法定外公共物の管理

法定外公共物(長狭物)は、公の施設に該当しますか。その管理に当たっては、条例を制定する必要がありますか。

道路法、河川法等の適用がない、里道、水路、普通河川等に使用されている土地を「法定外公共物」といい、地方分権推進一括法の施行に伴い改正された国有財産特別措置法により、現実に道路や水路としての機能を有しているものについては、平成17年3月31日までに、市町村に無償譲与されることとなりました。

そこで、無償譲与された法定外公共物が公の施設に該当するかとのご質問ですが、該当すると考えるべきです。すなわち、公の施設とは、「住民の福祉を増進する目的をもってその利用に供するための施設」をいい、人工的に設置された施設に限るべきではないからです。国有財産特別措置法により、市町村に譲与されることとなった法定外公共物は、現に河川等又は道路の用に供されているものですから(同法5条1項5号)、公の施設の要件を具備するものです。

公の施設に該当する以上、その設置及び管理に関しては、地方自治法244条の2第1項により条例で定めることが必要になります。法定外公共物が無償譲与される以前においても、地方公共団体によっては、公共物管理条例を制定していましたし、その当時においても、この条例は公の施設の管理条例たる一面を有していたとされています。それが今回の改正で、法定外公共物の所有権も市町村に帰属し、その機能管理及び財産管理とも自治事務となったのですから、法定外公共物の設置及び管理に関する条例を制定する必要性が生じたものと考えます。ただし、すべての法定外公共物について個別の設置規定を置くことは多大な労力を要する割には、その効果があまり期待できないことから、条例中に、一般的な設置に関する規定を置けば足りるものと考えます。

法定外公共物の管理に関する条例において、里道を道路法の手続に準じて、道路の認定や廃止に議会の議決を必要とするとの考え方もあり得るでしょうが、道路法が適用外とした道路にまで、道路法と同じ手続を必要とすることには疑問を感じざるを得ません。

また、占用許可については、法定外公共物に共通する手続を規定し、使用料も独自に規定した方が、法定外公共物の特性に応じた規定を制定することができるものと考えます。ただし、法定外公共物の管理に関する条例が制定されるまでの間は、一般法である地方自治法238条の4第2項による行政財産の許可によることになります。