食の安全・安心に関する条例
(令和7年4月25日更新)
【食品の安全・安心に関する条例】
〇 食品の安全性の確保を図るため、平成15年に食品安全基本法が制定された(平成15年5月23日公布、同年7月1日施行)。平成13年から14年にかけて、BSE(牛海綿状脳症)の発生、輸入野菜における農薬の残留、国内における無登録農薬の使用など、様々な食品に関する問題が発生したことが、その制定の背景にある。
同法は、「食品の安全性の確保に関し、基本理念を定め、並びに国、地方公共団体及び食品関連事業者の責務並びに消費者の役割を明らかにするとともに、施策の策定に係る基本的な方針を定めることにより、食品の安全性の確保に関する施策を総合的に推進すること」(1条)を目的としているが、地方公共団体については、「食品の安全性の確保に関し、国との適切な役割分担を踏まえて、その地方公共団体の区域の自然的経済的社会的諸条件に応じた施策を策定し、及び実施する責務を有する。」(7条)と規定している。
また、食品安全基本法の制定と併せて、食品衛生法も平成15年に大幅に改正された(平成15年5月30日改正公布、同年7月1日改正施行)。法の目的(1条)に食品の安全性を確保することにより国民の健康の保護を図ることが明記されるとともに、農薬等の残留規制の強化、監視・検査体制の強化、輸入食品の監視体制の強化、総合衛生管理製造過程(HACCP)の更新制の導入等の規定が追加された(厚生労働省HP「「食品衛生法等の一部を改正する法律」「健康増進法の一部を改正する法律」の公布について」参照)。
〇 食の安全・安心に対する関心の高まりや食品安全基本法の制定などを踏まえ、平成15年以降、食品安全や食の安全・安心に関する単独条例を制定する自治体が増えている。その制定状況は以下の通りである(制定年は、いずれも公布された年)。都道府県では、平成28年までに34都道府県で制定されている。市町村は、5市で制定されていることが確認できる。条例名に、食品安全基本法と同様に「食品安全」を使用するものは少なく、そのほとんどが「食の安全・安心」を使用している。食品の安全性の確保のみならず、食品に対する住民の安心感の確保も、条例の制定目的とされている。
(都道府県)
平成15年 | 岐阜県食品安全基本条例 |
平成16年 | みやぎ食の安全安心推進条例 群馬県食品安全基本条例 秋田県食品の安全・安心に関する条例 |
平成17年 | 熊本県食の安全安心推進条例 北海道食の安全・安心条例 大分県食の安全・安心推進条例 |
平成18年 | 兵庫県)食の安全安心と食育に関する条例 千葉県食品等の安全・安心の確保に関する条例 |
平成19年 | 大阪府食の安全安心推進条例 沖縄県食品の安全安心の確保に関する条例 |
平成20年 | 三重県食の安全・安心の確保に関する条例 愛媛県食の安全安心推進条例 山口県食の安心・安全推進条例 |
平成21年 | 茨城県食の安全・安心推進条例 神奈川県食の安全・安心の確保推進条例 滋賀県食の安全・安心推進条例 |
平成22年 | 岩手県食の安全安心推進条例 鹿児島県食の安心・安全推進条例 |
平成24年 | 山梨県食の安全・安心推進条例 長野県食品安全・安心条例 |
平成26年 | 佐賀県食の安全・安心の確保を推進する条例 長崎県食品の安全・安心条例 |
平成27年 | 宮崎県食の安全・安心推進条例 石川県食の安全・安心推進条例 |
平成28年 | 福岡県食品の安全・安心の確保に関する条例 |
(市町村)
平成19年 | 名古屋市食の安全・安心条例 |
平成20年 | 宇都宮市食品安全条例 |
平成22年 | 京都市食品等の安全性及び安心な食生活の確保に関する条例 |
平成25年 | 札幌市安全・安心な食のまち推進条例 |
平成27年 | 金沢市食の安全・安心の確保に関する条例 |
〇 これら条例は、都道府県条例も市町村条例も、ほとんどすべてが、食品の安全や食の安全・安心の確保に関する基本理念及び自治体、事業者、住民等の責務・役割を定めるとともに、推進計画(基本計画、基本方針等を含む)の策定、基本施策の推進等について規定している。また、審議会、委員会等の設置を定めるものは多く、さらに自主回収報告制度、安全性調査・措置勧告制度、施策の申出制度、出荷の禁止制度、食品等輸入の届出等、当該自治体独自の制度を規定するものも少なくない。
