子力発電所におけるプルサーマル計画受入れの 是非に関する条例(失効) |
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三重県海山町 (現在 紀北町) |
平成13年11月18日実施 | 海山町における原子力発電所誘致に対する賛否についての 住民投票に関する条例(失効) |
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高知県日高村 | 平成15年10月26日実施 | ||
千葉県袖ヶ浦市 | 平成17年10月23日実施 | ||
山口県岩国市 | 平成18年3月12日実施 | 〇岩国市住民投票条例(米空母艦載機移駐案受入れについて) (廃止) |
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千葉県四街道市 | 平成19年12月9日実施 | 四街道市における地域交流センターの建設の賛否を問う 住民投票条例(失効) |
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沖縄県伊是名村 | 平成20年4月27日実施 | 伊是名村における牧場誘致による牛舎建設の是非を問う 住民投票条例(失効) |
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長野県佐久市 | 平成22年11月14日実施 | 佐久市総合文化会館の建設の賛否を問う住民投票条例(失効) |
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鳥取県鳥取市 | 平成24年5月20日実施 | ||
山口県 山陽小野田市 |
平成25年4月7日実施 | 〇山陽小野田市投票条例(次回の一般選挙から市議会議員の 定数を20人以下とすることについて) |
不成立 |
東京都小平市 | 平成25年5月26日実施 |
住民の意思を問う小平市条例(失効) |
不成立 |
熊本県和水町 | 平成25年11月10日実施 | 菊水区域小中併設型校舎建設事業の事業費に関する 住民投票条例(失効) |
不成立 |
埼玉県北本市 | 平成25年12月15日実施 | ||
三重県伊賀市 | 平成26年8月24日実施 | 不成立 | |
埼玉県所沢市 | 平成27年2月15日実施 |
住民投票条例(失効) |
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沖縄県与那国町 | 平成27年2月22日実施 | 与那国島への陸上自衛隊沿岸監視部隊の是非を問う 住民投票条例(失効) |
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滋賀県高島市 | 平成27年4月12日実施 | ||
長崎県壱岐市 | 平成27年4月26日実施 | ||
愛知県新城市 | 平成27年5月31日実施 |
住民投票条例(失効) |
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茨城県つくば市 | 平成27年8月2日実施 | ||
愛知県小牧市 | 平成27年10月4日実施 | ||
大阪府和泉市 | 平成27年11月22日実施 | ||
沖縄県竹富町 | 平成27年11月29日実施 | 竹富町役場の位置についての意思を問う住民投票(失効) |
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沖縄県石垣市 | 平成28年2月28日実施 | ||
山梨県 南アルプス市 |
平成28年3月20日実施 | 南アルプス市庁舎整備計画について問う住民投票条例(失効) |
不成立 |
熊本県和水町 | 平成28年10月2日実施 | 菊水区域小・中学校校舎建設事業に関する住民投票条例(失効) |
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愛知県高浜市 | 平成28年11月20日実施 | 〇高浜市住民投票条例(中央公民館の取り壊しについて) |
不成立 |
石川県輪島市 | 平成29年2月19日実施 | 〇輪島市住民投票条例(産業廃棄物最終処分場建設について) |
不成立 |
茨城県神栖市 | 平成29年10月1日実施 | 「(仮称)防災アリーナ整備事業」に係る規模の見直し賛否を問う 住民投票条例(失効) |
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滋賀県野洲町 | 平成29年11月26日実施 |
(野洲駅前に市立病院を設置することについて) |
不成立 |
兵庫県丹波篠山市 | 平成30年11月18日実施 | 〇丹波篠山市住民投票条例(市名変更について) |
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奈良県宇陀市 | 平成30年12月16日実施 | ||
静岡県浜松市 | 平成31年4月7日実施 | ||
沖縄県 | 平成31年2月24日実施 | ||
静岡県御前崎市 | 令和元年12月8日実施 |
住民投票に関する条例(失効) |
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鹿児島県垂水市 | 令和2年8月9日実施 | ||
兵庫県上郡町 | 令和4年7月10日実施 | 関する条例(失効) | |
高知県室戸市 | 令和5年2月19日実施 | ||
大分県津久見市 | 令和6年4月21日実施 | ||
青森県板柳町 | 令和6年8月18日実施 |
【個別型住民投票条例】
