ギャンブル等依存症対策に関する条例

(令和5年12月16日更新)

【大阪府条例】

〇 大阪府は、議員提案により、令和4年10月に、

大阪府 大阪府ギャンブル等依存症対策基本条例 令和4年10月31日公布 令和4年11月25日施行

を制定した。

〇 ギャンブル等依存症対策については、「ギャンブル等依存症対策基本法」(平成30年7月13日公布・平成30年10月5日施行 以下「基本法」という。)が制定されているが、本条例は、基本法で定めるもののほか、「府が実施するギャンブル等依存症対策に関し基本となる事項を定めることにより、ギャンブル等依存症対策を総合的かつ計画的に推進し、もって府民の健全な生活の確保を図るとともに、府民が安心して暮らすことのできる社会の実現に寄与すること」(1条)を目的としている。

〇 「ギャンブル等依存症」の定義については、「ギャンブル等(法律の定めるところにより行われる公営競技、ぱちんこ屋に係る遊技その他の射幸行為をいう。)にのめり込むことにより日常生活又は社会生活に支障が生じている状態」(2条)として、基本法2条と同じ定義規定を置いている。

〇 前文で、「ギャンブル等依存症は、多重債務や失業といった経済的問題、うつ病の発症といった健康問題、それらに伴う家族の問題、学生等における学業の中断といった問題によって日常生活や社会活動に支障を生じさせ、貧困、虐待、自殺、犯罪等の重大な社会的問題を引き起こしている。さらには昨今、海外インターネット経由のオンライン・カジノの増加や、公営競技がスマートフォン等によって手軽に利用できることにより、ギャンブル等依存症の問題がより拡大し、深刻化する傾向にある。」としたうえで、「府のギャンブル等依存症対策をさらに進めるとともに、国、府、市町村、医療機関、関係機関、自助グループをはじめとする民間団体等の間における連携をさらに強化する必要がある。」としている。

〇 そのうえで、「ギャンブル等依存症対策推進計画」の策定を知事に義務づけ(7条1項)、推進計画に定める施策については原則として具体的な目標及びその達成の時期を定めるものとし(同条2項)、推進計画の策定・変更時に議会報告と公表を知事に義務づける(同条3項)とともに、「ギャンブル等依存症対策推進本部」を設置する(12条)こととしている。

 併せて、アルコール、薬物等に対する依存に関する施策との有機的な連携への配慮(3条)、市町村との連携(4条)、ギャンブル等依存症問題啓発月間の設置(5条)及び財政上の措置(6条)を定めるほか、基本的施策として、若年者への啓発(8条)、依存症支援拠点等の整備(9条)、民間団体の活動に対する支援(10条)及び連携協力体制の整備(11条)について規定している。

〇 本条例と併せて、「大阪府附属機関条例の一部を改正する条例」及び「大阪府基金条例の一部を改正する条例」が制定されている。前者の条例は「大阪府ギャンブル等依存症対策推進会議」の設置について規定し、後者の条例は「ギャンブル等依存症対策基金」の設置について規定している。

〇 なお、大阪府は、「大阪・夢洲地区特定複合観光施設区域の整備に関する計画」について、特定複合観光施設区域整備法9条1項の規定に基づく認定の申請を、令和4年4月27日に行い、令和5年4月14日に国土交通大臣より認定を受けた(大阪府HP「大阪・夢洲地区特定複合観光施設区域の整備に関する計画」参照)。

〇 大阪府のギャンブル等依存症対策については、大阪府HP「ギャンブル等依存症対策」を参照されたい。

 

【ギャンブル等依存症対策について】

〇 「特定複合観光施設区域の整備の推進に関する法律」(平成28年12月26日公布・施行 以下「IR推進法」という。)の成立時の附帯決議において、「ギャンブル等依存症患者への対策を抜本的に強化すること。(略)また、カジノにとどまらず、他のギャンブル・遊技等に起因する依存症を含め、ギャンブル等依存症対策に関する国の取組を抜本的に強化するため、ギャンブル等依存症に総合的に対処するための仕組・体制を設けるとともに、関係省庁が十分連携して包括的な取組を構築し、強化すること。(略)」(平成28年12月13日参議院附帯決議)等が明記された。

 これを踏まえ、平成28年12月22日に「ギャンブル等依存症対策推進関係閣僚会議」が設置され、同閣僚会議は平成29年8月29日に「ギャンブル等依存症対策の強化について」を取りまとめた。

〇 また、議員立法により「ギャンブル等依存症対策基本法」が制定され、平成30年7月13日に公布され、同年10月5日に施行された。

 基本法は、政府に「ギャンブル等依存症等対策推進基本計画」の策定を義務づけ(12条)、都道府県に「都道府県ギャンブル等依存症対策推進計画」の策定を努力義務とする(13条)とともに、内閣に「ギャンブル等依存症対策推進本部」を設置し(24条)、同本部に「ギャンブル等依存症対策推進関係者会議」を設置する(32条)こととしている。また、基本的施策として、教育の振興等、ギャンブル等依存症の予防に資する事業の実施、医療提供体制の整備、相談支援等、社会復帰の支援、民間団体の活動に対する支援、連携協力体制の整備、人材の確保等、調査研究の推進等、実態調査の10項目を規定している(14条~23条)。

 政府のギャンブル等依存症対策推進本部の開催状況、ギャンブル等依存症等対策推進基本計画の内容等については、首相官邸HP「ギャンブル等依存症対策推進本部」を参照されたい。

 関係省庁によるギャンブル等依存症対策等については、消費者庁HP「ギャンブル等依存症でお困りの皆様へ」、厚生労働省HP「依存症対策」及びカジノ管理委員会HP「依存防止対策」を参照されたい。

〇 なお、IR推進法5条に基づく法制上の措置として、「特定複合観光施設区域整備法」(以下「IR実施法」という。)が平成30年7月27日に公布され、令和3年7月19日に施行されている。

 政府のIR推進の取組みについては観光庁HP「特定複合観光施設(IR)」を、IR実施法213条に基づき設置されたカジノ管理委員会については「カジノ管理委員会HP」を参照されたい。

 令和4年4月27日に大阪府と長崎県がIR実施法9条1項に基づく「特定複合観光施設区域の整備に関する計画」の認定の申請を行い(観光庁資料「特定複合観光施設区域整備計画の申請状況(令和4年4月27日)」参照)、このうち、大阪府の「大阪・夢洲地区特定複合観光施設区域の整備に関する計画」が令和5年4月14日に認定された(観光庁資料「特定複合観光施設区域の整備に関する計画の認定について(公示)」)。


 

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