2006年 夏

ごみ収集有料化の法的根拠

Question

当市では、廃棄物の最終処分場の有効活用やごみ処理経費の削減のために、市民から排出されるごみの減量を実現せざるを得ない状況に追い込まれています。これまでも、事業所系のごみの有料化を行ってきましたが、さらに、ごみ処理経費の一部をごみの排出量に応じて市民が負担し、ごみ処理費用の公平性を図り、ごみ問題に関する市民意識をさらに高め、ごみ減量と資源化を推進するために、家庭系ごみの有料化を実施することを検討し始めました。現在検討している案としては、家庭系ごみの収集手数料に関する条例を制定し、具体的な手法として、市民が指定販売店から有料指定袋(ごみ処理手数料を含む。)を購入してごみを排出し、市は従来どおり戸別にごみを収集することとし、手数料収入はごみ処理費用の一部(直接経費の2割弱)にとどまる金額としたいと考えています。

家庭系ごみの収集手数料を徴収することに問題がありますか。

Answer

家庭系ごみの有料化については、議論が分かれているところです。議論が分かれる原因は、平成11年改正前の廃棄物処理法6条の2第6項は「市町村は、当該市町村が行う一般廃棄物の収集、運搬及び処分に関して、条例で定めるところにより手数料を徴収することができる」と規定していましたが、平成11年の改正で、この条文を削除したことにあります。この条文が残っていれば、法律の明文規定に基づき、手数料を徴することに疑義は生じなかったものと思います。

まず、地方自治法227条は「普通地方公共団体の事務で特定の者のためにするものにつき、手数料を徴収することができる」としています。同条が規定する「特定の者のため」にする事務については「個人の要求に基づき主としてその者の利益のために行う事務(身分証明、印鑑証明、公簿閲覧等)の意で、もっぱら地方公共団体自身の行政上の必要のためにする事務については手数料を徴収できない」とする古い行政実例(昭和24年3月14日)があります。そこで、家庭系のごみについてはすべての家庭から排出されるものであり、これを収集することは「特定の者のため」という要件を充足しないので、家庭系ごみの収集について手数料を徴収することは地方自治法に違反するのではないかとの意見があります。この立場に立てば、家庭系のごみ収集は、地方公共団体の本来的な事務ですから、税金により賄うべきものであるということになります。

しかしながら、ごみの減量は、多くの地方公共団体にとって重要な課題のひとつです。そこで、ごみの分別収集、事業所系ごみの有料化などいろいろな方策がとられていることはご承知のとおりです。そのような対策の中で、住民がごみの排出量に応じた手数料を負担することにより、住民がごみとなる物は買わないなどの家庭ごみの減量に工夫をしてくれるのではないかという期待から、家庭系ごみ収集手数料の有料化という施策の検討が行われるようになり、すでに実施している地方公共団体もあります。

家庭系ごみ収集の有料化が地方自治法227条に抵触しないとすることについては、いくつかの考え方があり得ます。

まず、住民のすべての家庭からごみが排出されるのであるから、原則としては、特定の者のためにする事務ではないが、一定量以上排出する場合においては、それは多量にごみを排出する「特定の者のため」にする事務であるとする考え方です。この考え方に従えば、例えば、ごみ収集はすべて市町村の指定の収集袋により行い、すべての家庭に一定量のごみ収集袋を配布し、それ以上に収集袋が必要な場合には、ごみ収集手数料を含む価格のごみ収集袋を購入してもらい、これにより手数料を徴収すこととなります。一定量以上のごみを排出した場合には、それを収集することは「特定の者のため」にする事務であるとするもので、わかりやすい説明といえましよう。ただし、この方法だと、ごみ収集袋を各家庭に配布するのに費用がかかり、人口が多い市町村では現実的ではないように思えます。

次に、住民が家庭ごみを収集所に排出することにより、住民からの要求により市町村が処理することとなり、かつ、その要求内容、すなわち、ごみの量が家庭により異なるのであるから、それぞれの家庭の利益のために行なう事務と評価する事ができ、「特定の者のため」にする事務であるとする考え方があります。この考え方では、その前提として、家庭ごみの収集、運搬、処理についての費用の大半は税金で賄っているということがあります。住民全員に対するサービスの基本的な部分については手数料は徴収することはできないが、排出するごみの量は各家庭によって異なるのであるから、その排出量に応じた手数料を徴収することは、「特定の者のため」にする事務の要件を充足し、地方自治法227条に抵触しないとするのです。ただ、この考え方では、やはりすべての家庭が「特定の者」にあたるとする点で、住民にとって、理解しにくい点が残ります。

ほかにも、家庭系ごみの有料化が地方自治227条に抵触しないとの説明のしかたがあり得るでしょうが、明快な説明はむずかしいのではと思われます。

そこで、手数料として説明することに疑義が残るのであれば、法定外目的税として徴するという方法もあり得ますが、現実的ではないでしょう。

この問題については、残念ながら、明快な説明ができませんが、ごみの減量のために、家庭系のごみの有料化も有効な対策のひとつであるとすれば、立法的解決を図ることにより、疑義が出されないようにすべきではないかと考えます。

上へ戻る