拉致問題に関する条例

(令和5年12月25日更新)

【条例の制定状況】

〇 拉致問題の啓発推進を目的とする条例として、令和5年12月25日時点で、以下の条例が確認できる。すなわち、

東京都足立区

足立区拉致問題等啓発推進条例

令和3年7月12日公布

令和3年7月12日施行

東京都江戸川区

江戸川区拉致問題の解決に向けた啓発促進に関する条例

令和3年11月5日公布

令和3年11月5日施行

新潟市

新潟市拉致問題等啓発推進条例

令和4年12月28日公布

令和4年12月28日施行

埼玉県川口市

川口市拉致被害者等の早期帰郷を望む条例

令和5年12月25日公布

令和5年12月25日施行

である。

 

(足立区条例)

〇 足立区条例は、議員提案により、令和3年7月に制定された。拉致問題の啓発推進を目的とする条例としては、全国最初のものといえる。

〇 本条例は、「拉致問題その他北朝鮮当局による人権侵害問題への対処に関する法律(平成18年法律第96号)第3条の規定に基づき 、拉致問題をはじめとする北朝鮮当局による人権侵害問題について、区民に対し積極的な啓発を行うことで、当該問題に関する区民の認識を深めること」(1条)を目的としている。

〇 区の役割として、「区民に対し積極的に拉致問題の啓発を行うために、組織の機能強化を図るよう努める」(2条1項)、「拉致問題に関する区民の認識を深めるため、積極的な啓発活動を行うよう努める」(同条2項)及び「北朝鮮人権侵害問題啓発週間において、その趣旨にふさわしい事業を実施する」(同条3項)と規定し、そのうえで「区は、拉致問題その他北朝鮮当局による人権侵害問題について区民の認識を深めるための啓発を推進するために必要な財政上の措置を講ずるよう努める」(3条)としている。

〇 足立区の取組み等については、足立区HP「北朝鮮当局による拉致問題の解決に向けて」を参照されたい。なお、足立区と北朝鮮当局による拉致問題との関係については、「足立区でも、北朝鮮から密入国した工作員が実在する日本人に成り代わり、対韓国工作、極東におけるスパイ拠点の構築、日本の防衛力等に関する情報収集等を行っていた、いわゆる『西新井事件』が発生しています。」(上記足立区HP)としている。

 

(江戸川区条例)

〇 江戸川区条例は、足立区条例に続いて、議員提案により、令和3年11月に制定された。

〇 本条例は、「拉致問題その他北朝鮮当局による人権侵害問題への対処に関する法律(平成18年法律第96号。以下「法」という。)第3条の規定に基づき、拉致問題をはじめとする北朝鮮当局による人権侵害問題(以下「拉致問題等」という。)について積極的な啓発を行うことにより拉致問題に関する江戸川区民の理解を深め、もって拉致問題等の早期解決に寄与すること」(1条)を目的としている。

〇 区の役割として、「国との連携を図りつつ積極的に拉致問題等に関する啓発に努める」(2条1項)及び「法第4条第2項に定める北朝鮮人権侵害問題啓発週間において、同条第3項に規定する啓発事業を行うよう努める」(同条2項)と規定している。

〇 江戸川区の北朝鮮人権侵害問題啓発週間における取組みについては、江戸川区HP「北朝鮮人権侵害問題啓発週間(12月10日~12月16日)」を参照されたい。

 

(新潟市条例)

〇 新潟市条例は、議員提案により、令和4年12月に制定された。

〇 本条例は、「拉致問題その他北朝鮮当局による人権侵害問題への対処に関する法律(平成18年法律第96号。以下「法」という。)第3条の規定に基づき、北朝鮮による拉致被害者の問題、北朝鮮による拉致の可能性を排除できない事案その他北朝鮮当局による人権侵害問題(以下「拉致問題等」という。)について、市民に対し積極的な啓発を行うことにより、拉致問題等の風化防止を図り、もって拉致問題等の早期解決に資すること」(1条)を目的としている。

〇 市の役割として、「市は、拉致問題等に関する市民の認識を深めるため、国と連携を図りつつ、拉致問題等の積極的な啓発を行うよう努める」(2条1項)、「前項に規定する啓発を効果的に進めるため、推進体制の充実に努める」(同条2項)及び「法第4条第2項に規定する北朝鮮人権侵害問題啓発週間において、その趣旨にふさわしい事業を実施するよう努める」(同条3項)と規定し、そのうえで「市は、拉致問題等について市民の認識を深めるため、啓発の推進に必要な財政上の措置を講ずるよう努める」(3条)としている。

〇 新潟市においては、昭和52年11月に、当時、中学1年生であった横田めぐみさんが北朝鮮に拉致されている。新潟市の拉致問題に対する取組み等については、新潟市HP「拉致問題」を参照されたい。

 

(川口市条例)

〇 川口市条例は、議員提案により、令和5年12月に制定された。

〇 本条例は、「北朝鮮当局によって拉致され、又は拉致されたことが疑われる者が早期に帰郷することができるよう、拉致問題その他北朝鮮当局による人権侵害問題への対処に関する法律(平成18年法律第96号。以下「法」という。 )第3条の規定に基づき、拉致問題その他北朝鮮当局による人権侵害問題(以下「拉致問題等」という。)について、市民に対し積極的な啓発を行うことにより、拉致問題等の風化防止を図るとともに、市民の拉致問題等に関する意識の高揚及びその解決に向けた気運の醸成を図り、もって拉致問題等の早期解決に資すること」(1条)を目的としている。

〇 市の役割として、「市は、拉致問題等に関する市民の認識を深めるため、国と連携を図りつつ、拉致問題等に関する啓発を積極的に行う」(2条1項)、「法第4条に規定する北朝鮮人権侵害問題啓発週間において、その趣旨にふさわしい事業を実施する」(同条2項)及び「拉致問題等に関する取組を効果的に推進するため、体制の充実に努める」(同条3項)と規定し、そのうえで、市は取組の推進に当たっては、「拉致問題等についての市民の関心及び認識を深め、早期解決の必要性に関する意識の高揚を図ること」(3条1項)、「市広報紙への掲載、インターネットの利用等多様な方法を効果的に活用し、広く市民に周知を行うこと」(同条2項)及び「広域的な取組を行う場合には、必要に応じて国、他の地方公共団体その他関係機関(以下「国等」という。)と協力して行うこと」(同条3項)を基本として行うとしている。また、国等への働きかけ(4条)及び財政上の措置(5条)についても規定している。

〇 川口市は、政府認定拉致被害者の田口八重子さん、特定失踪者の井上克美さん、藤田進さん、新木章さん、佐々木悦子さんの計5名の出身地である。川口市の拉致問題に対する取組み等については、川口市HP「北朝鮮による拉致問題の解決に向けて」を参照されたい。

 

(参考)

〇 「拉致問題その他北朝鮮当局による人権侵害問題への対処に関する法律」3条は、「地方公共団体は、国と連携を図りつつ、拉致問題その他北朝鮮当局による人権侵害問題に関する国民世論の啓発を図るよう努めるものとする。」と規定している。

〇 北朝鮮による日本人拉致問題に対する政府の取組み等については、内閣官房拉致問題対策本部事務局HP「北朝鮮による日本人拉致問題」を参照されたい。



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