文化政策に関する条例

                                                  (令和2年9月28日作成)

【条例制定状況の概観】

〇 文化庁は、毎年度「地方における文化行政の状況について」を発表しており、その項目の一つとして平成17年度から平成29年度までは「文化振興のための条例」の制定状況を掲載していた。平成30年度は「文化政策のための条例」の制定状況と変更している。「文化振興のための条例」は「地方公共団体における文化振興全般について規定する条例」とし、「文化政策のための条例」は「地方公共団体における文化政策全般について規定する条例」としており、両者とも「基金に関する条例,文化施設等の管理運営に関する条例,文化財保護関係条例などは除く」としている。

  「地方における文化行政の状況について(平成30年度)」によると、「文化政策のための条例」を令和元年10月1日現在制定している自治体は、都道府県では33団体、指定都市は7団体、中核市は19団体、その他の市区町村は91団体である。また、令和2年9月15日現在確認できるものとして、都道府県で1団体、中核市で1団体、その他市区町村で2団体がさらに制定している。これらを合わせると、都道府県では34団体、指定都市は7団体、中核市は20団体、その他の市区町村は93団体、合計154団体が制定していることになる。

〇 文化政策に関する法律として、「文化芸術基本法」(平成13年法律148号)がある。同法は、議員立法により平成13年に制定され(平成13年12月7日公布・施行)、制定当時、法律名は「文化芸術振興基本法」であった。文化芸術の振興に関する基本理念を定め、国・地方公共団体の責務を明らかにし、国に基本方針の策定を義務づけたうえで、芸術、メディア芸術、伝統芸能、芸能、生活文化・国民娯楽・出版物等の振興をはじめとする文化芸術の振興に関する基本的施策を個別かつ具体的に規定していた。平成29年には、同じく議員立法により、改正され(平成29年6月23日改正法公布・施行)、法律名は「文化芸術基本法」とされた。文化芸術そのものの振興に加え,観光・まちづくり・国際交流・福祉・教育・産業等文化芸術に関連する分野の施策についても新たに法律の範囲に取り込み、総合的な文化政策を推進することとされた。また、基本計画の策定を国には義務づけ、地方公共団体には努力義務とするとともに、文化芸術に関する基本的施策に食文化の振興、芸術祭の開催支援、高齢者及び障害者の創造的活動等への支援等が追加された(改正内容等は文化庁HP「文化芸術基本法」を参照のこと)。

  平成30年には、障害者による文化芸術活動を推進するため、議員立法により「障害者による文化芸術活動の推進に関する法律」が制定されている(平成30年6月13日公布・施行)。

〇 自治体の「文化政策のための条例」の制定状況を時系列的に見た場合、平成13年の文化芸術振興基本法の制定、平成29年の文化芸術基本法への改正が、影響を与えていることがわかる。

  平成13年の文化芸術振興基本法制定のかなり以前から、一部自治体では法律に先駆けて条例を制定していた。昭和50年度に「釧路市文化振興条例」(旧条例)、58年度に「秋田市文化振興条例」、「東京都文化振興条例」、「津市文化振興条例」(旧条例)、60年度に「横須賀市文化振興条例」(旧条例)、61年度に「江戸川区文化振興条例」、63年度に「熊本県文化振興基本条例」、平成6年度に(北海道)「様似町文化振興条例」、「北海道文化振興条例」、7年度に(福島県)「矢吹町文化・スポーツ振興条例」、8年度に「富山県文化条例」、9年度に「出雲市文化のまちづくり条例」(旧条例)、「大宰府市文化振興条例」、平成10年度は「士別市文化振興条例」(旧条例)などが制定されている。条例名の多くは、「文化振興条例」となっている。

〇 平成13年6月の文化芸術振興基本法制定後は、条例制定数は急増する。上記文化庁調査によると、平成13年12月に「苫小牧市民文化芸術振興条例」を皮切りに、平成14年度は「四日市市文化振興条例」など5条例、15年度は「松本市文化芸術振興条例」など6条例、16年度は「宮城県文化芸術振興条例」など12条例、17年度は「足立区文化芸術振興基本条例」など19条例、などと条例制定は加速し、平成13年6月から平成29年6月の文化芸術基本法への改正までの間に130団体で131条例が制定されたこととなる。条例名として「文化芸術振興条例」や「文化芸術振興基本条例」とするものが多く、また内容的にも文化芸術振興基本法に影響を受けているが少なくない。なお、香川県小豆島町は「小豆島町芸術文化のまちづくり条例」及び「海の道を活かし、アートや文化による地域活性化を目指す条例」の2条例を制定している。

