RILG - 一般財団法人 地方自治研究機構


電子自治体・自治体DXに関する条例

                                                  (令和3年5月20日更新)

【行政手続のオンライン化・デジタル手続化】

〇 行政手続のオンライン化図るため、行政手続等における情報通信の技術の利用に関する法律(平成14年法律151号)が平成14年12月13日に公布され、平成15年2月3日に施行された。本法は、法令で行政手続を書面等で行うことが定められている場合でも、個別の法令を改正することなくオンライン化を可能とするための通則法であり、「行政手続オンライン化法」と略称される。後述の通り、令和元年5月に改正されている(令和2年1月7日改正施行)。

   行政手続オンライン化法は、地方公共団体の条例又は規則に基づく手続については対象外としているが、「地方公共団体は、地方公共団体に係る申請、届出その他の手続における情報通信の技術の利用の推進を図るため、この法律の趣旨にのっとり、当該手続に係る情報システムの整備及び条例又は規則に基づく手続について必要な措置を講ずることその他の必要な施策の実施に努めなければならない。」(9条1項)としている。「この法律の趣旨にのっとり、・・・条例又は規則に基づく手続について必要な措置を講ずること」という部分は、「行政手続オンライン化法にのっとった行政手続オンライン化条例の制定を要請している」(宇賀克也「行政手続三法の解説(第2次改訂版)」(学陽書房 2016年)225頁)とされている。

〇 総務省自治行政局地域情報政策室「地方自治情報管理概要(地方公共団体における行政情報化の推進状況調査結果)」の「令和元年度(令和2年3月30日発表)」13頁及び「令和元年度資料編(総括資料)第2節)」第3表行政手続のオンライン化の推進状況(3)によると、平成31年4年1日現在、行政手続をオンライン化するための通則条例を制定済みの団体は、都道府県は47団体(100%)、指定都市は14団体(70.0%)、特別区は19団体(82.6%)、市は440団体(57.0%)、町村は353団体(38.1%)、市区町村全体では826団体(47.4%)であった。なお、通則条例を制定しないで、個別にオンライン化する手続の関係条例を改正することで対応する団体は、指定都市4団体、市は53団体、町村45団体、市区町村全体で102団体であった。

  このような行政手続をオンライン化するための通則条例(以下、「行政手続オンライン化条例」という。)の類型とその分析については、宇賀克也「行政手続と行政情報化」(有斐閣 2006年)300頁以下が詳しいので、参照されたい。

〇 行政手続オンライン化条例について、以下、若干ながら、例を示す。

埼玉県

埼玉県行政手続等における情報通信の技術の利用に

関する条例

平成16年3月26日公布

平成16年4月1日施行

令和3年4月1日最終改正施行

滋賀県

インターネット利用による行政手続等に関する条例

平成16年8月10日公布

平成16年10月1日施行

令和3年4月1日最終改正施行

埼玉県熊谷市

熊谷市行政手続等における情報通信の技術の利用に

関する条例

平成18年3月23日公布

平成18年3月23日施行

大分県国東市

国東市行政手続オンライン化条例

平成18年3月31日公布

平成18年3月31日施行

平成28年4月1日最終改正施行

埼玉県嵐山町

嵐山町行政手続等における情報通信の技術の利用に

関する条例

平成29年3月29日公布

平成29年4月1日施行

  条例名は、ほとんどの条例は、行政手続オンライン化法に倣い、行政手続等における情報通信の技術の利用に関する条例としているが、滋賀県は「インターネット利用による行政手続等に関する条例」とし、大分県国東市は「行政手続オンライン化条例」としている。

〇 行政手続オンライン化法は、令和元年5月に改正され(新旧対照表 令和2年1月7日改正施行)、法律名も情報通信技術を活用した行政の推進等に関する法律となった。改正後は、「デジタル手続法」と略称されている。デジタル手続法(概要)は、「情報通信技術を活用した行政の推進について、その基本原則及び情報システムの整備、情報通信技術の利用のための能力又は利用の機会における格差の是正その他の情報通信技術を利用する方法により手続等を行うために必要となる事項を定める」(1条)ものであるが、デジタル技術を活用した行政の推進の基本原則として、@デジタルファースト(個々の手続・サービスが一貫してデジタルで完結する)、Aワンスオンリー(一度提出した情報は、二度提出することを不要とする)、Bコネクテッド・ワンストップ(民間サービスを含め、複数の手続・サービスをワンストップで実現する)を掲げる(2条)とともに、行政手続のオンライン化実施を原則とするほか、本人確認や手数料納付もオンラインで実施(電子署名等、電子納付)することを可能とし(6条4項、5項)、また、行政機関間の情報連携等によって入手・参照できる情報に係る添付書類については、添付を不要とする(11条)こと等を規定している。地方公共団体については、「情報通信技術を活用した行政の推進を図るため、条例又は規則に基づく手続について、手続等に準じて電子情報処理組織を使用する方法その他の情報通信技術を利用する方法により行うことができるようにするため、必要な施策を講ずるよう努めなければならない。」(13条1項)としている。