〇 住民投票に関する条例については、投票すべき課題が生じた場合に当該事案に関して住民投票を実施するために制定される「個別型住民投票条例」と将来住民投票をする場合に備えてあらかじめ住民投票の要件や手続等を定めておく「常設型住民投票条例」に分けることができる。
上記の住民投票の実施事例に掲載した条例のうち、〇を付したものは常設型住民投票条例で、それ以外のものが個別型住民投票条例である。個別型住民投票条例の多くは、市町村合併や条例に規定された失効規定(多くの条例が、投票実施後90日で失効する旨規定)により、現在、廃止されているか、または、失効している。一部の条例は、失効規定がないため、住民投票が実施された後も施行されているものと考えられる((廃止)または(失効)の表示のないもの)。なお、岩国市条例は、常設型住民投票条例であるが、市町村合併により廃止されている。また、上記条例中、リンクが張られていないものは、廃止または失効となった条例で当時の条例本文が確認できないものである。
〇 個別型住民投票条例(市町村合併に関するものを除く。以下同じ。)には、上記の住民投票が実施された条例のみならず、条例は制定されたものの住民投票が実施されていないものもある。
高知県窪川町 (現在 四万十町) |
昭和58年7月20日公布 | 昭和57年7月20日施行 (廃止) |
未実施 | |
鳥取県米子市 | 昭和63年7月15日公布 | 昭和63年7月15日施行 (廃止) |
未実施 | |
宮崎県串間市 | 平成5年10月8日公布 | 平成5年10月8日施行 | 未実施 | |
三重県紀勢町 (現在 大紀町) |
平成7年12月25日公布 | 平成7年12月25日施行 (廃止) |
未実施 | |
兵庫県新温泉町 | 平成17年10月1日公布 | 平成17年10月1日施行 | 未実施 | |
三重県南伊勢町 | 平成17年10月1日公布 | 平成17年10月1日施行 | 未実施 | |
三重県南伊勢町 | 平成17年10月1日公布 | 平成17年10月1日施行 | 未実施 | |
愛知県美浜町 | 令和元年11月8日公布 | 令和元年11月8日施行 (廃止) |
未実施 | |
奈良県御杖村 | 村民の賛否を問う住民投票条例 |
令和5年3月16日公布 | 令和5年3月16日施行 (廃止) |
未実施 |
などである。
このうち、窪川町、米子市及び紀勢町の条例は、市町村合併により、現在は廃止されている。また、美浜町条例は、条例が制定されたものの、未実施のまま約1か月後に廃止されている(廃止の経緯については、みはま議会だよりNo.161令和2年2月1日参照)。また、南伊勢町の条例は、南島町における原子力発電所設置についての町民投票に関する条例(平成5年2月26日公布・施行)及び南島町における原子力発電所の建設に伴う事前環境調査についての町民投票に関する条例(平成7年3月24日公布・施行)が市町村合併により廃止され、新たに制定されたものである。御杖村条例は、県がみつえ高原牧場畜産団地整備計画を撤回したため、未実施のまま令和5年11月6日に廃止された。
〇 また、個別型住民投票条例であって、今後一定の時期になった場合に住民投票を実施するもの(現時点では、未実施)として、
北海道寿都町 | 及び精密調査に係る意見に関する住民投票条例 |
令和3年3月10日公布 | 令和3年3月10日施行 | 未実施 |
がある。
寿都町条例は、「寿都町における特定放射性廃棄物の最終処分に関する法律(・・・)に規定する概要調査地区の選定及び精密調査地区の選定(以下「概要調査等地区の選定」という。)について、町民の意思を問うこと」(1条)を目的とし、概要調査等地区の選定についての意見書を経済産業大臣へ提出しようとするときに、あらかじめ住民投票を行う(4条1項)としている。なお、放射性廃棄物に関する寿都町の動向等については、「放射性廃棄物に関する条例」を参照されたい。
〇 既実施の個別型住民投票条例も含めてこれらの個別型住民投票条例を誰が請求又は提案したかについては、住民の直接請求によるもの、首長提案によるもの、議員提案によるものに分かれる。例えば、平成8年実施に係る沖縄県条例、御嵩町条例、小林市条例、名護市条例、吉永町条例、袖ケ浦市条例等は直接請求により、白石町条例、海上町条例、小長井町条例、海山町条例、伊是名村条例、佐久市条例、寿都町条例、上郡町条例等は首長提案により、南島町条例、温泉町条例、鳥取市条例、与那国町条例、竹富町条例等は議員提案により、制定されている。
しかし、条例制定までには、当該事案について、住民、議会、首長などが、賛成派、反対派に分かれ、場合によると途中に首長選挙、首長リコール、議会選挙なども実施され、複雑なプロセスを経て、制定されるものは少なくなく、首長提案や議員提案によるものであっても、その過程において住民による直接請求がなされているものも少なくない。
例えば、紀勢町条例、徳島市条例、新城市条例、小牧市条例等は、直接請求による条例を議会が一旦否決した後、その後の議員選挙により議会構成が変化したこと等を受けて、議員提案により条例が制定されている。上郡町条例は、直接請求による条例を議会が一旦否決した後、その後の町長選挙及び議員選挙により新町長が当選し、また、議会構成が変化したこと等を受けて、町長提案により条例が制定されている。
日高町条例や刈羽村条例は、議員提案により可決された条例を首長が再議にかけて否決した後、直接請求により制定されている。巻町条例は、議員提案による条例を直接請求により改正している。所沢市条例、つくば市条例、平成31年実施に係る沖縄県条例は、直接請求による条例案を議員提案により修正して制定されている。寿都町条例は、特定放射性廃棄物の最終処分に関する法律に基づく文献調査の応募に関して住民投票を求める直接請求を議会が一旦否決した後、町長が精密調査地区の選定に関して住民投票を行うとする条例を提案し、議会が概要調査地区の選定及び精密調査地区の選定に関して住民投票を行うと修正したうえで、制定されている。
