非常勤特別職の職員報酬について

当市の付属機関の委員は非常勤特別職と位置づけられ、「特別職の職員で非常勤であるものの報酬及び費用弁償に関する条例に基づき」報酬を支払っています。ところが、新たに、付属機関の委員に就任することとなっていたA氏が、辞令交付を受けた直後、委員としての職責は全力で全うするが、報酬は受領する意思がない旨を表明し、報酬振込口座の届けをしてもらえません。このような場合に、報酬の受領意思のない委員に対し、報酬を支払わないことに問題はありますか。

非常勤特別職である委員が、報酬を放棄することに問題はありませんから、報酬受領の意思がないことを表明している場合には、報酬を支払わないことに問題はありません。

(理由)

特別職である非常勤職員は、地方公共団体の事務に専ら従事するものではなく、当該非常勤職員が有する特定の知識、経験を地方公共団体の事務で活用するために、必要に応じて地方公共団体の事務に従事するものです。したがって、非常勤特別職員に対する報酬は、生計を維持するという効果はなく、一般職の公務員とは異なり、報酬請求をあらかじめ放棄したとしても、職務遂行の能率と責任に影響を及ぼすことにより公益を害する可能性はありませんから、放棄することは可能です。

非常勤特別職員である付属機関の委員が報酬を放棄する旨を意思表示をした場合には、将来の紛争を防ぐために、口頭ではなく書面で報酬請求を放棄する旨を明らかにしてもらって下さい。

ただし、議員が非常勤特別職を兼職し、報酬を支給することとされているような場合には、公職選挙法上の公職の候補者等の寄附の禁止(公職選挙法199条の2)に抵触しますので、自らの意思に基づき報酬請求権を放棄することはできません。