青少年健全育成条例
(令和7年3月29日更新)
【青少年健全育成条例】
〇 本稿は、青少年健全育成条例を取り上げる。青少年の健全育成を目的として、青少年に対する有害行為等を規制することを主たる内容とする条例である。都道府県が、青少年健全育成条例、青少年保護育成条例、青少年愛護条例、青少年のための環境浄化条例等の名称で、多岐にわたる規制内容を包括的・総合的に規定する条例を制定している。ただし、都道府県によっては、一部の規制内容のみを個別的に規定する条例を制定している場合があり、また、一部の市町村では、都道府県の条例とは別に、青少年の健全育成を目的とする理念条例や一部の規制内容のみを個別的に規定する条例を制定している場合がある。
〇 これらの条例の歴史は古い。昭和23年に茨城県の水戸市、古河市及び下館町(現筑西市)で「不良化防止条例」又は「公安条例」という名称で青少年の単独深夜外出を禁止する内容の条例が制定され、その後、茨城県、栃木県等の市町村で同様の条例が制定された。
都道府県では、昭和25年に岡山県が有害図書の販売等を禁止する内容の「図書による青少年の保護育成に関する条例」を制定した。次いで、昭和26年には「和歌山県少年保護条例」、昭和27年には「香川県青少年保護育成条例」が制定されたが、これらの条例は、夜間外出の制限、有害興行の観覧の禁止、有害図書等の販売・貸付の禁止、有害器具類の販売禁止、有害広告物の制限、青少年に対する淫行・わいせつ行為の禁止等の規定を置いていた。
それぞれの都道府県において、包括的・総合的な規制内容を有する条例が最初に制定された年は、以下の通りである(平成19年版青少年白書 参考資料「17有害環境問題等対応の推移」参照)。昭和56年の京都府を最後に、長野県を除く46団体で制定されている。なお、長野県は、平成28年に性行為・わいせつ行為の禁止及び深夜外出の制限を規制する「長野県子どもを性被害から守るための条例」を制定している。
昭和26年 | 和歌山県 |
昭和27年 | 香川県 |
昭和30年 | 北海道、神奈川県 |
昭和31年 | 大阪府、福岡県 |
昭和32年 | 山口県、長崎県 |
昭和33年 | 高知県、兵庫県 |
昭和34年 | 石川県 |
昭和35年 | 宮城県、埼玉県、岐阜県 |
昭和36年 | 静岡県、愛知県、三重県、鹿児島県、群馬県 |
昭和37年 | 茨城県、新潟県 |
昭和39年 | 東京都、千葉県、山梨県、福井県、滋賀県 |
昭和40年 | 島根県、徳島県 |
昭和41年 | 大分県 |
昭和42年 | 岡山県、愛媛県 |
昭和46年 | 熊本県 |
昭和47年 | 沖縄県 |
昭和51年 | 奈良県、栃木県 |
昭和52年 | 富山県、佐賀県、宮崎県 |
昭和53年 | 秋田県、福島県 |
昭和54年 | 青森県、岩手県、山形県、広島県 |
昭和55年 | 鳥取県 |
昭和56年 | 京都府 |
〇 昭和56年までに長野県を除く46都道府県が包括的・総合的な規制内容を有する条例を制定したが、当然ながら、都道府県によって、具体的な規制内容は異なる。また、青少年を取り巻く環境は時代の流れとともに大きく変化しており、それぞれの条例は、その時々の変化に対応するため、数多くの改正、改廃を積み重ねてきている。例えば、現行する条例では最も古い条例である昭和27年制定の「香川県青少年保護育成条例」は、令和4年4月の最終改正施行までに20回の改正を経ている。また、昭和25年に「図書による青少年の保護育成に関する条例」を制定した岡山県は、同条例を昭和42年に廃止し同時に包括的・総合的な規制内容を有する条例である「岡山県青少年保護育成条例」を制定した。しかし、この新条例も昭和52年に廃止され同時に同じ名称の「岡山県青少年保護育成条例」が新たに制定され、新々条例は平成6年10月に最終改正施行されているが、それまでに19回の改正を経ており、平成18年改正では条例名は「岡山県青少年健全育成条例」に改称されている。
〇 こうした青少年の健全育成に関する条例は、昭和の戦後の時代においては、特に有害図書等の規制を巡って、議論が多く見られた。
昭和30年頃に婦人団体を中心に悪書追放運動が展開され、こうしたことが昭和30年以降の各県の条例制定につながっているが、他方で、表現の自由等の憲法上の議論がなされ、条例による規制に反対の意見も強く、条例制定に慎重な姿勢を示す都道府県も少なくなかった。昭和31年に制定された「大阪府青少年保護条例」では有害図書等の規制については一切規定されていない(大阪府は、昭和52年制定の「大阪府青少年健全育成条例」を平成3年に改正して、有害図書類指定制度を導入)。
昭和38年頃から悪書追放運動が再燃し、そうしたことも踏まえて、平成39年には東京都が青少年の健全育成の環境整備や優良図書の推奨等を強調しつつ有害図書等の規制を含む「東京都青少年の健全な育成に関する条例」を制定した。その後、条例を制定をする県がさらに増加していった。
昭和50年代には自動販売機にポルノ雑誌やビニール本等の有害図書等が収納・販売されるようになり、昭和51年に制定された「奈良県青少年の健全育成に関する条例」では、有害図書等の自動販売機による販売規制の規定が初めて盛り込まれた。これまで条例を制定していない府県でも、自動販売機規制を含む内容の条例が相次いで制定されるようになり、46都道府県としては最後に昭和56年に京都府が「青少年の健全な育成に関する条例」を制定している。福岡県や愛媛県は、昭和52年に、それまでに制定した条例とは別に有害図書等の自動販売機による販売のみを規制する単独条例を制定している。
市町村においては、都道府県による条例制定が進むにつれて、条例制定の動きは下火になっていたが、昭和52、53年頃から、千葉県の習志野市、鎌ヶ谷市、野田市、神奈川県の川崎市、大分県日田市、長野県長野市、埼玉県行田市、大阪府守口市等で、有害図書等の販売規制等を内容とする条例制定の動きが見られるようになった。
〇 規制の対象となる有害図書等の内容は、幅広い。書籍、雑誌、図画(絵画)、写真、映画フイルム、スライドフィルム等は早い段階から規制の対象となっていた。その後、昭和50年代半ば以降ビデオデッキが普及してレンタルビデオショップが増加し、また、平成元年には残虐ビデオ問題等も発生し、ビデオテープやビデオディスクも規制の対象となった(東京都は平成4年に条例改正)。その後、CD-ROM等パソコンソフト(東京都は平成9年に条例改正)、テレビゲーム(平成17年に神奈川県がゲームソフトを有害指定)等が規制対象に追加されている。
〇 平成の時代に入り、青少年を取り巻く風俗営業等の様々な動きやインターネットの普及等に伴い、新たな規制項目が加わってきた。その主なものを時系列的に見てみると、
平成7年 | テレホンクラブ等の営業の規制 |
「岐阜県青少年保護育成条例(当時)」の改正による |
平成9年 | デートクラブの営業の規制 |
「東京都テレホンクラブ等営業及びデートクラブ営業 等の規制に関する条例」の制定による |
平成10年代前半 | インターネット上の有害情報に係る規制 |
「鳥取県青少年健全育成条例」の改正(平成13年) 等による |
平成16年 | 着用済み下着の買受け等の規制 |
「東京都青少年の健全な育成に関する条例」の改正による |
平成17年 | 児童ポルノ所持の規制 |
奈良県「子どもを犯罪の被害から守る条例」の制定による |
平成20年 | 出会い系喫茶の営業の規制 |
京都府「青少年の健全な育成に関する条例」及び 「神奈川県青少年保護育成条例」の改正による |
平成27年 | JKビジネス営業の規制 |
「愛知県青少年保護育成条例」の改正による |
平成29年 | 自画撮り児童ポルノ提供の規制 |
兵庫県「青少年愛護条例」及び 「東京都青少年の健全な育成に関する条例」の改正による |
などとなる。なお、それぞれの項目の右欄には、当該事項について全国で最初に規制措置を規定したと考えられる都道府県の条例名を記載している。
〇 青少年の健全育成に関する条例については、少し古くなるが、奥平康弘編著「青少年保護条例」(学陽書房 昭和56年)や清水英夫・秋吉健次編「青少年条例ー自由と規制の争点ー」(三省堂 平成4年)が詳しい。また、安倍哲夫「新版青少年保護法(補訂版)」(尚学社 平成26年)は青少年保護育成条例の展開や有害図書、淫行等に関する条例の動向等について記述している。本稿は、これらを参考にしている。
【都道府県の条例】
(包括的、総合的な規制内容を有する条例)
