生活保護受給者に対する滞納処分停止後の納付相談について

当市では、後期高齢者医療保険料の未納がある状態で、生活保護受給を開始した納付義務者に対して、受給開始前の滞納分保険料について、高齢者の医療の確保に関する法律113条に基づき、地方税法15条の7第1項2号によって滞納処分を停止しました。
滞納処分を停止した後においても、納付義務者に対して、生活保護受給開始前の滞納分保険料について、納付計画の立案等の納付相談をする目的で、呼出の架電等をすることはできますか。

 滞納処分の執行停止とは、納税の猶予等の猶予措置とともに、納税緩和措置の一環をなすものであり、滞納者について滞納処分の停止に該当する事由があるにもかかわらず滞納処分の停止を行わない場合には、納税緩和措置の適正な執行という観点から不適切であるのみならず、滞納処分の執行を続行する意義がない事案の管理等のために事務量を投入せざるを得ないことになるなど、事務の効率化にも反することになり、全体として、滞納整理における確実な徴収にも支障が生じることになります(国税について「滞納処分の停止に関する取扱いについて(事務運営指針)」平成12年6月30日国税庁長官)。
 ご質問において、既にご指摘されているとおり、後期高齢者医療保険料は、地方税の滞納処分の例により処分することができ、地方税法15条の7第1項が滞納処分の停止の要件を規定しています。
 同項2号は、「滞納処分をすることによってその生活を著しく窮迫させるおそれがあるとき。」と規定しており、判定時において、①生活保護の適用を受けている場合、②生活保護法の適用基準に近い低額所得者の場合がこれに該当します。
 従いまして、当該納付義務者は地方税法15条の7第1項2号の要件を充たします。
 そして、貴市が滞納処分を停止した場合、当該納付義務者に対して、滞納処分を停止する以前の期間と同様に、滞納処分職員から納付計画の立案等の納付相談を行う目的で呼出の架電等を行うことは、上記1の制度趣旨に矛盾し、限られた人的資源の活用方法として非効率的であり、相当でないと考えます。
 ただし、地方税法15条の8第1項は、滞納処分の停止の取消を規定しており、滞納処分の執行停止後3年以内に、その停止に係る滞納者につき、執行停止に該当する事実がないと認めるときは、その執行の停止を取り消さなければならないと定めていることから、執行停止取消事由の有無を調査する目的であれば、当該納付義務者から事情を聴取することには理由があると考えます。
 なお、当該納付義務者から、滞納処分の停止に係る保険料の自発的な納付があった場合には収納することができます(国税について。国税徴収基本通達153―11)。