RILG - 一般財団法人 地方自治研究機構


県産木材等の利用促進に関する条例

                                                  (令和3年10月21日更新)

【都道府県の条例】

〇 地域で生産された木材等の利用促進を主たる目的とする条例が、近年、都道府県を中心に、主として議員提案により、相次いで制定されている。「県産材利用促進条例」、「県産木材利用促進条例」等とする条例である。

  令和3年10月15日現在、21県で制定されている。以下の条例である。

徳島県

徳島県県産材利用促進条例

平成24年12月21日公布

平成25年4月1日施行

茨城県

茨城県県産木材利用促進条例

平成26年3月26日公布

平成26年4月1日施行

秋田県

秋田県木材利用促進条例

平成28年3月15日公布

平成28年4月1日施行

富山県

富山県県産材利用促進条例

平成28年9月30日公布

平成28年9月30日施行

岡山県

岡山県県産材利用促進条例

平成29年3月21日公布

平成29年4月1日施行

高知県

高知県県産木材の供給及び利用の促進に関する条例

平成29年3月24日公布

平成29年4月1日施行

兵庫県

兵庫県県産木材の利用促進に関する条例

平成29年6月12日公布

平成29年6月12日施行

福井県

みんなでつかおう「ふくいの木」促進条例

平成29年7月14日公布

平成29年7月14日施行

栃木県

栃木県県産木材利用促進条例

平成29年10月18日公布

平成29年10月18日施行

香川県

香川県県産木材の供給及び利用の促進に関する条例

平成29年12月22日公布

平成30年4月1日施行

石川県

石川県県産材利用促進条例

平成30年6月25日公布

平成30年6月25日施行

広島県

広島県県産木材利用促進条例

平成30年10月9日公布

平成30年10月9日施行

群馬県

林業県ぐんま県産木材利用促進条例

平成30年12月25日公布

平成31年4月1日施行

(一部 令和2年4月1日施行)

愛媛県

愛媛県木材の供給及び利用の促進に関する条例

平成30年12月25日公布

平成30年12月25日施行

新潟県

新潟県県産木材の供給及び利用の推進に関する条例

平成30年12月27日公布

平成30年12月27日施行

岩手県

岩手県県産木材等利用促進条例

平成31年3月26日公布

平成31年4月1日施行

山梨県

山梨県県産木材利用促進条例

平成31年3月29日公布

平成31年3月29日施行

奈良県

奈良県県産材の安定供給及び利用の促進に関する条例

令和2年3月30日公布

令和2年4月1日施行

三重県

三重の木づかい条例

令和3年3月23日公布

令和3年4月1日施行

(一部 令和3年10月1日施行)

宮崎県

宮崎県木材利用促進条例

令和3年3月24日公布

令和3年3月24日施行

愛知県

愛知県木材利用促進条例

令和3年10月15日公布

令和4年4月1日施行

〇 最初に制定されたのは、平成24年の徳島県条例である。その後、平成26年に茨城県条例、平成28年に秋田県及び富山県の条例が制定され、平成29年には岡山県、高知県、兵庫県、福井県、栃木県及び香川県の条例、平成30年に石川県、広島県、群馬県、愛媛県及び新潟県の条例、平成31年に岩手県及び山梨県の条例、令和2年に奈良県条例、令和3年に三重県、宮崎県及び愛知県の条例が制定されている。

  徳島県及び奈良県の条例は知事提案によるものであるが、他の19条例は議員提案によるものである。

〇 こうした条例を制定する背景・理由については、すべての条例が前文で述べている。例えば、徳島県条例は、「温暖な気候の下、県土の約八割を山地が占め、その山々を縫うように河川が流れる豊かな自然の中で、私たちは、森林から木材、清らかな水等の多くの恩恵を受けながら生活している。しかしながら、戦後に植林された森林の多くが木材として利用可能な段階を迎えたにもかかわらず、長期にわたる木材価格の低迷が林業の衰退及び森林管理の停滞を招き、森林の有する多面的機能の低下が懸念される状況にある。」としたうえで、「県民等においては、地球温暖化の進行に伴い、森林及び林業の重要性に対する意識が高まってきており、森林の有する多面的機能への理解が深まりつつある。」とし、「ここに、私たちは、本県の有する豊富で貴重な森林という資源の重要性を認識し、そこから生産される県産材を積極的に利用することで、豊かな自然に囲まれた郷土を維持し、森林がもたらす多くの恩恵を将来の県民に継承していくことを決意し、この条例を制定する。」としている。

