RILG - 一般財団法人 地方自治研究機構


資源ごみ持ち去りを禁止する条例

                                                 (令和3年10月27日更新)

【条例制定の背景と動向】

〇 市区町村が分別収集する古紙、空き缶、空き瓶等の再生可能な資源ごみが集積所などから持ち去られる事案が発生しているが、こうした資源ごみの持ち去りを禁止する条例が制定されている。

  資源ごみ持ち去りの禁止を条例で規定する場合、単独条例を制定して規定するもの(名古屋市「名古屋市集団回収における古紙の持去り防止に関する条例」、愛知県阿久比町「阿久比町資源ごみ等持ち去り防止に関する条例」、北海道北広島市「北広島市資源ごみ等持ち去り防止に関する条例」等)もあるが、ほとんどの場合は「廃棄物の処理及び再利用に関する条例」などの条例において規定されている。 

〇 資源ごみ持ち去りを禁止する条例が制定されてきた背景については、山本耕平「古紙持ち去り禁止条例」(自治体法務研究2005年冬号トピックス44頁以下。以下「山本論文1」という。)及び山本耕平「資源ごみ持ち去り問題と自治体の対応」(自治体法務研究2013年夏号トピックス51頁以下。以下「山本論文2」という。)が詳しい(なお、両論文は「古紙持ち去り禁止条例」及び「資源ごみ持ち去り問題と自治体の対応」に転載されている)。

  山本論文1によると、もともと資源ごみの回収は民間の業者により担われてきたが、民間回収だけでは機能しなくなって、それを補完するために、昭和50年代から、自治体によって資源分別収集が行われるようになった。当初は、資源分別収集の対象は、空き缶や空き瓶であり、古紙は依然として民間回収の対象であった。

  平成の時代に入ると、ごみの減量は喫緊の課題となり、特に紙ごみの減量が優先課題となった。平成2年に日本製紙連合会は古紙利用を55%にまで上げることを掲げた「リサイクル55計画」を打ち出し、また、平成3年には「再生資源の利用の促進に関する法律」が制定され、法律上も古紙利用率目標が設定された。

  他方、平成7年以降、円高による輸入パルプ価格の暴落に伴い、古紙価格が急落し、古紙の民間回収が困難な状況となった。こうした中でごみの減量化を進めるために、自治体は、集団回収(自治会や子供会などの地域団体のリサイクル活動)に対する助成を拡充し、また、自治体自らが古紙に対しても分別収集を行う(行政回収)ようになったが、その結果、古紙の回収量は増加し、古紙価格がますます低落するという状況が続いた。平成11年には、一般廃棄物の処理が東京都から特別区に移管されたが、これと同時に、特別区では行政回収を開始している。

  しかし、低落していた古紙価格は、その後、中国、台湾、タイなどのアジア諸国の経済回復により古紙需要が高まり、平成12年以降、古紙の輸出が拡大し、これに伴い、上昇した。古紙価格の上昇・回復より、「紙ごみ」は再び「有価物」に変身したため、資源ごみの集積所からの古紙等の持ち去りが横行するようになった。持ち去り行為は「『こっそり』ではなく、『堂々』と行われる」ようになり、「組織的かつ大規模なもので、市町村の損失も半端なものではない」(山本論文1 45頁)とされる。

  こうした資源ごみの持ち去りを「窃盗罪」に問うことは難しいとされ、「集積所に出された資源物は廃棄する目的で出されたとみなされ、たとえ財物としての価値があるとしても、これを持ち去る行為がただちに法律に違反するといえるのか、法律の解釈も分かれるところである。」(山本論文2 52頁)とされる。そのため、条例で、集積所に出された資源ごみは自治体に所有権があることを明記し、また、資源ごみの持ち去りを禁止することを規定し、さらには、違反行為に対して罰則を科す自治体が相次ぐようになった。

〇 山本論文1は、早い時期に条例を制定した自治体として、奈良県桜井市、東京都杉並区、世田谷区及び茨城県守谷市をあげている。

  このうち、桜井市の「桜井市廃棄物の処理及び再利用の促進に関する条例」(平成12年4月1日公布)は、集積所に出された資源ごみの所有権が桜井市に帰属することを明記するとともに、市や市が指定した者以外の者が持ち去ることを禁止し、持ち去りに対して罰則(3万円以下の罰金または科料)を科している。自治体に資源ごみの所有権があることを明確にして、持ち去りが窃盗罪の構成要件を充足させるようにしたものであり、このタイプの条例としては、桜井市条例が全国で最初である(山本論文1 47頁)とされる。