〇 平成29年6月の文化芸術基本法への改正後も、条例制定の動きは続いている。平成29年7月に「草津市文化振興条例」、30年に「山形県文化芸術基本条例」、「酒田市文化芸術基本条例」、「知立市文化芸術基本条例」、「愛知県文化芸術振興条例」、「国立市文化芸術条例」、「京都府文化力による未来づくり条例(旧条例の全部改正)」、「千葉県文化芸術の振興に関する条例」、「山梨県文化芸術基本条例」、31年・令和元年に(埼玉県)「三芳町芸術文化のまちづくり条例」、「京丹後市文化芸術振興条例」、「和歌山市文化芸術基本条例」、「宇治市文化芸術振興条例」、令和2年に「那覇市文化芸術基本条例」、「小田原市文化によるまちづくり条例」、「福岡県文化芸術振興条例」が制定されている(令和2年9月15日現在で確認できるもの)。条例名を「文化芸術基本条例」や「文化芸術条例」とするものがあり、内容も改正法の影響を受けている。

〇 文化政策に関する条例の制定状況や内容等については、根本昭・佐藤良子「文化芸術振興の基本法と条例」(水曜社 2013年4月9月)及び吉田勝光・吉田隆之「文化条例政策とスポーツ条例政策」(成文堂 2017年4月)が詳しく分析し、解説している。本稿は、これらの著書を参考にしている。

 

【平成13年の文化芸術振興基本法制定以前に制定された条例】

〇 まず、平成13年の文化芸術振興基本法制定以前に制定された条例の中からいくつかを紹介する。

秋田県秋田市

秋田市文化振興条例

昭和58年3月15日公布

昭和58年4月1日施行

平成18年4月1日改正施行

東京都

東京都文化振興条例

昭和58年10月7日公布

昭和58年10月7日施行

平成18年12月22日改正施行

富山県

富山県民文化条例

平成8年9月27日公布

平成8年9月27日施行

平成26年3月26日改正施行

〇 秋田市条例は、現行の条例としては最も早い時期に制定されたものである。平成18年に第7条の一部が改正されているが、他の規定は制定当時と変わっていない。「市民の文化の育成と向上を図り、本市の文化の振興に資すること」(1条)を目的とし、「芸術、学術および広く市民の文化向上のための諸活動」(2条)を対象としている。8条から構成され、市民及び市の役割(3条)、文化振興審議会の設置(4条)、文化振興基本方針の策定(5条)、表彰及び助成(6条)等を規定している。全体としてシンプルな規定ぶりではあるが、基本方針の策定及び審議会の設置を明記している。

〇 東京都条例は、都道府県で初の条例である。平成18年に第17条の東京芸術文化評議会の規定が追加されているが、他の規定は制定当時と変わっていない。2章、17条から構成され、総則(1章)では、目的、基本原則、都の責務、区市町村との関係、民間団体等との関係を、文化振興のための施策(2章)では、「文化活動の促進」として、芸術文化、伝統的文化、自主的文化活動、生涯学習、青少年施策、行事実施、文化情報、顕彰について、「文化環境の整備等」として、文化の視点にたったまちづくり、文化施設の整備、国際文化交流の推進について、それぞれ規定している。基本理念や基本方針策定等の規定はないものの、条例の骨格や基本的な内容はその後に続く他の自治体の条例に「生かされ、その原型になっている」(根本・佐藤著書178頁)といえる。基本原則(2条)として都民の自主性と創造性の最大限の尊重及び文化の内容への不介入・不干渉の配慮を明記するとともに、文化の視点を取り入れた施策の推進(3条2項)及び文化の視点にたったまちづくりの推進(14条)についても規定している。

〇 富山県条例は、3章、25条から構成され、東京都条例が定める基本的な内容に加えて、基本理念(2条)、県民文化計画の策定(8条)、財政上の措置(20条)、県文化審議会の設置(24条)等について規定している。「この富山県条例をもって文化振興条例のモデル型が完成を見たといってよいであろう」(根本・佐藤著書172頁)とされる。文化活動の担い手の育成(13条)や文化産業の振興等(19条)についても規定している。

 

