RILG - 一般財団法人 地方自治研究機構


 性の多様性に関する条例

                                                 (令和3年11月25日更新)

【性の多様性に関する用語】

〇 性の多様性に関しては、LGBT、性的少数者、性的指向、性自認、性同一性障害などの用語が使われている。最初に、用語の整理をしておく。

〇 LGBTとは、Lesbian(レズビアン:女性の同性愛者、Gay(ゲイ:男性の同性愛者)、Bisexual(バイセクシャル:両性愛者)、Transgender(トランスジェンダー:こころの性とからだの性との不一致)の頭文字を組み合わせた言葉である。

  法律及び自治体の条例において、「LGBT」の使用例はない。

〇 性的指向とは、英語のSexual Orientationの日本語訳で、どのような性別の人を好きになるかということであり、LGBTのうち、L、G、Bがその類型に入るとされている。また、性自認とは、英語のGender Identityの日本語訳(Gender Identityは、「性同一性」とも訳される)で、自分の性をどのように認識しているかということであり、LGBTのうち、Tがその類型に入るとされている。国連では、平成23年6月に人権理事会が「性的指向及び性自認に関する決議」を採択するなど、性的指向・性自認の概念が使われている。性的指向と性自認のそれぞれの頭文字をとって、SOGIという言葉も使われている。

  法律において、「性的指向」や「性自認」の使用例はない。

〇 最近自治体が制定する性の多様性に関する条例では、一般的に「性的指向」及び「性自認」が使われている。「性的指向」は平成15年に制定された小金井市男女平等基本条例や平成18年に制定された(鳥取県)琴浦町男女共同参画推進条例 などで使用されているが、「性的指向」及び「性自認」を併せて使用した最初の条例は平成25年に制定された文京区男女平等参画推進条例多摩市女と男の平等参画を推進する条例 である(なお、文京区条例は「性自認」ではなく「性的自認」と表記している)。また、平成元年10月に制定された大阪府の条例では、条例名にも使用されている(大阪府性的指向及び性自認の多様性に関する府民の理解の増進に関する条例)。ちなみに、大阪府条例では、「性的指向」を「自己の恋愛又は性愛の対象となる性別についての指向」と、「性自認」を「自己の性別についての認識」と定義づけている。

〇 性的少数者とは、英語Sexual Minorityの日本語訳であり、性的マイノリティなどともいわれる。

  一部の自治体の条例では、「性的少数者」や「性的マイノリティ」が使用されている。ちなみに、渋谷区男女平等及び多様性を尊重する社会を推進する条例は「性的少数者」を「同性愛者、両性愛者及び無性愛者である者並びに性同一性障害を含め性別違和がある者」と、 世田谷区多様性を認め合い男女共同参画と多文化共生を推進する条例 は「性的マイノリティ」を「性自認、性的指向等のあり方が少数と認められる人々」と、 鳴門市男女共同参画推進条例は「セクシュアル・マイノリティ」を「同性愛者、両性愛者、性同一性障がい者、インターセックス等の性的少数者」と定義づけている。

〇 性同一性障害とは、英語のGender Identity Disorderの日本語訳で、医学的な疾患名であり、性自認が一致しないため、社会生活に支障がある状態とされる。

  平成15年に性同一性障害者の性別の取扱いの特例に関する法律が制定され、法律用語となっている。法律では、「生物学的には性別が明らかであるにもかかわらず、心理的にはそれとは別の性別であるとの持続的な確信を持ち、かつ、自己を身体的及び社会的に他の性別に適合させようとする意思を有する者であって、そのことについてその診断を的確に行うために必要な知識及び経験を有する二人以上の医師の一般に認められている医学的知見に基づき行う診断が一致しているもの」(2条)と定義されている。

  「性同一性障害」を使用する条例は、平成14年に制定された堺市男女平等社会の形成の推進に関する条例や平成16年に制定された 八女市男女共同参画のまちづくり条例など、少なくない。

〇 以上に関し、法務省HP「多様な性を考えてみよう!−性的指向と性自認−」を参照のこと。 また、少し古くなるが、LGBTに関する概念や自治体や法制化の動き等については、中西絵里「LGBTの現状と課題−性的指向又は性自認に関する差別とその解消への動き−」 立法と調査 2017.11 No.394)が詳しい。