窪川町条例は、町長のリコールの後の選挙で現職が当選し、町長提案により条例が制定されたが、その後を町長が辞職したため、住民投票は実施されなかった。串間市条例は、市長提案により条例が制定されたものの実施されないため、直接請求がなされたが、議会が否決した。
なお、「重要争点型」の個別型住民投票条例の制定を求める直接請求の約9割は否決されている(前記武田論文18頁)。直接請求による個別型住民投票条例の制定は容易ではないことが、常設型住民投票条例が制定される1つの要因となっている。
各地における住民投票条例の制定経緯については、今井一「住民投票―観客民主主義を超えてー」(岩波新書2000年10月20日)が詳しい。また、第2回川崎市住民投票制度検討委員会(平成17年12月27日)の資料4「他都市事例分析(改訂版)」は直接請求の状況等も含めて住民投票の動向を整理している。
〇 個別型住民投票条例で、全国最初に制定されたのが、窪川町条例(住民投票は、未実施)である。同条例は、16条で構成され、目的(1条)、町民投票(2条)、町民投票の実施とその措置(3条)、町民投票の執行(4条)、町民投票の期日(5条)、投票資格者(6条)、投票資格者名簿(7条)、秘密投票(8条)、一人一票(9条)、投票所においての投票(10条)、投票の方式(11条)、投票の効力の決定(12条)、無効投票(13条)、町民投票の結果の告示(14条)、投票運動(15条)、委任(16条)となっている。
窪川町条例以降に制定される条例は、この条例がベースおり、特に巻町条例が制定されるまでの条例は、ほぼ同様の規定となっている。巻町条例は、投票及び開票の規定(16条)を加えているが、それ以降の条例は概ねそれに倣い、また、さらに鳥取市条例は情報の提供(11条)や投票の促進(12条)の規定を加え、この頃からの条例もそうした規定を置くものが多い。
投票資格者は、公職選挙法で定められた選挙権者(公職選挙法は平成28年6月に改正され有権者の年齢を満18歳以上に引き下げられている)とするものがほとんどであるが、日高村条例は永住外国人を対象に加え(6条1項2号)、新城市条例は平成28年6月の公職選挙法改正前に施行されたものであるが、満18歳以上の者を対象にしていた(5条1項1号)。
投票方式は、賛成または反対などの2者択一とするのがほとんどであるが、名護市条例は4者択一(賛否と条件付き賛否 11条1項)、平成31年実施に係る沖縄県条例は3者択一(賛成・反対・どちらでもない 6条3項)としている。
住民投票の成立要件は、多くの条例は定めていないが、徳島市条例(3条)、小平市条例(13条の2)、伊賀市条例(13条1項)、浜松市条例(15条1項)、美浜市条例(17条)、上郡町条例(8条)は、投票資格者の2分の1以上の投票を成立条件としている。このため、小平市及び伊賀市の住民投票は不成立となった。
投票運動は、原則として自由としているが、徳島市条例(15条)、新城市条例(14条)、和泉市条例(17条)、御前崎市条例(15条)は一定の行為を具体的に禁止し、浜松市条例は(1条3項)は公職選挙法に基づく選挙の公示期間は公職選挙法の範囲内での投票運動は可能としている。
投票結果については、過半数の意思を尊重しなければならない、または、結果を尊重しなければならないとしているが、所沢市条例は「投票した者の賛否いずれか過半数の結果が投票資格総数の3分の1以上に達しときは、その結果の重みを斟酌しなければならない。」(11条)、平成31年実施に係る沖縄県条例は「本件埋立てに対する賛成の投票の数、反対の投票の数又はどちらでもないの投票の数のいずれか多い数が投票資格者の総数の4分の1に達したときは、知事はその結果を尊重しなければならない。」(10条2項)、南伊勢町条例は「町民投票における有効投票の3分の2以上の賛成が得られないときは、否としてその意志を尊重するものとする。」(3条2項)としている。
なお、今井一編著者「住民投票の総て 第2版」( [国民投票/住民投票]情報室 2021年3月)461頁以下は、「個別型」の住民投票条例の一覧を掲載している。
【常設型住民投票条例】
〇 常設型住民投票条例は、住民投票に関する単独条例といわゆる自治基本条例や市民参加条例において規定されるものに分けることができる。前者の住民投票に関する単独条例についても、自治基本条例や市民参加条例に制定根拠が規定されているものも少なくない。
令和6年12月1日時点で、常設型住民投票に関する単独条例として施行されており、かつ、確認できるものとしては、以下の75条例がある。
愛知県高浜市 |
平成14年7月9日公布 |
平成14年9月1日施行 |
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埼玉県富士見市 |
平成14年12月20日公布 |
平成14年12月20日施行 |
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埼玉県上里町 |
平成15年1月22日公布 |
平成15年4月1日施行 |
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広島市 |
平成15年3月20日公布 |
平成15年9月1日施行 |
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埼玉県美里町 |
平成15年3月25日公布 |
平成15年4月1日施行 |
