臨時職員の雇用・定年問題

当市では、臨時職員の定年を規則で定めようとしていますが、問題はありませんか。

(回答)

問題はありません。

 

(理由)

 地方公務員法では、臨時職員について、定年に関する規定がありませんが、地方公務員法の原則である常勤職員については、28条の2第2項において、定年制を定めています。このように、常勤職員について定年制を定めているのですから、条例により、臨時職員について定年制を定めることは何ら問題はありません。ただし、地方自治法172条3項は、臨時職員又は非常勤の職員について、職員の定数を条例で定めることは不要としていますが、定年は別です。
 次に、規則において、臨時職員についての定年制を定めることができるかどうかですが、常勤職員については、定年までは必ず任用する必要があるため、その経費は義務費となるため、定年を条例で定め、数を限定することにより、議会の財政に対するコントロールを確保する必要があるのに対し、地方公務員法22条2項により1年間が最長の任期である臨時職員については、人件費は毎年度の予算に計上され、議会の財政に対するコントロールが確保されているため、規則で非常勤職員に対する定年を定めたとしても、問題はないものと考えます。

雇用対策法第10条において、有期雇用の労働者の募集及び採用について、その年齢に関わりなく均等な機会を与えなければならないと規定しています。この規定を受けて、ハローワークでは、年齢制限を設けずに募集することとなりますが、臨時職員について、定年制を実施すると、60歳以上は書類選考で落とすことになります。この取扱に矛盾はありませんか。

(回答)

やむを得ない取扱でしょう。

(理由)

ご質問では、貴市は、臨時職員の定年制を規則で定めようとしているとのことです。ところで、臨時職員については、地方公務員法22条2項により、6月を超えない範囲で臨時的に任用でき、1回に限り再度任用することができるに止まります。したがって、最長で1年間が限度ということになります。そうしますと、期間の定めがある職員の採用ということになります。
 雇用対策法第10条は、「事業主は、労働者がその有する能力を有効に発揮するために必要であると認められるときとして厚生労働省令で定めるときは、労働者の募集及び採用について、厚生労働省令で定めるところにより、その年齢
にかかわりなく均等な機会を与えなければならない。」と規定し、この規定を受けて、雇用対策法施行規則1条の3は、3項目を挙げています。このうち、1号では、「期間の定めのない労働契約を締結することを目的とする場合に限る。」と限定していますから、任期の定めがある臨時職員はこれには該当しません。また、他の各号も該当しません。
 しかしながら、地方公務員法の公務員に関する任用は、雇用契約ではありませんし、定年制も一般職員については、地方公務員法上義務付けられているのですから、それとのバランスで、臨時職員についても、定年制を設けることは
可能と考えます。したがって、ハローワークに求人をするときには、定年制をうたってよいものと考えますが、ハローワークが受け入れない場合には、書類選考で落とすことにすることもやむを得ないと考えます。
 ただし、臨時職員は1年間が限度であり、それを超えた常勤化した臨時職員は採用してはならないことはいうまでもありません。