森林づくりに関する条例
(令和7年4月19日更新)
【はじめに】
〇 森林づくり条例、森づくり条例などの条例が、全国の都道府県や市町村で制定されている。森林や林業に関する施策の推進について、基本理念を定め、自治体、森林所有者、林業事業者等の責務、住民の役割等を明らかにし、基本的施策を規定している。
〇 都道府県では平成14年3月に北海道森林づくり条例が全国最初に制定され、市町村では平成12年9月に高知県梼原町の檮原町森林づくり基本条例が全国最初に制定された。
北海道条例は、「私たちは、改めて森林がもたらしてきた計り知れない恵みを思い起こし、その機能を持続的に発揮させるため、林業活動等の活発化や山村地域の活性化を図りながら、協働して、北海道にふさわしい豊かな生態系をはぐくむ森林を守り、育て、将来の世代に引き継がなければならない。」としたうえで、「百年先を見据えた森林づくりを進めていくため、道民の総意としてこの条例を制定する。」とし、梼原町条例は、「私たちは、・・・森林との関係や山の民としての心を忘れ、木材を始めとする林産物によって森林から受ける経済的利益を第一義として森林の価値を考えてきた。今、私たちは、山の民としての自覚を新たに、先人が築いてきた森林との共生関係を見直し、森林の有する多様な機能を重視した森林づくりを行うことにより、かけがえのない森林を健全な状態で後世に継承していかなければならない。」としたうえで、「ここに、檮原町が目指す森林づくりの理念と基本方向を明らかにし、将来にわたって豊かな森林の維持とより豊かで住み良い町づくりを実現するため、この条例を制定する。」としている(いずれも、条例前文から抜粋)。
その後、平成10年代後半から平成20年代にかけて、条例制定の動きが全国に広がっていった。
〇 北海道や梼原町が条例を制定した時期は、森林・林業基本法が制定された時期と重なる。同法は、平成13年7月に林業基本法(昭和39年制定)が改正されたもの(改正法は平成13年7月11日公布・施行)である。「森林に対する国民の要請の変化や林業をめぐる厳しい情勢に対応すべく、ほぼ40年ぶりに林業基本法を抜本的に見直し、国家社会における森林・林業の位置づけを明確にするとともに、新たな理念の下に、講ずべき施策の基本方向を明らかにしたもの」(農林水産大臣談話「新たな森林・林業行政の推進について(平成13年6月29日)」とされる。森林及び林業に関する施策についての基本理念を「森林の有する多面的機能の発揮」(2条)及び「林業の持続的かつ健全な発展」(3条)とし、国に森林・林業基本計画を策定を義務づけ(11条)、推進すべき基本的な施策について規定している(12条~26条)。「地方公共団体は、基本理念にのっとり、森林及び林業に関し、国との適切な役割分担を踏まえて、その地方公共団体の区域の自然的経済的社会的諸条件に応じた施策を策定し、及び実施する責務を有する。」(6条)と規定している。
〇 北海道や梼原町の条例をはじめとする条例は、あくまでも自主条例であり、それぞれの理念と判断により制定されているものであるが、その理念、基本的考え方は森林・林業基本法と通じるものがあるといえる。
〇 以下、森林づくり条例、森づくり条例などの条例について、都道府県の条例と市町村の条例に分けて、紹介する。
【都道府県の条例】
〇 都道府県の条例で、令和7年4月1日時点で制定が確認できるものとして、以下のようなものがある。
北海道 | 平成14年3月29日公布 | 平成14年3月29日施行 (一部 平成14年7月1日施行) |
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滋賀県 | 平成16年3月29日公布 | 平成16年4月1日施行 |
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長野県 | 平成16年10月14日公布 | 平成16年10月14日施行 (一部 平成17年1月1日施行) |
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三重県 | 平成17年10月21日公布 | 平成17年10月21日施行 (一部 平成18年4月1日施行) |
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静岡県 | 平成17年12月26日公布 | 平成18年4月1日施行 |
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宮崎県 | 平成17年12月27日公布 | 平成18年4月1日施行 |
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岐阜県 | 平成18年3月23日公布 | 平成18年5月21日施行 |
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富山県 | 平成18年6月28日公布 | 平成18年6月28日施行 (一部 平成19年4月1日施行) |
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福井県 | 平成20年12月25日公布 | 平成21年4月1日施行 |
