レジ袋に関する条例

(令和5年12月15日更新)

【レジ袋提供禁止条例】

〇 京都府亀岡市は、令和2年3月に、プラスチック製レジ袋の提供を禁止する内容の条例を制定した。すなわち、

京都府亀岡市

亀岡市プラスチック製レジ袋の提供禁止に

関する条例

令和2年3月3月25日公布

令和3年1月1日施行

(一部 令和3年6月1日施行)

である。

〇 本条例について、亀岡市は、「これまで亀岡市では、『かめおかプラスチックごみゼロ宣言』をはじめ、使い捨てプラスチック製レジ袋の有料化や民間事業者との協定締結、啓発活動などを行ってきました。この条例により、令和3年1月1日からプラスチック製レジ袋の提供が有償無償を問わず禁止されます。紙袋や生分解性(微生物によって分解される)袋も無償配布は禁止となり、令和3年6月1日からは、これらに違反した事業者が市の立ち入り調査や是正勧告に従わない場合、事業者名を公表することとしています。なお、条例の施行にあたっては、事業者や消費者の皆さんへの支援策として複数の事業者で共同購入できる仕組みづくりや補助金制度の導入を検討していきたいと考えています。さらに、事業者の相談に応じる専用のフリーダイヤルを設置も予定しています。」とし、また、「国では、今年(令和2年)7月から法律によりレジ袋有料化を義務付ける方針ですが、本条例はそれより一歩踏み込んだ、全国で初めてのプラスチック製レジ袋配布の禁止規定となります。また、『かめおかプラスチックごみゼロ宣言』の理念に基づき、2030年までに使い捨てプラスチックごみゼロを実現させるための第一歩です。」としている(亀岡市HP「 亀岡市プラスチック製レジ袋の提供禁止に関する条例」。なお、本条例の内容等については、左記HPを参照のこと)。

〇 本条例は、15条から構成され、目的(1条)、定義(2条)、市、市民等及び事業者の責務(3条~5条)、協力関係の構築、市の支援、効果の検証及び表彰(6条~9条)、指導・助言、立入調査等、勧告及び違反者の公表(10条~13条)、審査会(14条)等の規定を置いている。

〇 プラスチック製レジ袋の提供禁止に関する規定は、事業者の責務として、「事業者は、事業所等においてプラスチック製レジ袋を有償又は無償で提供してはならない。」(5条1項)及び「事業者は、事業所等において生分解性の袋を無償で提供してはならない。」(5条2項)としている。

〇 「プラスチック製レジ袋」とは「事業所等において、販売された商品を運搬するために消費者に提供されるプラスチック製の買物袋(生分解性の袋を除く。)」(2条1号)、「生分解性の袋」とは「土壌環境及び水環境のいずれでも自然界に存在する微生物の働きにより最終的に二酸化炭素及び水に分解される性質を有するバイオマスプラスチックの袋及び紙製の袋並びにこれらと同等以上の新技術により製造される袋で市長が認めるもの」(2条5号)、「事業者」とは「 市内で事業を行う法人、団体及び個人」(2条3号)及び「事業所等」とは「市内の事業所、事務所及び店舗」(2条4号)と、それぞれ定義づけている。

〇 実効性の担保に関しては、事業者等に対する指導・助言(10条)並びに事業所等への立入調査及び事業者に対する報告聴取(11条1項)に関する規定を置いたうえで、 市長は、プラスチック製レジ袋の提供禁止の規定に違反した事業者に対し、勧告することができ(12条)、事業者が正当な理由なく勧告に従わないとき等は、その旨を公表することができる(13条1項)としている。なお、罰則規定はない。

〇 亀岡市におけるプラスチックごみゼロの取組などについては、亀岡市HP「かめおかプラスチックごみゼロ宣言について」を参照されたい。また、本条例については、自治体法務研究2020年秋号CLOSEUP先進・ユニーク条例「亀岡市プラスチック製レジ袋の提供禁止に関する条例」を参照のこと。

 

【国におけるレジ袋有料化の取組】

〇 国は、関係省令の改正により、令和2年7月1日から、全国一律にレジ袋を有料化することとした。すなわち、容器包装に係る分別収集及び再商品化の促進等に関する法律(平成7年法律第112号)(容器包装リサイクル法)7条の4第1項に基づく小売業に属する事業を行う者の容器包装の使用の合理化による容器包装廃棄物の排出の抑制の促進に関する判断の基準となるべき事項を定める省令(平成18年財務省・厚生労働省・農林水産省・経済産業省令第1号)を一部改正し(令和2年7月1日改正施行)、持手のついたプラスチック製の買物袋(厚手のもの、持海洋生分解性プラスチック製のもの等は対象外)の有料化を実施することとした。経済産業省及び環境省は、有料化の具体的な取り扱について、令和元年12月に「プラスチック製買物袋有料化実施ガイドライン」を示している。

〇 今回のレジ袋有料化の内容等については、経済産業省HP「レジ袋削減にご協力ください!」を参照のこと。また、これまでのレジ袋有料化の動向等については、中野かおり「我が国のレジ袋規制に関する動向―プラスチック資源循環戦略の答申を受けてー」(立法と調査2019.6 No.413)が詳しい。

 

