外来種対策に関する条例

(令和4年4月24日更新)

〇 本稿では、外来種対策に関する条例を取り上げる。

【外来種とは】

〇 「外来種」とは、「導入(意図的・非意図的を問わず人為的に、過去あるいは現在の自然分布域外へ移動させること。導入の時期は問わない。)によりその自然分布域(その生物が本来有する能力で移動できる範囲により定まる地域)の外に生育又は生息する生物種(分類学的に異なる集団とされる、亜種、変種を含む)」であるとされる。「「外来種」のうち、我が国に自然分布域を有していない生物種」は「国外由来の外来種」であり、「我が国に自然分布域を有している(在来種)がその自然分布域を越えて国内の他地域に導入された生物種」は「国内由来の外来種」であるとされ、「外来種」は「国外由来の外来種」及び「国内由来の外来種」の両方を含んだ概念であるとされる。また、「外来種のうち、わが国の生態系、人の生命・身体、農林水産業等への被害を及ぼす又は及ぼすおそれがあるなど、特に侵略性が高く、自然状態では生じ得なかった影響をもたらすもの」は、「侵略的外来種」とされる(以上の外来種に関する用語の定義は「外来種被害防止行動計画」付録の「用語集」による)。

〇 なお、一般的には「外来生物」も「外来種」と同義で用いられるが、「特定外来生物による生態系等に係る被害の防止に関する法律」(平成16年6月2日公布、平成17年6月1日施行。以下「外来生物法」という。)は、「海外から我が国に導入されることによりその本来の生息地又は生育地の外に存することとなる生物(その生物が交雑することにより生じた生物を含む。)」を「外来生物」(2条)と定義づけており、同法に基づく「外来生物」は「国内由来の外来種」は含んでいない。

 

【外来種対策に関する法律】

〇 外来生物法は、外来生物のうち生態系等に係る被害を及ぼすもの等を特定外来生物として政令で指定する(2条1項)とともに、主務大臣は特定外来生物被害防止基本方針を策定するものとする(3条)ほか、特定外来生物の飼育等、輸入、譲渡し等、放出等を原則として禁止し(学術研究の目的等で飼育等又は放出等を行う場合は主務大臣の許可が必要)、主務大臣は必要があると認めるときは措置命令等、報告徴収、立入検査を行うことができる(4条~10条)としている。また、主務大臣や主務大臣の確認又は認定を受けた地方公共団体等は生態系等の被害を防止するため必要があるときは特定外来生物を防除することができるとし、それに伴う土地への立入り等、損失補償、訴えの提起、原因者負担等の規定を置いている(11条~20条)。法律に違反した一定の者に対して罰則を科している(32条~36条)。

 同法に基づき「特定外来生物被害防止基本方針」(平成26年3月18日閣議決定)が策定されている。外来生物法の内容、外来生物の指定状況も含め政府による外来種対策については、環境省HP「日本の外来種対策」を参照されたい。

〇 「生物多様性基本法」(平成20年6月6日公布・施行)は、生物の多様性の保全及び持続可能な利用について基本原則を定め(3条)、政府に生物多様性国家戦略の策定を義務づけ(11条)、都道府県及び市町村には生物多様性地域戦略の策定について努力義務を課している(13条)が、国の施策の一つとして「国は、生態系に係る被害を及ぼすおそれがある外来生物、遺伝子組換え生物等について、飼養等又は使用等の規制、防除その他の必要な措置を講ずるものとする。」(16条1項)と規定し、地方公共団体については「国の施策に準じた施策及びその他のその地方公共団体の区域の自然的社会的条件に応じた生物の多様性の保全及び持続可能な利用に関する施策を、これらの総合的かつ計画的な推進を図りつつ実施するものとする。」(27条)としている。

 同法に基づき「生物多様性国家戦略2012-2020」(平成24年9月28日閣議決定)が策定されているが、外来種対策に関しては同戦略に基づき「外来種被害防止行動計画」(平成27年3月26日 環境省・農林水産省・国土交通省)が策定されている。外来種被害防止行動計画については、環境省HP「外来種被害防止行動計画」を参照されたい。

