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食品ロスに関する条例

                                                  (令和3年10月7日更新)

【食品ロスについて】

〇 「食品ロス」とは、「本来食べられるにもかかわらず捨てられる食品のこと」(「食品ロスの削減の推進に関する基本的な方針」(令和2年3月31日閣議決定 以下「基本方針」という。)1頁注1)である。

  「我が国においては、まだ食べることができる食品が、生産、製造、販売、消費等の各段階において日常的に廃棄され、大量の食品ロスが発生している。食品ロスの問題については、2015年9月25日の国際連合総会において採択された持続可能な開発のための2030アジェンダにおいて言及されるなど、その削減が国際的にも重要な課題となっており、また、世界には栄養不足の状態にある人々が多数存在する中で、とりわけ、大量の食料を輸入し、食料の多くを輸入に依存している我が国として、真摯に取り組むべき課題である。」(前記基本方針1頁)とされる。

  なお、「持続可能な開発のための2030アジェンダ」は、目標12.3で「2030年までに小売・消費レベルにおける世界全体の一人当たりの食料の廃棄を半減させ、収穫後損失などの生産・サプライチェーンにおける食料の損失を減少させる。」としている。

〇 食品ロスの削減を推進するため、「食品ロスの削減の推進に関する法律」(令和元年法律19号)が、議員立法で制定され、令和元年5月31日に公布、同年10月1日に施行されている。

  同法は、「食品ロスを削減していくためには、国民各層がそれぞれの立場において主体的にこの課題に取り組み、社会全体として対応していくよう、食べ物を無駄にしない意識の醸成とその定着を図っていくことが重要である。また、まだ食べることができる食品については、廃棄することなく、貧困、災害等により必要な食べ物を十分に入手することができない人々に提供することを含め、できるだけ食品として活用するようにしていくことが重要である。」(前文)としたうえで、「食品ロスの削減に関し、国、地方公共団体等の責務等を明らかにするとともに、基本方針の策定その他食品ロスの削減に関する施策の基本となる事項を定めること等により、食品ロスの削減を総合的に推進すること」(1条)を目的としている。

  「食品」を「飲食料品のうち医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律・・・第二条第一項に規定する医薬品、同条第二項に規定する医薬部外品及び同条第九項に規定する再生医療等製品以外のもの」(2条1項)と定義づけ、「食品ロスの削減」を「まだ食べることができる食品が廃棄されないようにするための社会的な取組」(2条2項)と定義づけている。

  国及び地方公共団体は、「食品循環資源の再生利用等の促進に関する法律(平成12年法律116号)その他の関係法律に基づく食品廃棄物の発生の抑制等に関する施策を実施するに当たっては、この法律の趣旨及び内容を踏まえ、食品ロスの削減を適切に推進しなければならない。」(8条)としたうえで、国は基本方針を策定し(11条)、都道府県及び市町村は食品ロス削減推進計画の策定に努める(12、13条)ものとしている。

  同法の内容等については、消費者庁HP「食品ロスの削減の推進に関する法律」を参照されたい。

〇 なお、「食品循環資源の再生利用等の促進に関する法律」は食品リサイクル法とも言われ、「食品循環資源の再生利用及び熱回収並びに食品廃棄物等の発生の抑制及び減量に関し基本的な事項を定めるとともに、食品関連事業者による食品循環資源の再生利用を促進するための措置を講ずることにより、食品に係る資源の有効な利用の確保及び食品に係る廃棄物の排出の抑制を図るとともに、食品の製造等の事業の健全な発展を促進し、もって生活環境の保全及び国民経済の健全な発展に寄与すること」(1条)を目的としている。「食品廃棄物等」を「食品が食用に供された後に、又は食用に供されずに廃棄されたもの」(2条2項1号)及び「食品の製造、加工又は調理の過程において副次的に得られた物品のうち食用に供することができないもの」(同条同項2号)と、「食品循環資源」を「食品廃棄物等のうち有用なもの」(2条3項)と定義づけ、国の基本方針の策定(3条)のほか、食品関連事業者による食品循環資源の再生利用の促進等について、規定している。同法の内容等については、農林水産省HP「食品リサイクル法」を参照されたい。

〇 食品ロスの削減や食品リサイクルの取組み等については、消費者庁HP「[食品ロス削減]食べもののムダをなくそうプロジェクト」、消費者庁資料「食品ロス削減関係参考資料(令和3年3月9日版)」、環境省HP「食品ロスポータルサイトー食べ物を捨てない社会へー」、農林水産省HP「食品ロス・食品リサイクル」を参照されたい。

 

【食品ロスの削減推進を明記する条例】

〇 条例において、食品ロスの削減の推進を明記する条例としては、令和3年9月22日現在、以下のようなものがある。

岩手県奥州市

おうしゅう地産地消わくわく条例

平成30年1月4日公布

平成30年4月1日施行

群馬県渋川市

渋川市もったいないの心を持って食品ロスの削減を推進する条例

令和3年3月12日公布

令和3年4月1日施行

長野県池田町

あづみ野池田いきいき食育条例

令和3年9月22日公布

令和3年9月22日施行

〇 奥州市条例は、地産地消の推進に関する条例であるが、食育の推進に関連して「市は、大切な食料資源を無駄なく有効活用するため、食品廃棄物の再生利用及び食品ロス(食べられる状態であるにもかかわらず廃棄される食品をいう。)の削減等に関する普及活動の推進を図るものとする。」(14条3項)と規定し、食品ロスの削減についても定めている。