【自治体におけるレジ袋有料化・削減の取組】

〇 地方自治体においては、これまでもレジ袋有料化の取組を積極的に進めてきている。環境省調査「レジ袋削減に係る全国の地方自治体での取組状況について(概要)」(平成21年1月14日)によれば、レジ袋の有料化については、平成20年11月1日現在3県(富山県、山梨県及び沖縄県)で全域での一斉有料化が行われ、平成21年3月末までにさらに3県(和歌山県、青森県及び山口県)で同様の取組が行われる予定となっており、市町村レベルでは、平成20年11月1日現在16都道府県下の245市町村がレジ袋の有料化に取り組み、平成22年3月末までに22都道府県の370市町村で有料化が実施される見込みである、としている。平成18年に、容器包装リサイクル法の改正をめぐりレジ袋の有料化に向けた議論が盛んに行われ、結果的にレジ袋有料化の全国一律の義務付けは見送られ、引き続き自主的な取組に委ねることで決着した(上記中野かおり解説80頁)が、自治体のレジ袋有料化の取組はそうした時期から活発化してきたものと考えられる。

 第1回産業構造審議会産業技術環境分科会廃棄物・リサイクル小委員会レジ袋有料化検討ワーキンググループ及び中央環境審議会循環型社会部会レジ袋有料化検討小委員会合同会議(令和元年9月26日)提出資料4「ごみ袋有料化の背景について」によると、令和元年7月現在、19の都道府県(青森県、福島県、茨城県、栃木県、新潟県、富山県、石川県、長野県、山梨県、岐阜県、 愛知県、滋賀県、鳥取県、広島県、山口県、徳島県、長崎県、大分県及び沖縄県)が事業者等との協定または登録方式でレジ袋有料化を推進しており、いずれの場合も参画事業者はスーパーマーケット、生協や農協等が実施している場合が多く、また、個別市町村と連携して有料化の取組を進めている県もある(三重県)としている。

〇 レジ袋の有料化や削減を推進することを目的とする単独条例としては、

東京都杉並区 杉並区レジ袋有料化等の取組の推進に関する条例 平成20年3月14日公布

平成20年4月1日施行

新潟県佐渡市 佐渡市レジ袋有料化等の取組の推進に関する条例 平成20年12月16日公布

平成21年4月1日施行

島根県出雲市 出雲市レジ袋削減の推進に関する条例   

平成21年4月1日施行

島根県浜田市 浜田市レジ袋削減の推進に関する条例 平成23年6月30日公布

平成23年9月1日施行

がある。いずれも、平成20年代前半に制定されている。

〇 杉並区条例に関しては、平成14年3月に制定されたすぎなみ環境目的税条例にまで、歴史は遡る。すぎなみ環境目的税は、当時レジ袋税とも呼ばれ、レジ袋1枚に5円の課税をし、税収は廃棄物の減量、リサイクルの推進等に要する費用に充てることとされていたが、市議会により、条例の施行日を定めるにあたって、地域経済の状況、買物袋持参の普及状況、プラスチックごみの減量状況を調査したうえで、議会の同意を得る旨の付帯決議がつけられ、結果的に施行されず、杉並区レジ袋有料化等の取組の推進に関する条例が制定された後、平成20年6月27日に廃止されている。

 杉並区条例は、レジ袋有料化その他これに準じたレジ袋の使用を抑制する効果を有する取組を推進することを目的とし(1条)、①レジ袋多量使用事業者(前年度のレジ袋使用枚数が20万枚以上で、規則で定める目標(マイバッグ等持参率60%)を達成していない、食料品等販売業の許可を受けているもの)は、目標を達成するため、レジ袋有料化等計画書を対象事業所ごとに作成し、区長に提出しなければならない(6条1項)、②計画書を提出した事業者は、目標を達成するため、計画書に基づき、レジ袋有料化等の取組を行わなければならない(7条1項)、③区長は、計画書を提出しない事業者、取組が著しく不十分な事業者等に対して勧告を行い(15条)、勧告に従わない事業者を公表することができる(16条)こと等の規定を置いている。罰則規定はない。

 杉並区のレジ袋削減の取組等については、杉並区HP「杉並区のレジ袋削減の取組み」を参照のこと。

〇 佐渡市条例は、杉並区条例とほぼ同様の構成となっている。

〇 出雲市条例は、事業者の責務として、レジ袋無料配布の中止、マイバッグ持参運動の推進、レジ袋削減の啓発活動等のレジ袋削減の取組等を行うよう努めなければならない(6条)とし、事業者のうち市内に1000㎡以上の店舗面積を有し、かつ、食品衛生法(に基づく知事の許可を受けた小売業者が営業している特別事業所を運営する事業者については、レジ袋削減の取組状況に関する報告書を特別事業所ごとに作成し、市長に提出しなければならない(7条)としている。

〇 浜田市条例も、出雲市条例と同様に、事業者の責務として、レジ袋削減の取組等を行うよう努めなければならない(6条)としているが、市、事業者及び推進団体はレジ袋削減の取組に関する協定を締結することができ、市長は協定を締結した事業者が行った取組について公表することができる(7条)としている。

〇 廃棄物の減量等を推進することなどを目的とする条例において、レジ袋使用の抑制等に関する規定を置くものとして、

京都市 京都市廃棄物の減量及び適正処理等に関する条例

平成27年10月1日改正施行(関係規定)

山梨県富士川町 富士川町廃棄物の減量及び適正処理等に関する条例

平成29年7月1日改正施行(関係規定)

などがある。

〇 京都市条例は、物品小売業者は、購入者に対しレジ袋の要否及び必要最小限の枚数を確認すること等をしなければならず、また、レジ袋の譲渡を有償によることとすること,レジ袋を無償により譲渡することに代えて特典を付与すること、マイバッグの持参を周知すること等に努めなければならない(11条)としている。

〇 富士川町条例は、物品小売業者は、購入者に対しレジ袋の要否及び必要最小限の枚数確認すること、レジ袋を無償により譲渡することを抑制するための措置を講ずること、マイバッグの持参を周知すること等に努めなければならない(10条1項)としている。



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