 

【外来種対策に関する条例】

〇 外来生物法は国外由来の外来種のうち特定のものを特定外来生物として対象としており、特定外来生物以外の国外由来の外来種や国内由来の外来種は対象としていない。また、同法は、自治体の施策に関しては、自治体が主務大臣の確認を受けて特定外来生物の防除を行うこと以外は、何らの規定も置いていない。そのため、自治体が条例で、国内由来の外来種を含む外来種対策に関して、自治体が取り組む施策等を規定することがある。本稿では、こうした条例を「外来種対策に関する条例」としている。

〇 外来種対策に関する条例に関しては、外来種被害防止行動計画は、「我が国の生態系等に被害を及ぼすおそれのある外来種リストの作成と優先度を踏まえた外来種対策の推進」に関する目標(2020年(平成32年))の一つとして、外来種に関する条例の策定自治体数を47都道府県(現状は20都道府県)とし(22頁、23頁)、「国内由来の外来種への対応」に関する目標(2020年(平成32年))の一つとして、地方自治体による国内由来の外来種への対策を含む条例の作成数を47都道府県(現状は13都道府県)とし(23頁)としている。

〇 環境省の「外来生物対策のあり方検討会」は、令和3年8月6日に「外来生物対策の今後のあり方に関する提言」を取りまとめたが、同提言は、特定外来生物以外の外来種対策の現状と課題として、「地方公共団体においては、外来種に関する条例が令和3年(2021年)1月時点で26都道府県において制定され、外来種リストが28都道府県において作成される等、一定の進展が見られるが、未整備の地方公共団体も多く、またその内容についても、島嶼地域への対応としての域内の区域分けや、対象の外来種を指定し違反行為に対する罰則を伴う規制措置をもつものから、外来種対策の一般的な配慮事項を規定しているのみのものまで、様々なレベルのものが存在しており、外来種に関する条例や外来種リストをよりよいものにしていくことも必要となっている。」(12頁)としたうえで、「特定外来生物には指定されていないものの、地域的に大きな被害を及ぼしている侵略的外来種について、地域の生物多様性を保全するための条例による規制や外来種対策に関する行動計画を地方公共団体が策定して対策を進めることを、国がより積極的に推奨・支援する必要がある。」(16頁)としている。26都道府県で制定されている条例は、「第4回外来生物対策のあり方検討会」参考資料6「都道府県における外来種に関する条例及びリストの策定状況一覧」で示されている。

〇 このように、外来種被害防止行動計画は、特定外来生物以外の外来種対策に関して、令和2年までに47都道府県が条例を制定することを目標と掲げており、これに対して、外来生物対策のあり方検討会提言は令和3年1月時点で26都道府県が条例を制定しているものの未制定の団体も多く、また、その内容も様々なレベルのものが存在しているとし、そのため「よりよいものにしていくこと」が必要であるとしている。

 しかし、外来生物法や生物多様性基本法は都道府県の条例制定に関して何ら規定しておらず、また、外来種被害防止行動計画等は都道府県による条例制定の必要性や規定すべき内容等について具体的に明らかにしていない。そうした中で、外来種被害防止行動計画はすべての都道府県が条例を制定することを国の計画の目標とし、外来生物対策のあり方検討会は都道府県による条例制定状況について策定団体数や条例の内容は不十分であるとの判断をしている。違和感を覚えざるをえない。

〇 環境省等は、外来種対策に関する条例について、都道府県の条例のみに着目しているが、市町村においても少なからぬ団体で条例を制定している。

 以下、外来種対策に関する都道府県及び市町村の条例について、概観する。

 

【都道府県の条例】

〇 都道府県の外来種対策に関する条例について、外来生物対策のあり方検討会提言は令和3年1月時点で26都道府県が制定しているとしているが、令和4年4月1日時点においても26都道府県の条例が確認できる。

 26都道府県のうち、外来種対策に関する単独条例を制定しているのは、和歌山県と鹿児島県であり、その他の24都道府県は、環境保全条例、希少野生動植物保護条例、生物多様性条例等において、外来種対策に関する規定を置いている。