以下、自治体独自の施策を規定している条例を中心に、いくつかの条例を紹介する。
岐阜県 | 平成15年12月18日公布 | 平成16年4月1日施行 |
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群馬県 | 平成16年3月24日公布 | 平成16年4月1日施行 |
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東京都 | 平成16年3月31日公布 | 平成16年4月1日施行 |
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熊本県 | 平成17年3月24日公布 | 平成17年4月1日施行 |
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大分県 | 平成17年3月31日公布 | 平成17年4月1日施行 |
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兵庫県 | 平成18年3月24日公布 | 平成18年4月1日施行 |
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茨城県 | 平成21年6月25日公布 | 平成21年10月1日施行 |
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滋賀県 | 平成21年12月25日公布 | 平成21年12月25日施行 |
岐阜県条例は、全国で最初に制定された食品安全に関する単独条例である。食品安全基本法施行後に制定されている。基本理念、県民の役割、食品関連事業者の責務、県の責務等を定める(3条~9条)とともに、施策の基本となる事項のほか、基本計画の策定(20条)等を規定している。施策の基本となる事項については、安全な食品等の生産、検査及び監視の体制の整備、適正表示の推進、県民と食品関連事業者の信頼確保、積極的な情報開示及び知識の普及、県民の意見の反映、危機管理体制の整備、調査研究の推進等並びに食品の安全性に関わる人材の確保及び育成(10条~18条)を定めている。
群馬県条例は、「施策の申出制度」を定めている。食品の安全性の確保等に係る知事や教育委員会の施策について、県民や事業者は制度の新設若しくは改廃又は制度運用の改善の措置を講ずるよう申出をすることができる(17条)としている。また、食品安全審議会の設置について規定している(18条)。なお、群馬県条例については、自治体法務研究2006年秋号条例制定の事例CASESTUDY「群馬県の食品安全行政の展開と食品安全基本条例」を参照のこと。
東京都条例は、「安全性調査・措置勧告制度」を定め、食品による健康への悪影響を未然に防止する観点から、知事は必要な調査を行うとするとともに、事業者に対して必要な措置をとるよう勧告し、その内容を公表する(21条、22条)こととし、調査の拒否等をした場合に罰則規定を置いている(30条、31条)。また、「自主回収報告制度」を定め、事業者が行う自主回収のうち、健康への影響のおそれのある場合等の知事への報告義務を課し、当該報告内容を公表する(23条、24条)こととしている。
熊本県条例は、「出荷の禁止制度」を定め、使用禁止農薬等を使用して生産された農林水産物等の出荷・販売を禁止するとともに、知事による立入調査、勧告、公表等の規定を置いている(17条~19条)。
大分県条例は、「ふぐ処理登録者制度等」を定め、ふぐ処理者の登録、ふぐ処理施設の届出、ふぐ処理施設で処理された以外のふぐの販売禁止等を規定している(15条~20条)。
兵庫県条例は、「食品安全基準制度」定め、事業者は県が定めた安全基準を遵守しなければならないとするとともに、知事による違反事案に対する勧告、措置命令、立入検査及び罰則の規定を置いている(9条~11条、27条、28条)。また、「食品製造工程認定制度」(12条)及び「兵庫県認証食品制度」(13条)を定めている。