〇 デジタル手続法制定に伴い、少なからぬ自治体が、これまでの行政手続オンライン化条例を一部改正し又は全部改正をして条例名も「情報通信技術を活用した行政の推進等に関する条例」等とし、あるいは新規に「情報通信技術を活用した行政の推進等に関する条例」等を制定している。

  一部改正したものとして、例えば、

宮城県南三陸町

南三陸町情報通信技術を活用した行政の推進等

に関する条例

平成22年3月9日公布

令和元年12月16日改正公布

平成22年7月1日施行

令和2年1月7日改正施行

茨城県龍ヶ崎市

龍ケ崎市情報通信技術を活用した行政の推進等

に関する条例

平成16年6月21日公布

令和元年12月18日改正公布

平成16年7月12日施行

令和元年12月18日改正施行

青森県南部町

南部町情報通信技術を活用した行政の推進等

に関する条例

平成29年9月6日公布

令和2年3月3日改正公布

平成29年9月6日施行

令和2年3月3日改正施行

川崎市

川崎市情報通信技術を活用した行政の推進

に関する条例

平成18年3月23日公布

令和2年3月23日改正公布

平成18年7月24日施行

令和2年4月1日改正施行

東京都

東京デジタルファースト条例

平成16年12月24日公布

令和2年10月15日改正公布

平成17年1月1日施行

令和3年4月1日改正施行

兵庫県

情報通信技術を活用した県行政の推進等

に関する条例

平成16年3月26日公布

令和2年12月14日改正公布

平成16年6月25日施行

令和3年4月1日改正施行

 などがある。いずれも条例名は改正後のものである。

  また、全部改正したものとして、例えば、

茨城県土浦市

土浦市情報通信技術を活用した行政の推進に関する条例

令和2年3月27日公布

令和2年3月27日施行

熊本県人吉市

人吉市における情報通信技術を活用した行政の推進等に

関する条例

令和2年6月24日公布

令和2年6月24日施行

 などがある。土浦市条例は「土浦市行政手続等における情報通信の技術の利用に関する条例」(平成16年制定)を、人吉市条例は「人吉市における情報通信の技術の利用に関する条例」(平成17年制定)を、それぞれ全部改正している。

  さらに、新規に制定したものとして、例えば、

大阪府枚方市

枚方市情報通信技術を活用した行政の推進に関する条例

令和2年12月14日公布

令和2年12月14日施行

石川県金沢市

金沢市情報通信技術を活用した行政の推進に関する条例

令和2年12月16日公布

令和3年1月1日施行

 などがある。

  いずれの条例も、デジタル手続法を踏まえ、オンラインでの本人確認を可能とする条項、手数料納付について電子納付による手法を可能とする条項、添付書類の省略を可能とする条項等を置いている。

  これらの規定のほか、東京都条例は、情報通信技術を活用した行政の推進に当たって行政手続等に係る一連の行程が情報通信技術を利用して行われるようにすること等を基本原則とするデジタルファーストを旨として行うことを規定する(3条)ほか、都による推進計画の策定(4条)、都の機関による情報システムの整備等(5条)、情報通信技術の利用のための能力又は利用の機会における格差の是正(12条)、区市町村との連携等(13条)の規定を置き、出資等法人が行う手続等における情報通信技術の活用についても努力義務化している(14条)。

  兵庫県条例は、デジタル手続法2条を踏まえた基本原則を規定する(3条)ほか、県による情報システム整備計画の策定(4条)、県の機関による情報システムの整備等(5条)、情報通信技術の利用のための能力等における格差の是正(12条)、民間事業者と行政機関等との連携等(13条)及び民間手続における情報通信技術の活用の促進のための環境整備等(14条)の規定を置いている。

  東京都条例は、条例名を「東京デジタルファースト条例」としている。

  なお、川崎市条例の改正(新旧対照表)の考え方は川崎市資料「川崎市行政手続等における情報通信の技術の利用に関する条例の一部改正に向けた考え方(案)について」を、枚方市の条例制定にあわせたオンライン化の取組みについては枚方市資料「オンライン化へ加速!」を参照されたい。