  また、世田谷区は「世田谷区清掃・リサイクル条例」を平成15年12月に改正施行したが、所有権帰属の規定は置かず、集積所から資源ごみを持ち去ることを禁止するとともに、区長は持ち去りをした者に対して禁止命令を出すことができるとし、命令違反者に対して罰則(20万円以下の罰金)を科している。世田谷区条例は、資源ごみの所有権を明記して持ち去りを窃盗罪の対象として位置付けるのではなく、条例で持ち去り自体を禁止している。また、持ち去りに対して直接罰則を科す(直罰)のでではなく、禁止命令に違反した者に罰則を科す(間接罰)こととしている。このタイプの条例としては、世田谷区条例が全国で最初であるとされる(藤原嗣雄「リサイクル古紙の持ち去り防止への取組み」(自治体法務NAVI 27号 )23頁」。

〇 世田谷区が条例に基づき命令違反者を告発した事案が、裁判で争われた。世田谷区が、古紙を持ち去った業者13名に対して刑事告発をしたところ、12人が裁判で争った。持ち去りが禁止される場所が特定されて犯罪構成要件として明確であるか否か等が争点となり、第1審の簡易裁判所では無罪判決(東京簡裁平成19年3月26日判決等)が出されたが、控訴審では有罪判決(東京高裁平成19年12月10日判決等)が出され、最高裁判所でも有罪判決(最高裁平成20年7月17日判決)が維持された(事件及び判決の内容については、垣見隆禎「世田谷区清掃・リサイクル条例事件」(自治総研通巻411号・2013年1月号)、田中孝男・都築岳司「資源ごみ回収における実効的な秩序維持確保のために〜資源ごみ持ち去り禁止条例のベンチマーキング」(自治体法務NAVI 27号)を参照のこと)。なお、下関市、杉並区等でも、資源ごみ持ち去り禁止条例の罰則規定を巡り裁判で争われている。

〇 東京都は、平成22年11月に都、区市、古紙回収業者、古紙問屋、製紙メーカー等をメンバーとする「古紙持ち去り問題対策検討協議会」を立ち上げ、平成23年6月に「古紙持ち去り問題根絶に向けた取組」を取りまとめた(東京都HP「古紙持ち去り問題」参照)。

  同報告書は、「平成11年度以降、区部全域で行政による古紙回収が本格化し、多摩地域も含めて、飛躍的に回収量が増加した。その一方で、古紙持ち去り被害は回収量に比例して増加し、また、その行為も組織的かつ巧妙になってきた。」、「持ち去り行為の被害は、行政回収だけでなく住民団体で運営している集団回収にまで及んできており、地域によっては、古紙回収量全体の約3割程度が持ち去られている現状もある。」、「区市町村では、持ち去りをなくすため、罰則付き条例の制定、現場パトロールの実施など、資源回収業界、所轄の警察との連携を強化している。しかし、被害は後を絶たず、条例違反で起訴した事案もあるが、いまだ根絶に至っていない。」との現状認識(1頁)の上、「組織的、広域的で悪質な古紙持ち去り行為等の根絶を目指し、これまでの対策を着実に進めるとともに、新たな対策を構築」する(2頁)としている。

  条例に関しては、「平成20年7月の世田谷区の持ち去り問題に関する最高裁判決を受けて、罰則付きの持ち去り禁止条例を制定する区市町村が増えてきている」としたうえで、「罰則(罰金)付きの持ち去り禁止条例」の制定を拡大する(5頁)としている。条例の規定の仕方等について言及しており、「住民が出した古紙は、区市町村に所有権があることを明確にする」、「所有権が及ぶ範囲を明確にするため、一般廃棄物処理計画等に集積所を明確に位置づける」、「罰則となる違反行為を明記する」、「集団回収からの持ち去り行為も罰則の対象とする」、「罰則付き条例が抑止効果が高い」、「過料は、区市町村で迅速に実施できるが、額が少なく、納付書を出しても払わないことが多い(ポイ捨て条例の例)」、「禁止命令違反者の氏名公表を実施した方が、持ち去り業者に関する関係者間の情報交換につながる」など(5頁)を指摘している。

