公の施設の長期かつ独占的な使用と条例

地方自治法(以下「法」といいます。)第96条第1項第11号によれば、「条例で定める重要な公の施設につき条例で定める長期かつ独占的な利用をさせること」が議決事項とされており、他方、法第244条の2第2項は、「条例で定める重要な公の施設のうち条例で定める特に重要なものについて、…条例で定める長期かつ独占的な利用をさせようとするときは、議会において出席議員の3分の2以上の者の同意を得なければならない。」と規定しています。
この二つの条文からすると、法第244条の2に基づく「重要なもの」については、その前提として、法第96条第1項第11号の規定に基づく重要な施設として条例で定める必要があるということになるのでしょうか。

(結論)

第96条第1項第11号の規定に基づく重要な施設として規定すると考えるべきでしょう。

 

(理由)

法律の条文の文言からして、法第96条第1項では、「条例で定める」としているに対し、法第244条の2第2項では、「条例で定める重要な公の施設のうち条例で定める特に重要なもの」と規定していますから、まず、法第96条第1項第11号による過半数の議決が必要な施設として条例で定めておき、さらに「特に重要なもの」として条例で定める必要があります。ほとんどの自治体では、そのような考え方に立って、条例を規定しています。
 ただ、条例で定めるときに、過半数の賛成で良いとする施設に、重ねて「特に重要なもの」が含まれているのがおかしいと考えると法第96条第1項第11号の規定による公の施設としては条例化することなく、法第244条の2第2項の「特に重要なもの」として規定すれば足りるとの考え方をする自治体もあるかとは思いますが、この場合には、公の施設を、特に重要なものから外すときには、過半数で良いものに当該施設を移す必要が出てきます。