〇 政府は、令和2年12月25日にデジタル社会の実現に向けた改革の基本方針を閣議決定した。同基本方針は、「社会のデジタル化を強力に進めるため、施策の策定に係る方針等を定める高度情報通信ネットワーク社会形成基本法・・・の全面的な見直しを行うとともに、デジタル社会の形成に関する施策を迅速かつ重点的に推進する新たな司令塔としてデジタル庁(仮称)を設置することが必要である。」とするとともに、「デジタル社会の形成に当たっては、国及び地方公共団体において、相互に連携しつつ、情報システムの共同化・集約の推進など、デジタル技術の活用を積極的に推進するために必要な措置を講ずることとする。」等としている。また、同日、デジタル・ガバメント実行計画及び自治体デジタル・トランスフォーメーション(DX)推進計画を策定した。これらの基本方針や計画については、総理官邸HP「デジタル・ガバメント閣僚会議」及び総務省HP「電子自治体の推進」を参照されたい。

  これらを踏まえ、デジタル社会形成基本法デジタル庁設置法デジタル社会の形成を図るための関係法律の整備に関する法律及び地方公共団体情報システムの標準化に関する法律が制定された(いずれも、令和3年5月19日公布、令和3年9月1日施行)。各法律の内容等については、内閣官房HP「国会提出法案(第204回 通常国会)」及び総務省HP「新規制定・改正法令・告示 法律」を参照されたい。

 

【e−文書での保存等】

〇 行政手続オンライン化法により行政文書等の作成を電子的に行うことが認められても、法令上民間事業者等が書面の保存等を義務づけられていれば、行政手続のオンライン化は進まなくなる。そのため、法令で書面による保存義務等が定められている場合でも個別の法令を改正することなく電子文書での保存等を可能とする通則法として、民間事業者等が行う書面の保存等における情報通信の技術の利用に関する法律(平成16年法律149号)が制定された(平成16年11月19日公布 平成17年4月1日施行)。「e−文書化法」と略称される。

  e−文書法は、地方公共団体の条例又は規則に基づいて民間事業者等に対して義務付けられている書面の保存等については対象外としているが、「地方公共団体は、条例又は規則に基づいて民間事業者その他の者が行う書面の保存等における情報通信の技術の利用の推進を図るため、この法律の趣旨にのっとり、条例又は規則に基づく書面の保存等について必要な措置を講ずることその他の必要な施策の実施に努めなければならない。」(7条1項)としている。行政手続オンライン化法・デジタル手続法と同様、地方公共団体に対して、e−文書法にのっとったe−文書条例の制定を要請していることとなる。

〇 前記「地方自治情報管理概要」の「令和元年度(令和2年3月30日発表)」14頁及び「令和元年度資料編(総括資料)第2節)」第3表行政手続のオンライン化の推進状況(4)によると、平成31年4年1日現在、e−文書条例を制定済みの団体は、都道府県は41団体(87.2%)、指定都市は2団体(10.0%)、特別区は1団体(4.3%)、市は49団体(6.3%)、町村は46団体(5.0%)、市区町村全体では98団体(5.6%)であった。

〇 e−文書条例について、以下、若干ながら、例を示す。

大阪府

大阪府民間事業者等が行う書面の保存等における情報

通信の技術の利用に関する条例

平成17年3月29日公布

平成17年4月1日施行

栃木間大田原市

大田原市民間事業者等が行う書面等の保存等における情

報通信の技術の利用に関する条例

平成27年12月25日公布

平成28年4月1日施行

大分県九重町

九重町民間事業者等が行う書面の保存等における情報

通信の技術の利用に関する条例

平成19年3月23日公布

平成19年3月23日施行

 

【マイナンバーの利用等】

〇 マイナンバー及びマイナンバーカードは、デジタル・ガバメントの基盤であるとされる。これらの制度の根拠法は、行政手続における特定の個人を識別するための番号の利用等に関する法律(平成25年法律27号)である。「マイナンバー法」とも「番号法」とも略称される。平成25年5月31日公布され、平成27年10月5日(一部は、平成28年1月1日等)に施行された。

  同法は、条例で定める事項として、マイナンバー(個人番号)の独自利用及び庁内連携(9条2項)、同一自治体の他機関へのマイナンバーを含む個人情報(特定個人情報)の提供(19条10号)及びマイナンバーカード(個人番号カード)の独自利用(18条)を規定している。すなわち、マイナンバーの独自利用及び庁内連携については、「地方公共団体の長その他の執行機関は、福祉、保健若しくは医療その他の社会保障、地方税・・・又は防災に関する事務その他これらに類する事務であって条例で定めるものの処理に関して保有する特定個人情報ファイルにおいて個人情報を効率的に検索し、及び管理するために必要な限度で個人番号を利用することができる。」(9条2項)とし、また、同一団体の他機関への特定個人情報の提供については、「地方公共団体の機関が、条例で定めるところにより、当該地方公共団体の他の機関に、その事務を処理するために必要な限度で特定個人情報を提供するとき」は特定個人情報の提供が可能(19条10号)としている。さらに、マイナンバーカードの独自利用については、個人番号カードは、市町村の機関が、条例で定めるところにより、個人番号カードのカード記録事項が記録された部分と区分された部分に、地域住民の利便性の向上に資するものとして条例で定める事務を処理するために必要な事項を電磁的方法により記録して利用することができる(18条)としている。

