訴訟記録に含まれる個人情報の開示

当市が有する訴訟記録(訴状、答弁書、準備書面、書証、判決書等)について、情報公開条例に基づく開示請求があった場合において、関係人の氏名等個人に関する情報を開示すべきでしょうか。

地方公共団体の保有する訴訟記録も当該地方公共団体の情報公開条例の対象となります。したがって、情報公開条例に定める非開示事項に該当しない部分については、開示するのが原則です。しかしながら、訴訟記録の中には、個人を識別できる情報や、法人に関する情報で非開示とすることができる情報が含まれていることが多いものと思われます。このような情報については、通常の地方公共団体が保有する情報と同様に、非開示事項に該当するか否かを判断して、該当する部分を除き、開示することとなります。

民事訴訟法91条1項は、何人でも訴訟記録の閲覧を請求し得る旨を規定していますが、平成8年の民事訴訟法の改正においては、改正前の民事訴訟法とは異なり、単純に閲覧を認めるだけではなく、秘密保持のための閲覧等の制限規定を設け、一定の要件に該当する秘密については、当事者の申立てにより閲覧等を制限することができることとされました(民事訴訟法92条)。したがって、貴市が保有する訴訟記録に関し、民事訴訟法92条に基づく閲覧等を制限する裁判所の決定がある場合には、情報公開条例に規定する非開示事由該当性の判断には、大きな影響を及ぼすものと思われます。

なお、民事訴訟法91条において、原則として、訴訟記録を閲覧することができることとされていることと、情報公開条例上非開示事項に該当するか否かの判断は、民事訴訟法の目的と情報公開条例の目的が異なりますから、民事訴訟法91条を理由に、訴訟記録に記載されていることをもって、非開示事項に該当しないと判断してはいけないと考えます。情報公開条例の規定及び目的に従って、非開示事項該当性を判断してください。