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和歌山県 | 平成23年12月22日公布 | 平成24年4月1日施行 |
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徳島県 | 平成25年12月19日公布 | 平成26年4月1日施行 (一部 平成26年10月1日施行) |
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山形県 | 平成28年12月27日公布 | 平成28年12月27日施行 |
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鹿児島県 | 平成29年12月26日公布 | 平成29年12月26日施行 (一部 平成30年4月1日施行) |
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宮城県 | 平成30年3月23日公布 | 平成30年4月1日施行 |
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奈良県 | 共生を図る条例 |
令和2年3月30日公布 | 令和2年4月1日施行 (一部 令和2年10月1日施行) |
茨城県 | 令和4年11月21日公布 | 令和4年11月21日施行 |
〇 最初に制定されたのは、平成14年の北海道条例である。その後、平成16年から19年までに滋賀県、長野県、三重県、静岡県、宮崎県、岐阜県及び富山県の条例、平成20年から平成24年までに福井県及び和歌山県の条例、平成25年から平成29年までに徳島県、山形県及び鹿児島県の条例、平成30年に宮城県条例、令和2年に奈良県条例、令和4年に茨城県条例が制定されている。
このうち、三重県、富山県、福井県、鹿児島県、宮城県及び茨城県の条例は議員提案により制定され、それ以外の条例は知事提案により制定されている。
なお、奈良県については、平成22年に奈良県森林づくり並びに林業及び木材産業振興条例(平成22年3月26日公布、同年4月1日施行)が制定されが、同条例は、奈良県県産材の安定供給及び利用の促進に関する条例(令和2年3月30日公布、同年4月1日施行)及び奈良県条例(奈良県森林環境の維持向上により森林と人との恒久的な共生を図る条例)の制定にあわせて、令和2年に廃止されている。
〇 各条例は、概ね、前文を有し、森林づくりに関する基本理念を定め、自治体、森林所有者、林業事業者等の責務、住民の役割等を明らかにし、森林づくりに関する基本的施策を規定している。また、多くの条例は知事に基本計画や指針の策定を義務づけている。
例えば、北海道条例は、森林の多面的機能を「国土の保全、水源のかん養、自然環境の保全、地球温暖化の防止、林産物の供給等の森林の有する多面にわたる機能」と、森林づくりを「森林の多面的機能を持続的に発揮させるため、森林を守り、又は育てること」と定義づけたうえで(2条1号、2号)、「森林づくりは、現在及び将来の世代にわたって森林の恵みを享受できるよう、長期的な展望を持ち地域の特性に応じて、推進されなければならない。」、「森林づくりは、林業及び木材産業等の健全な発展を通じて、たゆみなく推進されなければならない。」及び「森林づくりは、道民、森林所有者、事業者及び道の適切な役割分担による協働により推進されなければならない。」の3点を基本理念として規定している(3条)。また、知事は、森林づくりに関する基本的な計画を策定する(9条)とともに道民、森林所有者及び事業者に対する指針を定め(10条)、さらに、森林の整備の推進及び保全の確保、林業の健全な発展、木材産業等の健全な発展、森林資源の循環利用の推進、道民の理解の促進、青少年の学習の機会の確保、道民等の自発的な活動の促進、木育の推進、山村地域における就業機会の確保、森林づくりに関する技術の向上等に関する施策を推進する(11条~23条)ものとしている。
〇 以上の条例のうち、長野県条例は、基本理念、基本方針、県等の責務・役割、森づくり指針の策定及び基本的施策のほか、森林整備保全重点地域及び里山整備利用地域に関する規定を置いている。森林整備保全重点地域については、知事が、重点的な森林の整備及び保全を図る必要がある地域を指定し、森林整備保全計画の策定、事業の実施、森林管理権移転等のあっせん、開発行為の届出の義務づけ・指導等を行う(19条~25条)こととし、里山整備利用地域については、知事が、地域住民等が自発的な活動をしようとする里山を認定し、里山利用協定(里山の所有者と整備・利用希望団体等の間の協定)の締結等に関する市町村の支援、里山の整備・利用活動に対する支援等を行う(26条~28条)ことととしている。
徳島県条例は、森林の有する水資源及び県土の保全機能の維持増進に関して基本理念を定め、県等の責務を明らかにするとともに、基本的施策を規定しているが、それとともに、森林管理重点地域に関する規定を置き、同区域内における土地売買等の契約の届出を義務づけ、一定の開発行為を規制している(14条~31条)。「水源地域保全条例」としての性格も有している。
