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エスカレーターの安全利用に関する条例

                                                  (令和3年9月26日更新)

【埼玉県エスカレーターの安全な利用の促進に関する条例】

〇 埼玉県は、議員提案により、

埼玉県

埼玉県エスカレーターの安全な利用の促進に関する条例

令和3年3月30日公布

令和3年10月1日施行

 を制定した。

〇 本条例は、「エスカレーター(動く歩道を含む。以下同じ。)の安全な利用の促進に関し、県、県民及び関係事業者の責務を明らかにするとともに、エスカレーターの利用及び管理に関し必要な事項を定めることにより、エスカレーターの安全な利用を確保し、もって県民が安心して暮らすことのできる社会の実現に寄与すること」(1条)を目的とする。

〇 利用者の義務として、「エスカレーターを利用する者・・・は、立ち止まった状態でエスカレーターを利用しなければならない。」(5条)と規定し、エスカレーターを立ち止まった状態で利用することを義務づけている。また、エスカレーターの管理者の義務として、「エスカレーターを管理する者・・・は、その利用者に対し、立ち止まった状態でエスカレーターを利用すべきことを周知しなければならない。」(6条)と規定し、立ち止まった状態でのエスカレーターの利用を利用者に周知することを義務づけている。そのうえで、知事は、エスカレーターの管理者に対して、周知に関し指導、助言、勧告することができる(7条)としている。罰則規定は置いていない。

〇 エスカレーターに関しては、自治体の条例でその構造や設置について規定が置かれることがある。例えば、高齢者、障害者等の移動等の円滑化の促進に関する法律10条1項に規定する「移動等円滑化のために必要な道路の構造に関する条例」で定められる「道路移動等円滑化基準」、同法13条1項に規定する「移動等円滑化のために必要な特定公園施設の設置に関する条例」で定められる「都市公園移動等円滑化基準」等において、エスカレーターの構造等が規定されることがある。具体的には、埼玉県の条例では、埼玉県が管理する県道の構造等の基準を定める条例 別表第3 二立体横断施設 イ(3)及びニ 並びに 埼玉県都市公園条例 別表第1 一園路及び広場 ロで、エスカレーターの構造等に関する規定を置いている。

  しかし、エスカレーターの利用に関して規定する条例は、令和3年3月30日現在、確認できず、埼玉県条例は、エスカレーターの利用に関して規定する全国最初の条例となるものと考えられる。

  なお、建築基準法34条1項は「建築物に設ける昇降機は、安全な構造で、かつ、その昇降路の周壁及び開口部は、防火上支障がない構造でなければならない。」としたうえで、建築基準法施行令129条の12でエスカレーターの構造について規定しているが、法律や政令等で、エスカレーターの利用に関して規定するものは確認できない。

〇 本条例の内容等については、埼玉県HP「エスカレーターの安全利用について」を参照されたい。

 

【エスカレーターの安全利用の呼びかけについて】

〇 消費者庁は、同庁HP「エスカレーターでの事故に御注意ください!」において、「平成27年6月26日、消費者安全調査委員会は、『平成21年4月8日に東京都内で発生したエスカレーター事故』に関する事故等原因調査報告書を公表しました。報告書では、事故の発生を防止するためには、利用者自らもリスクを認識し利用することが重要であるとされています。消費者庁及び国民生活センターでは、エスカレーターの利用に際し、消費者の皆様に気を付けていただきたい点(エスカレーターでの歩行を避けるなどの配慮等)について、注意喚起を行っています。」として、エスカレーターでの歩行を避けることも含めて、エスカレーターの安全利用について呼び掛けている。

  また、消費者庁ニュースリリース(平成27年7月22日)「エスカレーターでの事故に御注意ください!」では、「東京消防庁管内において、平成23年から平成25年までの3年間で3865人が、エスカレーターでの事故により救急搬送されています。転んだり落ちたりといった事故から身を守るために、エスカレーターでは手すりにつかまりましょう。また、エスカレーターの安全基準は、ステップ上に立ち止まって利用することを前提にしています。エスカレーター上の歩行は、すり抜けざまに他の利用者と接触するおそれがあります。子供・高齢者・体の不自由な人など様々な人が利用していることを認識し、なるべく歩行を避けるなどの配慮をしましょう。」として、エスカレーターでは手すりにつかまること及び歩行を避けることについて、注意を促している。

〇 日本エレベーター協会も、同協会HP「エスカレーターのご利用について」において、歩行禁止等について呼び掛けている。「エスカレーターの安全基準は、ステップ上に立ち止まって利用することを前提にしています」としたうえで、「慣例となっているエスカレーターの片側あけですが、危険や不便をともなう行為だということが、少しずつ浸透してきました。多数の場所でエスカレーターの歩行禁止の呼びかけを始めています。」としている。

  また、全国の鉄道事業者や日本エレベーター協会等は、エスカレーターの利用に関し、キャンペーンを実施してきている。平成26年から令和元年は、毎年7月から8月に約1か月間「エスカレーター『みんなで手すりにつかまろう』キャンペーン」を実施し(令和元年は「エスカレーター『「みんなで手すりにつかまろう』キャンペーン」)、令和2年は、10月26日から11月30日までの間「エスカレーター『歩かず立ち止まろう』キャンペーン」を実施している。

  なお、日本エレベーター協会「エスカレーターにおける利用者災害の調査報告(第9回)」によると、平成30年1月から令和元年12月までの2年間で、エスカレーターにおける利用者災害の発生件数は1550件で、災害発生場所は交通機関が734件、ショッピングセンターが353件、百貨店が120件などであり、災害発生原因は乗り方不良が805件、酔っ払い153件、キャリーバッグ122件などとなっている。同報告書は、交通機関における事故が多く、また、乗り方不良(手すりを持たず転倒する、踏段上を歩行しつまずき転倒するなど)が原因の事故が多いが、従前に比べて減少傾向にあり、これまでのキャンぺーン等の効果が推測されるとし、引き続きキャンぺーン等の取り組みを進めることが有効であるとしている。




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