地方議会の委員会におけるオンライン会議に関する条例

                                                  (令和3年2月25日更新)

【地方議会におけるオンライン会議について】

〇 令和2年4月に新型コロナウイルス感染症対策として緊急事態宣言が発令され、こうした状況下において地方議会の本会議や委員会をオンライン会議により開催できるか否かが、議論となった。

  これについて、総務省は、令和2年4月30日付け総務省自治行政局行政課長通知「新型コロナウイルス感染症対策に係る地方公共団体における議会の委員会の開催方法について」を出し、以下の見解を示した。すなわち、

  「議会の議員が委員会に出席することは不要不急の外出には当らないものと考えられるが、各団体の条例や会議規則等について必要に応じて改正等の措置を講じ、新型コロナウイルス感染症のまん延防止措置の観点等から委員会の開催場所への参集が困難と判断される実情がある場合に、映像と音声の送受信により相手の状態を相互に認識しながら通話をすることができる方法を活用することで委員会を開催することは差し支えないと考えられる。
 その際には、現に会議室にいる状態と同様の環境をできる限り確保するため、議事の公開の要請への配慮、議員の本人確認や自由な意思表明の確保等に十分留意するとともに、情報セキュリティ対策を適切に講じる必要がある。
 なお、法第113条及び法第116条第1項における本会議への「出席」については、現に議場にいることと解されているので、念のため申し添える。」

 としている。結論的に言うと、本会議についてはオンライン会議はできないものの、委員会については「各団体の条例や会議規則等について必要に応じて改正等の措置を講じ」たうえで開催することは可能ということになる。

  また、総務省は、令和2年7月16日付けで、「新型コロナウイルス感染症対策に係る地方公共団体における議会の委員会の開催方法に関するQ&Aについて」を出し、全国都道府県議会議長会、全国市議会議長会及び全国町村議会議長会の各事務局からの質問に答えている。条例や会議規則に関連した部分として、

  「通知では、関係例規の改正の必要性を指摘しているが、改正方法として各例規の本則の改正を想定しているのか、それとも新型コロナ対策に限定していることを考慮して、特例条例、特例会議規則の制定を想定しているのか。」との質問に対して、

  「改正の形式については、ご指摘のいずれの方法も考えられるところであり、各団体において、それぞれの現行の条例や会議規則の規定ぶりを踏まえ、適切に判断していただきたい。」との見解を示している。

 

【大阪市議会の対応】

〇 大阪市議会は、前記令和2年4月30日付け総務省通知を踏まえ、令和2年5月14日に、

大阪市議会

大阪市会会議規則の一部を改正する規則

令和2年5月14日議決

大阪市会会議規則(改正後)

 を議決した。

〇 この会議規則の改正は、全国最初に、委員会をオンライン会議により開催することを可能にしたもの(条例、会議規則を含めて)である。

〇 委員会開催の特例として、「新型コロナウイルス感染症・・・のまん延防止措置の観点等から委員会の開催場所への参集が困難と判断される実情がある場合には、映像と音声の送受信により相手の状態を相互に認識しながら通話をすることができる方法を活用した委員会・・・を開催することができる。」(41条の2第1項)としている。前記令和2年4月30日付け総務省通知とほぼ同様の内容の規定となっている。

〇 大阪市委員会条例は委員会の設置等についてのみ定めており、委員会の開催手続等については大阪市会会議規則において規定しているため、委員会のオンライン開催に関しては、会議規則の改正で対応することにしたものと考えられる。

 

【大阪府議会の対応】

〇 大阪府議会は、大阪市議会に続いて、委員会をオンライン会議により開催することを可能にした。すなわち、令和2年5月26日に、

大阪府議会

大阪府議会委員会条例及び大阪府議会議会運営委員会

条例の一部を改正する条例

令和2年5月26日議決

大阪府議会委員会条例(改正後)

 を議決した。

〇 委員会をオンライン会議により開催することを可能にする委員会条例としては、全国最初のものである。

〇 委員会の開会方法の特例として、「委員長は、次に掲げる場合において、適切かつ効果的な委員会の運営の観点から特に必要と認めるときは、映像と音声の送受信により相手の状態を相互に認識しながら通話をすることができる方法・・・を活用した委員会を開会することができる。この場合において、議事の公開の要請への配慮、委員等の本人確認及び自由な意思表明の確保等に十分留意するものとする。」(12条の2第1項本文)とし、そのうえでオンラインを活用した委員会の開会が可能な場合として、「重大な感染症のまん延防止措置の観点から又は大規模な災害等の発生等により委員会の開会場所への参集が困難と判断される実情がある場合」(同条同項1号)及び「育児、介護等のやむを得ない事由により委員会の開会場所への参集が困難な委員からオンラインを活用した委員会の開会の求めがある場合」(同条同項2号)を規定している。