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群馬県桐生市 |
平成15年7月1日公布 |
平成15年7月1日施行 |
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広島県大竹市 |
平成15年12月26日公布 |
平成16年6月1日施行 |
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千葉県我孫子市 |
平成16年3月30日公布 |
平成16年4月1日施行 |
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埼玉県坂戸市 |
平成16年3月25日公布 |
平成16年4月1日施行 |
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静岡県南伊豆町 |
平成16年9月21日公布 |
平成16年9月21日施行 |
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埼玉県鳩山町 |
平成16年12月17日公布 |
平成16年12月17日施行 |
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北海道増毛町 |
平成16年12月22日公布 |
平成16年12月22日施行 |
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石川県宝達志水町 |
平成17年3月1日公布 |
平成17年3月1日施行 |
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大阪府岸和田市 |
平成17年6月22日公布 |
平成17年8月1日施行 |
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三重県名張市 |
平成17年12月26日公布 |
平成18年1月1日施行 |
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神奈川県逗子市 |
平成18年3月3日公布 |
平成18年4月1日施行 |
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山口県山陽小野田市 |
平成18年3月29日公布 |
平成18年7月1日施行 |
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神奈川県大和市 |
平成18年3月30日公布 |
平成18年10月1日施行 |
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山口県防府市 |
平成18年10月5日公布 |
平成18年12月1日施行 |
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北海道遠軽町 |
平成19年3月12日公布 |
平成19年4月1日施行 |
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大分県臼杵市 |
平成19年6月22日公布 |
平成20年4月1日施行 |
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高知県東洋町 |
平成19年6月26日公布 |
平成19年6月26日施行 |
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石川県輪島市 |
平成19年12月14日公布 |
平成20年4月1日施行 |
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北海道稚内市 |
平成20年3月21日公布 |
平成20年4月1日施行 |
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鳥取県北栄町 |
平成20年3月25日公布 |
平成20年10月1日施行 |
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大阪府豊中市 |
平成20年4月1日公布 |
平成21年3月26日施行 |
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北海道芦別市 |
平成20年6月20日公布 |
平成20年10月1日施行 |
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川崎市 |
平成20年6月24日公布 |
平成21年4月1日施行 |
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岩手県宮古市 |
平成20年6月27日公布 |
平成20年7月1日施行 |
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北海道北広島市 |
平成21年2月26日公布 |
平成21年6月1日施行 |
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愛媛県四国中央市 |
平成21年3月26日公布 |
平成21年7月1日施行 |
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新潟県上越市 |
平成21年3月27日公布 |
平成21年10月1日施行 |
