施設の休館日・休業日

施設の休館日・休業日の中には「休日の翌日」という規定がありますが、2日間以上連続した休日(休日の翌日が休日の場合)については、どのように解釈されるのか?

施設の休館日・休業日に関して、A市文化芸術会館については「休日の翌日。ただし、その日が土曜日又は日曜日に当たる場合は、その日を開館し、その日の直後の月曜日を休館日とする」(市民文化ホール条例)、A市民体育館については「休日の翌日」(スポーツ施設条例)、A市海洋センター体育館については「休日の翌日。ただし、その日が土曜日又は日曜日に当たる場合は、その日は開業し、その日の直後の火曜日を休業日とする」(スポーツ施設条例)とそれぞれ規定し、そして、ここでいう「休日」とは、国民の祝日に関する法律に規定する休日のことをいうとしている場合について検討します。

この場合、いずれの規定も、「休日の翌日」を休館日・休業日とし、その日が休日である場合については何ら規定していないのですから、「休日の翌日」が休日に当たった場合にも、休館日・休業日となるとも思われます。「休日の翌日。ただし、その日が土曜日又は日曜日に当たる場合は、その日を開館し、その日の直後の月曜日を休館日とする」という規定については、休日の翌日が土曜日又は日曜日に当たる場合についてのみ開館することを意味するのであって、休日の翌日が休日であっても開館しないことを規定していると考えることもできます。

このような解釈にたって、平成21年5月のゴールデンウイークについて検討してみますと、まず、5月3日が憲法記念日で休日ですから、5月3日は開館日となりますが、その翌日の5月4日は休館日・休業日となり、次に、5月4日もみどりの日で休日ですから、その翌日の5月5日も休館日・休業日となり、さらに5月5日もこどもの日で休日ですから、その翌日の5月6日も休館日・休業日となり、加えて、5月3日は日曜日ですから、それ以降で最も近い国民の祝日でない日である5月6日もいわゆる振替休日で休日ですから、その翌日の5月7日も休館日・休業日となり、結局、5月4日から5月7日まで連続して休館日・休業日であるということになります。

ゴールデンウイーク中、5月3日に開館・開業しただけで、5月4日から5月7日まで連続して休館・休業となることになる、このような解釈が、果たして、条例の趣旨に合致する解釈であるか、やはり疑問が生じます。

ここで、条例が各施設について、「休日の翌日」を休館日・休業日と規定する趣旨について検討してみますと、国民の祝日は、「国民こぞって祝い、感謝し、又は記念する日」(国民の祝日に関する法律1条)であるが、休日には施設への来館者が多く期待でき、その需要に応えるため、「休日」は休館しないことを前提としてその翌日を休館日・休業日としたものと考えることができます。

条例の趣旨をこのように解釈してあらためて規定の内容をみますと、「休日の翌日」であっても、その日が休日であれば、やはりその日は「休日」なのであり、「休日の翌日」とはいえないから休館日ではないと解釈すべきであるということになります。「休日の翌日。ただし、その日が土曜日又は日曜日に当たる場合は、その日を開館し、その日の直後の月曜日を休館日とする」という規定も、休日の翌日が休日である場合は、「休日の翌日」とはいえないから、その日が休日に当たる場合に開館・開業することは当然であって、「その日が休日に当たる場合はその日を開館する」旨の但書きを規定していないと説明することができます。

この解釈によれば、平成21年5月のゴールデンウイークについては、5月3日から5月6日までは開館日であって、5月7日だけが休館日ということになります。この場合、休日が4日あり、そのすべての日に開館する一方、休館日は1日だけということになります。

休日の翌日が休日である場合は、そもそも休日であって、「休日の翌日」ではないと説明するこのような解釈は文理上も問題がないということもできるかもしれません。

しかし、施設が開館するか休館であるかは、利用者からも明確に認識できるよう規定されるべきであることを考えますと、やはり、不明確な規定であると言わざるを得ないでしょう。

休日の翌日が休日である場合にはその日を開館日・開業日とするのであれば、「休日の翌日。ただし、その日が休日に当たる場合は、その日を開館し、その直後の平日を休館日とする。」と規定するなど、規定の明確化を図るべきであると考えます。