停職6月の懲戒処分を受けた者の再任用

平成25年3月29日付で、地公法第59条及び自治法第245条の4に基づく技術的助言として、年金の支給開始年齢が引き上げられるのに対応して、再任用を希望する地方公務員の、無年金期間をなくすため、再任用希望者については、任用するように求める、総務省からの「地方公務員の雇用と年金の接続について」という文書が出されました。
ところが、当市の職員Xは、停職6月の懲戒処分を受け、先月から復職しましたが、来年の3月末で、定年退職の予定者です。このXは、定年退職した後、再任用を希望しています。このような職員でも、再任用しなければいけないのでしょうか。

(文書の概要)
1 定年退職する職員が再任用を希望する場合、当該職員の任命権者は、退職日の翌日、地公法28条の4の規定に基づき、当該職員が年金支給開始年齢の達するまで、常勤を要する職員に当該職員を再任用するものとすること。
2 再任用を希望する者が地公法16条又は28条の規定に基づく欠格事由又は分限免職事由に該当する場合には、上記1は適用しないこと。

「地方公務員の雇用と年金の接続について」は、年金の支給開始年齢が65歳に引き上げられることを前提とし、60歳での定年退職をするものについて、年金支給開始年齢に至るまでの間、無収入となることを防ぐために、その年齢に至るまでの間、原則として、常勤の職員として任用することを求めるものです。そして、この文書は、技術的助言であると明記されていますから、地方公共団体としては、特別な理由がない限り、この文書の内容に従った措置をとることが期待されています。もちろん、技術的助言ですから、法的に従う義務が発生するわけではありません。
 そうとすると、この文書で、再任用する必要がないといっているのは、公務員としての欠格事項に該当する者、降任、免職の事由に該当する者、分限免職事由に該当する者に限っています。ただし、地公法第28条の規定が用いられているため、勤務成績が良くない場合、心身の故障のため、職務遂行に支障があり、又はこれに堪えない場合、その職に必要な適格性を欠く場合には、再任用をしないことができます。
 御質問のXの場合、6か月の停職処分を受け、処分期間が経過し、間もない時期の者です。こういう立場にある者が、再任用を希望したとしても、任命権者が勤務成績が良くない場合に当たるとして、再任用を拒絶したとしても、何ら、総務省の技術的助言に反するものではありません。
 総務省の文書も、組織にとって好ましくないことが顕著に表れている者まで、定年退職後、再任用を求めているものではありません。