 それぞれの条例の内容は、外来生物対策のあり方検討会提言が指摘する通り、様々なレベルのものが存在する。

 以下、26都道府県の条例を、いくつかのグループに分けて、概観する。

 

(外来種対策に関する単独条例)

〇 外来種対策に関する単独条例は、和歌山県と鹿児島県の条例である。

鹿児島県

指定外来動植物による鹿児島の生態系に係る被害の

防止に関する条例

平成31年3月22日公布

平成31年4月1日施行

和歌山県

和歌山県外来生物による生態系等に係る被害の

防止に関する条例

平成31年3月13日公布

平成31年4月1日施行

〇 このうち、鹿児島県条例は、「その本来持つ移動能力を超えて,県内又は県内の特定の地域に導入されることにより,その本来の生息地又は生育地の外に存することとなる動植物」であって外来生物法の特定外来生物ではないものを「外来動植物」(2条1号)としたうえで、知事は、外来動植物であって地域の生態系に被害を及ぼし,又は及ぼすおそれものを指定外来動植物として指定し(7条)、指定外来動植物被害防止基本方針を策定する(6条)ものとしている。また、指定外来動植物の取扱いを定め(8条)、規制区域外での放出等を禁止する(9条)とともに、指定外来動植物販売業者に販売に当たっての説明を義務づけ(10条)、知事は指導・助言、勧告、公表することができる(11条、12条)とし、県は必要があると認めるときは指定外来動植物の防除等を行い(13条)、それに伴う土地への立入り等及び損失補償の規定を置いている(14条、15条)。

〇 和歌山県条例は、「県外から県内に導入されることによりその本来の生息地又は生育地の外に存することとなる生物」であって「生態系等に係る被害を及ぼし、又は及ぼすおそれがあるもの」で外来生物法の特定外来生物を除くものを「外来生物」(2条1項)としているが、鹿児島県条例と異なり知事による指定や基本方針の策定に関する規定は置かず、外来生物の放出等を禁止し(3条)、生態系等に係る被害を防止するため必要があるときは、知事は対象となる外来生物の種類や区域、期間等を公示したうえで防除を行う(4条)とし、それに伴う土地への立入り等、損失補償及び訴えの提起の規定を置いている(5条~7条)。

〇 鹿児島県条例、和歌山県条例ともに、罰則規定は置いていない。

 

(外来種の指定、放出等の禁止、知事の命令、防除、罰則等に関する規定を置いている条例)

〇 単独条例以外の24条例のうち、対象となる外来種の指定、放出等の禁止、知事による命令、知事による防除、防除に伴う土地への立入り等や損失補償、違反者に対する罰則等、外来生物法に準じた規定を置いているのは、滋賀県、北海道及び沖縄県の条例である。

滋賀県

ふるさと滋賀の野生動植物との共生に関する条例

平成18年3月30日公布

平成18年9月1日施行

北海道

北海道生物の多様性の保全等に関する条例

平成25年3月29日公布

平成25年4月1日施行

沖縄県

沖縄県希少野生動植物保護条例

令和元年10月31日公布

令和2年11月1日施行

〇 滋賀県条例は、知事が「指定外来種」を指定し(27条)、指定外来種を飼養等をする者は知事に届け出なければならないと(28条)としたうえで、指定外来種の取扱いを定め(29条)、放出等を禁止する(31条)とともに、指定外来種販売業者に販売に当たっての説明を義務づけ(10条)、知事は措置命令、報告徴収、立入検査を行うことができる(30条、33条)とし、県は必要があると認めるときは指定外来種の防除を行い(34条)、それに伴う土地への立入り等及び損失補償の規定を置いている(35条、36条)。また、市町による防除(37条)及び県以外のものによる防除(37条の2、37条の3)について定めている。

