地下鉄サリン事件に関する条例
(令和7年3月23日作成)
【条例の制定状況】
〇 東京都足立区は、地下鉄サリン事件の風化防止を目的として、令和7年2月28日に、
東京都足立区 | 令和7年2月28日公布 | 令和7年2月28日施行 |
を、制定した。
本条例は、「平成7年3月20日に神経ガスのサリンにより多くの死傷者を発生させた地下鉄サリン事件について、風化防止のため区民に対し積極的な啓発を行うことにより、地下鉄サリン事件に関する区民の認識を深めること」(1条)を目的とし、区の役割として、「地下鉄サリン事件に関する区民の認識を深めるため、積極的な風化防止の啓発活動を行うよう努めるものとする。」(2条1項)及び「地下鉄サリン事件が発生した3月20日を中心に、その趣旨にふさわしい事業を実施するよう努めるものとする。」(2条1項)と規定するとともに、「区は、国等に対し、地下鉄サリン事件の風化防止に関する積極的な働きかけを行っていくものとする。 」(3条)と規定している。
足立区は、「化学兵器のサリンを使用した、オウム真理教による無差別大量殺人事件『地下鉄サリン事件』。この事件発生から令和7年3月20日で30年が経過します。世界的にも類を見ない凶悪犯罪であり、絶対に風化させてはならない事件です。」としたうえで、本条例を「甚大な被害をもたらしたこの事件の風化防止のため、区民に対して積極的な啓発を行い、事件への認識を深めることを目的として、30の節目となる今年、制定しました。」(足立区HP「風化させない、あの日のことを ー地下鉄サリン事件から30年ー」)としている。
〇 足立区が、本条例を制定する背景として、オウム真理教の後継団体の施設が足立区内に存在していることがある。
〇 足立区は、「平成22年、オウム真理教の後継団体アレフが区内に新たに進出。以降、区民の日常生活の平穏に対する脅威や不安感はぬぐいきれていません。区では、その不安感を取り除くための取り組みを行っています。」(足立区HP「風化させない、あの日のことを ー地下鉄サリン事件から30年ー」)として、平成22年には、
東京都足立区 | 平成22年10月22日公布 | 平成22年10月22日施行 |
を、制定している。
「平成22年10月、区は区民の安全と周辺住民の平穏な生活を確保することを目的とした条例を制定しました。この条例に基づき、区がアレフに対して行った過料処分に関する裁判などで後継団体と闘っています。」(足立区HP「風化させない、あの日のことを ー地下鉄サリン事件から30年ー」)としているのである。
この「反社会的団体の規制に関する条例」は、「無差別大量殺人行為を行った団体の規制に関する法律(・・・)第5条第1項に規定する観察処分を受けた団体(当該団体の支部、分会その他の下部組織等当該団体と同一性を有する団体を含む。)」を「反社会的団体」とした(3条1項)うえで、反社会的団体が区内において活動するとき、又は反社会的団体の指示その他当該団体の意向に沿ってその構成員を区内に居住させるときには、当該団体は、役職員の氏名、住所及び役職名並びに構成員の氏名及び住所等を定期的に区長に報告しなければならない(5条2項)とし、報告を拒み、又は虚偽の報告をしたときは5万円以下の過料を科す(10条1号)等とする内容である。
オウム真理教の後継団体に対する足立区の取組みについては、足立区HP「オウム真理教後継団体(アレフ)に対する区の対応」を参照されたい。