 

【条例の制定状況】

〇 性的指向・性自認及び性的少数者に対する差別的な取扱いを禁止することなどを規定している条例として、以下のようなものがある。

大阪府泉南市

泉南市男女平等参画推進条例

平成23年12月26日公布

平成24年4月1日施行

東京都文京区

文京区男女平等参画推進条例

平成25年9月27日公布

平成25年11月1日施行

東京都多摩市

多摩市女と男の平等参画を推進する条例

平成25年9月30日公布

平成26年1月1日施行

大阪府羽曳野市

羽曳野市男女共同参画推進条例

平成25年12月27日公布

平成26年4月1日施行

大阪府阪南市

阪南市男女共同参画推進条例

平成26年3月27日公布

平成26年4月1日施行

東京都台東区

台東区男女平等推進基本条例

平成26年12月17日公布

平成27年1月1日施行

徳島県鳴門市

鳴門市男女共同参画推進条例

平成27年3月24日公布

平成28年1月1日施行

大阪府松原市

松原市男女輝きまちづくり条例

平成27年3月27日公布

平成27年4月1日施行

東京都渋谷区

渋谷区男女平等及び多様性を尊重する

社会を推進する条例

平成27年4月1日公布

平成27年4月1日施行

(一部、平成27年10月28日施行)

和歌山県橋本市

橋本市男女共同参画推進条例

平成27年9月25日公布

平成27年10月1日施行

埼玉県戸田市

戸田市男女共同参画推進条例

平成28年9月30日公布

平成28年10月1日施行

鳥取県日野町

日野町男女共同参画推進条例

平成29年3月21日公布

平成29年3月21日施行

東京都武蔵野市

武蔵野市男女平等の推進に関する条例

平成29年3月22日公布

平成29年4月1日施行

奈良県五條市

五條市男女共同参画推進条例

平成29年3月28日公布

平成29年3月28日施行

東京都国立市

国立市女性と男性及び多様な性の平等

参画を推進する条例

平成29年12月28日公布

平成30年4月1日施行

令和3年4月1日改正施行

東京都世田谷区

世田谷区多様性を認め合い男女共同

参画と多文化共生を推進する条例

平成30年3月6日公布

平成30年4月1日施行

東京都

東京都オリンピック憲章にうたわれる

人権尊重の理念の実現を目指す条例

平成30年10月15日公布

平成30年10月15日施行

(一部、平成31年4月1日施行)

東京都国立市

国立市人権を尊重し多様性を認め合う

平和なまちづくり基本条例

平成30年12月27日公布平成31年4月1日施行
兵庫県宝塚市

宝恷s男女共同参画推進条例

  

平成31年3月29日改正施行

奈良県大和郡山市

大和郡山市男女共同参画推進条例

平成30年12月20日公布

平成31年4月1日施行

岩手県北上市

北上市男女共同参画と多様性社会を推進

する条例

平成31年3月22日公布

平成31年4月1日施行

岡山県総社市

総社市多様な性を認め合う社会を実現

する条例

平成31年3月22日公布

平成31年4月1日施行

茨城県

茨城県男女行動参画推進条例

  

平成31年4月1日改正施行

東京都豊島区 

豊島区男女共同参画推進条例

  

平成31年4月1日改正施行

神奈川県横須賀市 

横須賀市男女共同参画及び多様な性を

尊重する社会実現のための条例

  

平成31年4月1日改正施行

岡山市 

岡山市男女共同参画社会の形成の

促進に関する条例

  

