RILG - 一般財団法人 地方自治研究機構


和牛の遺伝資源の保護に関する条例

                                                   (令和3年8月25日作成)

【鳥取県の条例】

〇 鳥取県は、和牛の遺伝資源の保護に関して、

鳥取県

鳥取県産和牛の保護及び振興に関する条例

令和2年10月13日公布

令和2年10月13日施行

 を制定している。「全国で初めて県有種雄牛の遺伝資源を知的財産として位置付け、遺伝資源保護と和牛振興を柱とした条例」(鳥取県資料「鳥取県産和牛の保護及び振興に関する条例」)とされる。

〇 本条例は、「県有種雄牛(県が所有する種雄牛をいう。以下同じ。)の遺伝資源が貴重な知的財産であること及び鳥取県産和牛の生産が県内畜産業の重要な一翼を担っていることに鑑み、県有種雄牛の遺伝資源の保護のための措置及び鳥取県産和牛の振興に関する計画について定めるとともに、鳥取県産和牛の生産者の経営の安定、加工及び流通の高度化、販路拡大の促進等の措置を講じ、もって鳥取県産和牛に係る畜産業及びこれに関わる産業の健全な発展に寄与すること」(1条)を目的としている。また、前文で「何人も県有種雄牛の遺伝資源をみだりに県外に流出させてはならないことを宣言し、この条例を制定する。」としている。

〇 内容としては、遺伝資源の保護(2条)と県産和牛の振興(3条〜10条)が大きな柱となっている。

  遺伝資源の保護としては、「県は、県有種雄牛の遺伝資源を知的財産として位置付けるものとする。」(2条1項)としたうえで、特に重要な県有種雄牛を特定種畜として告示し(同条2項)、その遺伝資源の所有権を県に留保する等の契約を締結する等の措置を講ずる(同条3項)とともに、遺伝資源の適正な管理を行うため「告訴、告発、差止請求その他の法的措置をとることを含め、必要な措置を講ずるものとする。」(同条4項)としている。

  県産和牛の振興としては、県は、和牛産業の振興に関する計画を策定する(3条)とともに、生産者の経営の安定、加工、流通の高度化及び販路拡大の促進、産肉能力等の改良の促進、研究開発の推進、共進会等への参加の支援等の施策を講ずるものとしている(5条〜9条)としている。

〇 本条例を制定するまでの経緯、その内容等について、鳥取県の平井知事が「和牛は大切な知的財産だ〜「鳥取県産和牛の保護及び振興に関する条例」と鳥取県の挑戦〜」(「知財ぷりずむ」(令和2年11月号))で詳しく述べている。鳥取和牛復活のために努力を積み重ねた結果「百合白清2号」、「白鵬85の3号」等の優秀な種雄牛の造成に成功したこと、和牛の精液や受精卵の不正輸出未遂事件等もあるにもかかわらずこれまで和牛の遺伝資源は知的財産として保護されて来ず法規制もされない状況にあったこと、国が対策を取らないのであれば新たな条例を作って県独自の対策を検討することとし、令和元年5月に検討会を立ち上げたこと、検討の過程で特定種雄牛の精液の所有権を県に留保するなどにより流出防止を図る新たな契約制度を導入することとしたこと、令和元年10月になって農林水産省に「和牛遺伝資源の知的財産的価値の保護強化に関する専門部会」が設置され法的措置の検討が進められ、その結果令和2年4月に「家畜改良増殖法の一部を改正する法律」及び「家畜遺伝資源に係る不正競争の防止に関する法律」が制定(令和2年10月1日施行)され、和牛の遺伝資源が法律で保護されることとなったこと、このため条例での県独自の精液等の不適正流出防止規制については見送り、国の新制度を援用することとし、条例は県有種雄牛の遺伝資源の保護と県産和牛の振興を図ることを内容とすることにしたことなどが、述べられている。

〇 本条例については、自治体法務研究2021年夏号CLOSEUP先進・ユニーク条例「鳥取県産和牛の保護及び振興に関する条例」を参照されたい。また、家畜遺伝資源の管理・保護に関する国の取組み、法律の内容等については、農林水産省HP「家畜遺伝資源の管理・保護」を参照されたい。




条例の動きトップに戻る