〇 渋川市条例は、食品ロスの削減の推進に関する単独条例である。「食品ロスの削減に関し、市、市民等及び事業者の責務等を明らかにするとともに、それぞれがもったいないの心を共有した上で、食品ロスの削減に向けた活動を総合的に推進し、もって現在及び将来の市民の快適な生活環境に寄与すること」(1条)を目的とし、市、市民等及び事業者の責務(3条〜5条)並びに食品ロスの削減の基本方針(6条)について定めている。このうち、市の責務として、「食品ロスの削減に関する必要な施策を総合的に推進しなければならない。」(3条)と規定している。なお、「食品」及び「食品ロスの削減」の定義(2条4、5号)は「食品ロスの削減の推進に関する法律」における定義規定と同一の規定を置き、「もったいないの心」を「食品を食べることなく、無駄にしてしまうのが惜しいと思う気持ち」(2条1号)と定義づけている。

  渋川市の食品ロス削減の取組みについては、渋川市HP「生ごみの減量・食品ロスの削減にご協力ください」を参照されたい。

〇 池田町条例は、食育に関する条例であるが、「食品ロス」を「食べられるのに捨てられてしまう食品のこと」(2条9号)と定義づけたうえで、「町民は、食品ロスの削減に努めます。」(7条4項)、町は「食品ロスを削減するとともに、堆肥化などによる「食」の循環と環境を意識した食育の推進を支援します。」(13条3号)等と規定している。

 

【食べ残しや食品廃棄物の削減等を規定する条例】

〇 「食品ロス」との用語は使用していないものの、食べ残しや食品廃棄物の削減等を規定する条例としては、以下のようなものがある。

熊本県あさぎり町

球磨焼酎は、ガラとチョクで盃(さかずき)を

交わしながら飲み、球磨拳を楽しみ、食べ物は

「ごちそうさん」の感謝の心と「もったいない」

の精神で、胃袋に消費することを推進する条例

平成26年3月17日日公布

平成26年3月17日施行

京都市

京都市廃棄物の減量及び適正処理等に関する条例

平成27年3月23日改正公布

平成27年10月1日改正施行

新潟県村上市

村上市地酒等による乾杯を推進し村上の食文化を

振興する条例

平成29年3月21日公布

平成29年4月1日施行

〇 あさぎり町と村上市の条例は、いわゆる「乾杯条例」であるが、球磨焼酎や地酒等による乾杯とともに、食べ残しや食品廃棄物の削減についても規定している。

  あさぎり町条例は、町の役割として「『食べ残しを減らそう町民運動』を展開し、生ごみの排出減量に必要な処置を講じるよう努めなければならない。」(4条)と規定するとともに、事業者の役割として「飲食店業を営む者は、『食べ残しを減らそう町民運動』に協力し、残さず食べよう!『30・10(さんまる いちまる)運動』を利用者に理解を求め、生ごみの排出減量に努めなければならない。」(5条2項)と規定している。なお、「残さず食べよう!『30・10(さんまる いちまる)運動』」は、「乾杯後30分間は自席で料理を味わい、お開き前の10分間は自席に戻り、再度料理を楽しむこと」(2条6号)と定義づけられている。

  村上市条例は、食品廃棄物の削減として、「事業者及び市民は、食べられるのに捨てられてしまう食品の削減のため、宴席、会食等においては、残さず食べるよう、しっかり食べきるよう努めるものとする。」(8条)と規定している。

〇 京都市は、廃棄物の一層の減量を図るため、「京都市廃棄物の減量及び適正処理等に関する条例」を平成27年10月に改正施行した。2R(ごみを出さない「リデュース」及び再使用する「リユース」)と分別・リサイクルの促進を柱としている。このうち、2Rの促進については、6つの重点分野(@製造,A小売,B食品,C催事(イベント等),D観光等,E大学・共同住宅等)に関し,市民,事業者等の取り組み等を定めている。

  B食品に関しては、食品廃棄物の発生を抑制するため、飲食店業者には、客に対して食事として提供された食品のできる限りの消費を周知すること及び食事の一部の持ち帰りを希望する客からの申出があったときは原則として認めることを、食品取扱事業者には、量り売りなどの販売方法を実施すること,賞味期限や消費期限に達するまで食品の調理や小売を継続すること,残品が多く生じないよう食品の入荷量を定めること等を、市民には,食品取扱事業者から購入した食品等をできる限り消費すること,自らが消費することができる分量を把握したうえ計画的に食品を購入すること等を、努力義務として課している(12条)。

  改正後の条例の愛称を、ごみ半減をめざす「しまつのこころ条例」としているが、改正後の条例の内容等については、京都市HP「ごみ半減をめざす「しまつのこころ条例」について」を参照されたい。




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