〇 資源ごみの持ち去りは、行政回収のみならず、集団回収にも及んでいるとされる。そのため、集団回収における持ち去りについても禁止する旨規定する条例もある。前記東京都報告書によれば、平成23年5月末現在、都内の市区町村では、品川区、目黒区、中野区及び練馬区の条例が、集団回収に関しても規定を置いていた。また、横浜市でも、令和25年4月に「横浜市廃棄物等の減量化、資源化及び適正処理等に関する条例」を改正施行し、集団回収における持ち去りについても禁止規定を置いている。

〇 最近においても依然として、資源ごみの持ち去りはなくなっていない状況にある。そのため、条例に、新たに禁止規定を規定し、また、新たに罰則規定を設け、さらには罰則規定等を強化する等の市区町村が見られる。

  例えば、渋谷区は平成28年4月に「渋谷区清掃及びリサイクルに関する条例」を、国立市は平成29年1月に「廃棄物等の発生の抑制、循環的な利用の促進及び適正な処分の確保に関する条例」を、荒川区は平成30年10月に「荒川区廃棄物の処理及び再利用に関する条例」を、それぞれ改正施行して新たに持ち去りの禁止規定を置き、中野区は平成30年1月に「中野区廃棄物の処理及び再利用に関する条例」を改正施行して新たに罰則規定を置き、世田谷区は平成30年4月に「世田谷区清掃・リサイクル条例」を改正施行し罰則強化を行っている。

  また、栃木県上三川町は令和3年8月から「上三川町廃棄物の処理及び清掃に関する条例(改正前)」を改正施行し(上三川町HP「資源物の持ち去り防止対策について」参照)、広島市は令和3年10月1日から「広島市廃棄物の処理及び清掃に関する条例」を改正施行して、それぞれ資源ごみの持ち去りを禁止している。

  さらに、川崎市は令和3年10月12日に「川崎市廃棄物の処理及び再生利用等に関する条例(改正前)」を改正し(「川崎市廃棄物の処理及び再生利用等に関する条例の一部を改正する条例」)、令和4年4月1日から資源ごみの持ち去りを禁止することとした。

 

【制定状況の概観】

〇 環境省は、「平成29年度「資源ごみ」の持ち去りに関する調査報告書」(平成30年3月環境省環境再生・資源循環局廃棄物適正処理推進課)を公表しているが、この報告書には「『資源ごみ』の持ち去りを規制する条例等」の制定状況等が含まれている。

  同報告書によれば、平成29年度、全国1741市区町村を対象にアンケート調査を実施した結果(回答率100%)、395区町村が「『資源ごみ』の持ち去りを規制する条例等」を制定済みと回答している(同報告書5頁)。全国の2割以上の市区町村で制定されていることになる。ただし、「条例等」としており、条例のみならず要綱等も対象に含んでいるものと考えられるが、その内訳等は記載されていない。

  都道府県別の条例等制定状況も一覧表にして示している(6頁)が、都道府県によって条例等の制定状況に差が見られるとしている。埼玉県が7割以上の市町村(63団体中48団体)、東京都が6割以上の市区町村(62団体中41団体)、滋賀県が5割以上の市町村(19団体中10団体)が制定し、神奈川県、愛知県、千葉県、広島県、岐阜県、山口県、茨城県、栃木県及び愛媛県では4割以上の市町村が制定している。他方、秋田県及び島根県では制定している市町村はなく、山形県、高知県、北海道、青森県、長野県、福井県、岩手県、山梨県、長崎県及び沖縄県では制定している市町村は1割未満となっている。

  条例等に罰則規定を設けているのは、208市区町村である(8頁)。条例等を制定している市区町村のうち、5割を上回る団体で罰則規定を置いていることとなる。

  また、条例等に規定されている行政機関による措置の内容は、「命令」が256市区町村、「助言・指導」が97市区町村、「公表」が80市区町村、「勧告」が55市区町村、「調査」が55市区町村等となっている(8頁)。