〇 都道府県の条例のうち、包括的、総合的な規制内容を有する条例で令和7年3月25日時点で施行されているものは、以下の46条例である。なお、各条例の公布日は、現行条例の公布日である。
北海道 | 昭和30年4月2日公布 | 令和6年4月1日最終改正施行 |
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青森県 | 昭和54年12月24日公布 | 平成28年6月23日最終改正施行 |
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岩手県 | 昭和54年12月21日公布 | 令和6年4月1日最終改正施行 |
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宮城県 | 昭和35年3月31日公布 | 令和5年4月1日最終改正施行 |
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秋田県 | 昭和53年10月5日公布 | 令和元年10月15日最終改正施行 |
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山形県 | 昭和54年3月26日公布 | 令和6年12月12日最終改正施行 |
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福島県 | 昭和53年3月30日公布 | 令和6年4月1日最終改正施行 |
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茨城県 | 平成21年10月29日公布 | 令和6年4月1日最終改正施行 |
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栃木県 | 平成18年10月13日公布 | 令和5年4月1日最終改正施行 |
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群馬県 | 平成19年3月16日公布 | 令和5年10月20日最終改正施行 |
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埼玉県 | 昭和58年3月9日公布 | 令和4年4月1日最終改正施行 |
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千葉県 | 昭和39年11月1日公布 | 令和4年4月1日最終改正施行 |
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東京都 | 昭和39年8月1日公布 | 平成30年2月1日最終改正施行 |
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神奈川県 | 昭和30年1月4日公布 | 令和5年4月1日最終改正施行 |
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新潟県 | 昭和52年3月31日公布 | 令和5年4月1日最終改正施行 |
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富山県 | 昭和52年3月25日公布 | 令和6年4月1日最終改正施行 |
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石川県 | 平成19年3月22日公布 | 令和6年4月1日最終改正施行 |
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福井県 | 昭和39年4月1日公布 | 令和6年4月1日最終改正施行 |
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山梨県 | 昭和39年4月2日公布 | 令和4年4月1日最終改正施行 |
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岐阜県 | 昭和35年11月10日公布 | 令和6年4月1日最終改正施行 |
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静岡県 | 昭和36年10月4日公布 | 令和5年4月1日最終改正施行 |
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愛知県 | 昭和36年3月28日公布 | 平成30年4月1日最終改正施行 |
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三重県 | 昭和46年12月24日公布 | 令和6年12月12日最終改正施行 |
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滋賀県 | 昭和52年12月23日公布 |
令和6年4月20日最終改正施行 |
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京都府 | 昭和56年1月9日公布 | 令和6年4月1日最終改正施行 |
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大阪府 | 昭和59年3月28日公布 | 令和4年4月1日最終改正施行 |
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兵庫県 | 昭和38年3月31日公布 | 令和6年4月1日最終改正施行 |
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奈良県 | 昭和51年12月22日公布 | 令和4年4月1日最終改正施行 |
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和歌山県 | 昭和53年10月19日公布 | 令和4年4月1日最終改正施行 |
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鳥取県 | 昭和55年12月25日公布 | 令和7年4月1日最終改正施行 |
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島根県 | 昭和40年3月26日公布 | 令和4年4月1日最終改正施行 |
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岡山県 | 昭和52年6月16日公布 | 令和6年10月1日最終改正施行 |
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広島県 | 昭和54年3月13日公布 |
令和7年1月1日最終改正施行 |
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山口県 | 昭和32年12月13日公布 | 令和6年4月1日最終改正施行 |
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徳島県 | 昭和40年7月19日公布 | 令和6年4月1日最終改正施行 |
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香川県 | 昭和27年8月10日公布 | 令和4年4月1日最終改正施行 |
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愛媛県 | 昭和42年10月6日公布 | 令和4年4月1日最終改正施行 |
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高知県 | 昭和52年12月22日公布 | 令和4年4月1日最終改正施行 |
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福岡県 | 平成7年12月25日公布 | 令和2年3月31日最終改正施行 |
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佐賀県 | 昭和52年7月29日公布 | 令和4年4月1日最終改正施行 |
