建築制限条例による規制

当市では、地元住民の発意により、市内の第一種低層住居専用地域であるA地区において地区計画を定め、建築基準法68条の2第1項の規定に基づく建築制限条例を制定しようと考えています。当該地区計画においては、用途の制限、高さの最高限度、壁面の位置の制限及び室面積の最低限度を定める予定です。このうち、高さの最高限度については、地元住民から「建築物の高さは7mを超えてはならない。ただし、建築物の高さ7mを超える部分の外壁又はこれに代わるべき柱、バルコニーなどの面から道路の境界線までの距離が3m以上あり、かつ冬至日においての当該建築物による日影が建築基準法別表4の1の項の(2)の号に掲げる時間未満の場合は、この限りでない。」という趣旨の規定にしたい旨の強い要望があります。この要望を建築制限条例において、規制することに問題はありませんか。

建築基準法68条の2に基づく建築制限条例は、地区計画等の内容として定められたものを建築基準法上の制限とするもので、いわゆる委任条例と呼ばれるものの1つです。建築基準法68条の2は、地区計画で定められた内容のうち、特に重要な事項に限って条例で定め建築基準法上の制限とすることにより、地区計画に実効性をもたせようとしています。したがって、建築制限条例において規定できる事項は、建築基準法68条の2及び同条の委任を受けた同法施行令136条の2の5において規定される事項に限られます。

同法施行令136条の2の5によれば、日影規制、建築物の各部の高さについては建築制限条例で定める事項として規定されておらず、かつ、建築物の高さの最高限度について、地階を除く階数が2である建築物の通常の高さを下回らない数値であることと規定していることからすれば、日影規制はもちろんのこと、建築物各部の高さについても、建築制限条例において規定することはできないものと考えるべきでしょう。