〇 北海道条例は、知事は外来種対策基本方針を策定する(31条)としている。そのうえで、知事が「指定外来種」を指定し(32条)、指定外来種の飼養者及び販売者の義務を定める(33条)とともに、放出等を禁止し(35条)、知事は助言・指導、中止命令、報告徴収、立入検査を行うことができる(34条、36条、37条)とし、道は必要があると認めるときは指定外来種の防除を行い(34条)、それに伴う土地への立入り等及び損失補償の規定を置いている(35条、36条)。

〇 沖縄県条例は、知事が「指定外来種」を指定し(29条)、指定外来種を指定区域において飼養等する者は知事に届け出なければならないと(30条)としたうえで、指定外来種の取扱いを定める(31条)とともに、放出等を禁止し(33条)、知事は措置命令、報告徴収、立入検査を行うことができる(32条、35条)とし、知事は必要があるときは指定外来種の防除を行い(36条)、それに伴う土地への立入り等及び損失補償の規定を置いている(37条、38条)。

〇 滋賀県条例、北海道条例及び沖縄県条例はともに、違反者に対する罰則規定を置いている。

〇 なお、滋賀県は、「滋賀県琵琶湖のレジャー利用の適正化に関する条例」(平成14年10月22日公布、平成15年4月1日施行)で、外来魚の再放流の禁止として「レジャー活動として魚類を採捕する者は、外来魚(ブルーギル、オオクチバスその他の規則で定める魚類をいう。)を採捕したときは、これを琵琶湖その他の水域に放流してはならない。」(18条)と規定している。

 また、沖縄県は、議員提案により「公有水面埋立事業における埋立用材に係る外来生物の侵入防止に関する条例」(平成27年7月17日公布、平成27年11月1日施行)を制定し、公有水面埋立事業者に対して、特定外来生物が付着・混入している埋立用材の県内搬入を禁止する(3条)とともに、埋立用材の県内搬入に当たって知事への届出の義務づけ(4条)等を定めている。

 

(外来種の指定・公表や放出等の禁止は定めているものの、知事の命令、防除、罰則等の規定を置いていない条例)

〇 対象となる外来種の指定・公表や放出等の禁止は定めているものの、知事の命令、防除、罰則等の規定を置いていないものとして、熊本県、石川県、佐賀県及び愛知県の条例がある。

熊本県

熊本県野生動植物の多様性の保全に関する条例

平成16年3月8日公布

平成16年12月7日施行

石川県

ふるさと石川の環境を守り育てる条例

平成16年3月23日公布

平成16年4月1日施行

佐賀県

佐賀県環境の保全と創造に関する条例

平成18年3月1日改正施行

愛知県

自然環境の保全及び緑化の推進に関する条例

平成20年4月1日改正施行

〇 熊本県条例は、知事は、遺棄、逸出等により生態系に著しい影響を及ぼすおそれのある外来種を公表するものとし、県民等は、知事が公表した外来種を野外に遺棄等しないよう注意を払わなければならないとし、知事は指導することができる(7条)としている。

〇 石川県条例は、県内の在来種の生態系に著しく支障を及ぼす外来種の放出等を禁止する(156条)するとともに、特定外来種(特に著しく支障を及ぼしている外来種で知事が定めるもの)については、県は増殖の抑制のための施策を講ずるよう努める(157条)としている。

〇 佐賀県条例は、知事は地域を定めて移入規制種を指定することができる(65条)としたうえで、移入規制種の規制地域における放出等の禁止と適切な取扱いを定め、違反者に対して知事は勧告、公表をすることができる(66条)としている。

〇 愛知県条例は、県内の在来種の生態系に著しく悪影響を及ぼすおそれのある移入種を公表する(55条1項)としたうえで、公表された移入種の放出等を禁止し(55条2項)している。また、県は移入種の生息状況等の情報提供するよう努める(56条)ものとしている。

〇 熊本県、石川県、佐賀県及び愛知県の条例はともに、罰則規定は置いていない。

 

(外来種の放出等の禁止又は外来種の調査・情報提供等を定める条例)

〇 以上に示した条例とは異なり、外来種の放出等の禁止規定を置くものの、対象となる外来種の指定等は行わず、違反行為に対する知事の命令、罰則等について規定していない条例、または、禁止規定は置かず、外来種の調査やその情報提供等を規定している条例は、数としては多い。以下の条例である。