平成31年4月1日改正施行

岩手県盛岡市

盛岡市男女共同参画推進条例

令和元年6月28日公布

令和元年6月28日施行

沖縄県久米島町

久米島町男女共同参画推進条例

令和元年7月1日公布

令和元年7月1日施行

大阪府

大阪府性的指向及び性自認の多様性に

関する府民の理解の増進に関する条例

令和元年10月30日公布

令和元年10月30日施行

川崎市

川崎市差別のない人権尊重のまちづくり

条例

令和元年12月16日公布

令和元年12月16日施行

宮崎県高鍋町

高鍋町男女共同参画推進条例

令和2年3月23日公布

令和2年4月1日施行

茨城県守谷市

守谷市男女共同参画推進条例

令和2年3月26日改正施行

大阪府岬町

岬町男女共同参画推進条例

令和2年3月26日改正施行

東京都港区

港区男女平等参画条例

令和2年4月1日改正施行

東京都狛江市

人権を尊重しみんなが生きやすい狛江を

つくる基本条例

令和2年3月31日公布

令和2年7月1日施行

三重県いなべ市

いなべ市性の多様性を認め合う社会を

実現するための条例

令和2年6月26日公布

令和2年7月1日施行

香川県丸亀市

丸亀市人権を尊重し多様性を認め合う

まちを実現する条例

令和2年12月21日公布

令和3年1月1日施行

奈良県宇陀市

宇陀市男女共同参画推進条例

令和2年12月25日公布

令和2年12月25日施行

兵庫県宍粟市

宍粟市誰もが自分らしく生きる共同参画

社会づくり条例

令和3年3月12日公布

令和3年4月1日施行

宮崎県木城町

木城町多様性を認め合い他者を思いやる

差別のない社会を推進する条例

令和3年3月18日公布

令和3年3月18日施行

三重県

性の多様性を認め合い、誰もが安心して

暮らせる三重県づくり条例

令和3年3月23日公布

令和3年4月1日施行

沖縄県浦添市

浦添市性の多様性を尊重する社会を実現

するための条例

令和3年3月23日公布

令和3年10月1日施行

茨城県潮来市

潮来市男女共同参画基本条例

令和3年3月24日改正施行

鳥取県

鳥取県人権尊重の社会づくり条例

令和3年4月1日改正施行

〇 平成23年12月に制定された泉南市条例は、「性的指向」を「性的意識の対象が異性、同性又は両性のいずれかに向かうのかを示す概念」(2条6号)と定義づけたうえで、「すべての人は、社会のあらゆる分野において、直接的又は間接的を問わず性別及び性的指向を理由とする権利侵害及び差別的取扱いを行ってはならない。」(10条1項)と規定し、「性的指向」に対する差別的取扱いを禁止した。

  その後平成20年代に制定された大阪府下の羽曳野市、阪南市及び松原市の条例も、「性的指向」に対する差別的取扱いを禁止している。

〇 平成25年9月に制定された文京区条例及び多摩市の条例は、「性的指向」及び「性自認」に対する差別的取扱いを禁止した。但し、文京区条例は「性的自認」としている。両条例については、次項において解説する。

  その後制定された全国の条例のほとんどは、「性的指向」及び「性自認」に対する差別的取扱いの禁止としている。なお、日野町条例は「性的自認」とし、五條市及び久米島町の条例は「性的指向」ではなく「性的思考」としている。

〇 平成27年に制定された鳴門市条例は、「セクシュアル・マイノリティ」を「同性愛者、両性愛者、性同一性障がい者、インターセックス等の性的少数者」(2条12号)と定義づけたうえで、「すべての人は、セクシュアル・マイノリティへの理解を深めるとともに、差別をしたり人権を侵害してはなりません。」(11条1項)と規定している。なお、あわせて「すべての人は、生まれついての生物学的な性別やジェンダーにとらわれずに、自分が決定した性の自認や性的指向が尊重されなければなりません。」(同条2項)と規定している。

  同じく平成27年に制定された渋谷区条例は、「性的指向」を「人の恋愛や性愛がどういう対象に向かうかを示す指向(異性に向かう異性愛、同性に向かう同性愛及び男女両方に向かう両性愛並びにいかなる他者も恋愛や性愛の対象としない無性愛)」(2条6号)、「性的少数者」を「同性愛者、両性愛者及び無性愛者である者並びに性同一性障害を含め性別違和がある者」(同条7号)と定義づけたうえで、「区、区民及び事業者は、性別による固定的な役割分担の意識を助長し、若しくはこれを是認させる行為又は性的少数者を差別する行為をしてはならない。」(8条3項)と規定している。

〇 総社市及びいなべ市の条例は、「性的マイノリティ」を「性的指向(どの性別を恋愛の対象にするかを表すものをいう。)や性自認(自己の性別についての認識をいう。)のあり方が多数者とは異なる者」(総社市条例は3条2号、いなべ市条例は2条1号)と定義づけたうえで、「性的マイノリティであることを理由とする差別的取扱い又は暴力的行為」を禁止している(両条例とも8条1号)。