〇 木材利用の促進に関しては、林野庁は、平成17年度から、木材利用を拡大していくための国民運動として「木づかい運動」を展開している。同運動の意義や実施状況等については林野庁HP「木づかい運動でウッド・チェンジ!」を、我が国における木材利用の動向については令和2年度森林・林業白書「第3章第2節 木材利用の動向」を参照されたい。

  また、平成22年に、公共建築物等における木材の利用の促進に関する法律(平成22年5月26日公布、同年10月1日施行 以下「公共建築物等木材利用促進法」という。)が制定された。同法は、「木造率が低く(平成20年度7.5%床面積ベース)今後の需要が期待できる公共建築物にターゲットを絞って、国が率先して木材利用に取り組むとともに、地方公共団体や民間事業者にも国の方針に即して主体的な取組を促し、住宅など一般建築物への波及効果を含め、木材全体の需要を拡大すること」(林野庁HP「公共建築物等における木材の利用の促進に関する法律」)をねらいとしており、「公共建築物における木材の利用の促進に関する基本方針」について、国には策定を義務づけ(7条)、都道府県と市町村は策定することができる(8条、9条)としている。同基本方針は、令和2年12月末時点で全都道府県と1617市町村で策定済みである(令和2年度森林・林業白書183頁)。

  なお、同法は、公共建築物等における木材の利用の促進に関する法律の一部を改正する法律(令和3年6月18日公布、同年10月1日施行)により、法律の対象が公共建築物のみならず民間の建築物にも拡大され、法律名も「脱炭素社会の実現に資するための建築物等における木材の利用の促進に関する法律」と改められることとなった。

〇 徳島県条例をはじめ各条例は、平成22年の公共建築物等木材利用促進法施行後に制定されているが、木材利用の促進の対象を公共建築物に限定していない。それ以外の分野(公共建築物以外の建築物、建築物以外の工作物、製品、エネルギー等)も含め、幅広い分野における木材利用の促進を図ることを目的としている。

〇 利用促進の対象となる木材は、「県内で生産された木材」(徳島県、茨城県、富山県、岡山県、高知県、兵庫県、福井県、栃木県、香川県、石川県、愛媛県、新潟県、山梨県、奈良県及び三重県の条例)または「県内で生産又は加工された木材」(広島県、群馬県、岩手県、宮崎県及び愛知県の条例)としている。なお、秋田県条例は、県産木材の利用の促進に関する規定(10条)を置いているものの、条例の対象とする木材は県産木材に限定していない。

〇 各条例は、県産木材等の利用促進に関する基本理念、県の責務、市町村の責務(役割、協力、支援等)、県民等の役割(協力)、林業事業者・木材産業事業者・建築関係事業者等の役割等について、規定している。また、ほとんどの条例は、県産木材等の利用促進に関する計画や指針の策定の規定を置くとともに、県産木材等の利用促進、安定供給、流通加工体制の整備、普及啓発等に関する基本的施策についても規定している。

〇 奈良県条例に関しては、同条例の附則で奈良県森林づくり並びに林業及び木材産業振興条例(平成22年3月26日公布、同年4月1日施行)が廃止され、また同時に奈良県森林環境の維持向上により森林と人との恒久的な共生を図る条例(令和2年3月30日公布、同年2年4月1日等施行)が制定されている。

〇 なお、三重県議会の「三重県産材利用促進に関する条例検討会」は、三重県条例制定のために20回にわたり会議を開催し、調査検討を行ったが、各会議の議事概要及び提出資料はホームページで公開している。公開されている資料のうち、第3回会議資料3「他県における県産材利用促進等に関する条例について」、第3回会議参考資料4、5-1、5-2「制定状況一覧及び構成比較」、第12回会議資料4「県産材(木材)利用促進に関する先進条例制定県に対する書面調査結果取りまとめ」、第14回会議参考資料「県産材等利用促進を主目的とする条例及び森林づくりに関する条例制定状況一覧(令和2年11月1日現在)」等は、令和2年以前に制定された各条例の内容、制定経緯等について整理しているので、参照されたい。

 

【市町村の条例】

〇 市町村においても、地域で生産された木材等の利用促進を主たる目的とする条例が、制定されている。令和3年6月3日現在、施行されていることを確認できるのは、以下の条例である。

