RILG - 一般財団法人 地方自治研究機構


ケアラー支援に関する条例

                                                  (令和3年9月13日更新)

【埼玉県ケアラー支援条例】

〇 埼玉県は、全国初のケアラー支援に関する条例として、

埼玉県埼玉県ケアラー支援条例令和2年3月31日公布

令和2年3月31日施行

 を、議員提案により、制定した。

〇 「ケアラー」を「高齢、身体上又は精神上の障害又は疾病等により援助を必要とする親族、友人その他の身近な人に対して、無償で介護、看護、日常生活上のその他の援助を提供する者」(2条1項)と定義づけ、また、「ヤングケアラー」を「ケアラーのうち、18歳未満の者」(同条2項)と定義づけている。

〇 条例の目的は、「ケアラーの支援に関し、基本理念を定め、県の責務並びに県民、事業者及び関係機関の役割を明らかにするとともに、ケアラーの支援に関する施策の基本となる事項を定めることにより、ケアラーの支援に関する施策を総合的かつ計画的に推進し、もって全てのケアラーが健康で文化的な生活を営むことができる社会を実現すること」(1条)としている 。

〇 基本理念として、1、ケアラーの支援は、全てのケアラーが個人として尊重され、健康で文化的な生活を営むことができるように行われなければならない、2、ケアラーの支援は、県、県民、市町村、事業者、関係機関、民間支援団体等の多様な主体が相互に連携を図りながら 、ケアラーが孤立することのないよう社会全体で支えるように行われなければならない、3、ヤングケアラーの支援は、適切な教育の機会を確保し、かつ、心身の健やかな成長及び発達並びに その自立が図られるように行われなければならない、ことを掲げる(3条)とともに、県の責務(4条)、県民の役割(5条)、事業者の役割(6条)、関係機関の役割(7条)、教育関係機関の役割(8条)を定めたうえで、県は、推進計画を策定し(9条)、広報・啓発、人材育成及び民間支援団体等による支援の推進に関する施策を講じ(10条〜12条)、体制の整備及び財政上の措置に努める(13条及び14条)こととしている。

  特に、ヤングケアラーに関しては、教育に関する業務を行う関係機関(学校等)は、支援の必要性の把握に努め、教育・福祉に関する相談、適切な支援機関への案内・取次ぎ等の支援を行うよう努める(8条)こととしている。

〇 本条例の内容等については、自治体法務研究2020年秋号CLOSEUP先進・ユニーク条例「埼玉県ケアラー支援条例」を、ケアラー支援に関する埼玉県の取組みについては、埼玉県HP「ケアラー(介護者等)支援」を参照されたい。

 

【栗山町ケアラー支援条例】

〇 北海道栗山町は、全国市区町村で初めて、ケアラー支援に関する条例として、

北海道栗山町栗山町ケアラー支援条例令和3年3月19日公布

令和4年4月1日施行

 を、町長提案により、制定した。

〇 条例の目的は、「ケアラーを社会全体で支えるため、ケアラーの支援に関し、基本理念を定め、町の責務並びに町民、事業者及び関係機関の役割を明らかにするとともに、ケアラーの支援に関する施策の総合的かつ計画的な推進を図ることにより、全てのケアラーが健康で文化的な生活を営むことができる社会を実現すること」(1条)としている 。

〇 ケアラーの定義については、埼玉県条例とほぼ同様の規定を置いている(2条1号)が、ヤングケアラーに関する規定は置いていない。

〇 目的(1条)及び定義(2条)のほか、基本理念(3条)、町の責務(4条)、町民の役割(5条)、事業者の役割(6条)、関係機関の役割(7条)、推進計画の策定(8条)及び栗山町ケアラー支援推進協議会の設置について規定している。推進計画には、基本方針とともに、具体的施策として、情報提供及び相談・支援体制、交流及び集いの場の設置、人材の育成、広報及び啓発活動等を定める(8条2項)ものとしている。

〇 本条例の内容等については、栗山町HP「栗山町ケアラー支援条例の制定」を参照されたい。

 