  また、浦添市条例は、「性自認」を「自己の性別についての認識」、「性的指向」を「人の性的関心(恋愛又は性的欲求)がどのような対象に向かうか(向かわない場合を含む。)を表す概念」、「性別等」を「生物学的な性、性自認、性的指向及び性別表現(服装、仕草及び言葉遣い等で表現する性別)」、「性的マイノリティ」を「性別等が多数者と異なる者」と定義づけた(2条2号〜5号)うえで、「性的マイノリティであることを理由とする差別的取扱い又はハラスメントを行うこと」(8条1号)を禁止している。

  なお、世田谷区条例は、「性的マイノリティ」を「性自認、性的指向等のあり方が少数と認められる人々」(2条6号)と定義づけている。

 

【文京区条例と多摩市条例】

〇 文京区男女平等参画推進条例は、性的指向又は性的自認に起因する差別的な取扱いに関して、「何人も、配偶者からの暴力等、セクシュアル・ハラスメント、性別に起因する差別的な取扱い(性的指向又は性的自認に起因する差別的な取扱いを含む。)その他の性別に起因する人権侵害を行ってはならない」(7条1項)と規定している。

  本条例では、「性的指向」及び「性的自認」という用語を使用している一方で、「性的指向」及び「性的自認」の定義規定は置いていないが、これに関しては、「LGBT概念に入らない、例えばXジェンダー、クエスチョン、インターセックスという類型の人たちを排除することにもなるおそれ」を危惧し、LGBT概念は使用せず、「国連でも使われていたSOGI(Sexual OrientationGender Identity)概念すなわち性的指向・性自認の用語を用いることとし、禁止規定に位置づけることで、定義付けはあえて行わなかった」((谷口洋幸編著「LGBTをめぐる法と社会」(日本加除出版 2019年)76頁)とされている。

  また、「区民及び事業者は、区に対し、区が関与する男女平等参画に関する施策に係る苦情を申し立てることができる」(15条1項)として、苦情申立ての規定を置いている。

  なお、現在の文京区のSOGIに関する取組は、文京区HP「SOGI(性的指向と性自認)」を参照のこと。

〇 多摩市女と男の平等参画を推進する条例は、 基本理念として「すべての人が、個人として尊重され、性別並びに性的指向及び性自認にかかわらず、個人の能力及び個性を発揮し、意欲及び希望に沿って、社会的責任を分かち合うこと」(3条1号)及び「すべての人が、性別による差別的取扱い並びに性的指向及び性自認による差別を受けることなく、固定的な性別役割分担意識に基づく社会制度や慣行を解消されること」(3条2号)を掲げたうえで、性的指向及び性自認による差別に関して、「市、市民、事業者及びその他の団体は、社会のあらゆる場において、性別による差別的取扱い並びに性的指向及び性自認による差別を行ってはなりません」(7条1項)とし、また、「市、市民、事業者及びその他の団体は、情報を公表する際には、それらの情報が、男女平等参画社会の実現を阻害し、性別による差別的取扱い並びに性的指向及び性自認による差別を助長し、又は暴力的行為を誘発することのないように配慮しなければなりません」(8条)と規定している。

  「性的指向」を「人の恋愛感情や性的な関心がいずれの性別に向かうかの指向(この指向については、異性に向かう異性愛、同性に向かう同性愛、男女両方に向かう両性愛等の多様性があります。)をいいます」(2条6号)と、「性自認」を「自分がどの性別であるかの認識(この認識については、自分の生物学的な性別と一致する人もいれば、一致しない人もいます。)のことをいいます」(2条7号)とそれぞれ定義づけているが、これに関しては「広く使用されている『性的マイノリティ』(性的少数者)という表現をせずに、『性的指向』、『性自認』として第2条に定義しました」(多摩市HP平成26年1月1日から、「多摩市女と男の平等参画を推進する条例」が施行されました!」)とされている。

  また、「市民、事業者及びその他の団体は、市が実施する男女平等参画社会の実現に関する施策又は男女平等参画社会の実現に影響を及ぼすと認める施策並びに性別による差別的取扱い、性的指向及び性自認による差別その他の男女平等参画社会の実現を阻害する人権侵害と認める事項に関し、市に対して、苦情の申し出をすることができます」(21条1項)として、苦情処理の規定を置いている。