山形県条例は、森林資源を活用した地域の活性化を図ることを目的としている。基本理念を定め、県等の責務・役割を明らかにするとともに、林業及び木材産業の振興並びに森林資源の活用の促進に関する基本的施策を規定している(11条~22条)。
奈良県条例は、令和2年3月に制定されているが、「奈良県は平成27年4月にスイス・ベルン州と、平成28年11月にスイスのリース林業教育センターと友好提携を締結し、スイスの森林環境管理制度を学ぶことで、スイスのフォレスター制度などをモデルとした奈良らしい新たな森林環境管理制度の導入が必要であると判断しました。そのため、奈良県の森林環境管理制度の枠組と方向性を定める『奈良県森林環境の維持向上により森林と人との恒久的な共生を図る条例』を制定することとしました。」(奈良県HP「奈良県森林環境の維持向上により森林と人との恒久的な共生を図る条例」)としている。森林資源生産機能、防災機能、生物多様性保全機能及びレクリエーション機能を森林の四機能とし、森林環境の維持向上を「適地適木(標高、地形、地質、気候等の諸条件を考慮して樹種を選定することをいう。)による造林及び適時かつ適切な方法による保育、伐採等を行うことにより、森林の四機能を高度に発揮させること」と定義づけた(2条1号、4号)うえで、森林環境の維持向上に関する基本理念、県等の責務、指針の策定、基本的施策等を規定している。森林環境の維持向上に関する県の専門的職員として「奈良県フォレスター」を置く(18条)としている。
岐阜県は、岐阜県条例とは別に、岐阜県地球環境の保全のための森林づくり条例(平成20年7月15日公布・施行)を制定している。同条例は、地球温暖化の防止に寄与するために、森林整備を主たる業とする者以外の事業者による森林づくり活動を推進することを目的とし、事業者が森林整備計画に基づき森林づくり活動を実施した場合に、この活動により生じた二酸化炭素吸収量を事業者の二酸化炭素吸収量として認定することができる(10条)ことを主たる内容としている。岐阜県地球温暖化防止及び気候変動適応基本条例と関連する条例とみることもできる。
茨城県条例は、森林や樹木が地球温暖化や災害の防止などの多面にわたる公益的機能を有することに鑑み、その持続的な発揮や活用を図るための施策を定め、県土を強靭化し、県民の暮らしを守り、潤いのある県民生活を実現することを目的として、令和4年11月に議員提案に制定された。
〇 以上の条例のうち、北海道、滋賀県、長野県、三重県、静岡県、宮崎県、岐阜県、和歌山県、山形県、鹿児島県及び宮城県の条例は、県産木材等の利用促進に関する規定を置いている。例えば、北海道条例は「道内における地域材(道内の森林において産出された木材であって、道内で加工されたものをいう・・・)の利用を促進するために必要な措置を講ずるものとする。」(13条2項)としている。県産木材等の利用促進に関しては「県産木材等の利用促進に関する条例」を参照されたい。
〇 宮崎県は、「宮崎県水と緑の森林づくり条例」とは別に、令和6年7月に、
宮崎県 | 令和6年7月2日公布 | 令和6年7月2日施行 |
を制定した。
本条例は、「県では、再造林率日本一を目標とする「グリーン成長プロジェクト」を立ち上げ、抜本的な再造林対策に取り組むこととしています。このプロジェクトを実効性のあるものにするためには、再造林の推進は、森林資源の循環利用はもとより、水源の涵養、県土の保全等森林の公益的機能の維持にもつながる重要な課題であることを認識し、県民一丸となって取り組むことが必要不可欠です。このような理念を共有し、再造林を推進していくための基本的施策を明らかにすることにより、森林の多面的機能を発揮させ、県民の安全・安心で豊かな暮らしを実現することを目的に条例を制定しました。」(宮崎県HP「「都道府県初の再造林に関する条例「宮崎県再造林推進条例」が本日施行されました」)とされる。基本理念(3条)を定め、県の責務(4条)、市町村、森林所有者、森林組合、事業者及び県民の役割(5条~9条)を明らかにしたうえで、基本施策として、再造林の推進に向けた気運の醸成、持続可能な森林の利用に向けた効率化の推進、循環型林業に不可欠な県産材需要の拡大、再造林を支える担い手及び事業者等の確保、再造林を推進するための地域体制の整備(10条~14条)を規定している。
本条例の内容等については、宮崎県HP「「都道府県初の再造林に関する条例「宮崎県再造林推進条例」が本日施行されました」及び自治体法務研究2024年冬号CLOSEUP先進・ユニーク条例「宮崎県再造林推進条例」を参照されたい。
【市町村の条例】
〇 市町村条例で、令和7年4月1日時点で施行されていることを確認できるものとして、以下のようなものがある。
高知県梼原町 | 平成12年9月19日公布 | 平成12年9月19日施行 |
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岡山県西粟倉村 | 平成13年6月25日公布 | 平成13年9月1日施行 |
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石川県金沢市 | 平成15年3月24日公布 | 平成15年4月1日施行 |