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長崎県 | 昭和53年4月1日公布 | 令和4年10月14日最終改正施行 |
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熊本県 | 昭和46年6月8日公布 | 令和4年4月1日最終改正施行 |
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大分県 | 昭和41年4月15日公布 | 令和5年4月1日最終改正施行 |
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宮崎県 | 昭和52年7月28日公布 | 令和2年7月1日最終改正施行 |
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鹿児島県 | 昭和36年12月22日公布 | 令和6年4月1日最終改正施行 |
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沖縄県 | 昭和47年5月15日公布 | 令和元年7月1日最終改正施行 |
〇 包括的、総合的な規制内容を有する46条例は、その条例名に、「健全育成」又は「健全な育成」を含むものは33条例、「保護育成」を含むものは8条例、「愛護」を含むものは2条例、「環境浄化」を含むものは3条例(うち、2条例は「健全育成」又は「保護育成」も含む)、「良好な環境整備」を含むものは1条例となっている。
〇 また、長崎県及び熊本県の条例を除く44条例は「青少年」を対象とし、長崎県及び熊本県条例は「少年」を対象にしている。青少年の定義は、「18歳未満の者」、「6歳以上18歳未満の者」、「小学校就学の始期から18歳に達するまでの者」とするものに分かれ、長崎県条例の少年は「18歳未満の者(他の法令により成年者と同一の能力を有する者を除く。)をいう。」とし、熊本条例の少年は「小学校就学の始期から18歳に達するまでの者」としている。
(個別的な規制内容を有する条例)
〇 また、個別的な規制内容を有する条例で令和6年12月1日時点で施行されているものは、以下の条例である。
岩手県 | 平成13年12月21日公布 | 令和4年4月1日最終改正施行 |
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宮城県 | 平成13年12月25日公布 | 令和4年4月1日最終改正施行 |
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平成27年7月10日公布 | 平成28年1月1日施行 |
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秋田県 | 平成13年12月21日公布 | 平成28年6月23日最終改正施行 |
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福島県 | 平成8年10月18日公布 | 令和5年10月10日最終改正施行 |
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茨城県 | 平成13年12月25日公布 | 平成26年9月30日最終改正施行 |
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栃木県 | 平成25年3月25日公布 | 平成26年10月15日最終改正施行 |
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東京都 | 平成9年6月13日公布 | 令和5年7月13日最終改正施行 |
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平成29年3月31日公布 | 令和5年7月13日最終改正施行 |
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神奈川県 | 平成18年12月28日公布 | 令和4年4月1日最終改正施行 |
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石川県 | 平成8年3月22日公布 | 平成14年4月1日最終改正施行 |
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山梨県 | 平成8年12月26日公布 | 令和5年7月13日最終改正施行 |
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長野県 | 平成28年7月7日公布 | 令和5年10月16日最終改正施行 |
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平成11年3月15日公布 | 平成28年6月23日最終改正施行 |
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滋賀県 | 平成13年12月27日公布 | 平成28年6月23日最終改正施行 |
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大阪府 | 平成14年3月29日公布 | 平成14年4月1日施行 |
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平成24年3月28日公布 | 令和6年3月27日最終改正施行 |
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奈良県 | 平成18年3月28日公布 | 令和4年4月1日最終改正施行 |
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平成17年7月1日公布 | 平成27年7月15日最終改正施行 |
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昭和59年12月22日公布 | 令和5年4月1日最終改正施行 |
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岡山県 | 平成23年3月16日公布 | 令和4年4月1日最終改正施行 |
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徳島県 | 平成27年3月16日公布 | 平成27年4月1日施行 |
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高知県 | 平成8年10月18日公布 | 令和4年4月1日最終改正施行 |
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長崎県 | 平成13年12月21日公布 | 令和5年10月13日最終改正施行 |
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沖縄県 | 平成13年12月26日公布 | 平成28年6月23日最終改正施行 |
〇 個別的な規制内容を有する条例については、テレホンクラブ等の営業規制に関する条例は14条例(岩手県、宮城県、秋田県、福島県、茨城県、石川県、山梨県、長野県、滋賀県、大阪府、奈良県、高知県、長崎県、沖縄県)、インターネットの適切な利用に関する条例は2条例(岡山県、徳島県)、デートクラブ等の営業規制に関する条例は1条例(東京都)、JKビジネスの規制に関する条例は1条例(東京都)、子どもの性犯罪や犯罪からの保護に関する条例は5条例(宮城県、栃木県、長野県、大阪府、奈良県)、禁煙飲酒防止に関する条例は1条例(神奈川県)、少年補導に関する条例は1条例(奈良県)となっている。
(規制事項)
〇 こども家庭庁は、都道府県の青少年条例等の制定状況をこども家庭庁HP「都道府県の青少年育成条例」において示すとともに、都道府県の青少年の保護育成に関する条例の規制事項一覧を掲載している(こども家庭庁府資料「青少年の育成に関する都道府県条例規制事項一覧(令和4年1月1日現在)」)。