  なお、以上のほか、罰則規定や措置規定の適用事例、条例等の施行による課題等についても、調査している。

〇 東京都リサイクル事業協会は、東京都内の特別区と市の「持ち去り禁止条例」の施行状況を調査し、公表している。直近のデータは、「都内区市の持ち去り防止取り組み一覧(平成30年9月更新)」である。

  これによると、「持ち去り条例」を制定しているのは、特別区は23区中19区で、市は26市中22市である。

  このうち、罰則規定を置いているものは、19区の条例のうち17区(5万円以下の過料が3区、20万円以下の罰金が16区、50万円以下の罰金が1区。このうち、荒川区と足立区は5万円以下の過料と20万円以下の罰金の双方に関する規定を置き、世田谷区と板橋区は20万円以下の罰金と50万円以下の罰金の双方に関する規定を置いている。)であり、22市の条例のうち16市(すべて、20万円以下の罰金)である。

  また、「持ち去り禁止条例」において、集積所に出された資源ごみの所有権が自治体にある旨規定しているのは4区(江東区、大田区、杉並区、板橋区)及び2市(東村山市、清瀬市)の条例であり、集団回収からの持ち去り行為も禁じる規定を置いているのは5区(品川区、目黒区、中野区、荒川区、練馬区)及び2市(小金井市、国分寺市)の条例である。

〇 東京都リサイクル事業協会は、「関東1都6県の資源持ち去り禁止条例の施行状況について」についても調査し、公表している。平成30年9月時点での東京都、千葉県、埼玉県、神奈川県、茨城県、栃木県及び群馬県の関東1都6県の特別区及び市の「持ち去り禁止条例」の施行状況を調査している。

  これによると、203区市のうち151区市が条例を制定しており、「人口ベース(各自治体の住民数の計)では、全体で85%が条例施行。県別では埼玉県(95%)、茨城県(91%)、東京都(88%)が9割近い。」とし、「都市部や人口密集エリアで持ち去り行為が横行していることがうかがえます。」としている。

  また、排出された資源物の帰属が自治体にあるとするのは全体の約半数で、そのうち特に多いのが埼玉県と茨城県であり、集団回収からの持ち去り行為も禁じる条文を設けている自治体は1割弱で、東京都と栃木県の自治体では2割前後と比較的多い。

  さらに、約半数の自治体が罰金20万円以下を規定しており、そのうち神奈川県と東京都が8割前後と高く、常習者に限り罰金を50万円以下としているのが世田谷区と板橋区である。

〇 いくつかの都道府県では、市区町村の資源ごみ持ち去りを禁止する条例の制定状況を調査し、公表している。例えば、

  埼玉県は、「廃棄物減量化等実態調査」において、「資源ごみの持ち去り禁止条例等」の制定状況も調査している。直近の調査結果は、令和元年度(令和2年3月31日現在)の「2 条例等」の「2.4 資源ごみの持ち去り禁止条例等の制定状況」である。これによると、43市町及び4一部事務組合が「資源ごみの持ち去り禁止条例」を制定している。 

  千葉県は、「一般廃棄物に係る千葉県調査」の直近の調査結果である「令和元年度一般廃棄物に係る千葉県調査」の「一般廃棄物(資源物・集団回収分も含む)の抜き取り行為」において、「抜き取り禁止項目を含む条例」の制定状況も調査をしている。「抜き取り禁止」の対象物は、「一般廃棄物(資源物・集団回収分も含む)」としている。これによると、21市及び1一部事務組合(長生郡市広域市町村圏組合 茂原市、一宮町、睦沢町、長生村、白子町、長柄町及び長南町の1市6町村が構成団体)が「抜き取り禁止項目を含む条例」を制定している。21市の条例中、罰則規定を置いているのは16市及び1一部事務組合の条例である。

  広島県は、「ごみ(一般廃棄物)の状況」において、「資源ごみの持ち去り防止等を目的とした条例等」の制定状況も調査のうえ、公表している。直近の資料は、「令和元年度一般廃棄物の状況」の「資源ごみの持ち去り防止等を目的とした条例等の制定状況(令和2年4月1日現在)」である。これによると、11市町が「資源ごみの持ち去り防止等を目的とした条例」を制定している。11市町の条例中、罰則規定を置いているのは3市町(廿日市市、府中町、熊野町)である。なお、広島市は、令和3年10月1日に「広島市廃棄物の処理及び清掃に関する条例」を改正施行して、新たに資源ごみ持ち去りの禁止規定とそれに伴う罰則規定を置いた。