〇 以上の規定を踏まえ、新たな条例の制定がなされている。そうした条例の若干の例を示すと、

山形県

山形県個人番号の利用に関する条例

平成27年12月25日公布

平成28年1月1日施行

埼玉県

埼玉県個人番号の利用等に関する条例

平成27年7月14日公布

平成28年1月1日施行

東京都青梅市

青梅市行政手続における特定の個人を識別するための番号

の利用等に関する法律にもとづく個人番号の利用

および特定個人情報の提供に関する条例

平成27年10月1日公布

平成28年1月1日施行

愛知県一宮市

行政手続における特定の個人を識別するための番号

の利用等に関する法律に基づく個人番号の利用に関する

条例

平成27年9月25日公布

平成28年1月1日施行

岡山市

岡山市個人番号カードの利用による証明書等の交付に

関する条例

平成27年9月28日公布

平成28年1月1日施行

新潟県三条市

三条市個人番号カードの利用に関する条例

平成27年9月28日公布

平成28年1月1日施行

 などである。

  山形県条例及び一宮市条例は、マイナンバーの独自利用及び庁内連携(法9条2項関係)について規定し、埼玉県条例及び青梅市条例は、マイナンバーの独自利用及び庁内連携(法9条2項関係)並びに同一団体の他機関への特定個人情報の提供(法19条10号関係)について規定している。

  また、岡山市条例及び三条市条例は、マイナンバーカードの独自利用(法18条関係)について規定している。

〇 マイナンバー法32条は、「地方公共団体は、行政機関個人情報保護法、独立行政法人等個人情報保護法、個人情報保護法及びこの法律の規定により行政機関の長、独立行政法人等及び個人情報保護法第二条第五項に規定する個人情報取扱事業者が講ずることとされている措置の趣旨を踏まえ、当該地方公共団体及びその設立に係る地方独立行政法人が保有する特定個人情報の適正な取扱いが確保され、並びに当該地方公共団体及びその設立に係る地方独立行政法人が保有する特定個人情報の開示、訂正、利用の停止、消去及び提供の停止(第二十三条第一項及び第二項に規定する記録に記録された特定個人情報にあっては、その開示及び訂正)を実施するために必要な措置を講ずるものとする。」と規定し、特定個人情報の保護に関して、同法の趣旨を踏まえ、自治体の個人情報保護条例の改正又は新たな条例の制定が必要になるとしている。

特定個人情報の保護に関して、新たな条例を制定している例として、

東京都目黒区目黒区特定個人情報の保護に関する条例平成27年9月30日公布

平成27年10月5日施行

大阪府岸和田市岸和田市特定個人情報保護条例平成27年9月7日公布

平成27年10月5日施行

 などがある。なお、

横浜市

横浜市行政手続における特定の個人を識別するための番号の

利用等に関する法律の施行に関する条例

平成27年9月30日公布

平成28年1月1日施行

 は、マイナンバーの独自利用及び庁内連携(法9条2項関係)に併せて特定個人情報の保護(法32条関係)についても規定している。

 

【官民データの活用】

〇 官民データ活用推進基本法(平成28年法律103号)が、平成28年12月14日に公布・施行された。同法は、「官民データ活用の推進に関する施策を総合的かつ効果的に推進」(1条)することとしており、また、「官民データ」を「電磁的記録・・・に記録された情報・・・であって、国若しくは地方公共団体又は独立行政法人・・・若しくはその他の事業者により、その事務又は事業の遂行に当たり、管理され、利用され、又は提供されるもの」(2条1項)と定義づけている。「官民データ活用推進基本計画」の策定を政府に義務づけ(8条)、「官民データ活用推進計画」の策定を都道府県には義務づけ、市町村には努力義務を課している(9条)。行政手続に係るオンライン利用の原則化(10条1項)やマイナンバーカードの普及・活用(13条1項)等についても、規定している。

〇 官民データの活用推進に関する条例としては、

横浜市横浜市官民データ活用推進基本条例平成29年3月28日公布

平成29年3月28日施行

北九州市北九州市官民データ活用推進基本条例平成29年12月20日公布

平成29年12月20日施行

 がある。

  両条例とも、法律では努力義務としている官民データ活用推進計画の策定を義務づけている。また、両条例とも、議員提案により制定されている。

 

【その他】

〇 なお、自治体法務研究2020年秋号は「スマート自治体への転換と自治体法務」を特集にしているので、参考にされたい。




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