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北海道下川町 | 平成16年4月1日公布 | 平成16年4月1日施行 |
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北海道釧路市 | 平成17年10月11日公布 | 平成17年10月11日施行 |
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神奈川県湯河原町 | 平成18年12月1日公布 | 平成19年4月1日施行 |
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山形県真室川町 | 平成19年3月26日公布 | 平成19年3月26日施行 |
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愛知県豊田市 | 平成19年3月30日公布 | 平成19年4月1日施行 |
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山形県南陽市 | 平成20年3月11日公布 | 平成20年3月11日施行 |
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岐阜県関市 | 平成20年6月30日公布 | 平成20年6月30日施行 |
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愛媛県久万高原町 | 平成20年9月11日公布 | 平成20年9月11日施行 |
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愛知県設楽町 | 平成21年3月2日公布 | 平成21年4月1日施行 |
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北海道弟子屈町 | 平成21年3月10日公布 | 平成21年3月10日施行 |
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愛知県豊根村 | 平成21年3月13日公布 | 平成21年4月1日施行 |
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愛知県東栄町 | 平成21年3月25日公布 | 平成21年4月1日施行 |
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愛知県新城市 | 平成21年3月25日公布 | 平成21年4月1日施行 |
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長崎県対馬市 | 平成23年12月22日公布 | 平成24年4月1日施行 |
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北海道中川町 | 平成24年3月23日公布 | 平成24年4月1日施行 |
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岡山県津山市 | 平成24年9月25日公布 | 平成24年9月25日施行 |
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高知県大豊町 | 平成26年3月18日公布 | 平成26年4月1日施行 |
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兵庫県丹波篠山市 | 平成26年12月22日公布 | 平成27年4月1日施行 |
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徳島県那賀町 | 平成27年3月23日公布 | 平成27年4月1日施行 |
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長崎県松浦市 | 平成27年6月29日公布 | 平成27年6月29日施行 |
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岐阜県揖斐川町 | 平成27年9月16日公布 | 平成27年10月11日施行 |
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岡山県鏡野町 | 平成28年3月24日公布 | 平成28年4月1日施行 |
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島根県津和野町 | 平成28年6月22日公布 | 平成28年6月22日施行 |
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鳥取県若桜町 | 平成31年4月1日公布 | 平成31年4月1日施行 |
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徳島県三好市 | 令和元年6月24日公布 | 令和元年6月24日施行 |