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長野県木曽町 |
平成21年3月31日公布 |
平成21年4月1日施行 |
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岩手県奥州市 |
平成21年9月14日公布 |
平成21年10月1日施行 |
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滋賀県野洲市 |
平成21年12月22日公布 |
平成27年9月1日施行 |
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岐阜県多治見市 |
平成21年12月25日公布 |
平成22年4月1日施行 |
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岩手県滝沢市 |
平成22年3月19日公布 |
平成22年10月1日施行 |
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石川県羽咋市 |
平成22年12月24日公布 |
平成23年1月1日施行 |
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長野県小諸市 |
平成22年12月27日公布 |
平成22年12月27日施行 |
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福岡県嘉麻市 |
平成22年12月28日公布 |
平成22年12月28日施行 |
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千葉県野田市 |
平成23年6月29日公布 |
平成23年8月1日施行 |
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岩手県西和賀町 |
平成23年12月15日公布 |
平成24年4月1日施行 |
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埼玉県八潮市 |
平成23年12月20日公布 |
平成23年12月20日施行 |
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北海道美幌町 |
平成24年3月21日公布 |
平成24年4月1日施行 |
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鳥取県日吉津村 |
平成24年7月2日公布 |
平成25年4月1日施行 |
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愛知県日進市 |
平成24年7月2日公布 |
平成25年4月1日施行 |
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長野県信濃町 |
平成24年9月27日公布 |
平成24年9月27日施行 |
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神奈川県厚木市 |
平成24年12月25日公布 |
平成25年4月1日施行 |
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千葉県銚子市 |
平成24年12月27日公布 |
平成25年3月27日施行 |
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滋賀県草津市 |
平成24年12月27日公布 |
平成25年3月31日施行 |
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宮城県柴田町 |
平成25年2月25日公布 |
平成25年4月1日施行 |
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埼玉県川口市 |
平成25年3月22日公布 |
平成25年4月1日施行 |
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埼玉県鴻巣市 |
平成25年6月28日公布 |
平成25年6月28日施行 |
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鳥取県八頭町 |
平成25年9月25日公布 |
平成25年9月25日施行 |
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埼玉県白岡市 |
平成25年10月1日公布 |
平成25年10月1日施行 |
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兵庫県丹波篠山市 |
平成25年12月24日公布 |
平成26年4月1日施行 |
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北海道安平町 |
平成25年12月27日公布 |
平成26年12月26日施行 |
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愛知県新城市 |
平成25年12月27日公布 |
平成26年4月1日施行 |
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静岡県掛川市 |
平成26年3月26日公布 |
平成26年10月1日施行 |