【文化芸術振興基本法制定から改正までに制定された条例】

〇 次に、平成13年の文化芸術振興基本法制定から平成29年の同法改正までに制定された条例の中からいくつかを紹介する。

北海道苫小牧市

苫小牧市民文化芸術振興条例

平成13年12月28日公布

平成14年4月1日施行

愛知県春日井市

春日井市文化振興基本条例

平成14年7月4日公布

平成14年7月4日施行

大阪市

大阪市芸術文化振興条例

平成16年3月29日公布

平成16年4月1日施行

平成25年4月1日改正施行

宮城県

宮城県文化芸術振興条例

平成16年7月7日公布

平成16年7月7日施行

川崎市

川崎市文化芸術振興条例

平成17年3月24日公布

平成17年4月1日施行

大阪府

大阪府文化振興条例

平成17年3月29日公布

平成17年4月1日施行

京都市

京都文化芸術都市創生条例

平成18年3月27日公布

平成18年4月1日施行

東京都小金井市

小金井市芸術文化振興条例

平成19年3月20日公布

平成19年4月1日施行

神奈川県

神奈川県文化芸術振興条例

平成20年7月22日公布

平成20年7月22日施行

香川県小豆島町

小豆島町芸術文化のまちづくり条例

平成23年3月23日公布

平成23年4月1日施行

海の道を活かし、アートや文化による

地域活性化を目指す条例

平成26年6月23日公布

平成26年6月23日施行

静岡市

静岡市創造及び交流によりまちの活力

を生み出す文化の振興に関する条例

平成28年3月18日公布

平成28年4月1日施行

〇 苫小牧市条例は、文化芸術振興基本法制定直後に、議員提案により、制定されている。「文化芸術振興条例」として制定された初の条例である。17条から構成されている。目的規定(1条)に「文化芸術の振興について、基本理念を定め、市の責務を明らかにするとともに、文化芸術の振興に関する施策・・・の基本となる事項を定めることにより、文化芸術振興施策を総合的かつ計画的に推進」と記し、基本理念を定め(2条)、基本方針の策定(6条)を規定しているが、基本理念の内容も含めて、文化芸術振興基本法の影響を受けているものと考えられる。個別施策について具体的に規定していないが、基本方針の記載事項として11項目を定めている(6条2項)。

〇 春日井市条例は、「文化振興基本条例」としており、16条から構成されている。目的(1条)、基本理念(3条)等の規定は、文化芸術振興基本法の影響を受けているものと考えられ、基本計画の策定(8条)についても規定している。個別施策についても具体的に規定しているが、市民メセナ活動の推進(14条及び15条)について規定するほか、市庁舎一帯を市における文化活動の拠点と位置づけ事業を積極的に展開すること(9条)や芸術家等の養成(11条)を定めるなど、独自の規定を置いている。

〇 大阪市条例は、指定都市として初の条例である。13条から構成されている。「文化芸術」ではなく、「芸術文化」の振興を図ることとし、「芸術文化」を「音楽、演劇、舞踊、美術、写真、映像、文学、文楽、能楽、歌舞伎、茶道、華道、書道その他の芸術に関する文化」(2条1号)と定義づけている。前文で、大阪の「歴史的、文化的伝統を尊重しつつ発展させながら」、「自由と進取の精神に基づく新しい芸術文化の創造を促進し」、「『芸術文化都市』の創造を目指すことを決意」するとしている。吉田・吉田著書38頁は、「前文、目的等に積極的に創造都市的政策をかかげる最初のきっかけとなった文化条例である」としている。芸術家、アートマネージャー等の育成などの措置(7条)についても規定している。平成25年4月1日の改正施行により、文化振興計画の策定(5条)が追加された。

〇 宮城県条例は、議員提案により制定されている。4章、31条から構成され、基本理念、文化芸術振興ビジョン、財政上の措置、審議会などを規定するほか、文化芸術振興施策として、5条から25条までにわたり個別施策を具体的に記述している。内容などは、概ね文化芸術振興基本法を踏まえたものとなっている。「文化芸術を創造し,享受することが県民の権利」(2条2項)である旨規定している。また、文化芸術による地域づくり(8条)、高齢者,障害者等の文化芸術活動の充実(12条)文化芸術産業の振興(15条)、メセナ活動の促進(22条)等についても規定しており、この時期の条例として、ほぼフルセットの規定を置いている。