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岩手県一関市 | 令和3年9月9日公布 | 令和3年9月9日施行 |
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兵庫県佐用町 | 令和3年12月20日公布 | 令和4年4月1日施行 |
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栃木県矢板市 | 令和5年9月21日公布 | 令和5年10月1日施行 |
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岡山県美作市 | 令和6年10月3日公布 | 令和6年10月3日施行 |
〇 最初に制定されたのは、平成12年の檮原町である。その後、平成13年に西粟倉村条例、平成16年から19年までに金沢市、下川町、釧路市、湯河原町、真室川町及び豊田市の条例、平成20年から平成24年までに南陽市、関市、久万高原町、設楽町、弟子屈町、豊根村、東栄町、新城市、対馬市、中川町及び津山市の条例、平成25年から平成29年までに大豊町、丹波篠山市、那賀町、松浦市、揖斐川町、鏡野町及び津和野町の条例、平成31年に若桜町条例、令和元年に三好市条例、令和3年に一関市条例、令和4年に佐用町条例、令和5年に矢板市条例、令和6年に美作市条例が制定されている。
〇 各条例は、概ね、森林づくりに関する基本理念を定め、自治体、森林所有者、林業事業者等の責務、住民の役割等を明らかにし、森林づくりに関する基本的施策を規定している。また、多くの条例は市町村長に基本的な計画(指針、構想)の策定を義務づけている。また、少なからぬ条例は、森林づくり会議、森づくり会議等の会議の設置に関する規定を置いている。
例えば、梼原町条例は、森林の有する機能の高度発揮及び林業の持続的な発展を基本理念とし(2条、3条)、町は森林の有する経済的機能の高度発揮、森林の有する多様な機能の確保、森林生態系の保全、適切な森林管理、林業の基盤整備並びに人材の育成及び確保に関する施策を推進する(8条~13条)とともに、森林づくり会議を設置する(14条)ものとしている。梼原町の取組みについては、「森林の総合的な活用と資源循環の取り組み/高知県梼原町(ゆすはらちょう)」を参照されたい。
また、三好市条例は、「森づくりは、森林が市民共有の財産であることを認識し、将来にわたって森林のもたらす恵みを享受することができるよう、長期的な展望を持ち、地域の特性に応じて推進しなければならない。」及び「森づくりは、森林の有する多面的機能についての理解を深め、市、森林組合、森林所有者、市民等及び事業者の適切な役割分担並びに相互の連携及び協力のもとに、継続して推進しなければならない。」の2点を基本理念とし(3条)、市長は基本計画を策定し(10条)、市は森林の適正な整備及び保全、林業及び木材関連産業の振興、三好市産材の需要拡大、協働による森づくり並びに森林環境教育及び木育の推進に関する措置を講ずる(11条~15条)とするとともに、森づくり委員会を設置する(16条)ものとしている。
〇 南陽市及び対馬市の条例は、基金設置の規定を置いている。南陽市条例は、森づくりに関する施策を推進し、将来にわたり緑豊かで健全な森林の整備に資するため、「南陽市森づくり基金」を設置し(12条)、対馬市条例は、森林づくりに関する各種の施策等を推進し、連環する森・川・里・海が一体的に行う環境再生のための取り組みに資するため、「対馬市森・川・里・海環境保全再生基金」を設置する(18条1項)としている。
豊田市条例などいくつかの条例は、立入調査や採取等の禁止に関する規定を置いている(豊田市条例は22条、23条)。
〇 愛知県の新城市、設楽町、東栄町及び豊根村は、同一時期に、同一内容の条例を制定している。「新城北設楽地域4市町村(新城市、設楽町、東栄町、豊根村)の共同の取り組みとして、『森づくり基本条例』「を制定しました。」(新城市HP「新城市森づくり基本条例」)としている。
〇 津和野町条例は、少しユニークである。前文に相当する部分を「津和野町森林憲章」と題し、美しい森林の具体的な姿を、う(うまい森林)、つ(つながる森林)、く(くらしよい森林)、し(四季のある森林)、い(いきいきとした森林)、も(もうかる森林)、り(利用される森林)に分けて、図解している。
〇 釧路市及び中川町の条例は、林業振興を主たる目的とし、補助金の交付等について規定している。
〇 以上の条例のうち、檮原町、金沢市、豊田市、関市、久万高原町、設楽町、弟子屈町、豊根村、東栄町、新城市、対馬市、津山市、丹波篠山市、那賀町、揖斐川町、鏡野町、津和野町、若桜町、三好市、矢板市及び美作市の条例は、地域で生産された木材等の利用促進に関する規定を置いている。例えば、梼原町条例は「町は、森林の有する経済的機能の高度発揮を図るため、木材その他の林産物が町内で加工され、利用されることを促進する施策を講ずるとともに、木材その他の林産物の生産に関する森林の整備の促進に必要な施策を講ずるものとする。」(8条)としている。地域で生産された木材等の利用促進に関しては「県産木材等の利用促進に関する条例」を参照されたい。