高知県梼原町

檮原町町産材利用促進条例

平成14年3月25日公布

平成14年4月1日施行

高知県四万十町

四万十町町産材利用促進条例

平成22年3月16日公布

平成22年4月1日施行

熊本県山江村

山江村地域材活用促進支援事業に関する条例

平成24年3月16日公布

平成24年4月1日施行

宮崎県日南市

飫肥杉材等の地域材利用の促進及び豊かな森づくりに

関する条例

平成25年2月27日公布

平成25年4月1日施行

香川県まんのう町

まんのう町地域木材利用促進条例

平成28年3月17日公布

平成28年4月1日施行

宮崎県日之影町

日之影町産木材等利用促進条例

令和元年6月14日公布

令和元年6月14日施行

福島県いわき市

いわき市豊かな森づくり・木づかい条例

令和3年3月30日公布

令和3年4月1日施行

〇 梼原町、四万十町、山江村及び日之影町の条例は、市町村又は地域において生産される木材を使用して住宅等を建築した場合に、当該住宅等を建築した者に対して補助金を交付することを内容としている。各条例とも、一定以上の量の町産材等を使用することなどの条件を付している。

  なお、梼原町は、平成12年に檮原町森林づくり基本条例を制定し、「町は、森林の有する経済的機能の高度発揮を図るため、木材その他の林産物が町内で加工され、利用されることを促進する施策を講ずる」(8条)等としており、こうした規定を踏まえ、平成14年に本条例を制定している。

〇 日南市及びいわき市の条例は、豊かな森づくりの推進と併せて、地域で生産された木材等の利用促進を図ることを目的としている。日南市条例は、議員提案により制定されており、基本理念、市及び森林組合の責務、森林所有者、市民並び林業及び木材産業等事業者の役割等を規定している。いわき市条例は、令和3年3月に制定されており、基本理念、市の責務、森林所有者、森林組合及び林業事業者、木材産業事業者並びに建築関係事業者の役割、市民及び事業者の協力等のほか、市による方針の策定、人材の確保・育成、普及啓発等を規定している。日南市条例に基づく施策の取組状況については日南市HP「飫肥杉材等の利用に関する施策成果報告書について」を、いわき市条例の内容等についてはいわき市HP「いわき市豊かな森づくり・木づかい条例【令和3年4月1日施行】」を参照されたい。

〇 日之影町条例は、議員提案により令和元年6月に制定されており、基本理念、町の責務、森林所有者、林業事業者及び木材産業事業者、建築関係事業者並びに町民等の役割等について、規定している。

 

【森林づくり条例や地球温暖化防止条例等に木材利用の促進に関する規定を置いているもの】

〇 地域で生産された木材等の利用促進を主たる目的とする条例以外の条例で、県産木材等の利用促進を規定するものも少なくない。

〇 森林づくり条例、森づくり条例など森林や林業に関する施策の推進に関する条例が制定されているが、こうした条例の多くは、何らかの形で県産木材等の利用促進を規定している。この状況については「森林づくりに関する条例」で述べているので、参照されたい。

〇 また、いわゆる地球温暖化対策条例でも、特に都道府県の条例の多くは、森林が温室効果ガスの吸収作用を有することを踏まえ、森林の保全や整備とともに、県産木材等の利用促進に関する規定を置いている。具体的には、北海道、秋田県、群馬県、埼玉県、神奈川県、山梨県、岐阜県、愛知県、滋賀県、京都府、和歌山県、鳥取県、徳島県及び熊本県の条例である(個々の条例については「脱炭素社会を目指す条例と地球温暖化対策条例」を参照されたい。)。例えば、和歌山県地球温暖化対策条例は、8章「森林の保全及び整備等に関する地球温暖化対策」として、「事業者、県民及び環境保全活動団体は、連携し、及び協働して、森林の適切な保全及び整備並びに紀州材その他の森林資源の利用の推進に努めるものとする。」(22条1項)及び「県は、森林の持つ温室効果ガスの吸収作用及び固定作用に関する事業者及び県民の理解を深めるため、情報提供その他の措置を講ずるよう努めるものとする。」(同条2項)と規定している。

  地球温暖化対策条例のうち、市町村の条例でも、京都市地球温暖化対策条例は「特定建築主は,特定建築物又はその敷地内における土地に定着する工作物に別に定める量以上の地域産木材・・・を利用しなければならない。」(53条)、相模原市地球温暖化対策推進条例は「市は、事業者、市民及び民間団体と連携し、及び協働して、市内で生産された木材その他の森林資源の利用の推進に努めるものとする。」(25条2項)、白山市地球温暖化対策条例は「事業者及び市民は、連携し、及び協働して、森林の適切な整備及び保全並びに森林資源の利用の推進に努めなければならない。」(20条2項)と規定している。




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