この規制事項一覧では、規制事項を次のように整理している。
有害図書等の制限 |
有害文書図画の販売等制限、有害興行等の観覧の制限、有害広告物に対する措置命令、 有害がん具(刃物類)の販売制限、有害がん具(刃物類以外)の販売制限 |
自販機の制限 |
有害文書図画等の販売制限、有害玩具の販売制限、衛生用具の販売制限 |
健全育成を阻害 する行為の規制 |
みだらな性行為およびわいせつ行為の制限、場所の提供または周旋の禁止、深夜外出等の制限、 古物等買受および質受等制限、有害薬品類の販売等制限 |
深夜における興行場等への立入制限、金銭の貸付等の制限、射幸心誘発行為の禁止(有害遊技制限)、 危険物所持の禁止、飲食店等への立入禁止 |
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風俗営業所内への立入禁止、喫煙および飲酒の禁止、有害施設等への入場規制、いれずみの規制、 非行誘発助長行為の防止 |
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インターネット 上の有害情報に 係る規制等 |
携帯電話事業者、インターネット接続事業者、インターネット接続機器製造・販売事業者、 インターネット接続端末を公衆の利用に供する事業者、サーバー管理者(情報発信者含む)の フィルタリング提供、フィルタリング等の情報提供・説明、青少年の有害情報閲覧防止等 保護者の携帯電話フィルタリング解除に係る理由書提出、青少年の有害情報閲覧防止等 |
その他 |
モーテル設置営業の規制、学校周辺の旅館等に対する勧告、旅館業を営む者の届出、 優良興行および図書の推奨、優良環境の推奨、興行者等の自主規制 |
これら項目以外にも、「着用済み下着の買受け等の規制」、「テレホンクラブ利用カードの販売等の規制」、「自画撮り児童ポルノ等の提供の規制」、「いわゆるJKビジネス営業の規制」等についても、条例によっては規定されている。
〇 各都道府県条例の規定内容を調査分析したものとしては、古いものでは、横田耕一「青少年保護条例の内容の検討」(前記奥平編著書27頁以下)、秋吉健次「青少年条例の制定状況とその構成」(前記清水・秋吉編書137頁以下)があるが、最近のものについては、前記内閣府資料程度しか確認できない。以下、比較的最近の動きを中心に、条例の規制事項のいくつかを概観する。
(有害図書等の規制)
〇 有害図書類等の指定方法には次のような方法がある。都道府県によって指定の方法は異なるが、ほとんどの都道府県は、個別指定のみならず、緊急指定、包括指定、団体指定の方式を採用している。なお、東京都は、個別指定方式のみを採用している。
個別指定 |
各自治体の青少年に係る審議会で有害図書類等を1点ずつ検討し、その結果に従って指定する方法 |
緊急指定 |
緊急的な対応が必要な有害図書類等があった場合、審議会への諮問を省略して個別指定・包括指定・団体指定の方法 を採らず、首長等が個別に指定する方法 |
包括指定 |
有害図書類等のうち、青少年に有害な内容が基準以上の分量に達しているものについて、審議会で審査することなく 自動的に有害図書類とみなし指定する方法 |
団体指定 |
条例により指定された業界団体が定めた審査基準等により選定された出版物を有害図書類とみなし指定する方法 業界団体には、コンピュータソフトウエア倫理機構、特定非営利活動法人コンピュータエンターテインメント レーディング機構、日本コンテンツ審査センター、ビジュアルソフト・コンテンツ産業協同組合 日本ビデオ倫理協会、 (一社)映像倫理機構、コンテンツ・ソフト協同組合、(一社)日本映像倫理審査機構等がある |
〇 包括指定方式により有害図書に指定された図書を自動販売機に収納したことにより、岐阜県青少年保護育成条例違反のかどで起訴された事案に関して、最高裁は「有害図書が一般に思慮分別の未熟な青少年の性に関する価値観に悪い影響を及ぼし、性的な逸脱行為や残虐な行為を容認する風潮の助長につながるものであって、青少年の健全な育成に有害であることは、既に社会共通の認識になっているといってよい。さらに、自動販売機による有害図書の販売は、売手と対面しないため心理的に購入が容易であること、昼夜を問わず購入ができること、収納された有害図書が街頭にさらされているため購入意欲を刺激し易いことなどの点において、書店等における販売よりもその弊害が一段と大きいといわざるをえない。しかも、自動販売機業者において、前記審議会の意見聴取を経て有害図書としての指定がされるまでの間に当該図書の販売を済ませることが可能であり、このような脱法的行為に有効に対処するためには、本条例6条2項による指定方式(包括指定方式:筆者注)も必要性があり、かつ、合理的であるというべきである。」とし、有害図書の自動販売機への収納の禁止は、青少年の健全な育成を阻害する有害環境を浄化するための規制に伴う必要やむをえない制約であるから、憲法21条1項に違反するものではないと判示した(平成元年9月19日最高裁第3小法廷判決)。
〇 多くの条例では、有害図書類の陳列場所についても規制している。例えば、「神奈川県青少年保護育成条例」は「図書類の販売又は貸付けを営む者は、有害図書類を陳列するときは、規則で定めるところにより、当該有害図書類を他の図書類と区分し、屋内の容易に監視することができる場所に置かなければならない。」(11条1項 平成8年追加)とするとともに、「図書類の販売又は貸付けを営む者は、有害図書類その他の青少年の健全な育成を阻害するおそれがある図書類を陳列するときは、当該図書類の表紙がその者の店舗の外部から見えない場所に置くように努めなければならない。」(12条 平成17年追加)としている(神奈川県HP「有害図書類・団体表示図書類について」参照)。
(淫行(みだらな性行為)又はわいせつな行為の禁止)
〇淫行(みだらな性行為)又はわいせつ行為の禁止については、多くの都道府県の条例は「何人も、青少年に対し、淫行(いん行)又はわいせつ行為をしてはならない。」又は「何人も、青少年に対して、みだらな性行為又はわいせつな行為をしてはならない。」と規定している。
〇 一部の都道府県の条例(千葉県、神奈川県、長野県、三重県、京都府、大阪府、山口県)は、より具体的な規定を置いている。例えば、「千葉県青少年健全育成条例」は「何人も、青少年に対し、威迫し、欺き、又は困惑させる等青少年の心身の未成熟に乗じた不当な手段によるほか単に自己の性的欲望を満足させるための対象として扱つているとしか認められない性行為又はわいせつな行為をしてはならない。」(20条1項)と規定している。
〇 「東京都青少年の健全な育成に関する条例」は、長年淫行等の禁止に関する規定は置いていなかったが、平成17年改正により「何人も、青少年とみだらな性交又は性交類似行為を行つてはならない。」(18条の6)との規定を置いた。なお、平成9年改正により青少年に対する売春行為禁止の規定(「何人も、青少年に対して、金品、職務、役務その他財産上の利益を対象として供与し、又は供与することを約束して性交又は性交類似行為を行つてはならない。」(旧18条の2第1項)等)を置いたが、平成11年に「児童買春、児童ポルノに係る行為等の規制及び処罰並びに児童の保護等に関する法律」が制定されて、売春行為禁止に関する規定は失効した(同法附則2条)。
長野県は、平成28年に「長野県子どもを性被害から守るための条例」を制定して、「何人も、子どもに対し、威迫し、欺き若しくは困惑させ、又はその困惑に乗じて、性行為又はわいせつな行為を行ってはならない。」(17条1項)等の規定を置いた。長野県を最後に、47都道府県はすべて条例で淫行(みだらな性行為)又はわいせつ行為の禁止に関する規定を置いたこととなる。
「大阪府青少年健全育成条例」は、禁止される行為を「専ら性的欲望を満足させる目的で、青少年を威迫し、欺き、又は困惑させて当該青少年の対し性行為又はわいせつな行為を行うこと。」(旧39条2号)と規定していたが、令和2年の条例改正により「青少年に対し、威迫し、欺き、若しくは困惑させることその他の当該青少年の未成熟に乗じた不当な手段を用い、又は当該青少年を単に自己の性的欲望を満足させるための対象として性行為又はわいせつな行為を行うこと。」(新39条2号)と改正している。