〇 川崎市条例は、9条から構成されている。基本理念、文化芸術振興計画、文化芸術振興会議などを規定しているが、個別施策については規制せず、基本条例としての性格を有する。振興計画の策定にあたっては、市民の意見を反映させるための必要な措置を講じなければならない(7条3項)としている。事業の成果や経過について文化芸術振興会議の評価を受けなければならないとする文化アセスメント(8条)についても、規定している。

〇 大阪府条例は、4章、27条から構成されている。基本理念、文化振興計画、府市文化振興会議への諮問などを規定するほか、施策の策定や事業の実施に府民等の意見を反映させる旨の規定(8条)を置いている。また、上方演芸(11条)、スポーツ文化(13条)、学術文化(14条)なども振興の対象に加えている。

〇 京都市条例は、「文化芸術都市の創生」を総合的かつ計画的に推進することを目的(1条)とし、「文化芸術都市の創生」とは、「市民の暮らしに根を下ろした文化芸術を一層魅力のあるものとすることにより,市民に大きな生きる喜びをもたらすとともに,活気あふれるまちづくりの源泉とし,もって常に新たな魅力に満ちあふれた都市を創生すること」(2条)としている。4章、25条から構成され、基本理念、都市創生計画、審議会などを定めるほか、個別施策を13項目にわたり規定(8条〜21条)しているが、全て努力義務ではなく、「講じなければならない」と義務づけている。

〇 小金井市条例は、10条から構成され、基本条例としての性格を有する。基本理念、基本施策、基本計画、推進機関などを規定している。「芸術文化」を「人間の感性を豊かにする知的かつ創造的な活動で、多様な芸術文化領域を含むもの」と、「芸術文化活動」を「広く芸術文化を鑑賞し、創造し、又はこれに参加すること」と、それぞれ定義づけている(2条1項及び2項)。

〇 神奈川県条例は、20条から構成され、内容などは、概ね文化芸術振興基本法を踏まえたものとなっている。審議会については「附属機関の設置に関する条例」で定めている。文化資源の活用(14条)についても規定している。

〇 小豆島町は、2条例を制定している。「小豆島町芸術文化のまちづくり条例」は、基本理念、検討会の設置、施策の基本方針などを定めるほか、重点地域を指定(8条)し、拠点整備等に努める(9条)とするとともに、「アートフィールド基金」の設置等(10条〜14条)について規定している。「海の道を活かし、アートや文化による地域活性化を目指す条例」は、坂手港及びその周辺地域において、アートや文化による地域づくりを進めるため、拠点整備等を行うこととしている。

〇 静岡市条例は、27条から構成され、内容などは、概ね文化芸術振興基本法を踏まえたものとなっている。基本理念、文化振興計画、審議会などを定めるとともに、個別施策について10条から19条にわたり具体的に規定している。「芸術文化」を「芸術(音楽、美術、演劇、文学、舞踊、写真、映画その他の芸術をいう。)に関する文化」、「歴史文化」を「伝統芸能(能楽、歌舞伎その他のわが国古来の伝統的な芸能をいう。)、茶道、華道、書道その他これらに類するもの及び歴史上の意義を有する事象に関する文化」、「文化活動」を「文化を創造し(芸術作品の創造及び発表を含む。)、若しくは享受し、又はこれらの活動を支援する活動」と、それぞれ定義づけている(2条1号〜3号)。

 