東京都

東京における自然の保護と回復に関する条例(平成12年制定)

移入種の放逐の禁止等(45条)

三重県

三重県自然環境保全条例(平成15年制定)

移入種の放逐等の禁止等(25条、26条)

長野県

長野県希少野生動植物保護条例(平成15年制定)

外来種に関する調査等(35条)

福島県

福島県野生動植物の保護に関する条例(平成16年制定)

外来種等に関する施策(29条、30条)

香川県

香川県希少野生生物の保護に関する条例(平成17年制定)

外来種に関する施策(32条、33条)

高知県

高知県希少野生動植物保護条例(平成17年制定)

外来種に関する調査等(30条)

宮崎県

宮崎県野生動植物の保護に関する条例(平成17年制定)

外来種又は移入種に関する調査等(33条)

徳島県

徳島県希少野生生物の保護及び継承に関する条例(平成18年制定)

外来種対策(30条~33条)

大分県

大分県希少野生動植物の保護に関する条例(平成18年制定)

外来生物に関する施策等(27条、28条)

京都府

京都府絶滅のおそれのある野生生物の保全に関する

条例(平成19年制定)

外来生物に関する施策(47条)

愛媛県

愛媛県野生動植物の多様性の保全に関する条例

外来生物による野生動植物の生息又は

生育への影響の防止(30条~33条)

奈良県

奈良県希少野生動植物の保護に関する条例(平成21年制定)

外来種に関する施策(35条、36条)

静岡県

静岡県希少野生動植物保護条例(平成22年制定)

外来種に関する施策(33条)

岡山県

岡山県自然保護条例(平成23年制定))

移入種に関する施策等(12条)

富山県

富山県希少野生動植物保護条例(平成26年制定)

外来種に関する施策(31条)

群馬県

群馬県希少野生動植物の種の保護に関する条例(平成26年制定)

外来種に関する施策(26条、27条)

福岡県

福岡県希少野生動植物種の保護に関する条例(令和2年制定)

外来種に関する施策(39条~41条)

〇 主として外来種の放出等の禁止規定を置くものとしては、東京都条例と三重県条例である。

 東京都条例は「何人も、国内及び国外を問わず人為的に移動した動植物で、都内における地域の在来種を圧迫し、生態系に著しく悪影響を及ぼすおそれのある種の個体を放ち、又は植栽し、若しくはその種子をまいてはならない。」(45条1項)とし、三重県条例もほぼ同様の規定(25条)を置いている。東京都及び三重県の条例は、外来生物法制定前に制定されている。

 なお、三重県条例は、併せて、特定外来魚(ブラックバス、ブルーギルその他の規則で定める魚類)について、県は、増殖を抑制するための措置を講じるよう努めるとともに、その生息する池沼の所有者に対して必要な措置をとることを勧奨することができる(26条)との規定を置いている。

〇 他の条例はすべて、外来種の調査やその情報提供等について規定している。

 例えば、長野県条例は「県は、外来種その他の本県の区域に移入された種で、指定希少野生動植物の個体の生息又は生育に支障を及ぼすおそれのあるものについて、その個体の生息又は生育の状況、その個体の生息地又は生育地の状況、指定希少野生動植物の個体の生息又は生育に及ぼす支障の程度その他必要な事項について調査をし、指定希少野生動植物の保護に関し必要な対策を講ずるものとする。」(35条)と規定し、福島県条例は「県は、外来種その他の県内に人を介して移入された種(以下「外来種等」という。)で、希少野生動植物の個体の生息又は生育に支障を及ぼすおそれのあるものについて、その個体の生息又は生育の状況、その個体の生息地又は生育地の状況、その個体が希少野生動植物の個体の生息又は生育に及ぼす支障の程度その他必要な事項について調査をし、及び希少野生動植物の保護に関し必要な措置を講ずるよう努めるものとする。」(29条)及び「県は、外来種等が希少野生動植物の個体の生息又は生育に及ぼす影響について県民の理解が促進されるよう、その情報の提供に努めるものとする。」(30条)と規定している。