〇 令和2年4月30日付け総務省通知及び大阪市会会議規則が、「新型コロナウイルス感染症のまん延防止措置の観点等から委員会の開催場所への参集が困難と判断される実情がある場合」としていたのに対して、大阪府議会委員会条例は、「重大な感染症のまん延防止措置の観点」にのみならず、「大規模な災害等の発生等により委員会の開会場所への参集が困難と判断される実情がある場合」及び「育児、介護等のやむを得ない事由により委員会の開会場所への参集が困難な委員からオンラインを活用した委員会の開会の求めがある場合」についてもオンライン会議の開催が可能としている。

  なお、前記令和2年7月16日付け総務省Q&A通知は、「新型コロナウイルス感染症対策以外の場面における委員会への出席のあり方についてはどう考えればよいか。」との質問に対して、「今回の通知で示した『委員会の開催場所への参集が困難と判断される実情がある場合』とは、今般の新型コロナウイルス感染症対策のように、一カ所に参集することを控える必要があるなど、委員会を開催すること自体が困難な場合を想定したものである。上記以外の場合の出席のあり方については、現在、実施が検討されている新型コロナウイルス感染症対策としてのオンラインによる委員会の開催の取組や運営上の工夫などもよく踏まえた上で考えていくべき課題であると認識している。」としている。

 

【大阪府議会以外の都道府県議会の対応】

〇 都道府県議会では、大阪府議会に続いて、令和3年2月25日現在確認できるものとして、以下の都県議会で、委員会をオンライン会議により開催することを可能にするため、委員会条例条例を改正している。

群馬県議会

群馬県議会委員会条例の一部を改正する条例

令和2年6月15日議決

群馬県議会委員会条例(改正後)

熊本県議会

熊本県議会委員会条例の一部を改正する条例

令和2年6月23日議決

熊本県議会委員会条例(改正後)

茨城県議会

茨城県議会委員会条例の一部を改正する条例

令和2年9月11日議決

茨城県議会委員会条例(改正後)

東京都議会

東京都議会委員会条例の一部を改正する条例

令和2年9月30日議決

東京都議会委員会条例(改正後)

愛知県議会

愛知県議会委員会条例の一部を改正する条例

令和2年10月13日議決

愛知県議会委員会条例(改正後)

三重県議会

三重県議会委員会条例の一部を改正する条例

令和2年11月20日議決

三重県議会委員会条例(改正前)

〇 群馬県、熊本県及び東京都の条例は「会議(委員会)の開催(開会)の特例」として、愛知県及び三重県の条例は「出席の特例」として、茨城県条例は「電子情報処理組織の使用」として、委員会をオンライン会議により開催することを可能にするための規定を追加している。

〇 委員会をオンライン会議により開催することができる場合として、東京都条例は「新型コロナウイルス感染症のまん延防止措置の観点から」に限定し、熊本県条例は「新型コロナウイルス感染症のまん延の防止を図る必要があることその他の事情があるため」としている。一方、群馬県、茨城県、愛知県及び三重県の条例は「重大な感染症のまん延の防止のため必要な場合」のみならず「大規模な災害の発生等による場合」も対象に加えている。

 

【大阪市議会以外の市区町村議会の対応】

〇 市区町村議会では、令和3年2月25日現在確認できるものとして、以下の市町村議会で、委員会をオンライン会議により開催することを可能にするため、委員会条例を改正している。

大阪府大東市議会

大東市議会委員会条例の一部を改正する条例

令和2年7月28日議決

大東市議会委員会条例(改正後)

長野県南箕輪村議会

南箕輪村議会委員会条例の一部を改正する

条例

令和2年8月31日議決

南箕輪村議会委員会条例(改正後)

南箕輪村議会会議規則の一部を改正する規則

令和2年8月31日議決

南箕輪村議会会議規則(改正後)

茨城県取手市議会

取手市議会委員会条例の一部を改正する条例

令和2年9月4日議決

取手市議会委員会条例(改正後)

取手市議会会議規則の一部を改正する規則

令和2年9月4日議決

取手市議会会議規則(改正後)

千葉県柏市議会

柏市議会委員会条例の一部を改正する条例

令和2年9月4日議決

柏市議会委員会条例(改正後)

柏市議会会議規則の一部を改正する規則

令和2年9月4日議決

柏市議会会議規則(改正後)

愛知県知立市議会

知立市議会委員会条例の一部を改正する条例

令和2年9月8日議決

知立市議会委員会条例(改正後)

和歌山県橋本市議会

橋本市議会委員会条例の一部を改正する条例

令和2年9月18日議決

橋本市議会委員会条例(改正後)

熊本県大津町議会

大津町議会委員会条例の一部を改正する条例

令和2年9月19日議決

大津町議会委員会条例(改正後)

