条例による補助金の交付義務

本市では、一定の要件を満たす事業を実施する者に対し、補助金を交付することができる旨を規定した条例を制定しており、当該条例において、補助金の交付を受けることができる事業の要件、補助金の交付申請手続、補助金交付決定の形式等を定めています。このような条例を制定している場合、当該条例に規定する要件を満たす事業を実施する者に、補助金の交付を受ける法律上の権利を付与したものとされ、本市に補助金の交付義務が生ずると判断されるのかのご意見をお聞かせください。

補助金は、自治法232条の2に基づき、「公益上必要がある場合において」交付することができるものです。条例で、補助金の交付要件、補助金交付先に対する監督権限等を定め、補助金交付決定に処分性を与えている場合があります。ご質問の場合も、補助金交付決定に処分性を与えているものと思われます。この場合、補助金の交付を受けようとする者は、条例により補助金交付申請権が発生し、申請を受けた市は、これを審査し条例で定める補助金交付の要件を具備している否かを審査し、応答する義務が生じます。この段階では、市に補助金交付義務は生じていません。補助金交付義務は、補助金交付決定を行った場合に初めて生じます。

条例において、補助金交付要件を備えているものから申請があれば、必ず交付決定をしなければならないという趣旨の規定を置いていれば、結果として、交付義務が発生することとなります。このような事態を避けるためには、補助金の予算額を超える場合には、補助金交付要件を備えていても、その中で優先順位に従って交付決定するとか、抽選により交付決定するとかの手段を条例で規定することがあります。