2005年 夏

貸付制度に基づく貸付金の法的性質

Question

地方公共団体が特定の行政目的を達成するため、条例、要網等により資金の貸付制度を創設し、消費貸借契約を締結して貸付を行った場合、この金銭債権は、公法上の債権ですか、あるいは私法上の債権ですか。

Answer

明らかに、私法上の債権です。したがって、民法の適用を受け、消滅時効に必要な期間は10年であり、かつ、援用が必要です。

行政活動は、行政需要に対して、これを行うものです。その際、行政需要に応ずる方法として、法律・条例等に基づき、公権力の行使として行政目的を達成することもあれば、住民と対等の立場に立って行政活動をし、行政目的を達成する場合もあります。

地方公共団体が、住民に対して行う貸付は、もちろん営利目的ではなく、行政需要に応ずるために行うものです。

ひとり親の家庭で、親の収入が少ない場合に、教育資金を貸し付けたり、中小企業の設備を近代化し、地場産業の発展を促進させるための貸付金など、地方公共団体は、貸付金制度を創設するときは、必ず明確な行政目的をもっています。しかし、その行政目的を達成する手段は、私法上の金銭消費貸借契約によるものです。行政目的によって、金銭消費貸借契約の法的な性質が変化するものではありません。このことは、仮に、貸付制度を条例で創設し、貸付の額及び相手方を長の決定によるとしても、それは、形式的行政行為であり、金銭消費貸借契約という実質を変化させるものではありません。

したがって、時効期間が経過しても、時効の援用があるまでは、地方公共団体の債権は消滅しませんから、時効期間経過後に、援用を待たずに、不能欠損処理をするためには、議会の議決を必要とします。

議会の議決を得ることが煩雑と考えるのであれば、あらかじめ、地方自治法180条1項に基づく、専決の議決を得ておくことが必要となります。長提案の条例により、債権放棄の手続を定めることは、議会の権限との関係で、問題があります。専決の議案の提出権は議会にあるものと考えられるからです。

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