〇 16歳の少女が18歳未満であることを知りながら同女と性交渉をもったことが福岡県青少年保護育成条例に規定する「淫行」に該当するとして起訴された事案に関して、最高裁は「『淫行』とは、広く青少年に対する性行為一般をいうものと解すべきでなく、青少年を誘惑し、威迫し、欺罔し又は困惑させる等その心身の未成熟に乗じた不当な手段により行う性交又は性交類似行為のほか、青少年を単に自己の性的欲望を満足させるための対象として扱つているとしか認められないような性交又は性交類似行為をいうものと解するのが相当である。」として、条例の「淫行」の規定は憲法31条の規定に違反するものとはいえないと判示した(昭和60年10月23日最高裁大法廷判決)。千葉県、大阪府等の条例は、この最高裁判決を踏まえた規定としている。
(深夜外出の制限及び深夜における興行場等への立入制限)
〇 青少年の深夜外出の制限は、47都道府県の条例で規定している。条例によって具体の規定の仕方は異なるが、概ね、保護者に対して正当な利用がある場合を除き青少年を深夜に外出させてはならない旨努力義務を置くとともに、保護者以外の者に対して保護者の委託、同意等を得ないで青少年を深夜に連れ出し、同伴し、又はとどめてはならないとしている。後者については、罰則規定を置いている。なお、長野県は、平成28年制定の「長野県子どもを性被害から守るための条例」により、深夜外出の制限を規定した(18条)。また、「新潟県青少年健全育成条例」は、令和元年の改正により、後者の規定を置いている(22条の2)。
〇 何時から何時までを深夜とするかについては、多くの条例は「午後11時から翌日の午前4時まで」としているが、「11時から5時まで」(福島県、栃木県、三重県、滋賀県、兵庫県、岡山県、山口県、熊本県)、「11時から6時まで」(愛知県、広島県)、「10時から4時まで」(和歌山県、高知県、沖縄県)、「11時から日の出まで」(青森県、秋田県、鳥取県)とするものもある。なお、大阪府は16歳以上18歳未満の者については「午後11時から翌日の午前4時まで」としているが、16歳未満の者については「午後8時から翌日の午前4時まで」としている。
〇 また、秋田県及び長野県を除く45都道府県の条例では、深夜に青少年をカラオケボックス、インターネットカフェ、まんが喫茶、興行場等に立ち入らせることを禁止している。この場合、保護者同伴であっても禁止される。各都道府県条例における「深夜」の概念は、それぞれの条例の「深夜外出の制限」の規定と同一である。また、45都道府県の条例のうち、「青森県青少年健全育成条例」は努力義務としている(19条)が、それ以外の条例は禁止規定とし、違反行為に対して罰則を科している。
(入れ墨(いれずみ)の禁止)
〇 青森県、秋田県、千葉県、東京都、新潟県、長野県、大阪府、長崎県の除く39都道府県は、条例で、青少年に対して入れ墨(いれずみ)を施してはならない旨規定している。「正当な理由がある場合を除き」とするものも少なくないが、「正当な理由がある場合」とは、「医療や美容の場合など客観的に青少年の健全な育成を阻害しないと明白に判断することができる場合」(愛媛県資料「愛媛県青少年保護条例の解説」50頁)としている。「群馬県青少年健全育成条例」は「入れ墨又はこれに類するもの」(36条)を禁止の対象としている。
〇 いずれの条例も罰則規定を置いている。また、「入れ墨(いれずみ)」の定義規定を置いていないが、「タトゥー」は含まれる(神奈川県資料「青少年保護育成条例のしおり」参照)とされる。なお、「暴力団員による不当な行為の防止等に関する法律」は「指定暴力団員は、少年に対して入れ墨を施し、少年に対して入れ墨を受けることを強要し、若しくは勧誘し、又は資金の提供、施術のあっせんその他の行為により少年が入れ墨を受けることを補助してはならない。」(24条)と規定している。
(テレホンクラブ等の営業の規制・テレホンクラブ等の利用カードの販売の規制)
〇 平成5年頃から、テレホンクラブやツーショットダイヤル等を女子中高生が利用し、援助交際や売春を誘発、助長し、性被害の温床となっているとの問題が発生した。そのため、岐阜県は平成7年に「岐阜県青少年保護育成条例(当時)」を改正し、テレホンクラブ等の営業の規制に関する規定を置いた。その後、平成9年までにほとんどの都道府県で既存の条例を改正し、又は新たな単独条例を制定して、テレホンクラブ等の営業の規制を行った。長野県も平成11年に「テレホンクラブ等営業の規制に関する条例」を制定している。
〇 「風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律」(以下「風営法」という。)は、平成13年6月の改正により、テレホンクラブやツーショットダイヤル等を、「店舗型電話異性紹介営業」又は「無店舗型電話異性紹介営業」として風俗関連特殊営業として位置づけし、都道府県公安委員会への届け出を義務づけ、18歳未満の者を会話の当事者とすることを禁止するなど、規制の対象とすることとした(31条の12~31条の21)。その結果、これまで各都道府県の条例で規定されていた事項の多くは不必要となり、風営法の規制対象となっていないテレホンクラブ等の利用カードの販売の規制を中心に規定されるようになった。
〇 令和6年10月7日時点で、全ての都道府県の包括的、総合的な規制内容を有する条例又は単独条例において、テレホンクラブ等の利用カードの販売等の規制をしている。
〇 なお、東京都は平成9年に「東京都テレホンクラブ等営業及びデートクラブ営業の規制に関する条例」を制定し、テレホンクラブ等の営業の規制とともにデートクラブ営業(客と他の異性の客との間における対価を伴う交際を仲介する営業)の規制に関する規定を置いた。デートクラブの営業の規制を行っているのは、47都道府県の中で東京都だけである。同条例は、平成13年に改正され、テレホンクラブ等については利用カードの販売の規制に改められ、条例名も「東京都デートクラブ営業等の規制に関する条例」となった。
(着用済み下着の買受け等の規制)
〇 いわゆるブルセラショップで未成年者の着用済み下着等が売買されるようになったため、東京都は平成16年に「東京都青少年の健全な育成に関する条例」を改正し、「何人も、青少年から着用済み下着等(青少年が一度着用した下着又は青少年のだ液若しくはふん尿をいい、青少年がこれらに該当すると称した下着、だ液又はふん尿を含む。・・・)を買い受け、売却の委託を受け、又は着用済み下着等の売却の相手方を青少年に紹介してはならない。」(15条の2第1項)との規定を置いた。
〇 こうした着用済み下着の買受け等は、同じく平成16年に埼玉県、平成17年に千葉県、岐阜県、愛知県、大阪府、兵庫県と、大都市圏の都府県を中心に、条例改正により規制の対象となった。
〇 令和6年10月7日時点では、北海道、関東7都県、新潟県、山梨県、北陸3県、東海4県、滋賀県、大阪府、兵庫県、島根県、岡山県、沖縄県の23都道府県の条例で規制している。
なお、「新潟県青少年健全育成条例」は令和2年1月1日改正施行により関係規定(22条の2)が盛り込まれ、「滋賀県青少年の健全育成に関する条例」は令和6年4月1日改正施行により関係規定(24条の3)が盛り込まれた。
(インターネット上の有害情報に係る規制)
〇 平成7年にWindows95が発売された。そうしたことも契機として、わが国でもインターネットが急速に普及した。インターネット上にわいせつな内容な犯罪や薬物に誘う内容などの有害情報が流通する一方で、青少年によるインターネット利用も拡大し、こうした有害情報からいかに青少年を守っていくかが課題となった。
〇 平成10年代前半頃から、条例においても青少年に対するインターネット上での有害情報の規制や環境整備に関する規定が盛り込まれるようになった。最初にどの都道府県が条例で規定したかは定かではないが、鳥取県は平成13年に「鳥取県青少年健全育成条例」を改正し、インターネットを利用して情報を提供しようとする者の努力義務を規定した。また、平成19年にはインターネット及び携帯電話の健全な利用環境の整備に関して、改正を行っている。
東京都は平成17年に「東京都青少年の健全な育成に関する条例」を改正し、青少年がインターネットを適正に利用できる環境を整備するためインターネット利用に係る事業者及び保護者等の責務を定め、事業者に対してフィルタリングサービスを開発するとともに、利用者にそのサービスを提供している旨を告知し利用を勧奨すること等を規定した。さらに平成19年の改正では、携帯ショップや家電量販店などのインターネット接続機器の販売事業者に対してもフィィルタリングサービスを提供している旨の告知及び利用の勧奨すること等を規定した.
