指定管理者の使用料の減免について

当市において、A施設の使用料の徴収を当該施設の指定管理者が行っていますが、指定管理者が使用料の減免を行うことは可能なのでしょうか?

指定管理者制度は、平成15年の自治法改正により、それまでの管理委託制度に代わり採用された制度です。自治法244条2項括弧書きで、普通地方公共団体に「指定管理者を含む」と規定したこと、及び同法244条の4第3項において「普通地方公共団体の長及び前項に規定する機関以外の機関(指定管理者を含む)がした公の施設を利用する権利に関する処分」と規定したことにより、指定管理者は、施設の使用許可をすることができることとなりました。しかしながら、前記の通り「公の施設を利用する権利に関する処分」について、指定管理者が行うことができますが、それ以外の公の施設に関する地方公共団体及びその機関が有する処分権限を行使することはできません。したがって、使用料の減免については、条例に基づく地方公共団体の機関の権限ですから、指定管理者はこれを行使することはできません。指定管理者は、条例で定められた使用料を収納する事務を行い得るだけで、条例で定める減免理由を有する住民が公の施設を利用する場合には、減免の申し出を受けて、これを権限を有する行政機関に伝え、権限を有する行政機関の判断を待つことになります。実務的には、公の施設の利用者を、受付窓口で長時間待たせるわけにもいきませんので、権限を有する行政機関が、減免のできる理由の有無に関する判断基準を示し、この基準に該当する限りにおいて、指定管理者が権限を有する行政機関の事務委託を受けたものとして、減額した額にあたる使用料を収納し、あるいは使用料を収納することなく、施設の利用を許可し、その後、権限ある行政機関において、事後的に減免決定をするという方法等が考えられます。

ただし、利用料金制を採用した場合には、利用料金は公の施設の使用料に相応するものではありますが(平成3年4月1日自治行第38号)、自治法225条の適用を受けませんから、条例の定めるところにより、指定管理者に利用料金の減免を行わせることができます。