茨城県条例は、「食品等輸入届出制度」を定め、食品等輸入者に対して輸入食品等の種別、生産国名等の知事への届出を義務づけ、違反者に対して罰則を課している(21条、28条)。
滋賀県条例は、「健康被害情報報告制度」を定め、生産者や食品事業者に対して消費者から健康被害情報を得た場合等の知事への報告を義務づけ、違反事案に対する勧告、公表、体制整備命令及び罰則の規定を置いている(13条、15条、16条、28条及び29条)。
〇 なお、自治体法務研究は、2006年秋号で「食の安全に係る法制度」を特集しているので、参照されたい。
【食品表示の適正化に関する条例】
〇 食品表示法が平成25年に制定された(平成25年6月28日公布、平成27年4月1日施行)。同法は、それまでの食品衛生法、日本農林規格等に関する法律(旧:農林物資の規格化及び品質表示の適正化に関する法律)及び健康増進法の3つの法律の食品の表示に係る規定を一元化したもので、具体的な表示事項や表示方法等を「食品表示基準」(4条)で定め、不適正な表示に対する措置等を規定している。
〇 上記の「食品の安全・安心に関する条例」のほとんどは、何らかの形で食品表示の適正化に関する規定を置いているが、徳島県は、食品表示法の施行にあわせて、食品表示の適正化に特化した条例を制定した。すなわち、
徳島県 | 徳島県食品表示の適正化等に関する条例 | 平成27年3月16日公布 | 平成27年4月1日施行 |
である。
〇 本条例の制定により、それまで徳島県食の安全安心推進条例で規定されていた食品表示に関する基本理念等は削除された。また、本条例の施行日は、「食品表示法の施行の日」(附則1項)としている。
〇 本条例は、「食品表示の適正化に関する県の基本的な施策、食品表示の適正性を確保するための食品関連事業者等の取組等及び特定食品製造事業者の届出等に関する事項を定める」(1条)ものとしているが、基本理念(3条)、県及び食品関連事業者等の責務(4条、5条)並びに消費者の役割(6条)を定めるほか、基本計画の策定(7条)、食品表示適正化推進員の委嘱(12条の2)等を規定している。また、食品関連事業者に対する県産物表示食品に係る仕入関係資料等の整備保存の義務づけ(19条)、食品衛生法の許可対象外である水産加工業者等の特定食品製造事業者としての届出及び食品表示責任者の設置の義務づけ(24条~29条)等の県独自の規制措置を定めている。
【トレーサビリティに関する条例】
〇 食品の安全・安心の確保を図る手段の一つとして、食品トレーサビリティがある。「各事業者が食品を取扱った際の記録を作成し保存しておくことで、 食中毒など健康に影響を与える事故等が発生した際に、問題のある食品がどこから来たのかを調べ(遡及)、 どこに行ったかを調べ(追跡)ることができ」る(農林水産省HP「トレーサビリティ関係」参照)とされる。我が国では、食品に関するトレーサビリティを定める法律として、牛の個体識別のための情報の管理及び伝達に関する特別措置法及び米穀等の取引等に係る情報の記録及び産地情報の伝達に関する法律があるが、牛肉以外の畜産物や米以外の農産物についてはトレーサビリティを義務づける法律はない。
〇 上記の「食品の安全・安心に関する条例」においても、事業者の自主的な食品トレーサビリティの推進について規定するものもある。例えば、兵庫県の食の安全安心と食育に関する条例は、食の安全安心のための事業者の一般的な努力義務として「食品供給行程の各段階における食品等・・・・の生産又は製造、販売等に関する情報の記録、保管、伝達その他食の安全安心を推進するために必要な情報の管理」(7条1項2号)を掲げている。
〇 こうした中で、青森県板柳町は、りんごのトレーサビリティについて、具体的に条例で規定している。すなわち、
青森県板柳町 | 平成14年12月13日公布 | 平成14年12月13日施行 |
である。通称は「りんごまるかじり条例」とされている(板柳町HP「りんごまるかじり」)。