平成19年頃には、多くの都道府県の条例においても、こうしたインターネット利用環境に関する規定が盛り込まれた。
〇 インターネットを通じた出会い系サイトも出現し、その利用に起因した児童買春事件等の犯罪も増加していった。平成15年には、出会い系サイトにおける児童に対する誘引行為を罰則をもって禁止するとともにサイトの事業者に児童の利用を防止することを義務づけること等を内容とする「インターネット異性紹介事業を利用して児童を誘引する行為の規制等に関する法律」が制定された。その後も出会い系サイトの利用に起因した犯罪が依然として多発していることから、平成20年に改正がなされ、規制が強化されている。同法の内容等については、警察庁HP「出会い系サイト規制」及び警視庁HP「いわゆる出会い系サイトに関する注意」を参照されたい。
〇 平成20年には、議員立法で「青少年が安全に安心してインターネットを利用できる環境の整備等に関する法律」(以下「青少年インターネット環境整備法」という。)が制定された。携帯電話事業者に対しては、保護者が不使用を申し出ない限り、フィルタリングの提供義務を課し、インターネット接続事業者に対しては、利用者の求めに対するフィルタリングの提供義務を課すこと等を定めた。平成29年に改正され、携帯電話インターネット接続役務提供事業者等に対して青少年確認義務、フィルタリング説明義務、フィルタリング有効化措置実施義務を課した。法律の内容等は、こども家庭庁HP「青少年インターネット環境整備法・関係法令」を参照されたい。
〇 東京都は、平成22年に青少年インターネット環境整備法の制定を踏まえ「東京都青少年の健全な育成に関する条例」を改正し、青少年のインターネット利用状況を適切に把握し的確に管理するよう努める保護者等の責務の規定やフィルタリングを解除する場合の手続の厳格化に関する規定等を盛り込み、平成29年には青少年インターネット環境整備法の改正を踏まえさらに同条例を改正し、携帯電話インターネット接続役務提供事業者等は契約時にフィルタリング有効化措置について説明した上で書面を交付しなければならないこと、同措置を希望しない保護者から理由書を求めること等の規定を盛り込んだ。
〇 多くの都道府県の条例も、規定の内容は異なるが、フィルタリング有効化措置に関する携帯電話インターネット接続役務提供事業者等や保護者の義務等に関する規定を置いている(各都道府県ごとの対応については、こども家庭庁府資料「青少年の育成に関する都道府県条例規制事項一覧(令和4年1月1日現在)」を参照のこと)。
〇 「鳥取県青少年健全育成条例」は、令和7年4月1日改正施行により、フィルタリングを利用して閲覧・視聴を防止すべき有害情報にいわゆる闇バイトを募集する情報やオンラインカジノに誘引する情報も含まれることを明記した。
(児童ポルノ所持の規制・自画撮り児童ポルノ提供の規制)
〇 平成11年に「児童買春、児童ポルノに係る行為等の処罰及び児童の保護等に関する法律」が制定され、児童買春,児童ポルノに係る行為等が規制され、処罰されることとなった。国際社会における児童の性的虐待や児童買春ツアー、児童ポルノに対する規制強化の動きに対応して、議員立法により制定されたものである。児童ポルノについていえば、児童ポルノの販売等に対して罰則が科されたが、他人に提供する目的のない単純な所持について規制されず、罰則規定も置かれなかった。同法は、平成16年に改正され、厳罰化が図られたが、児童ポルノの単純所持罪については、導入されていない。児童買春等については、警察庁HP「子供の性被害は許されない!」を参照されたい。
〇 奈良県は平成17年に「子どもを犯罪の被害から守る条例」を制定し、13歳未満の児童ポルノを単純所持する者に対して罰則を科し、また、京都府は平成23年に「京都府児童ポルノの規制等に関する条例」を制定し、18歳未満の児童ポルノを単純所持する者に対して、知事は廃棄命令を出すことができ、廃棄命令に従わなければ罰則を科すこととした。このように、一部自治体においては児童ポルノの単純所持に対して何らかの形で罰則を科す動きが見られた。
〇 平成26年に法律が改正され、法律名も「児童買春、児童ポルノに係る行為等の規制及び処罰並びに児童の保護等に関する法律」となり、児童ポルノの定義規定(2条3項)の一部を厳格化したうえで、自己の性的好奇心を満たす目的での所持することを規制の対象とし、罰則を科すこととされた(当該規定の施行は、平成27年7月15日)。同法の改正内容については、平成27年版犯罪被害者白書 コラム10「児童ポルノ禁止法の改正について」を参照されたい。
その結果、これまで児童ポルノの単純所持罪を条例で規定していた自治体は、条例の改正又は廃止を行った(奈良県条例は該当条文が削除され、京都府条例は廃止されている)。
〇 一方、青少年がだまされたり脅されたりして、自分の裸体等を撮影し、メール等で送らされる、いわゆる「自画撮り被害」が社会問題化した。しかし、自画撮り被害につながる勧誘行為は法律で規制されていないため、平成29年に兵庫県は「青少年愛護条例」を、東京都は「東京都青少年の健全な育成に関する条例」をそれぞれ改正し(兵庫県条例は平成29年12月15日改正公布・平成30年4月1日改正施行、東京都条例平成29年12月22日改正公布・平成30年2月1日改正施行)、青少年に児童ポルノ等の提供を求める行為の禁止し、罰則を科すこととした。
児童ポルノの自画撮り規制等については秦博美「青少年の健全育成」(行政課題別条例実務の要点(第一法規 令和3年7月15日)4193頁以下)を、東京都条例の改正内容については東京都HP「「自画撮り被害」防止に向けて~東京都青少年の健全な育成に関する条例の改正~」を参照されたい。
〇 令和6年10月7日時点では、青森県、岩手県、秋田県、長野県、愛知県、島根県、岡山県、広島県、徳島県を除く38都道府県が、条例で児童ポルノ等の提供を求める行為を禁止し、罰則を科している。38都道府県の条例のうち、高知県、岐阜県、茨城県、栃木県、群馬県、滋賀県を除く32団体の関係条文については、高知県資料「他都道府県の条例における「自画撮り画像等要求行為」規定状況(R2年10月調査時点)」で比較することができるので、参照されたい。また、「高知県青少年保護育成条例」の改正内容については、高知県HP「高知県青少年保護育成条例(令和3年3月改正)」を参照されたい。
なお、「滋賀県青少年の健全育成に関する条例」は令和6年4月1日改正施行により児童ポルノ等の提供を求める行為を禁止し(改正後24条の2)、「広島県青少年健全育成条例」は令和7年1月1日改正施行により児童ポルノ等の提供を求める行為を禁止する(改正後39条の3)こととした。
「鳥取県青少年健全育成条例」は、令和7年4月1日改正施行により、「児童ポルノ等」は「生成AIその他の情報処理に関する技術を利用し、青少年の容貌の画像情報を加工して作成した姿態(当該青少年の容貌を忠実に描写したものであると認識できる姿態に限る。)を視覚により認識することができる方法により描写した情報を記録した電磁的記録及びその記録媒体を含む。」(改正後10条9項)と規定し、性的ディープフェイクも含まれることを明記したうえで、児童ポルノ等の作成、製造及び提供を禁止した(改正後18条の3)。
(出会い系喫茶の営業の規制)
〇 平成19年頃から、面識のない男女に出会いの場を提供するいわゆる出会い系喫茶が出現し、児童買春の温床となっているとの指摘がなされた。こうした営業の形態は、当時風営法の対象とされていなかったため、平成20年に京都府は「青少年の健全な育成に関する条例」を、神奈川県は「神奈川県青少年保護育成条例」を、それぞれ改正し(京都府条例は平成20年10月14日改正公布・平成20年11月14日改正施行、神奈川県条例は平成20年10月17日改正公布・平成20年12月1日改正施行)、18歳未満の入店、業務の従事を禁止する等の規制を行い、違反行為に罰則を科すこととした。