【文化芸術基本法に改正後に制定された条例】

〇 平成29年6月の文化芸術基本法への改正後に制定された条例(令和2年11月3日現在で確認できるもの)は、以下の通りである。

滋賀県草津市

草津市文化振興条例

平成29年6月27日公布

平成29年7月1日施行

愛知県

愛知県文化芸術振興条例

平成30年3月27日公布

平成30年3月27日施行

山形県

山形県文化基本条例

平成30年3月20日公布

平成30年3月20日施行

山形県酒田市

酒田市文化芸術基本条例

平成30年3月20日公布

平成30年4月1日施行

愛知県知立市

知立市文化芸術基本条例

平成30年3月26日公布

平成30年4月1日施行

東京都国立市

国立市文化芸術条例

平成30年3月30日公布

平成30年4月1日施行

京都府

京都府文化力による未来づくり条例

平成30年7月31日公布

平成30年7月31日施行

千葉県

千葉県文化芸術の振興に関する条例

平成30年10月19日公布

平成30年10月19日施行

山梨県

山梨県文化芸術基本条例

平成30年12月25日公布

平成30年12月25日施行

埼玉県三芳町

三芳町芸術文化のまちづくり条例

平成31年3月27日公布

平成31年4月1日施行

京都府京丹後市

京丹後市文化芸術振興条例

平成31年3月28日公布

平成31年3月28日施行

和歌山県和歌山市

和歌山市文化芸術基本条例

令和元年7月24日公布

令和元年7月24日施行

三重県伊賀市

伊賀市文化振興条例

令和元年12月27日公布

令和元年12月27日施行

京都府宇治市

宇治市文化芸術振興条例

令和元年12月27日公布

令和元年12月27日施行

沖縄県那覇市

那覇市文化芸術基本条例

令和2年3月26日公布

令和2年4月1日施行

神奈川県小田原市

小田原市文化によるまちづくり条例

令和2年3月31日公布

令和2年4月1日施行

福岡県

福岡県文化芸術振興条例

令和2年4月1日公布

令和2年4月1日施行

宮崎県宮崎市

宮崎市文化芸術基本条例

令和2年11月3日公布

令和2年11月3日施行

〇 都道府県の条例は、京都府条例が平成17年制定の「京都府文化力による京都活性化推進条例」を全面改正して制定されているほかは、愛知県、山形県、千葉県、山梨県及び福岡県の条例は新規に制定されている。千葉県条例は議員提案によるものである。

  愛知県条例は20条、山形県条例は2章30条、京都府条例は4章29条、千葉県条例は22条、山梨県は3章26条、福岡県条例は4章33条から、それぞれ構成されており、基本理念、基本計画の策定などを定めるとともに、個別施策を具体的に規定している。条例によって濃淡はあるが、これらの条例はすべて、フルセットタイプの条例である。また、「観光、福祉、教育、産業、まちづくり、国際交流その他の関連分野における施策との有機的な連携が図られるよう配慮されなければならない」(愛知県条例2条8項)などの規定を置くなど、文化芸術基本法への改正を踏まえた内容となっている。

  このうち、山形県条例は、県民の文化発信力の向上(22条)のほか、文化の活用による地域の活性化、経済の活性化及び観光振興(27条から29条)、文化に関する情報発信及び交流の推進(30条)についても、規定している。

  京都府条例は、「文化力による未来づくり」(前文等)を基本テーマとし、推進体制を整備し(8条)、人づくり(9条〜12条)、文化の保存・継承(13条〜15条)、新たな文化の創造(16条及び17条)、文化資源を生かした地域づくりと経済活性化(18条〜21条)、文化の発信(22条及び23条)、基盤づくり(24条〜26条)に関する施策を講じることとしている。

  山梨県条例も、文化芸術の活用による地域活力の向上及び経済の活性化(20条及び21条)、交流の推進(22条)などを規定している。また、文化芸術推進月間(24条)を定めている。

  福岡県条例は、障害者による文化芸術活動の推進に関する法律の制定を受け、特に「障がいのある人の文化芸術活動の推進」として1節(22条〜28条)を設け、鑑賞の機会の拡大、創造の機会の拡大、作品等の発表の機会の確保、権利保護の推進、作品等に係る事業活動への支援、相談体制の整備並びに人材の育成及び確保に関して規定している。これまで制定されている条例の中で、内容的に最も充実したものであるということができる。

〇 市町村の条例は、その多く(国立市、三芳町、京丹後市、和歌山市、宇治市、那覇市、小田原市及び宮崎市の条例)は、上記の都道府県条例と異なり、個別施策について具体的な規定はなく、基本理念、市(町)等の責務、基本計画の策定、基本施策の方向等のみを規定しており、基本条例としての性格を有する。一方、草津市、酒田市、知立市及び伊賀市の条例は、個別施策についても具体的に規定している。また、文化芸術基本法への改正直後に制定された草津市条例を除き、他の条例は「観光、まちづくり、国際交流、福祉、教育、生涯学習、産業その他の多様な分野における施策との連携促進」(酒田市条例18条)などの規定を置くなど、文化芸術基本法への改正を踏まえた内容となっている。なお、宮崎市条例は、宮崎市文化振興基金条例(平成6年制定)を廃止したうえで、文化芸術振興基金に関する規定(15条〜20条)を置いている。

  草津市条例は4章17条、酒田市条例は20条、知立市条例は19条、国立市条例は8条、三芳町条例は11条、京丹後市条例は7条、和歌山市条例は10条、伊賀市条例は20条、宇治市条例は10条、那覇市条例は7条、小田原市条例は6条、宮崎市条例は21条から、それぞれ構成されている。




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