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奈良県生駒市 |
平成26年6月25日公布 |
平成29年4月1日施行 |
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新潟県十日町市 |
平成27年3月25日公布 |
平成27年4月1日施行 |
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栃木県栃木市 |
平成27年6月19日公布 |
平成27年9月1日施行 |
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北海道苫小牧市 |
平成27年7月6日公布 |
平成28年4月1日施行 |
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北海道北見市 |
平成27年7月9日公布 |
平成27年12月1日施行 |
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愛知県東浦町 |
平成27年12月28日公布 |
平成27年12月28日施行 |
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大分県杵築市 |
平成28年6月27日公布 |
平成28年10月1日施行 |
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滋賀県愛荘町 |
平成29年3月8日公布 |
規則で定める日(未制定) |
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北海道占冠村 |
平成29年3月13日公布 |
平成29年4月1日施行 |
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千葉県流山市 |
平成29年10月10日公布 |
平成29年12月21日施行 |
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奈良県橿原市 |
平成29年12月28日公布 |
平成30年12月1日施行 |
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兵庫県宍粟市 |
平成30年9月18日公布 |
平成30年10月1日施行 |
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大阪府阪南市 |
令和1年9月26日公布 |
令和1年10月1日施行 |
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滋賀県米原市 |
令和1年9月27日公布 |
令和3年1月1日施行 |
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長崎県長崎市 |
令和3年9月30日公布 |
令和4年4月1日施行 |
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兵庫県猪名川町 |
令和6年3月22日公布 |
令和6年4月1日施行 |
〇 いわゆる自治基本条例や市民参加条例の多くは、何らかの形で住民投票について規定している。そのほとんどは、住民投票の実施を宣言するにとどめ住民投票制度の内容はすべて別な条例に委ね、または、住民投票の請求権者、発議者、投票資格者等制度の基本部分を規定し、具体的な手続等は別の条例に委ねている。しかし、一部の条例は、他の条例に委ねることなく手続きの詳細等も規定しており、その内容は常設型住民投票条例と見なしうる。そうした条例として施行されており、かつ、確認できるものとしては、以下の4条例がある。
東京都小金井市 |
平成21年9月1日改正施行 |
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愛知県大口町 |
平成21年6月22日公布 |
平成22年4月1日施行 |
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埼玉県和光市 |
平成23年10月1日改正施行 |
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鳥取県 |
平成25年3月26日公布 |
平成25年10月1日施行 |
〇 前記武田論文(44頁以下)は平成29年6月までに制定された常設型住民投票条例について、今井一編著者「住民投票の総て 第2版」( [国民投票/住民投票]情報室 2021年3月)493頁以下は令和2年3月までに制定された常設型住民投票条例(「実施必至型」条例)について、それぞれの条例の概要も含めて掲載しているので、参考にされたい。また、出石稔「住民投票条例」(自治体法務研究「比較解説 自治立法のトレンド」2009年冬号)は平成20年までに制定された住民投票条例について、詳細に分析をするとともに、内容について考察し、解説し、高野譲「常設型住民投票条例の現状分析(上)(下)」(北海道自治研究2020年8月号・10月号)は令和2年3月までに制定された常設型住民投票条例について、詳細に分析している。
長崎市常設型住民投票制度検討審議会が令和元年12月26日に取りまとめた「常設型住民投票制度検討結果報告書」は、全国の42市の常設型住民投票条例を整理、分析してうえで長崎市の住民投票制度のあり方を検討しており、参考資料としてその一覧表も掲載している。