【名張市ケアラー支援の推進に関する条例】

〇 三重県名張市は、令和3年6月に、

三重県名張市名張市ケアラー支援の推進に関する条例令和3年6月30日公布

令和3年6月30日施行

 を、市長提案により、制定した。

〇 条例の目的は、「この条例は、社会全体でケアラーを支援するための基本理念を定め、市の責務並びに市民、事業者及び関係機関の役割を明らかにするとともに、ケアラーに対する支援(・・・)に関する施策の基本となる事項を定めることにより、ケアラー支援に関する施策を総合的かつ計画的に推進し、もって全てのケアラーが自分らしく、健康で文化的な生活を営むことができる地域社会の実現に寄与することを目的とする。」(1条)としている 。

〇 ケアラー及びヤングケアラーの定義については、埼玉県条例とほぼ同様の規定を置いている(2条1号、2号)。

〇 目的(1条)及び定義(2条)のほか、基本理念(3条)、市の責務(4条)、市民の役割(5条)、事業者の役割(6条)、関係機関の役割(7条)、学校等の役割(8条)、ケアラー支援に関する基本方針等(9条)、広報及び啓発(10条)、人材の育成等(11条)及び体制の整備(12条)について規定している。

〇 基本理念のうち、ヤングケアラーに対する支援については、「名張市子ども条例(平成18年条例第14号)の趣旨を踏まえるとともに、子どもがその発達段階に応じて、社会において自立的に生きる基礎を培い、人間としての基本的な資質を養うことの重要性に鑑み、適切な教育の機会を確保し、かつ、心身の健やかな成長及び発達並びにその自立が図られるように行われなければならない。」(3条3項)と規定している。なお、名張市子ども条例については「子どもの権利に関する条例」を参照されたい。

 

【総社市ケアラー支援の推進に関する条例】

〇 岡山県総社市は、令和3年9月に、

岡山県総社市総社市ケアラー支援の推進に関する条例令和3年9月9日公布

令和3年9月9日施行

 を、市長提案により、制定した。

〇 条例の目的は、「この条例は,社会全体でケアラーを支援するための基本理念を定め,市の責務並びに市民等,事業者及び関係機関の役割を明らかにするとともに,ケアラーを支援するための基本方針及び施策を定めてこれを推進し,もって全てのケアラーが自分らしく,健康で文化的な生活を営むことができる社会の実現に寄与することを目的とする。」(1条)としている 。

〇 目的(1条)、定義(2条)、基本理念(3条)、市の責務(4条)、市民等の役割(5条)、事業者の役割(6条)、関係機関の役割(7条)、学校等の役割(8条)、ケアラー支援に関する基本方針等(9条)、広報及び啓発(10条)及びその他(11条)の全11条から構成されている。

〇 条例の構成と内容は、名張市条例とほぼ同様なものとなっている。

〇 本条例の内容等については、総社市HP「ケアラー支援について」を参照されたい。

 

【ヤングケアラーに対する国の取り組み】

〇 厚生労働省と文部科学省は、令和3年3月17日に「ヤングケアラーの支援に向けた福祉・介護・医療・教育の連携プロジェクトチーム」を立ち上げ、ヤングケアラーの支援につなげるための方策について、厚生労働省及び文部科学省が連携し、検討を進めることとした。4月12日に要保護児童対策地域協議会、子ども本人、学校を対象とした初めての全国規模の調査研究事業である「ヤングケアラーの実態に関する調査研究」の報告書を公表し、5月17日にプロジェクトチームとしての取りまとめ報告「報告本文報告概要)を行っている。同とりまとめ報告は、今後取り組むべき施策として、早期発見・把握、支援策の推進(悩み相談支援、関係機関連携支援、教育現場への支援、適切な福祉サービス等の運用の検討、幼いきょうだいをケアするヤングケアラー支援)及び社会的認知度の向上を掲げ、介護、医療、教育等、関係機関が連携し、ヤングケアラーを早期に発見して適切な支援につなげるため、これらの取組みを推進することとしている。

  なお、ヤングケアラーについての厚生労働省の取り組みについては厚生労働省HP「ヤングケアラーについて」を、文部科学省の取り組みについては文部科学省HP「ヤングケアラーについて」を参照されたい。

〇 なお、日本ケアラー連盟は、「ケアラー支援法・支援条例」の制定をめざして政策提言やキャンペーン活動を行ってきており、地方議会等に対してケアラー支援条例制定の働きかけ等を行っている。




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