 

【同性パートナーシップ制度を規定している条例】

〇 上記条例のうち、同性パートナーシップ制度を規定しているのは、渋谷区、総社市、豊島区、港区、いなべ市、国立市及び浦添市の条例である。同性パートナーシップ制度とは、自治体が、同性カップルに対して、二人のパートナーシップを証明し、または、二人のパートナーシップの宣誓を受け取るなどの制度であるが、令和3年10月11日現在、全国の自治体のうち130団体が導入している(渋谷区・虹色ダイバーシティ全国パートナーシップ制度共同調査)とされる。130団体のうち、渋谷区、総社市、豊島区、港区、いなべ市、国立市及び浦添市が条例を根拠とし、それ以外の団体は規則、要綱等を根拠としている。

〇 全国で初めて同性パートナーシップ制度を導入し、かつ、条例に規定したのは、渋谷区である。

   渋谷区男女平等及び多様性を尊重する社会を推進する条例は、特に、性的少数者の人権の尊重に関する規定(4条)を置き、性的少数者に対する社会的な偏見及び差別をなくし、性的少数者が、個人として尊重されること、性的少数者が、社会的偏見及び差別意識にとらわれることなく、その個性と能力を十分に発揮し、自らの意思と責任により多様な生き方を選択できること、学校教育、生涯学習その他の教育の場において、性的少数者に対する理解を深め、当事者に対する具体的な対応を行うなどの取組がされること等を理念として掲げている。

  そして、「パートナーシップ」を「男女の婚姻関係と異ならない程度の実質を備える戸籍上の性別が同一である二者間の社会生活関係」(2条8号)と定義づけたうえで、区長は、公序良俗に反しない限りにおいて、パートナーシップに関する証明をすることができる(10条1項)とし、パートナーシップ証明制度を設けている。

  証明にあたっては任意後見契約に係る公正証書及び共同生活の合意契約に係る公正証書による確認が必要である(10条2項)などの手続きを定めるとともに、区民及び事業者は、その社会活動の中で、区が行うパートナーシップ証明を最大限配慮しなければならないなどの配慮規定(11条)を置いている。

  なお、制度の内容は、渋谷区HP「渋谷区パートナーシップ証明書」を参照のこと。また、条例の内容等は、渋谷区HP「渋谷区男女平等及び多様性を尊重する社会を推進する条例」を参照のこと。

〇 総社市多様な性を認め合う社会を実現する条例 は、パートナーシップの宣誓制度を規定している。

  すなわち、「パートナーシップ」を「2人の者が,互いを人生のパートナーとし,相互の協力により継続的な共同生活を行っている,又は継続的な共同生活を行うことを約した関係」(2条4号)と、「宣誓」を「パートナーシップの関係にある者同士が,市長に対し,パートナーシップの関係である旨を誓うこと」(2条5号)と定義づけたうえで、パートナーシップの宣誓は,宣誓書を市長に提出することにより行い、市長は,パートナーシップの宣誓があった場合は,パートナーシップ登録簿への登録を行うとともに,登録証明書に宣誓書の写しを添えて交付する(12条)こととしている。

なお、制度の内容は、総社市HP「総社市パートナーシップ宣誓制度」を参照のこと。

〇 豊島区男女共同参画推進条例は、パートナーシップ制度を規定している。

  すなわち、「パートナーシップ」を「互いを人生の伴侶とし、日常の生活において、経済的又は物理的かつ精神的に相互に協力し合うことを約した、一方又は双方が多様な性自認又は性的指向の2人の者の関係」(2条7号)と定義づけたうえで、区長は、パートナーシップの届出があったときは、規則で定めるところにより、受理証明書を交付することができる(8条の2)とし、事業者は、その社会活動の中で、受理証明書を最大限に配慮し、必要な措置を講ずるよう努めるものとする(8条の3)としている。

  なお、制度の内容は、豊島区HP「豊島区パートナーシップ制度」を参照のこと。

〇 港区男女平等参画条例は、みなとマリアージュ制度を規定している。

  すなわち、区は、「みなとマリアージュ制度(性的指向又は性自認にかかわらず 、誰もが人生を共にしたい人と家族として暮らすことを尊重する施策を推進するための制度)」を設け、制度の利用に関し必要な事項は区規則で定める(9条の2)こととしている。

