2007年 夏

逆算の計算方法

Question

期間の計算に関して、「2箇月前」等の逆算の場合の計算方法について疑問があります。

Q1

例えば、条例で施設の予約を2箇月前から予約できると規定されている場合、使用日を「2月28日」とした場合の予約可能の日は12月 28日でよいでしょうか
同条例について、使用日を「1月31日(1月の末日)」とした場合の予約可能の日は、「11月30日(11月の末日)」でよいでしょうか。
上記①の場合、使用日の2箇月前である12月28日が土曜日(市が条例で定める休日)の場合、予約可能日は、12月27日(金)とすべきなのか、12月30日(月)とすべきでしょうか
さらに、③の場合、使用日の2箇月前である12月30日(月)が年末年始で条例で定める休日の場合、予約可能日は年明けになりますか。

Q2

次に、条例で、施設予約日の2箇月前までに予約を取り消したときには使用料の還付がなされると規定されている場合の「2箇月前」の計 算について、予約日が1月31日(1月の末日)の場合は、11月30日(11月の末日)は、ちょうど2箇月前となるので、還付できるのは、11月 29日までに取り消した場合であると考えてよいでしょうか。
また、上記①について、12月1日が日曜日の場合は、使用料の還付がなされる取消しは11月29日(金)までのものと考えるべきでしょうか 、それとも12月2日(月)の取消しは還付可能と考えるべきでしょうか。

Answer

1 一般論について

まず、民法138条は「期間の計算方法は、法令若しくは裁判上の命令に特別の定めがある場合又は法律行為に別段の定めがある場合を除き、この章の規定に従う。」と規定しています。しかし、公法上の法律関係に関し、一般的な特別の期間計算方法を定めた法令は存在しません。したがって、私法上の法律関係だけでなく、公法上の法律関係においても、民法第6章(同法第138条ないし第143条)の規定にしたがうことになります。

そして、民法は、起算日から過去にさかのぼる場合の計算方法について規定していませんが、本章の規定は、この場合に類推適用又は準用されるものと解されています(大判昭6年5月2日、通説)。

そこで、ご質問の施設の予約の開始日、施設の予約取消日を考える場合においても、当該条例その他特段の定めがない限り、民法第6章の規定の趣旨が妥当する場面であるか否かを検討して、同規定が類推適用又は準用されるか否かを考えることになります。

なお、この点、地方自治法4条の2第4項には、期限の繰り延べの特例がありますが、本条は、期間をもって定めた期限のうち、将来に向う期間計算によって定めた期限を定めたものであり、遡る期間計算によって定めた期限には適用されないと一般的に解釈されております。

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2 Q1について

まず、Q1では、月によって期間を定めておりますので、期間の初日は算入しないのが原則であり(民法第140条)、2月28日の前日である2月27日が起算日となります。
そして、満了点については「期間は、その末日の終了をもって満了する」(民法第141条)ところ、民法143条1項は「週、月又は年によって期間を定めたときは、その期間は、暦に従って計算する。」とし、同2項本文は「週、月又は年の初めから期間を起算しないときは、その期間は、最後の週、月又は年においてその起算日に応当する日の前日に満了する。」と規定しているため、本件では、2月27日から2箇月間を遡って、起算日に応答する日(12月27日)の手前の日である12月28日が満了日となります。
したがって、①の場合には、12月28日が予約可能日となります。
次に、②の場合の起算点は、1月31日の前日である1月30日になります(民法140条)。
そして、満了点については、1月30日から2箇月遡ると、起算日に応答する日は11月30日となり、その手前の日である12月1日が満了日となります(民法141条、143条)。したがって、②の場合には、12月1日が予約可能日となります。
この点、期間の満了に関して、民法142条は「期間の末日が日曜日、国民の祝日に関する法律(昭和23年法律第178号)に規定する休日その他の休日に当たるときは、その日に取引をしない慣習がある場合に限り、期間は、その翌日に満了する。」と規定しています。
しかし、本条例において予約可能日を使用日の2箇月前に定めた趣旨は、予約可能期間を長く設けておくことによる自治体側の事務処理負担の増大を防ぐために一定の基準日を定めただけであり、一定の期間を保障するためのものではないことが一般的であると考えられます。
したがって、期間を延長する民法142条は類推適用されないと考えられます。
そして、条例の文言が「2箇月前から」予約が可能であると規定されていることからすれば、使用日の2箇月前の日よりも前には予約ができない旨を定めた条項と解釈できます。
そのうえで、休日の予約自体が想定されていない体制のもとでは、結局、予約可能日は「2箇月前以降に最初に到来する市の執務日から」とせざるを得えない以上、結局、同条例は、かかる「2箇月前以降に最初に到来する市の執務日から」予約が可能であるという条項であると合理的に解釈できると考えられます。したがって、この場合の予約可能日は、2箇月前である12月28日以降に最初に到来する市の執務日である12月30日からであると考えられます。
ただし、12月30日が市の執務日でない場合は、④で述べるところとなります。
以上のとおり、本条例が「2箇月前以降に最初に到来する市の執務日から」予約が可能であるものと解釈できるとすると、④においても、条例で定める休日明けである年明けの最初の執務日から予約が可能であると考えられます。

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3 Q2について

まず、Q2でも、月によって期間を定めておりますので、期間の初日は算入せずに(民法第140条)、1月31日の前日である1月30日が起算日となります。
満了点については、1月30日から2箇月遡ると、起算日に応答する日は11月30日となり、その手前の日である12月1日が満了日となります。
したがって、12月1日が使用料の還付がなされる取消しの最終日となります。
次に、②の場合には、使用料の還付がなされる取消しの最終日が日曜日であるため、「期間の末日が日曜日、国民の祝日に関する法律(昭和23年法律第178号)に規定する休日その他の休日に当たるときは、その日に取引をしない慣習がある場合に限り、期間は、その翌日に満了する。」と定めた民法142条が類推適用されるか否か、その結果、12月1日の翌日である12月2日が使用料の還付がなされる取消しの最終日になるのか否かが問題となります。
この点、一般に、遡る期間計算によって期限を定めた趣旨が、地方公共団体側の審査等、一定の期間を確保するものである場合に、期限を繰り延べて翌日にすると、一定の期間を確保しようとした趣旨を確保できない以上、期間を繰り延べる民法142条の類推適用はされないと考えられています。
しかし、本条例が使用料の還付がなされる取消しの最終日を施設予約日の2箇月前と定めたのは、一般的に不誠実な予約者に対する違約罰の趣旨であると考えられています。
とすれば、施設予約日の2箇月前が休日である場合に、その翌日に取消しをする予約者については、違約罰を与えるほどの違法性は存在しない以上、期限を翌日に繰り延べる民法142条の趣旨が妥当すると考えられます。
したがって②の場合には同条の類推適用により、12月1日の翌日である12月2日が使用料の還付がなされる取消しの最終日になると考えられます。

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