2017年 夏

監督処分の通知方法

Question

 当県の砂防指定地管理条例では、条例に違反した者に対し、監督処分をすることとなっています。しかし、条例違反をしたものを特定することができない場合に、監督処分をどのように通知するかが課題となっていました。そこで、公示送達という制度があることあることが分かりました。
(1)相手方が特定できない場合に、監督処分を書面で行う場合には、公示送達によって行うことができますか。

(2)行政代執行を行う場合、文書での戒告についても、公示送達によることができますか。

Answer

(結論)
いずれの場合も、行政手続として民法第98条第2項、民事訴訟法第110条から第113条の規定に倣い送達することができますが、本来は、条例で送達方法を定めておくべきです。
(理由)
行政手続法は、聴聞の通知等に関し、被通知者を確知できない場合の送達方法は決めましたが、同様の場面における行政処分一般に関する送達方法の定めはありません。個別の法律により、送達方法を定めているにとどまります。そのため、送達方法の定めがない法律等については、「通常、相手方が了知しうるような方法で公示し、代執行をすることも、やむを得ないと解すべきであろう。」(広岡隆著「行政代執行法」114頁。有斐閣)とするのが一般的な解釈です。
このように考えるのは、公示送達の方法は、私法上の行為であるのに対し、監督処分は公法上の行為ですから、公示送達の方法をそのまま使うわけにいかないからです。「通常、相手方が了知しうるような方法」とは、民法及び民事訴訟法の規定に準じて、行政手続きとして行うということです。
行政実例も、道路法第71条第3項が追加される前に、道路法の送達に関し、次のような通達をしています(昭和29年6月9日、建設省道路局長発)。
1 道路上にある無断占有工作物について、占有者、所有者等を確認することができず、当該工作物が道路上の放置されたものと判断するのが適当である場合には遺失物法を適用して差支えない。
2 併しながら当該工作物が家屋等の不動産である場合には一時的に当該工作物の占有者等が居住していなくとも、これを直ちに遺失物法第12条に規定する「他人ノ置去リタル物件」と判断することが困難な場合が多いと思われるので、このような場合には道路法71条及び行政代執行法の規定を適用し、おおむね次の手続によられたい。
(1)道路管理者は、民法第97条の2(注:改正前のもの)及び民事訴訟法第178条から第180条(注:現行法110条から113条)までの規定に倣い、道路法71条第3項及び同条1項の規定に基づく聴聞及び監督処分の通知並びに行政代執行法第3条第1項の規定に基づく戒告を相手方が受領し又は受領したとみなすことができるよう万全の処置をとることが適当である。
(2)道路管理者は、(1)の措置を行うにあたり裁判所が行う行為に相当する行為を行うことができるものと解され、従って道路管理者が聴聞、監督処分の通知及び戒告を行うにあたり官報及び新聞紙の掲載に代えて県市公報等をもって通知することも差し支えないものと考えられる。
(3)道路管理者は、(1)の措置を行うにあたり聴聞の通知をなしたる後監督処分の通知及び戒告を同時に行うことは差し支えなく、又これの場合において相手方が通知を受領したとみなす適当な期間は、民法及び民事訴訟法の規定により類推し、官報又は県市公報等に右の通知を掲載した日から2週間と解するのが適当である。
(4)(以下省略)
したがって、何らの規定を設けていない場合には、右通達にしたがった手続をとるべきでしょう。しかし、原則は、法律・条例で送達方法を定めるべきです。

特に御質問は、砂防指定地管理条例ということですので、条例上の監督処分になるわけですから、条例を改正し、道路法並みの手続を規定することを、検討してください。