笑いの条例

(令和6年12月12日更新)

【山形県の条例】

〇 山形県は、令和6年7月に、議員提案により、笑いに関する条例を制定した。すなわち、

山形県

山形県笑いで健康づくり推進条例

令和6年7月9日公布

令和6年7月9日施行

である。

〇 「笑うことが健康に良いということは経験的に知られてきたところであるが、県民を対象とした研究によれば、声を出して笑う頻度が高い人は死亡のリスクが低いという結果も出ており、他にも笑いによる運動効果、心理的負担の軽減効果、他者とのつながりを豊かにする社会的な効果等が様々な研究において示されているところである。」としたうえで、「県民一人一人が笑うことによる効果等に関心を持ち、理解を深めることで、健康の増進に生かすとともに、笑いが伝わり、笑いで人と人とがより良い関係を構築することが期待される。」とし、「家庭や職場等で笑いによる心身の健康づくりを推進することにより、明るく健康的な県民生活の実現を目指して、この条例を制定する。」(前文)としている。

 毎月8日を「県民笑いで健康づくり推進の日」とする(2条)とともに、笑いによる心身の健康づくりの推進に関して県、事業者及び県民の役割を定め(3条~5条)、事業者の役割として「笑いに満ちた職場環境の整備等」に努める(4条)、県民の役割として「1日1回は笑う等」に努める(5条)としている。なお、「県、事業者及び県民は、この条例の実施に当たっては、個人の意思を尊重し、及びその置かれている状況に配慮するものとする。」(6条)との配慮規定を置いている。

〇 本条例の審議に当たっては、笑うことが困難な人々の人権を損なうことがあってはならないなどの反対意見があり、賛否が分かれた(賛成26、反対16 毎日新聞令和6年7月19日配信記事「笑いで健康づくり条例、提案の真意は? 山形で都道府県初の施行」)。

 なお、議員提案による本条例の制定を受けた県の対応については、山形県HP「山形県笑いで健康づくり推進条例について」を参照されたい。

〇 本条例提案の背景としては、「北海道が笑いで健康増進を啓発するため、8月8日を「道民笑いの日」とする要領を制定していることを知ったのがきっかけ」であり、また、「地元の山形大医学部がかつて県民約2万人を対象に実施した調査結果から、笑わない人は笑う人に比べ死亡率が高く、笑う人の心疾患のリスクが低いなどのデータを見つけた」(前記毎日新聞配信記事)とされる。

 「道民笑いの日」は「「道民笑いの日」制定要領」(平成28年8月8日施行)により制定され、「健康寿命の延伸に向けた取組の一つとして、笑いが健康にもたらす効果が大きいことに着目し、笑いによる健康づくりについて、道民の皆様にお伝えすることを目的に「道民笑いの日」を制定しました。」(北海道HP「道民笑いの日について」)とされる。

 

【その他の笑いに関する条例】

〇 「笑い」をテーマにした条例は山形県条例以外には確認できない(令和6年12月1日時点)が、条例の前文で「笑い」の文言を使用する条例がわずかにあり、また、条例名や条例の前文等で「笑顔」の文言を使用する条例が少なからずある。

 例えば、以下のような条例である。

大分県臼杵市

臼杵市まちづくり基本条例

平成24年12月25日公布

平成25年4月1日施行

東京都北区

東京都北区子どもの権利と幸せに関する条例

令和6年3月27日公布

令和6年4月1日施行

山形県金山町

金山町みんな笑顔の健康長寿推進条例

平成30年6月8日公布

平成30年6月8日施行

千葉県四街道市

四街道市みんなが笑顔のまち子ども条例

令和2年3月31日公布

令和2年5月5日施行

新潟県妙高市

妙高市人と地球が笑顔になるSDGs推進条例

令和4年12月23日公布

令和4年12月23日施行

 臼杵市条例は前文で「どんな困難でも知恵と笑いで乗り切るユーモア精神を持ち合わせる臼杵人気質は、多彩な文化人・経済人を生み出してきました。」と規定し、北区条例は前文で「大人のみなさんには、子ども同士や大人と子どもで共に笑い合える時間を作ってほしいです。」と規定している。金山町条例、四街道市条例及び妙高市条例は条例名等で「笑顔」の文言を使用している。

〇 国の法令においては、笑い、笑う、笑顔等の用語は一切使用されていない。



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