〇 平成21年12月1日時点では、9都府県(埼玉県、千葉県、東京都、神奈川県、愛知県、京都府、大阪府、兵庫県及び和歌山県)の条例で出会い系喫茶の営業の規制がなされていた(平成22年版子ども・若者白書 参考資料13「青少年の保護育成に関する都道府県条例規制事項一覧」)。
〇 平成22年7月に風営法施行令が改正され、「店舗を設けて、専ら、面識のない異性との一時の性的好奇心を満たすための交際(会話を含む。)を希望する者に対し、当該店舗内においてその者が異性の姿態若しくはその画像を見てした面会の申込みを当該異性に取り次ぐこと又は当該店舗内に設けた個室若しくはこれに類する施設において異性と面会する機会を提供することにより異性を紹介する営業」として「店舗型性風俗特殊営業」に位置付けられ、規制の対象として加えられた(平成23年1月1日改正施行)。その結果、自治体における出会い系喫茶の営業の規制に関する規定は削除された。
(JKビジネスの規制)
〇 いわゆる「JKビジネス」(女子高生を「JK」と略して商品化し、性を売り物とする新たな営業形態)により青少年が性犯罪に巻き込まれる事案が発生するようになった。しかし、風営法の規制の対象にならないものもあるため、愛知県は平成27年に「愛知県青少年保護育成条例」を改正して(平成27年3月24日改正公布・平成27年7月1日改正施行)、また、東京都は平成29年に「特定異性接客営業等の規制に関する条例」を制定して(平成29年3月31日公布・平成29年7月1日施行)、JKビジネスについて営業者の禁止行為等を定めるなどの規制を行った。
JKビジネスを、愛知県条例では有害役務営業(店舗型有害役務営業及び無店舗型有害役務営業 4条5、6、7号)として禁止行為(17条の5)等を定め、東京都条例は特定異性接客営業(店舗型特定異性接客営業及び無店舗型特定異性接客営業 2条2,3,5号)として公安委員会への営業の届出の義務づけ(6条)、営業所設置禁止区域(7条)、禁止行為(8条)等を定めている。
愛知県の条例改正の内容等については愛知県資料「愛知県青少年保護育成条例により「JKビジネス」を規制します!」を、東京都条例の内容等については自治体法務研究2017年冬号CLOSEUP先進・ユニーク条例「特定異性接客営業等の規制に関する条例」を参照されたい。
〇 JKビジネスに関しては、政府において「AV出演被害・「JK」ビジネス対策会議」を設置し、対策を取りまとめている。警察庁の調べによると、令和5年12月末時点で、全国で100のJKビジネス店があるとされる(警察庁資料「「JKビジネス」の営業実態等の調査結果(令和5年12月末)」)。JKビジネスに対する警察の取組については、警察庁HP「いわゆる「JKビジネス」問題に対する警察の取組・相談窓口について」を参照されたい。
〇 令和6年10月7日時点で、愛知県、東京都のほか、大阪府、兵庫県、神奈川県、埼玉県、京都府、岐阜県が、条例でJKビジネスを規制している。「大阪府青少年健全育成条例」は平成30年7月1日に、兵庫県「青少年愛護条例」及び「神奈川県青少年保護育成条例」は平成30年10月1日に、「埼玉県青少年健全育成条例」及び京都府「青少年の健全な育成に関する条例」は平成31年4月1日に、「岐阜県青少年健全育成条例」は令和3年4月1日に、それぞれ改正施行されている。岐阜県条例の改正内容については、岐阜県HP「岐阜県青少年健全育成条例について」を参照されたい。
【市町村の条例】
〇 市町村については、前述のとおり、昭和23年に茨城県の水戸市、古河市及び下館町(現筑西市)で「不良化防止条例」又は「公安条例」という名称で青少年の単独深夜外出を禁止する内容の条例が制定され、その後、茨城県、栃木県等の市町村で同様の条例が制定された。都道府県による条例制定が進むにつれて、条例制定の動きは下火になっていたが、昭和52、53年頃から、千葉県の習志野市、鎌ヶ谷市、野田市、神奈川県の川崎市、大分県日田市、長野県長野市、埼玉県行田市、大阪府守口市等で、有害図書等の販売規制等を内容とする条例制定の動きが見られるようになった。
〇 市町村の条例で、令和6年12月1日時点で施行されている条例として確認できるものは、以下のようなものがある。
括弧内は、当該条例の制定(公布)年を表す。同一市町村で過去に青少年の健全育成に関する条例が制定され、その後廃止または全部改正されているものが、制定(公布)年は現行の条例のものである。なお、基金の設置、助成金等の支給、施設の設置・運営、附属機関の設置等のみを定めた条例は対象外としている。
北海道 |
遠軽町有害図書類規制に関する条例(平成17年) |
青森県 |
鰺ヶ沢町自動販売機の設置に関する条例(平成14年) 深浦町自動販売機の適正な設置及び管理に関する条例(平成17年) |
岩手県 |
金ケ崎町青少年健全育成条例(昭和61年) |
茨城県 |
阿見町有害図書等規制に関する条例(平成14年) |
栃木県 |
鹿沼市青少年健全育成のための環境浄化に関する条例(平成9年) 市貝町青少年健全育成条例(平成18年) |
群馬県 |
みどり市青少年に有害な図書等の自動販売の規制に関する条例(平成18年) |
埼玉県 |
行田市有害図書等規制条例(昭和53年) 鴻巣市有害図書等規制に関する条例(昭和54年) 寄居町有害図書等規制に関する条例(昭和55年) 羽生市青少年健全育成条例(平成9年) (東松山市)青少年をナイフ等の危害から守り東松山市を明るく住みよいまちにするための条例(平成10年) 白岡市青少年に有害な図書等の自動販売機等の規制に関する条例(平成16年) 秩父市酒類自動販売機の適正な設置及び管理に関する条例(平成17年) 春日部市青少年健全育成基本条例(平成17年) 八潮市青少年健全育成条例(平成18年) 加須市青少年健全育成条例(平成22年) |
千葉県 |
野田市有害図書規制に関する条例(昭和52年) |
東京都 |
八王子市青少年の健全な育成環境を守る条例(平成3年) |
新潟県 |
聖籠町青少年に有害な図書等の自動販売機等の規制に関する条例(平成15年) |
石川県 |
中能登町有害図書等の自動販売機等設置届出に関する条例(平成17年) 志賀町有害図書等の自動販売機等設置届出に関する条例(平成17年) 加賀市図書等自動販売機の適正な設置及び管理に関する条例(平成17年) 能美市図書等自動販売機の適正な設置及び管理に関する条例(平成17年) |
長野県 |
箕輪町青少年健全育成条例(平成13年) 長野市青少年保護育成条例(平成14年) 佐久市有害図書類等の規制に関する条例(平成18年) 東御市青少年健全育成条例(平成19年) 塩尻市有害図書類等の自動販売機等の規制に関する条例(平成20年) |
大阪府 |
(守口市)青少年の健全な育成を阻害する環境の改善に関する条例(昭和53年) 島本町青少年健全育成条例(昭和59年) 高槻市青少年健全育成条例(昭和60年) 茨木市青少年の健全育成に関する条例(平成16年) |
兵庫県 |
丹波篠山市図書等の自動販売機設置に関する条例(平成12年) 香美町図書等の自動販売機設置に関する条例(平成17年) 加東市有害図書類及び有害玩具類等自動販売機設置の規制に関する条例(平成18年) |
鳥取県 |
岩美町青少年に有害な図書等の自動販売の規制に関する条例(平成13年) 江府町青少年健全育成に有害な環境浄化の規制に関する条例(平成14年) 三朝町青少年に有害な図書類等の自動販売等の規制に関する条例(平成15年) 智頭町青少年に有害な図書類及びがん具刃物類の自動販売の規制に関する条例(平成15年) 南部町青少年健全育成に有害な環境の規制に関する条例(平成16年) 湯梨浜町青少年に有害な図書類及びがん具刃物類の自動販売の規制に関する条例(平成16年) 大山町青少年に有害な図書類等及びがん具刃物類の自動販売の規制に関する条例(平成17年) 北栄町青少年に有害な図書類及びがん具刃物類の自動販売の規制に関する条例(平成17年) 若桜町青少年に有害な図書類及びがん具刃物類の自動販売の規制に関する条例(平成17年) 八頭町青少年健全育成に有害な環境浄化の規制に関する条例(平成17年) |