  なお、制度の内容は、港区HP「みなとマリアージュ制度をスタートします(制度の概要)」を参照のこと。

〇 いなべ市性の多様性を認め合う社会を実現するための条例は、パートナーシップの宣誓制度を規定している。

  すなわち、「パートナーシップ」を「2人の者が、互いを人生のパートナーとし、相互の協力により継続的な共同生活を行っている、又は継続的な共同生活を行うことを約した関係」(2条3号)と、「宣誓」を「パートナーシップの関係にある者同士が、市長に対し、パートナーシップの関係である旨を誓うこと」(2条4号)と定義づけたうえで、パートナーシップの宣誓は,宣誓書を市長に提出することにより行い、市長は,パートナーシップの宣誓があった場合は,パートナーシップ登録簿への登録を行うとともに,宣誓した2人の者に対して、登録証明書を交付する(12条)こととしている。

  なお、制度の内容は、いなべ市HP「いなべ市パートナーシップ宣誓制度」を参照のこと。

〇 国立市は 国立市女性と男性及び多様な性の平等参画を推進する条例を令和3年4月1日改正施行して、パートナーシップ制度を規定した。

  すなわち、「パートナーシップ」を「互いを人生のパートナーとし、相互の人権を尊重し協力し合うことを約した、継続的かつ対等な2者間の関係」(2条10号)と定義づけたうえで、市長は、パートナーシップの届出があったときは、規則で定めるところにより、受理証明書を交付し、事業者等は、その事業活動の中で、市が実施するパートナーシップに係る制度を尊重し、必要な措置を講ずるよう努める等(10条)としている。

  なお、制度の内容は、国立市HP「くにたちパートナーシップ制度」を参照のこと。

〇 浦添市性の多様性を尊重する社会を実現するための条例は、パートナーシップの宣誓証明制度を規定している。

  すなわち、「パートナーシップ」を「互いを人生のパートナーとして、日常の生活において相互に協力し合うことを約束した二者間の関係であって、その一方又は双方が性的マイノリティであるもの」(2条6号)と定義づけたうえで、市長は、公序良俗に反しない限りにおいて、パートナーシップ宣誓証明書を交付することができるとし、その申請手続その他必要な事項は、規則で定める(10条)としている。施行日は、令和3年10月1日としている。

〇 なお、都道府県のうち、茨城県、大阪府、群馬県、佐賀県及び三重県が同性パートナーシップ制度を実施している。

  茨城県は、 茨城県男女行動参画推進条例を改正し、性的指向や性自認を理由とする差別的な取り扱いを禁止する規定(19条3項)などを設けたが、その後、「いばらきパートナーシップ宣誓制度実施要綱」により、パートナーシップ宣誓制度を令和元年7月1日から実施している。

  大阪府は、 大阪府性的指向及び性自認の多様性に関する府民の理解の増進に関する条例を制定したが、同条例7条2項は「府が実施する事務事業において、性的指向及び性自認の多様性に配慮するよう努めるものとする」と規定しており、それを踏まえ、パートナーシップ宣誓証明制度を令和2年1月22日から「大阪府パートナーシップの宣誓の証明に関する要綱」に基づき実施している。

  群馬県は、パートナーシップ宣誓制度を令和2年12月21日から「ぐんまパートナーシップ宣誓制度実施要綱」に基づき実施している。

  佐賀県は、パートナーシップ宣誓制度を令和3年8月27日から「佐賀県パートナーシップ宣誓制度実施要領」に基づき実施している。

  三重県は、性の多様性を認め合い、誰もが安心して暮らせる三重県づくり条例を制定したが、同条例の趣旨を踏まえ、パートナーシップ宣誓制度を令和3年9月1日から「三重県パートナーシップ宣誓制度要綱」に基づき実施している。

 

【アウティングとカミングアウト強制・禁止の禁止規定を置く条例】

〇 アウティング(本人の意思に反して第三者が性的指向又は性自認を公表すること)とカミングアウト(自らの性的指向又は性自認を公表すること)の強制・禁止を禁止する規定を置くものとして、国立市、総社市、豊島区、港区、いなべ市、宍粟市、木城町、三重県及び浦添市の条例がある。

