会計年度区分について

決算を行う上で、疑問が生じましたので、質問します。

自治令142条において、定めている内容は次のように理解してよろしいでしょうか。
  区  分 会 計 年 度
4月1日から5月31日
までの納入
6月1日以降の納入
旧年度歳入分(旧年4月1日以降納入義務の発生したもの) 旧年度の歳入 新年度の歳入(滞納繰り越しとなり過年度歳入分となる)
新年度歳入分(4月1日以降納入義務が発生したもの) 新年度の歳入
過年度歳入分(旧年度の前年以前のもので滞納繰り越しとなっているもの) 新年度
※質問者作成

ア欄について、5月31日までに納入があったものについては、旧年度の歳入となるようですが、例えば、5月24日以降に納入されたものを新年度の歳入(滞納繰り越しとなり過年度歳入分となる)とすることに問題がありますか。

ウ欄について、4月1日以降に納入があったものについては新年度の歳入となるようですが、そのうち、4月1日から5月31日までに納入されたものを旧年度の歳入とすることに問題がありますか。

行政実例では「出納閉鎖期日前にかいの出納を締め切ることはさしつかえない」とありますが、これは理由もなしに、5月31日前に出納を締め切ることは問題がないということでしょうか。

まず、自治令142条の趣旨を確認しましょう。自治令142条は、①納期の一定している収入、②随時の収入で納入通知書等を発するものにかかる収入、③随時の収入で納入通知書等を発しないものにかかる収入、④納期の一定している収入にかかる特例、⑤督促手数料、延滞金及び滞納処分費についての会計年度所属区分を定めた規定です。

1 質問1について

ご質問者が作成された表のア欄及びイ欄は、前記①納期の一定している収入について、整理されたもののようです。「納入義務が発生したもの」を「納期の末日」と置き換えれば、正しいものと考えます。自治令142条は「納期の末日」という表現を使い、納入義務が発生した日を基準としていないからです。(下表参照)

2 質問2について

新年度の収入とすることができるのは、出納閉鎖後の収入だけですから、5月24日以降に納入されたものを新年度収入とすることは、原則違法です。例外は、後述の質問4の場合に限られます。

3 質問3について

自治法243条の5は、過年度収入に関する定めを自治令に委任し、自治令160条は、出納閉鎖後の収入は、これを現年度の収入としなければならないと規定していますから、過年度収入ついて、ア欄記載の処理を行うことは違法な処理となります。

4 質問4について

昭和38年の行政実例で出納を締め切ることはさしつかえないとされている「かい」とは漢字では「廨」という文字を用い、地方公共団体の出先機関で出納事務を扱うものを指す言葉です。したがって、出先の出納機関では5月31日前に出納を閉鎖し、5月31日までに、本庁の出納機関に現金を持ち込んでも良いという趣旨です。離島等交通不便な場所に出納機関がある場合には、その出納機関では出納閉鎖を5月31日前に行えるとするような場合がこれにあたります。したがって、一般的に、5月31日前に出納閉鎖をして良いという趣旨ではありません。


【参考】

自治令142条の解釈として正しい表

  区  分 会 計 年 度
4月1日から5月31日
までの納入
6月1日以降の納入
旧年度歳入分(納期の末日が旧年4月1日~当年3月31日のもの) 旧年度の歳入 新年度の歳入(滞納繰り越しとなり過年度歳入分となる)
新年度歳入分(納期の末日が当年4月1日以降のもの) 新年度の歳入
過年度歳入分(旧年度の前年以前のもので滞納繰り越しとなっているもの) 新年度