 

【個別条例の紹介】

〇 「資源ごみ持ち去りを禁止する条例」の具体例について、【条例制定の背景と動向】で記述した条例を中心に、以下、紹介する。

奈良県桜井市

桜井市廃棄物の処理及び再利用の促進

に関する条例

平成12年4月1日公布

平成12年9月29日改正公布

平成12年10月1日施行・改正施行

東京都世田谷区

世田谷区清掃・リサイクル条例

平成15年12月9日改正施行

平成30年4月1日改正施行

茨城県守谷市

守谷市廃棄物の処理及び再利用の促進

に関する条例

平成15年12月18日改正施行

名古屋市

名古屋市集団回収における古紙の持去り

防止に関する条例

平成23年12月8日公布

平成24年7月1日施行

罰則等は平成24年10月1日施行

愛知県阿久比町

阿久比町資源ごみ等持ち去り防止

に関する条例

平成24年3月21日公布

平成24年7月1日施行

横浜市

横浜市廃棄物等の減量化、資源化及び

適正処理等に関する条例

平成25年4月1日改正施行

北海道北広島市

北広島市資源ごみ等持ち去り防止に

関する条例

平成26年2月24日公布

平成26年11月1日施行

東京都渋谷区

渋谷区清掃及びリサイクルに関する条例

平成28年4月1日改正施行

罰則は平成28年7月1日改正施行

東京都国立市

廃棄物等の発生の抑制、循環的な利用の

促進及び適正な処分の確保に関する条例

平成29年1月1日改正施行

東京都中野区

中野区廃棄物の処理及び再利用に

関する条例

平成30年1月1日改正施行

東京都荒川区

荒川区廃棄物の処理及び再利用に

関する条例

平成30年10月1日改正施行

広島市

広島市廃棄物の処理及び清掃に

関する条例

令和3年10月1日改正施行

川崎市

川崎市廃棄物の処理及び再生利用等

に関する条例(改正前)

川崎市廃棄物の処理及び再生利用等

に関する条例の一部を改正する条例

令和4年4月1日改正施行

〇 桜井市条例は、「資源物」を「再利用を目的として市長が行う廃棄物の収集において、分別して収集する物」(2条2項5号)と定義づけ、市民の責務として「市民は、廃棄物の減量及び適正な処理に関し、市の施策に協力しなければならない。」(10条2項)としたうえで、資源物の所有権として「前条第2項の規定により排出された資源物の所有権は、桜井市に帰属する。この場合において、市又は市が指定する者以外の者は、当該資源物を収集し、又は運搬してはならない。」(10条の2)としている。また、違反した者に対して、3万円以下の罰金又は科料を科する(68条1号)としている。

〇 世田谷区条例は、「第35条第1項に規定する一般廃棄物処理計画で定める資源・ごみ集積所(以下「資源・ごみ集積所」という。)に置かれた廃棄物のうち、古紙、ガラスびん、缶等再利用の対象となる物として区長が指定するものについては、区長及び区長が指定する者以外の者は、これらを収集し、又は運搬してはならない。」(31条の2第1項)としたうえで、「区長は、区長が指定する者以外の者が前項の規定に違反して、収集し、又は運搬したときは、その者に対し、これらの行為を行わないよう命ずることができる。」(同条2項)とし、命令違反者には20万円以下の罰金、(80条1号)、常習の命令違反者には50万円以下の罰金(80条の2)を科するとしている。なお、平成30年4月1日の改正施行により、常習者に対する罰則の強化を行う(80条の2)とともに、前記世田谷区条例に係る裁判事案では、持ち去りが禁止される場所が特定されて犯罪構成要件として明確であるか否か等が争点となったことから、31条の2第1項中の「所定の場所」を「資源・ごみ集積所」に改め、犯罪構成要件の明確化を図っている。なお、世田谷区の取組みについては、世田谷区HP「資源の持ち去り対策について」を参照されたい。