〇 徳島県、大分県、愛媛県、岡山県及び福岡県の条例は、外来種の放出等の禁止及び外来種の調査・情報提供等の両方の規定を置いている。但し、放出等の禁止については、徳島県、愛媛県及び福岡県は侵略的外来種に限定し、大分県条例は努力義務としている。

〇 京都府及び大分県の条例は、国外由来の外来種のみを対象としている。

 

【市町村の条例】

〇 外来種対策に関する条例は、市町村においても少なからぬ団体で制定されている。以下、都道府県条例と同様に、いくつかのグループに分けて、市町村条例(令和4年4月1日現在で、施行されていることが確認できるもの)を概観する。

 

(外来種対策に関する単独条例)

〇 外来種対策に関する単独条例は、富士河口湖町、壱岐市、粟島浦村、明石市及び熊本市の条例である。

山梨県富士河口湖町

富士河口湖町特定飼養等施設からの特定外来生物

逸出防止、持出し禁止(生体に限る)及び監視指導員

設置に関する条例

平成17年5月23日公布

平成17年5月23日施行

長崎県壱岐市

指定外来種等による生態系等に係る被害の防止に

関する条例

平成23年12月16日公布

平成24年4月1日施行

新潟県粟島浦村

粟島浦村指定外来種等による生態系等に係る被害の

防止に関する条例

平成26年4月1日公布

平成26年4月1日施行

兵庫県明石市

あかしの生態系を守る条例

平成26年9月26日公布

平成26年10月1日施行

熊本市

江津湖地域における特定外来生物等による

生態系等に係る被害の防止に関する条例

平成26年10月7日公布

平成27年4月1日施行

〇 このうち、富士河口湖町及び熊本市の条例は、特定の湖におけるオオクチバス等の特定外来生物を対象にしている。

 富士河口湖町条例は、河口湖及び西湖における特定外来生物であるオオクチバスについて、湖の外への逸出の防止・持ち出し禁止に関し、町、町民、漁業協同組合、釣人等の責務を定める(2条~6条)とともに、監視指導員の設置(7条)について規定している。

 熊本市条例は、江津湖地域を対象とし、特定外来生物等の被害防止に関する市、市民、事業者等の責務(3条、4条)と情報共有等(5条)を定めるとともに、オオクチバス、ブルーギルその他の規則で定める特定外来生物等については、放流及び再放流を禁止し(9条)、市長は違反行為に対して助言・指導、勧告、公表をすることができる(10条~12条)としている。

〇 壱岐市及び粟島浦村の条例は、市長(町長)が指定外来種を指定した(3条)うえで、指定外来種の飼養等と放出を禁止するとともに学術研究及び興行目的のために指定外来種の飼養等をする場合は市長(町長)の許可が必要としている(4条)。また、市長(町長)は必要があると認める場合は指定外来種の防除をする(5条)としている。許可を得ないで飼養等をした者には罰則を科する(壱岐市条例10条、粟島浦村条例9条)とし、防除した場合は費用を原因者に負担させる(壱岐市条例11条、粟島浦村条例10条)としている。

〇 明石市条例は、市長が指定外来種を指定した(5条)うえで、その飼養者等の義務を定め(6条)、市長は必要があるときは指定外来種の防除等をする(8条)としている。また、指定外来種の放出等を禁止し(11条)、違反行為に対して市長が中止命令等を行い(122条)、命令違反者には罰則を科している(13条)。

 

(外来種の指定、放出等の禁止、市町村長の命令等に関する規定を置いている条例)

〇 外単独条例以外の条例のうち、対象となる外来種の指定、放出等の禁止、市町村長による命令等の規定を置いているのは、岡崎市、竹富町及び神戸市の条例である。

愛知県岡崎市

岡崎市自然環境保全条例

平成20年3月28日公布

平成20年10月1日施行

沖縄県竹富町

竹富町自然環境保護条例

平成29年3月21日公布

平成29年4月1日施行

神戸市

神戸市生物多様性の保全に関する条例

平成29年10月10日公布

平成29年10月10日施行

〇 岡崎市条例は、市長が指定移入種を指定したうえで、放出等を禁止し(14条)、市長は勧告、中止命令等、報告聴取、検査を行うことができる(15条、16条、18条)としている。中止命令等違反者について、市長は公表することができる(31条)とするとともに、罰則を科している(34条~36条)。

