債権の消滅事由

市有地の土地賃貸借契約において、賃借人(主債務者)が死亡しました。賃借人には積極財産がありません。そこで、当市は連帯保証人に賃料債務の履行を請求したいと考えています。この場合、賃借人(主債務者)の相続人が不在のとき又は相続人全員が相続を放棄したときは、賃料債務(主債務)は消滅し、連帯保証人の保証債務も附従性により消滅することになりますか。

債権の消滅事由には、債務者の死亡は当たりません。すなわち、債権の消滅事由には、弁済(民法474条)、相殺(民法505条)、更改(民法513条)、免除(民法519条)、混同(民法520条)のほか、債権に終期があるときは終期の到来、消滅時効の完成、債務者の責めに帰すべからざる事由による債務不履行、債権の発生原因たる契約が解除・取消によって消滅した場合であるとされています。債務者の死亡、相続人の不存在では、債務は消滅しません。このことは、積極財産の所有者が死亡し、相続人が不在の場合に、相続財産管理人が選任され、債務弁済後の資産を特別縁故者に帰属させる制度があることからも、理解していただけるかと思います。

したがって、法定相続人がいない主債務者が死亡したとしても、そのことにより保証債務の効力には何らの影響も受けません。ご質問の場合には、保証人に対し、未払い地代の請求をすることができます。