島根県 |
飯南町特定自動販売機の設置規制に関する条例(平成17年) 津和野町特定自動販売機の設置等に関する条例(平成17年) 吉賀町吉賀町特定自動販売機の設置等に関する条例(平成17年) 出雲市青少年に有害な図書類の自動販売機の設置等の制限に関する条例(平成18年) |
岡山県 |
奈義町青少年健全育成条例(平成8年) 和気町青少年保護育成に関する条例(平成18年) |
広島県 |
福山市青少年保護育成条例(昭和54年) 福山市たばこ自動販売機の設置及び管理に関する条例(平成11年) (広島市)青少年と電子メディアとの健全な関係づくりに関する条例(平成20年) |
高知県 |
檮原町青少年保護育成条例(平成11年) |
福岡県 |
(那珂川市)青少年に有害な図書等の自動販売機の設置規制に関する条例(昭和58年) (太宰府市)青少年に有害な図書等の自動販売機の設置規制に関する条例(昭和59年) |
大分県 |
由布市青少年健全育成条例(平成22年) |
〇 理念的な事項を中心に規定する条例(金ヶ崎町、鹿沼市、市貝町、春日部市、箕輪町、茨木市、八潮市、島本町、奈義町、梼原町、由布市等)もあるが、そのほとんどは有害図書類の販売や自動販売機の設置等の規制を内容としている。
〇 制定年は、昭和52年制定の野田市条例、昭和53年の行田市条例、守口市条例、昭和54年の鴻巣市、福山市青少年保護育成条例、昭和55年の寄居町条例等が古い。但し、「福山市青少年保護育成条例」は昭和41年の同名の条例が全部改正されて、また、平成14年制定の「長野市青少年保護育成条例」は昭和53年制定の同名の条例が全部改正されて、平成16年制定の「茨木市青少年の健全育成に関する条例」は昭和54年制定の同名の条例が全部改正されて、それぞれ制定されている。
なお、平成17年前後に制定された条例が多いが、市町村合併により旧市町村がそれ以前に制定していた条例が失効し、新市町村において新たな条例が制定されたものが多いと考えられる。例えば、平成17年制定の「遠軽町有害図書類規制に関する条例」に関しては、合併前に旧遠軽町が昭和56年に「遠軽町有害図書類規制に関する条例」を制定していた。また、平成17年制定の「中能登町有害図書等の自動販売機等設置届出に関する条例」に関しては、合併前に合併前の旧鳥屋町が平成9年に、旧鹿島町及び鹿西町が平成10年に、それぞれ「有害図書等の自動販売機等設置届出に関する条例」を制定していた。
〇 制定している市町村については、地域的に偏りがある。鳥取県内の市町村が最も多く11団体、次いで埼玉県内の市町村が10団体、長野県内の市町村が5団体、石川県、大阪府、島根県の市町村がそれぞれ4団体となっている。条例を制定している市町村がない都道府県の方が多い(26都道府県)。
〇 長野県内の5市町の条例については、長野県が包括的、総合的な規制内容を有する条例を制定しておらず、県として有害図書等の販売や自動販売機の設置等の規制等がなされていないため、市町村独自の措置として制定されている。「箕輪町青少年健全育成条例」は理念条例であるが、「佐久市有害図書類等の規制に関する条例」は自動販売機の設置等の規制について、「塩尻市有害図書類等の自動販売機等の規制に関する条例」は有害図書類・有害玩具類の指定、自動販売機の設置等の規制について、「長野市青少年保護育成条例」は有害図書類の指定、自動販売機の設置等の規制に加えて、興行の観覧の自主規制、広告物の掲出の制限、質物の受入れ及び古物等の買受けの制限、場所の提供及び周旋の禁止、危険物所持の禁止、深夜外出の注意義務について、「東御市青少年健全育成条例」は有害図書類・有害玩具類の指定、自動販売機の設置等の規制に加えて、インターネット利用環境の整備、有害広告物の制限、みだらな性行為等の禁止、場所の提供等の禁止について、それぞれ規定している。
長野市条例及び東御市条例は包括的、総合的な規制内容を有する条例と言える。
〇 長野県以外の市町村の条例で有害図書等の販売や自動販売機の設置等の規制等を規定するものについては、都道府県の条例も有害図書等の販売や自動販売機の設置等の規制等を規定しているため、規制の内容が重複しているものがある。また、都道府県の条例より規制が強化されているものもある。
鳥取県内の11町村の条例については、いずれも図書類等の自動販売機を設置する者は町村長に事前協議(江府町、南部町、八頭町)又は届出(岩美町、三朝町、智頭町、湯梨浜町、大山町、北栄町、若桜町)をし、町村長の同意を得なければならないとしている(例えば、「江府町青少年健全育成に有害な環境浄化の規制に関する条例」、「岩美町青少年に有害な図書等の自動販売の規制に関する条例」)。また、智頭町、南部町及び八頭町以外の条例は、「鳥取県青少年健全育成条例」により知事が指定する有害図書類等のほか、町村長が指定する有害図書類についても、自動販売機での販売を禁止している。
石川県内の4市町の条例のうち、中能登町条例及び志賀町条例は、有害図書等の自動販売機を設置する者又は土地所有者は町長に届出しなければならず、町長は必要がある場合は立入調査等を行う(例えば、「中能登町有害図書等の自動販売機等設置届出に関する条例」。有害図書等は「いしかわ子ども総合条例」により知事が指定したものに限定されず、他方、町長独自の指定行為はない)とし、加賀市条例及び能美市条例は、有害図書等の自動販売機を設置する者は市長に届出しなければならず、市長は必要がある場合は勧告、命令、公表、立入調査等を行う(例えば、「加賀市図書等自動販売機の適正な設置及び管理に関する条例」。知事が指定する有害図書等のほか、市長が指定する有害図書等も対象としている)としている。
埼玉県内の市町の条例のうち、行田市条例、鴻巣市条例及び寄居町条例は、図書等自動販売業者に対して「埼玉県青少年健全育成条例」に基づき指定された有害図書等を自動販売機に収納することを禁止するほか、それ以外の有害図書についても図書等自動販売業者及び場所提供者に対して収納しないよう努力義務を課している。また、市町長は必要がある場合に立入調査、勧告、知事に対する通告を行う(例えば、「行田市有害図書等規制条例」)としている。
〇 「深浦町自動販売機の適正な設置及び管理に関する条例」は図書類のみならず、たばこ、酒の自動販売機も対象とし、「設置者及び管理者は、たばこ等の自動販売機を屋外に設置してはならない。」(3条)等と規定し、「秩父市酒類自動販売機の適正な設置及び管理に関する条例」は酒類の自動販売機を対象とし、「設置者は、自動販売機を屋外に設置しないように努めるとともに、酒類の販売は対面で行うよう努めなければならない。」(4条)等と規定し、「福山市たばこ自動販売機の設置及び管理に関する条例」はたばこの自動販売機を対象とし、「販売者は、自動販売機の設置場所、販売時間、販売装置等に配慮し、未成年者が自己の用に供する目的でたばこを購入することを防止するように努めなければならない。」(4条)等と規定している。
東松山市「青少年をナイフ等の危害から守り東松山市を明るく住みよいまちにするための条例」は、青少年をナイフ等の危害から守るため、市、市民、保護者等の努力義務を定めている。
広島市「青少年と電子メディアとの健全な関係づくりに関する条例」は、インターネット等の電子メディアの有害情報から青少年を保護するため、事業者に対してフィルタリング機能を備えた状態で青少年に機器を利用させることなどを義務づけている。