神奈川県藤沢市議会

藤沢市議会委員会条例の一部を改正する条例

令和2年10月7日議決

藤沢市議会委員会条例(改正後)

福島県磐梯町議会

磐梯町議会委員会条例の一部を改正する条例

令和2年12月11日議決

磐梯町議会委員会条例(改正後)

磐梯町議会会議規則

令和2年12月11日議決

岩手県奥州市議会

奥州市議会委員会条例の一部を改正する条例

令和2年12月14日議決

奥州市議会委員会条例(改正前)

奥州市議会会議規則の一部を改正する規則

令和2年12月14日議決

奥州市議会会議規則(改正前)

埼玉県志木市議会

志木市議会委員会条例の一部を改正する条例

令和2年12月16日議決

志木市議会委員会条例(改正前)

兵庫県高砂市議会

高砂市議会委員会条例の一部を改正する条例

令和2年12月18日議決

高砂市議会委員会条例(改正前)

高砂市議会会議規則の一部を改正する規則

令和2年12月18日議決

高砂市議会会議規則(改正前)

熊本市議会

熊本市議会委員会条例の一部を改正する条例

令和2年12月18日議決

熊本市議会委員会条例(改正後)

熊本市議会会議規則の一部を改正する規則

令和2年12月18日議決

熊本市議会会議規則(改正後)

東京都墨田区議会

墨田区議会委員会条例の一部を改正する条例

令和3年2月22日議決

墨田区議会委員会条例(改正前)

〇 大東市、取手市、知立市、橋本市、大津町、藤沢市、磐梯町、奥州市、志木市、高砂市、熊本市及び墨田区の条例は「開会(開催)方法の特例」または「会議(開催)の特例」として、南箕輪村条例は「招集」の規定に、柏市条例は「オンライン会議システムを活用した委員会」として、委員会をオンライン会議により開催することを可能にするための規定を追加している。

〇 委員会をオンライン会議により開催することができる場合として、熊本市条例は「新型コロナウイルス感染症のまん延の防止を図る必要がある」場合に、墨田区条例は「新型コロナウイルス感染症のまん延の防止の観点から」に限定し、南箕輪村、橋本市及び志木市の条例は「新型コロナウイルス感染症のまん延防止措置の観点等から」等とし、藤沢市条例は「大規模な災害等の発生等」による場合としている。また、大東市、柏市、知立市及び高砂市の条例は「重大な感染症のまん延の防止のため」及び「大規模な災害の発生等」による場合とし、取手市及び磐梯町の条例は「災害の発生、感染症のまん延等、やむを得ない理由」による場合としている。一方、大津町条例は「重大な感染症のまん延防止措置の観点」及び「大規模な災害等の発生等」による場合並びに「育児、介護等のやむを得ない事由」による場合を対象とし、奥州市条例は「災害等の発生、感染症のまん延防止措置等のやむを得ない事由」及び「育児、介護等のやむを得ない事由」による場合を対象にしている。

〇 なお、南箕輪村、取手市、柏市、奥州市、高砂市及び熊本市は、委員会条例の改正に併せて会議規則の改正も行っている。また、磐梯町は、委員会条例の改正と同時に、従前の会議規則を廃止して新たに会議規則を制定しており、オンライン会議に関する規定(94条等)を置いている。

〇 委員会をオンライン会議により開催することを可能にするため、委員会条例を改正せず、会議規則を改正している市区町村議会もある。令和3年2月25日現在確認できるものとして、以下の市村議会である。

栃木県那須塩原市議会

那須塩原市議会会議規則の一部を改正する

規則

令和2年6月18日議決

那須塩原市議会会議規則(改正後)

岩手県北上市議会

北上市議会会議規則の一部を改正する規則

令和2年6月26日議決

北上市議会会議規則(改正後)

長野県宮田村議会

宮田村議会会議規則の一部を改正する規則

令和2年12月1日議決

宮田村議会会議規則(改正前)

〇 那須塩原市議会会議規則は、「議員は、新型インフルエンザ等対策特別措置法・・・第32条第1項の規定により市の区域が新型インフルエンザ等緊急事態措置の対象区域となったときその他これに準ずる事態であるとして議長が認めるときは、一定の場所に参集しての会議の開催を行わないように努めなければならない。この場合において、第2章に規定する委員会及び第7章に規定する協議又は調整を行うための場については、書面、電子メールその他の方法により会議を開催することができる。」(附則2項)とし、書面、電子メールその他の方法による開催の特例を設けている。

〇 北上市議会会議規則は、「新型コロナウイルス感染症のまん延防止措置の観点等から」、オンライン会議を開催することができる(89条の2)としている。

〇 宮田村議会会議規則は、「やむを得ない理由により、委員会の開催場所への参集が困難な場合は」、オンライン会議を開催することができる(64条の2第1項)としている。




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