歩くまちづくりに関する条例

(令和7年3月23日作成)

【条例の制定状況】

〇 歩くまちづくりを標榜する条例がある。以下のような条例が確認できる。

石川県金沢市 金沢市における歩けるまちづくりの推進に関する条例 平成15年3月24日公布 平成15年4月1日施行
新潟県見附市 見附市歩こう条例 平成24年3月22日公布 平成24年4月1日施行
兵庫県豊岡市 豊岡市歩いて暮らすまちづくり条例 平成24年3月29日公布 平成24年4月1日施行
新潟市 新潟市公共交通及び自転車で移動しやすく快適に歩ける

まちづくり条例

平成24年7月2日公布 平成24年12月1日施行
兵庫県加西市 加西市歩くまちづくり条例 平成27年3月25日公布 平成27年4月1日施行
神奈川県大和市 大和市歩く健康づくり推進条例 平成30年9月27日公布 平成30年10月1日施行

〇 いずれの条例も、住民が安全かつ快適に歩くことができるまちづくりの推進を目的としているが、金沢市条例は自動車交通の抑制と徒歩での回遊性の向上に、新潟市条例は公共交通及び自転車の利用環境の整備に、見附市、豊岡市、加西市及び大和市の条例は市民の健康づくりの推進に重点が置かれている。こうしたこともあり、条例名を、金沢市及び新潟市の条例は「歩けるまちづくり」とする一方、見附市、豊岡市、加西市及び大和市の条例は「歩く(歩こう)まちづくり」としている。

 制定年は、金沢市条例が平成15年とこれらの条例の中では最も早く、見附市、豊岡市及び新潟市の条例はいずれも平成24年、加西市条例は平成27年、大和市条例は平成30年となっている。

(金沢市条例)

〇 金沢市条例は、「市民が本市の自然、歴史、文化等を背景としたまちの個性に親しみながら、安全かつ快適に歩くことができるまちづくり(以下「歩けるまちづくり」という。)」の推進を目的とし(1条)、基本理念として、歩けるまちづくりは、歩行者の歩行と自動車等の通行とが調和した良好な交通環境の整備を図ることを基本とする(2条1項)とともに、歩くことにより金沢のまちの魅力が高まり、まちに対する愛着が深まるという意識が醸成されるとともに、市民等が市内を徒歩で快適に回遊できるための歩行環境の向上が図られることにより行われなければならない(2条2項)としている。

 市長は基本方針を定めなければならない(6条)とするとともに「歩けるみち筋」を指定できる(7条)とし、「歩けるまちづくり団体」が「歩けるまちづくり構想」を策定した場合は市長と「歩けるまちづくり協定」を締結することができる(8条、9条)としている。

 金沢市の歩けるまちづくりの取組みについては、金沢市HP「歩けるまちづくり推進」を参照されたい。なお、金沢市は、本条例とは別に「金沢市における公共交通の利用の促進に関する条例」(平成19年3月23日公布・同年4月1日施行)を制定している。

(見附市条例)

〇 見附市条例は、「市民が健康で、かつ、生きがいを持ち、安心安全で豊かな生活を営むことのできるように歩くことを基本にしたまちづくり(以下「歩くを基本にしたまちづくり」という。)」の推進を目的とし(1条)、基本理念として、歩くを基本にしたまちづくりは、歩くことは元来楽しく、心身を健やかにするものであり、また環境に優しいものであるという認識のもとに、市民が徒歩で快適に移動できるための歩行環境の向上が図られることにより行われなければならず、徒歩はもとより、自転車や公共交通での移動を軸に、自動車など他の移動手段と適切に役割分担されたもとで行われなければならない(2条2項~4項)としている。

 市長は、基本方針を定めなければならない(7条)とするとともに、歩くを基本にしたまちづくりを推進するため必要がある場合は、市民、地域コミュニティ及び事業者が行う行為について市に対する申請書類を不要とする等の特例措置を講ずることができる(10条)としている。

 見附市は、本条例と同時に「見附市健幸基本条例」を制定している。これらの条例の内容については、見附市HP「「健幸基本条例」「歩こう条例」について」を参照されたい。

(豊岡市条例)

〇 豊岡市条例は、「歩いて暮らすことを基本とした健康あふれるまちづくり(以下「歩いて暮らすまちづくり」という。)」の推進を目的とし(1条)、「市民が健康に対する関心を高め、健康寿命の伸長につながる行動を自ら積極的に行うことにより、市民一人一人に笑顔があふれるまちづくりを進めること」、「市民が健康づくりを通して人や地域のつながりを深め、健康あふれる元気なまちづくりを進めること」等を歩いて暮らすまちづくりの基本理念としている(3条)。市長は、「歩いて暮らせるまちづくり構想」を策定する(8条)としている。

 豊岡市の歩いて暮らすまちづくりの取組みについては、豊岡市HP「歩いて暮らすまちづくり」及び「豊岡市歩いて暮らすまちづくり構想を策定しました~健康政策から健康まちづくり政策へ~」を参照されたい。

(新潟市条例)

〇 新潟市条例は、「公共交通及び自転車で移動しやすく快適に歩けるまちづくり(以下「移動しやすいまちづくり」という。)」の推進を目的とし(1条)、基本理念を「移動しやすいまちづくりは、歩行、自転車及び公共交通が日常生活及び社会生活に密接に関わるものであるという認識の下、超高齢社会への対応、健康の増進、環境への負荷の低減、市内外の交流の拡大及び地域の活性化に資することを考慮し、交通環境の整備並びに市民の歩行並びに自転車及び公共交通の自発的な選択及び利用の推進が一体となって行われなければならない。」(3条)と規定している。

 市長は基本計画を策定するものとし(9条)、主要な施策として歩行環境の整備、まち歩きの推進、自転車に関する環境の整備、公共交通の環境整備、エコ通勤の推進等を規定している(10条~21条)。

(加西市条例)

〇 加西市条例は、「歩くこと、すなわち、市民全体の身体活動量や交流を増やすことが健康の基本であるという考えをもとにしたまちづくり」の推進を目的とし(1条)、「市民が健康づくりを自ら積極的に行うことにより、健康で幸せに暮らせるまちづくりを進めること」、「歩くことは、出会いや交流を深め、楽しく健康になれるものであり、また環境にも優しいものであるという認識のもとにまちづくりを進めること」等を歩くまちづくりの基本理念としている(3条)。

 加西市の歩くまちづくりの取組みや本条例の内容については、加西市HP「「健幸都市」加西を目指した歩くまちづくり」及び「「加西市 歩くまちづくり条例」とは」を参照されたい。

(大和市条例)

〇 大和市条例は、「歩く健康づくり」を「日常生活の中で歩くことに着実に取り組むことによって、自らの生活習慣の改善等、心身の健康づくりに取り組むこと」(2条1号)と定義づけたうえで、歩く健康づくりの推進を目的としている(1条)。

 大和市の歩く健康づくりの取組みについては、大和市HP「歩く健康づくりについて」を参照されたい。


 

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