〇 守谷市条例は、平成15年12月18日の改正施行により、「第28条第1項の規定により所定の場所に持ち出された資源物の所有権は,守谷市に帰属する。この場合において,市長が指定する事業者以外のものは,当該資源物を収集し,又は運搬してはならない。」(12条の2)との規定が追加されたが、罰則規定は置いていない。

〇 名古屋市、阿久比町及び北広島市の条例は、いずれも 資源ごみ持ち去りの禁止に関して規定する単独条例である。

  名古屋市条例は、集団回収における古紙の持ち去りを禁止し、違反者に対して市長が勧告、命令、公表を行うことができ、命令違反者には5万円以下の過料を科すとしている。名古屋市条例の内容等については名古屋市HP「集団回収における古紙の持去り防止に関する条例について」を、名古屋市の対策については名古屋市HP「古紙の持ち去り防止対策について」を参照されたい。

  阿久比町条例は、集積所に出された資源ごみの所有権が阿久比町に帰属することを明記するとともに、町や町が指定した者以外の者が持ち去ることを禁止し、違反者に対して5万円以下の過料を科している。ほぼ、桜井市条例と同様のスキームとなっている。

  北広島市条例は、資源ごみの持ち去りを禁止し、違反者に対して市長が禁止命令を出すことができ、命令違反者は公表することができるとしている。罰則規定は置いていない。なお、北広島市条例は議員提案により制定されている。また、北広島市の対策については、北広島市HP「北広島市資源ごみ等持ち去り防止制度が始まりました」を参照されたい。

〇 横浜市条例は、25年4月1日の改正施行により、集団回収における持ち去りを禁止することと等を規定した。改正前の条例では、家庭から排出された廃棄物の所有権を明記したうえで、市長が指定する事業者以外の者の持ち去りを禁止する規定を置いていたが、改正後は「横浜市又は市長が指定する事業者以外の者は、一般廃棄物処理計画に従って所定の場所に排出された廃棄物を持ち去ってはならない。」(25条の4第1項)とし、また、集団回収に係る資源ごみについても「資源集団回収登録団体を構成する者又は資源集団回収登録団体が資源物を譲渡する契約をした者以外の者は、資源集団回収登録団体が資源集団回収を実施するために指定した場所に排出された資源物を持ち去ってはならない。」(同条2項)と規定し、さらに同条1項又は2項に違反した者には、市長が中止命令を出し(同条3項)、命令違反者には20万円以下の罰金を科す(51条)としている。なお、「資源物」を「廃棄物のうち紙類、布類、金属類、びん類その他規則で定めるもの」(2条2項3号)、「資源集団回収」を「自治会、町内会等の営利を目的としない団体が、循環型社会の形成に寄与することを目的とし、自主的に資源物の収集又は運搬を行うこと」(同条同項4号)と定義づけている。また、横浜市条例の内容等については、横浜市HP「資源物の持ち去りは禁止されています」を参照されたい。

〇 渋谷区、国立市、荒川区、中野区及び広島市の条例は、いずれも、資源ごみの持ち去り禁止に関連して、平成28年以降改正されている。

  渋谷区条例は、平成28年4月1日(罰則は同年7月1日)に改正施行され、「区長及び区長が指定する者以外の者は、排出場所に存する廃棄物のうち、区規則で定める廃棄物について、これを収集し、又は運搬してはならない。」(40条の2第1項)と規定し、違反者には市長が中止命令を出し(同条2項)、命令違反者には20万円以下の罰金を科す(82条2号)とした。渋谷区の対策については、渋谷区HP「資源の持ち去り対策」を参照されたい。

  国立市条例は、平成29年1月1日に改正施行され、「市長及び市長が指定する者以外の者は、ごみ集積所に置かれた規則で定める資源物を収集し、又は運搬してはならない。」(37条の2第1項)と規定し、違反者には市長が中止命令を出し(同条2項)、命令に従わない場合その旨公表することができる(同条3項)とするとともに、命令違反者には20万円以下の罰金を科す(86条)とした。国立市の対策については、国立市HP「資源物の持ち去り行為を禁止します」を参照されたい。