〇  国立市女性と男性及び多様な性の平等参画を推進する条例 は、基本理念として「性的指向、性自認等に関する公表の自由が個人の権利として保障されること」(3条2号)を掲げ、本人の公表の権利を規定したうえで、「何人も、性的指向、性自認等の公表に関して、いかなる場合も、強制し、若しくは禁止し、又は本人の意に反して公にしてはならない」(8条2項)とし、アウティングを禁止している。

  なお、国立市の条例については、自治体法務研究2018年冬号CLOSEUP先進・ユニーク条例「国立市女性と男性及び多様な性の平等参画を推進する条例」を参照のこと。

〇 総社市多様な性を認め合う社会を実現する条例 は、「カミングアウト」を「自らが性的マイノリティであることを公表することをいう」(3条3号)と定義づけたうけで、「性的マイノリティであることを,本人の意に反して公にすること」及び「カミングアウトを強制し,又は禁止すること」を禁止している(8条2号及び3号)。

〇 豊島区男女共同参画推進条例 は、「何人も、性自認又は性的指向の公表に関して、本人に対し強制又は禁止してはならない」(7条5項)とするとともに、「何人も、本人の同意なくして性自認又は性的指向を公表してはならない」(7条6項)と規定している。

  なお、豊島区の条例については、自治体法務研究2020年夏号条例制定の事例CASESTUDY「豊島区男女共同参画推進条例」を参照のこと。

〇 港区男女平等参画条例は、「何人も 、他人の性的指向又は性自認に関して、公表を強制し、若しくは禁止し、又は本人の意に反して公にしてはならない 。」(7条3項)と規定している。また、「何人も 、正当な理由がない限り 、他人の性別表現を妨げてはならない。」(7条4項)と規定し、「性別表現」(外面に表れる性別についての自己表現 2条5号)の自由を保障しているとしている。

〇 いなべ市性の多様性を認め合う社会を実現するための条例は、「カミングアウト」を「自らが性的マイノリティであることを公表すること」(2条2号)と定義づけたうけで、「性的マイノリティであることを、本人の意に反して公にすること」及び「カミングアウトを強要し、又は禁止すること」を禁止している(8条2号及び3号)。

〇 宍粟市誰もが自分らしく生きる共同参画社会づくり条例は、「何人も、本人の同意を得ないで、当該本人に関して知り得た性的指向、性自認等の内容を他人に漏らしてはならない。また、いかなる場合も本人に公表を強制し、又は禁止してはならない。」と規定している(9条3項)。

〇 木城町多様性を認め合い他者を思いやる差別のない社会を推進する条例は、「カミングアウト」を「これまで公にしていなかった自らの性的指向又は性自認を表明すること」、「アウティング」を「本人の了解を得ずに他の人に公にしていない性的指向又は性自認のことを暴露すること」と定義づけた(3条4号及び5号)うえで、「カミングアウトを強制し、又は禁止すること」及び「アウティング」を禁止している(7条1号及び2号)。

〇 性の多様性を認め合い、誰もが安心して暮らせる三重県づくり条例は、「性的指向又は性自認の表明に関して、強制し、禁止し、または本人の意に反して、正当な理由なく暴露(本人が秘密にしていることを明かすことをいう。)をしてはならない。」(4条)と規定している。都道府県において、条例でアウティングを禁止する規定を置くのは、三重県条例が初めてとなる。

  なお、三重県の条例については、自治体法務研究2021年冬号CLOSEUP先進・ユニーク条例「性の多様性を認め合い、誰もが安心して暮らせる三重県づくり条例」を参照のこと。

〇 浦添市性の多様性を尊重する社会を実現するための条例は、「性的マイノリティであることを、本人の意に反して公にすること」及び「性的マイノリティであることの公表を強要し、又は禁止すること。」を禁止している(8条2号及び3号)と規定している。

 

【その他】

〇 性の多様性等に対する自治体の役割については、鈴木秀洋「性的マイノリティへの対応と自治体の役割」(自治体法務研究2020年夏号特集「ダイバーシティの推進と自治体」)を参照されたい。

〇 性の多様性に関する条例を含む人権の尊重と差別の解消に関する条例については、「人権の尊重と差別の解消に関する条例」を参照されたい。




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