また、東京都武蔵野市が令和3年2月に公表した「武蔵野市住民投票条例(仮称)骨子案 」は、常設型住民投票条例を持つ全国の33自治体の調査結果を踏まえつつ、論点を整理し、条例骨子案を取りまとめており、参考データ集も掲載している。なお、武蔵野市が令和3年11月に提案した住民投票条例案は議会で否決されているが、その条例案の検討経緯、論点整理等は武蔵野市HP「住民投票制度の検討について」を参照されたい。
〇 全国最初に制定されたのは、高浜市条例である。同条例は、28条で構成され、目的(1条)、定義(2条)、住民投票の請求及び発議(3条)、条例の制定又は改廃に係る市民請求の特例(4条)、住民投票の形式(5条)、住民投票の執行(6条)、選挙管理委員会の事務(7条)、投票資格者(8条)、投票資格者名簿の調製等(9条)、被登録資格(10条)、登録(11条)、住民投票の請求に必要な署名数の告示(12条)、住民投票の期日(13条)、投票所等(14条)、投票資格者名簿の登録と投票(15条)、投票資格者でない者の投票(16条)、投票の方法(17条)、投票所においての投票(18条)、期日前投票等(19条)、無効投票(20条)、情報の提供(21条)、投票運動(22条)、住民投票の成立要件等(23条)、投票結果の告示等(24条)、投票結果の尊重(25条)、市民請求等の制限期間(26条)、登録、投票及び開票(27条)、委任(28条)となっている。全国最初に個別型住民投票条例として制定された窪川町条例が16条で構成されていたのに対して、条文数は多い。
〇 常設型住民投票条例は、個別型住民投票条例に比べて、少なくとも住民投票の対象事項や請求・発議手続等に関する規定が必要となるため、条文数は多い。常設型住民投票条例の主な内容は、①住民投票の対象、②投票資格者 ③請求・発議、④投票方法、⑤成立要件、⑥投票運動、⑦結果の尊重、⑧再請求の制限期間等である。各条例によって、それぞれの取扱いは異なっているが、以下、各項目について、その内容を見る。
〇 まず、①住民投票の対象についてである。
高浜市条例は、住民投票の対象を「市政運営上の重要事項(市民に直接その賛否を問う必要があると認められる事案であって、市及び市民全体に直接の利害関係を有するもの)」としたうえで、対象外事項として、(1)市の権限に属さない事項、(2)議会の解散その他法令の規定に基づき住民投票を行うことができる事項、(3)もっぱら特定の市民又は地域にのみ関係する事項、(4)市の組織、人事及び財務に関する事項、(5)前各号に定めるもののほか、住民投票に付することが適当でないと明らかに認められる事項としている(1条、2条)。
ほとんどの条例は、高浜市条例のように、住民投票の対象事項を「市政運営上の重要事項」などと広くとらえたうえで、住民投票になじまない事項を対象外事項としてリストアップするネガティブリスト方式を取っている。唯一の例外は、大和市条例で、対象を「市政に係る重要事項(市全体に重大な影響を及ぼす事案であって、住民に直接その意思を問う必要があると認められるもの)」(2条)としており、特に対象外事項は掲げていない。
「市の権限に属さない事項」を対象にするか否かについては、対応が分かれる。岸和田市条例は、「市の権限に属さない事項」を対象外としつつも、「ただし、市の意思として明確に表示しようとする場合は、この限りでない。」としている(2条1号)。岸和田市条例以降、これと同趣旨の規定を置く条例が少なくなく、特に最近制定される条例はこのタイプが多い(例えば、米原市条例は、対象外事項として「市の権限に属さない事項(市の意思を明確に表示すべき事項を除く。)」(2条1号)を掲げている。)。一部の条例では、「市の権限に属さない事項」を対象外事項としていないものがある。逗子市条例、北栄町条例、川崎市条例、八潮市条例、日進市条例等である。
川崎市条例は、「特定の個人又は団体、特定の地域の住民等の権利等を不当に侵害するおそれのある事項」(2条3項2号)や「市民が納付すべき金銭の額の増減を専ら対象とする事項」(2条3項4号)も対象外事項としている。川崎市条例と同様に、特定住民の権利侵害や税の賦課徴収等に関する事項を対象外事項とする条例は少なくない。
木曽町条例は、住民投票の対象外事項に該当と判断されるときは、町長は議会に諮らなければならない(2条2項)とし、その表決は出席議員の4分の3以上で決する(2条3項)としている。
〇 次に、②投票資格者についてである。
まず、対象年齢に関しては、公職選挙法は平成28年6月に改正され、有権者の年齢は満18歳以上に引き下げられたが、公職選挙法改正以前は、公職選挙法に規定に合わせて20歳以上とするものと、公職選挙法上の有権者とは別に18歳以上とするものに分かれていた。しかし、現在は、公職選挙法に合わせて18歳以上とするものがほとんどである。ただし、大和市条例、小諸市条例は16歳以上、西和賀町条例は15歳以上としている。
外国人を対象にするか否かは対応が分かれるが、常設型住民投票条例と見なしうる上記79条例のうち44条例(高浜市、広島市、美里町、大竹市、我孫子市、鳩山町、増毛町、宝達志水町、岸和田市、名張市、逗子市、山陽小野田市、大和市、遠軽町、稚内市、北栄町、豊中市、川崎市、宮古市、北広島市、上越市、奥州市、野洲市、滝沢市、小諸市、西和賀町、美幌町、日吉津村、信濃町、柴田町、掛川市、生駒市、苫小牧市、北見市、杵築市、愛荘町、占冠村、流山市、宍粟市、阪南市、米原市、長崎市、小金井市及び和光市の条例)は外国人を対象としている。そのうち28条例は永住者及び特別永住者に限っているが、豊中市条例は住民基本台帳に記録されている者(豊中市自治基本条例30条1項で外国人を含むことを明記)、逗子市条例は出入国管理及び難民認定法(入管法)19条の3の中長期在留者、奥州市条例は入管法の在留資格を有し1年を超えて市の住民基本台帳に記録されている者、岸和田市、大和市、稚内市、川崎市、北広島市、野洲市、西和賀町、美幌町、掛川市、杵築市及び占冠村の条例は入管法の在留資格を有し3年を超えて日本に住所を有する者(又は市の住民基本台帳に記録されている者)、生駒市及び長崎市の条例は入管法の在留資格を有し5年を超えて市の住民基本台帳に記録されている者をも対象としている。