本条例は、「消費者が安心して安全なりんごを食べることができるシステムを整備することにより、健康食品であるりんごの普及促進を図り、もって国民の健康づくりに貢献する」(1条)ことを目的としており、町長は、「りんごの生産における安全性の確保に係るガイドライン(安全ガイドライン)」(5条)及び「生産者情報の管理等に係るガイドライン(生産者ガイドライン)」(6条)を策定するものとし、このうち「生産者ガイドライン」には、生産者情報の管理及び表示に関する事項、りんごの生産過程の検査及び表示の認証に関する事項等を定める(6条2項)としている。りんごの生産者及び関係団体は「町の定めるガイドラインを順守しつつ、りんごの品質を管理するための体制を整備するよう努めるものとする」(3条)とされ、努力義務を定めているが、町長は「安全ガイドライン又は生産者ガイドラインに対する重大な違反行為があった場合には、違反行為を行った者又は団体等の氏名、名称及び違反行為等を適切な方法で公表することができる。」(9条1項)とし、違反行為の場合の公表という形で実効性確保の規定も置いている。
本条例及び「生産者ガイドライン」を踏まえ、板柳町HPにおいて「りんご生産者情報」が公開されている。なお、本条例については、自治体法務研究2006年秋号条例制定の事例CASESTUDY「まるかじりできるりんごの安全性を条例で宣言」を参照されたい。
【原産地表示・認証に関する条例】
〇 食品の原産地の表示については、加工食品は「食品表示基準」により原料原産地表示制度が定められているが、平成29年9月1日の「食品表示基準」の改正・施行により、国内で作られたすべての加工食品に対して原料原産地表示を行うことが義務づけられている(令和4年3月31日まで経過措置あり)。農林水産省HP「加工食品の原料原産地表示制度について」を参照のこと。
〇 上記の「食品の安全・安心に関する条例」では、例えば、山梨県食の安全・安心推進条例は、事業者は国内で生産された畜産物又は加工食品を県内で消費者に販売するときは原材料の原産地に関する情報の提供の充実に努める(21条1項)とする規定を置いている(山梨県HP「食品の原産地に関する情報提供基準」参照)。
〇 酒類については、加工食品として「食品表示基準」により原料原産地表示が義務づけられる(国税庁HP「食品表示法における酒類の表示のQ&A」参照)とともに、ワインについては、酒税の保全及び酒類業組合等に関する法律86条の6に基づく「酒類の表示の基準」により産地等の表示のルールが設けられている(国税庁HP「「果実酒等の製法品質表示基準」について」参照)。
〇 こうした中で、山梨県甲州市は、ワインの原産地認証制度を、条例で定めている。すなわち、
山梨県甲州市 | 甲州市原産地呼称ワイン認証条例 | 平成20年12月26日公布 | 平成22年4月1日施行 |
である。
本条例で定める「原産地呼称ワイン認証制度」は、「甲州市内及び山梨県内で収穫されたぶどうを甲州市内の自社で醸造、 原料ぶどうの『原産地』を消費者に保証することで、そのワインの供給と普及を促進することを目的」とし、「甲州市が制度の導入に踏み切ったのは、輸入ワインの消費増加や日本国内においての他産地の追撃など産地間競争が激しくなったため」としている(甲州市HP「甲州市原産地呼称ワイン認証制度」)。
認証の手続として、「原料ぶどうについて規則で定める登録を行っている市内ワイナリー」(5条1項)が市長に認定の申請をし(4条)、市長は、申請に係るワインの審査(7条)し、「認証の基準」(6条)に適合する場合は認証する(8条1項)としている。また、認証を受けたワインを販売するときは、容器に規則で定める認証の表示をしなければならない(9条)としている。
なお、本条例は、「勝沼町原産地呼称ワイン認証条例」が廃止されたうえで制定されている。廃止された「勝沼町原産地呼称ワイン認証条例」は、旧勝沼町で平成17年9月15日に制定されたものであるが、同年11月1日の市町村合併により甲州市が設置されたことにより、旧勝沼町を対象に効力を有していたものである。
本条例及び認証制度の内容等については、上記甲州市HPを参照されたい。
〇 熊本県産と偽装されたあさりが全国で大量に流通した事案を踏まえ、消費者庁は令和4年3月に「食品表示Q&A」を改正し、アサリの原産地表示ルールを厳格化し(熊本県HP「アサリの原産地表示のルールが厳格化されます!」参照)、熊本県は令和4年6月に
熊本県 | 熊本県産あさりを守り育てる条例 | 令和4年6月24日公布 | 令和4年7月1日施行 |
を制定した。