  中野区条例は、資源ごみの持ち去り禁止の規定を置いていたが、平成30年1月1日に改正施行され、「資源持ち去り行為に一層厳格な対応をしていくため、罰則規定及び氏名等の公表規定を新設」した(中野区HP「資源の持ち去り対策について(禁止命令違反に対する罰則規定の導入)」)。中野区条例は、32条の2で区長等以外の者による家庭廃棄物の収集又は運搬の禁止について、32条の3で集団回収事業者以外の者による集団回収対象廃棄物の収集又は運搬の禁止について、それぞれ定めており、いずれも区長は違反者に中止命令を出し、命令に従わなかった場合、その旨公表できるとしている。また、命令違反者には20万円以下の罰金を科す(76条2号、3号)としている。なお、「集団回収」を「第22条の2第4項に規定する集団回収実践団体による再利用を目的として集団回収対象廃棄物(再利用が可能な家庭廃棄物のうち中野区規則・・・で定める廃棄物をいう。・・・)を回収する活動」(2条2項5号)と定義づけたうえで、資源回収を行う団体の登録、集団回収集積場所の指定・表示等の規定(22条の2〜22条の6)を置いている。

  荒川区条例は、平成30年10月1日に改正施行され、新たに持ち去りの禁止規定等を置いた。すなわち、23条の2で区長等以外の者による行政回収対象物家庭廃棄物の収集又は運搬の禁止について、23条の3で集団回収事業者以外の者による集団回収対象物の収集又は運搬の禁止について、それぞれ定めている。いずれも違反者には、5万円以下の過料を科す(78条1号、2号)とするとともに、区長は中止命令を出し(23条の2第2項、23条の3第2項)、命令に従わなかった場合その旨公表できる(23条の2第3項、23条の3第3項)とし、さらに、命令違反者には20万円以下の罰金を科す(74条2号、3号)としている。直罰の過料とともに、間接罰の罰金を科すこととし、「今回の改正により、持ち去り行為を行った者には、禁止命令を行うとともに過料に科し、禁止命令に違反した者は、罰金を科すと、23区の中でも厳しい罰則内容となっています。」(荒川区資料「パブリックコメント実施結果」2頁)としている。なお、「ごみ集積所」を「家庭廃棄物、第19条第2項の規定により区長が処理する事業系一般廃棄物及び第31条第1項の規定により区長が処理する一般廃棄物とあわせて処理する産業廃棄物の収集を行うために、これらを排出すべき場所として、荒川区規則・・・で定めるところにより設置され、かつ、当該場所を区が台帳又は電磁的記録・・・に記録した場所」(2条2項5号)と定義づけている。また、集団回収を「第57条の2第3項に規定するリサイクル推進団体による再利用を目的として集団回収対象物(再利用が可能な家庭廃棄物のうち、規則で定める廃棄物をいう。・・・)を回収する活動」(2条2項6号)と定義づけたうえで、資源回収を行う団体の登録、集団回収集積場所の指定・表示等の規定(57条の2〜57条の5)を置いている。荒川区の対策、改正条例の内容等については、荒川区HP「資源の持ち去り対策」を参照されたい。 

  広島市条例は、令和3年4月1日に改正施行され、「市及び市から収集または運搬の委託を受けた者以外の者は,一般廃棄物処理実施計画で定めるところにより収集される一般廃棄物であつて再生利用の目的となるもののうち市長が定めるもの(以下「資源物」という。)を収集し,または運搬してはならない。」(8条の2第1項)と規定し、違反者には市長が中止命令を出し(同条2項)、命令違反者には20万円以下の罰金を科す(24条)とした。広島市の対策については、広島市HP「資源ごみの持ち去り行為の禁止について」を参照されたい。

  川崎市条例は、令和4年4月1日に改正施行され、新たに資源ごみの持ち去りが禁止されることとなった。すなわち、23条の2第1項で市長等以外の者による家庭系廃棄物の収集又は運搬を禁止し、同条2項で資源集団回収団体以外の者による資源集団回収に係る紙類、布類及び瓶類の収集又は運搬を禁止し、市長は違反者に中止命令を出すことができる(同条3項)としている。また、命令違反者には20万円以下の罰金を科す(51条)としている。川崎市の対策、改正条例の内容等については川崎市HP「資源物等の持ち去りについて」を、条例改正の考え方等については川崎市HP「「資源物等の持ち去りへの対応方針」を策定しました」を参照されたい。




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