なお、富士見市条例や木曽町条例は、住民投票の投票資格者は公職選挙法上の有権者に限定しているが、住民投票以外の方法で、永住外国人や投票人以外の住民の意思の把握に努めるものとしている(富士見市条例22条、木曽町条例22条)。
愛荘町条例(令和2年5月末現在未施行)は、町民でなくとも町内の在勤・在学者であれば投票資格者としている(3条2項)。なお、愛荘町条例については、自治体法務研究2017年秋号CLOSEUP先進・ユニーク条例「愛荘町住民投票条例」を参照されたい。
〇 ③請求・発議についてである。
まず、すべての条例が、住民による住民投票の請求について規定している。住民投票を請求できる住民は、投票資格者としている。ただし、請求要件について、一定上の署名数を必要としているが、その取扱いは条例によって異なる。3分の1以上、4分の1以上、5分の1以上、6分の1以上、8分の1以上、10分の1以上、100分の13以上と様々である。ちなみに、100分の13以上とするのは、小金井市条例である。有効な署名数をもって住民請求がなされたとしても、議会との協議を要し、議員の3分の2以上の反対があるときは、住民投票は実施できないとするものとして、川崎市条例、杵築市条例、米原市条例等がある。鳥取県条例は、原則として10分の1以上の署名と議会の議決が必要とし、ただし、署名が3分の1(選挙人登録者数が40万人を超える場合は、その超える数に6分の1を乗じて得た数と40万人に3分の1を乗じて得た数とを合算した数)以上のときは、議会の議決は不要としている。なお、請求要件は、住民投票条例ではなく、その根拠となる自治基本条例等で定め、50分の1以上の署名数でもって住民投票の請求はできるが、4分の1未満の場合は議会の議決が必要とするものがある(名張市条例・名張市自治基本条例、上越市条例・上越市自治基本条例、小諸市条例・小諸市自治基本条例等)。
次に、議員による請求については、それができる旨の規定を置く条例が多い。しかし、もともと議員は、議員定数の12分の1以上の賛成により、条例案を提出することができる(地方自治法112条)ため、特に議員による請求について規定を置かない条例もある(広島市条例、桐生市条例、大竹市条例、坂戸市条例、岸和田市条例、長崎市条例等)。また、規定を置くものについては、地方自治法の規定と同様に、12分の1以上の賛成、出席議員の過半数の議決によることとするものが多いが、3分の1以上の賛成(富士見市条例、美里町条例、臼杵市条例等)や4分の1以上の賛成(我孫子市条例、増毛町条例等)とするものもある。
首長による発議についても、多くの条例はそれができる旨の規定を置いている。しかし、首長は、議会に条例案を提出することができる(地方自治法149条1号)ため、特に首長による発議について規定を置かない条例もある(広島市条例、桐生市条例、大竹市条例、坂戸市条例、岸和田市条例、長崎市条例等)。規定を置くものの多くは、首長の発議に当たって、特に議会の議決について規定していないが、発議に当たって議会の同意を必要とするもの(我孫子市条例、増毛町条例、臼杵市条例、多治見市条例等)や協議を必要とするもの(四国中央市条例、阪南市条例等)がある。議会との協議の結果、議員の3分の2以上の反対があるときは、住民投票は実施できないとするものもある(川崎市条例、杵築市条例、米原市条例等)。なお、逗子市条例は、市長が発議するときは、あらかじめ市民参加制度審査会に諮問し、3分の2以上の承認の議決を得なければならないとしている。
〇 ④投票方法については、多くの条例は、二者択一で賛否等を問うものとしているが、市長が必要と認めたとき3以上の選択肢から一つを選択する形式によることができるとするものもある(岸和田市条例、大和市条例、杵築市条例、米原市条例等)。
なお、鳥取県条例は、選択肢等の検討を県民投票選択肢等検討委員会においてさせるものとしている。
〇 ⑤成立要件については、多くの条例は、投票資格者に対する投票総数の割合が2分の1に満たなければ成立しないとしている。未成立の場合、開票作業も行わないとするものがほとんどであるが、開票は行うとするものもある(美里町条例、芦別市条例、北広島市条例、上越市条例等)。また、成立要件を設けていないものもある(岸和田市条例、大和市条例、厚木市条例、苫小牧市条例等)。
なお、平成25年4月実施の山陽小野田市の住民投票、平成28年11月実施の高浜市の住民投票条例、平成29年2月実施の輪島市の住民投票条例、平成29年11月実施の野洲市の住民投票は、いずれも投票率が50%未満であったため、不成立となっている。
〇 ⑥投票運動については、多くの条例は、投票運動は、自由としたうえで、買収、脅迫等住民の自由な意思が拘束され、又は不当に干渉されるものであってはならない等としている。
〇 ⑦結果の尊重については、多くの条例は、議会、首長等は投票結果を尊重しなければならないとしている。過半数を得た選択肢が投票資格者の3分の1以上の場合は尊重しなければならない(我孫子市条例、小金井市条例、橿原市条例)、または、4分の1以上の場合は尊重しなければならない(小諸市条例、生駒市条例、猪名川町条例)とするものもある。住民投票に法的拘束力を持たせている条例はない。
〇 ⑧再請求の制限期間については、多くの条例は、住民投票がなされた後2年間は、同一の事案又は同旨の事案について住民投票の請求は行うことができないとしている。