本条例は、「熊本県産あさり」を「熊本県の海域(・・・) において着底した稚貝、熊本県の海域において着底して育った親貝を用いて国内において人工的に生産した稚貝その他熊本県産あさりの保全及び育成のために必要な稚貝として規則で定めるものから熊本県の海域において成長したあさり」(2条1項)と定義づけたうえで、知事は原産地を証明された熊本県産あさりを消費者に販売をする事業を行う者又はその設置する店舗を「熊本県産あさり販売協力店」として認証することができ、認証した場合はその旨公表するものとする(16条)とともに、熊本県産あさりの販売をする水産物流通販売事業者等に対して入出荷記録等の備付けと3年間の保存を義務づけている(18条、19条)。
本条例の内容等については、熊本県HP「熊本県産あさりを守り育てる条例」を参照されたい。
【遺伝子組換え作物交雑防止に関する条例】
〇 安全性の確保が問われる食品の一つとして、遺伝子組換え食品がある。遺伝子組換え技術により、これまでの技術ではできなかった品種改良が可能になる一方で、人体や生態系に及ぼす悪影響への懸念が生じうる。このため、我が国の法律では、遺伝子組換え食品は、食品としての安全性は食品衛生法、飼料としての安全性は飼料の安全性の確保及び品質の改善に関する法律、生物多様性への影響は遺伝子組換え生物等の使用等の規制による生物の多様性の確保に関する法律(カルタヘナ法)に基づき、科学的な評価が行われ、問題のないもののみが輸入、流通、栽培をすることが可能となっている(消費者庁HP「遺伝子組換え食品」参照)。
〇 こうした法律での規制とは別に、条例で遺伝子組換え作物の栽培による交雑防止について規定している自治体がある。
(都道府県)
北海道 | の防止に関する条例 |
平成17年3月31日公布 | 平成18年1月1日施行 |
京都府 | 平成17年12月27日公布 | 平成18年4月1日施行 |
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新潟県 | 平成18年3月30日公布 | 平成18年5月20日施行 |
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神奈川県 | 平成22年3月30日公布 | 平成23年1月1日施行 |
(市町村)
愛媛県今治市 | 今治市食と農のまちづくり条例 | 平成18年9月29日公布 | 平成18年9月29日施行 |
山形県高畠町 | たかはた食と農のまちづくり条例 | 平成20年9月24日公布 | 平成21年4月1日施行 |
である。
北海道、新潟県及び神奈川県条例は遺伝子組換え作物交雑防止に特化した条例であり、京都府条例は「食の安心・安全」条例に関係規定を置き、今治市及び高畠町の条例は「食と農のまちづくり」条例に関係規定を置いている。
いずれの条例も、「遺伝子組換え作物」をカルタヘナ法2条2項に規定する遺伝子組換え生物等であって作物その他の栽培される植物としたうえで、遺伝子組換え作物と一般作物との交雑等を防止するため、遺伝子組換え作物の開放系の栽培(大気、水又は土壌への拡散防止措置を執らない栽培で、カルタヘナ法2条5項に規定する第一種使用等であるもの)に対して規制措置を講ずるものである。
今治市及び高畠町の条例は許可制、神奈川県条例は届出制とし、北海道及び新潟県の条例は一般栽培(試験栽培以外の栽培)については許可制、試験栽培(試験研究機関による研究ほ場における試験研究目的の栽培)については届出制としている。また、京都府条例は栽培者に対して栽培内容の周知義務及び交雑混入防止措置を課している。高畠町条例以外の条例は、罰則規定を置いている。
北海道条例については、自治体法務研究2006年秋号条例制定の事例CASESTUDY「遺伝子組換え作物の栽培等による交雑等を条例で規制」を参照のこと。
〇 なお、上記の条例のほか、千葉県食品等の安全・安心の確保に関する条例及び徳島県食の安全安心推進条例は県は遺伝子組換え作物の交雑防止に関して必要な措置を講ずる旨の規定を置き、新潟県上越市の上越市食料・農業・農村基本条例は市は農業者が遺伝子組換え等の技術を利用する際は食料の安全性等が確保されるように必要な施策を講ずる旨の規定をおいている。