〇 竹富町条例は、町長が指定外来生物を指定し(29条)、指定外来生物を飼養等する者は町長に届け出なければならない(30条)としたうえで、指定外来生物の取扱いを定め(31条)、放出等を禁止する(33条)とともに、指定外来生物販売業者に販売に当たっての説明を義務づけ(34条)、町長は措置命令、報告徴収、立入検査等を行うことができる(32条、35条)としている。また、町長は必要があると認めるときは指定外来生物の防除を行い(36条)、それに伴う土地への立入り等及び損失補償の規定を置いている(37条、38条)。違反者に対して罰則を科している(53条~55条)。

〇 神戸市条例は、市長が指定外来種を指定した(11条)うえで、放出等を禁止するとともに、市長は中止命令等、立入検査、公表を行うことができる(12条)としている。また、指定外来種の販売者等に対して市長に対する届出を義務づける(13条)とともに、販売に当たっての書面による説明を義務づけている(14条)。罰則規定は置いていない。

 

(外来種の放出等の禁止を定める条例)

〇 外来種の放出等の禁止を定める条例は多い。以下のような条例である

岐阜県岐阜市

岐阜市自然環境の保全に関する条例(平成15年制定)

移入種の放逐等の禁止(11条)

秋田県秋田市

秋田市自然環境保全条例(平成15年制定)

移入種の放逐等の禁止(21条)

長野県千曲市

千曲市清潔で美しい環境づくりをめざす条例(平成15年制定)

移入種の放逐の禁止等(17条)

岡山市

岡山市環境保全条例(平成16年改正)

移入種の放出等の禁止(29条の9)

愛知県春日井市

春日井市自然環境の保全を推進する条例(平成16年制定)

外来種の放逐等の禁止(18条)

静岡県掛川市

掛川市自然環境の保全に関する条例(平成18年制定)

移入種の放逐等の禁止(12条)

沖縄県石垣市

石垣市自然環境保全条例(平成19年制定)

外来種の放逐等の禁止(30条)

滋賀県東近江市

東近江市自然環境及び生物多様性の保全に関する条例(平成19年制定)

外来生物対策の推進(26条)

広島県北広島町

北広島町生物多様性の保全に関する条例(平成20年制定)

外来種対策(30条~33条)

沖縄県八重瀬町

八重瀬町自然環境及び観光資源保全条例(平成22年制定)

外来種の放逐等の禁止(27条)

埼玉県久喜市

久喜市自然環境の保全に関する条例(平成22年制定)

侵略的外来種の放逐等の禁止等(12条)

東京都あきる野市

あきる野市生物多様性保全条例(平成29年制定)

外来種等の放逐の禁止等(19条)

石川県珠洲市

珠洲市生物文化多様性基本条例(平成31年制定)

外来生物への対策(9条)

〇 外来種の放出等の禁止に関しては、例えば、岐阜市条例は「何人も、国内及び国外を問わず人為的に移動した動植物で、市内における地域の在来種を圧迫し、生態系に著しく支障を及ぼすおそれのある種の個体を放ち、又は人の管理が及ばない状態で植栽し、若しくはその種子をまいてはならない。」(11条)と規定している。他のほとんどの条例も、ほぼ同様の規定を置いている。

 これらの条例は、禁止規定を置くのみで、違反行為に対する市町村長の命令や罰則等の規定は置いていない。

 ただし、千曲市条例は、違反行為に対して、市長は、調査、指導を行い(18条)、指導に従わない場合は措置命令を行うことができ(19条)、命令違反者を公表することができる(45条)としている。

〇 北広島町条例は、侵略的外来種の放出等の禁止(30条)のほか、外来種に関する情報収集、情報提供等の規定(32条、33条)を置いている。



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