スポーツ振興・推進に関する条例
(令和7年3月22日更新)
【全国の制定状況とスポーツ基本法】
〇 スポーツの振興や推進を図るための条例が、最近も毎年度コンスタントに制定されている。令和7年3月18日時点で確認できるとものとして、これまで都道府県では21団体が、市区町村では44団体が、スポーツ振興・推進に関する条例(現在施行されているもの)を制定している。
以下、都道府県と市区町村に分けて、これらの条例の制定状況とその内容を概観するが、その際、平成23年6月に制定されたスポーツ基本法を無視することができない。
〇 スポーツ基本法(平成23年法律78号)は、議員立法により制定され、平成23年6月24日に公布、平成23年8月24日に施行された。それまでのスポーツ振興法(昭和36年法律141号)は、昭和39年の東京オリンピック開催を前にして昭和36年に制定されたが、制定から半世紀が過ぎ、スポーツを取り巻く社会状況の変化に対応できていない面があるとして、全面改正され、制定されたものである。
スポーツ基本法は、前文で、スポーツの持つ意義や効果等を示すとともに、スポーツ立国を目指し、国家戦略としてスポーツ施策を推進することを明らかにし、そのうえで、①「スポーツ」に関する基本理念を明記、②プロスポーツや障害者スポーツも法律の対象と明記、③地域スポーツの意義・理念、地域スポーツクラブの行う事業支援等を規定、④スポーツ団体に関し、「運営の透明性の確保」等のガバナンスの充実やスポーツに関する紛争の「迅速かつ適正な解決」に努めることを規定、⑤「ドーピングの防止活動の実施に係る体制の整備」を規定、⑥国際競技大会の招致・開催の支援に特別の措置を規定、などの特徴を有する(文部科学省資料「スポーツ基本法について」参照)。
また、地方公共団体について、「基本理念にのっとり、スポーツに関する施策に関し、国との連携を図りつつ、自主的かつ主体的に、その地域の特性に応じた施策を策定し、及び実施する責務を有する」(4条)とし、地方スポーツ推進計画を定めるよう努める(10条)などとしている。
なお、スポーツ基本法の内容や制定経緯等については、スポーツ庁HP「スポーツ基本法」を参照のこと。
〇 「スポーツ」の定義であるが、スポーツ振興法は「運動競技及び身体運動(キャンプ活動その他の野外活動を含む。)であつて、心身の健全な発達を図るためにされるもの」(2条)としていたが、スポーツ基本法は特に定義規定は置かず、前文で「スポーツは、心身の健全な発達、健康及び体力の保持増進、精神的な充足感の獲得、自律心その他の精神の涵養等のために個人又は集団で行われる運動競技その他の身体活動であり、今日、国民が生涯にわたり心身ともに健康で文化的な生活を営む上で不可欠のものとなっている。」としている。
〇 スポーツ条例の制定状況については、吉田勝光・吉田隆之「文化条例政策とスポーツ条例政策」(成文堂 2017年)が詳しい。本稿は、これを参考にしている。
また、自治体法務研究2015年秋号特集「スポーツ振興と自治体」を参照されたい。
【都道府県の制定状況】
〇 都道府県では、令和7年3月18日時点で確認できるものとして、21条例が制定されている。
埼玉県 | 平成18年12月26日公布 | 平成19年4月1日施行 |
議員提案 | |
鹿児島県 | 平成22年6月25日公布 | 平成22年6月25日施行 |
議員提案 | |
千葉県 | 平成22年12月24日公布 | 平成22年12月24日施行 |
議員提案 | |
山口県 | 平成24年3月21日公布 | 平成24年4月1日施行 |
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岡山県 | 平成24年7月3日公布 | 平成24年7月3日施行 |
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群馬県 | 平成25年3月26日公布 | 平成25年4月1日施行 |
議員提案 | |
岐阜県 | 平成25年3月26日公布 | 平成25年3月26日施行 |
議員提案 | |
徳島県 | 平成26年3月20日公布 | 平成26年3月20日施行 |
議員提案 | |
三重県 | 平成26年12月24日公布 | 平成27年4月1日施行 |
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滋賀県 | 平成27年12月14日公布 | 平成27年12月14日施行 |
議員提案 | |
愛媛県 | 平成29年3月24日公布 | 平成29年3月24日施行 |
議員提案 | |
神奈川県 | 平成29年3月28日公布 | 平成29年3月28日施行 |
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石川県 | 平成29年7月4日公布 | 平成29年7月4日施行 |
議員提案 | |
大分県 | 平成30年3月14日公布 | 平成30年3月14日施行 |
議員提案 | |
山形県 | 平成31年3月15日公布 | 平成31年3月15日施行 |
議員提案 | |
新潟県 | 平成31年3月29日公布 | 平成31年3月29日施行 |
議員提案 | |
福岡県 | 令和2年3月31日公布 | 令和2年4月1日施行 |
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山梨県 | 令和3年3月29日公布 | 令和3年3月29日施行 |
議員提案 | |
北海道 | 令和4年3月31日公布 | 令和4年3月31日施行 |
議員提案 | |
奈良県 | 地域づくりの推進に関する条例 |
令和5年3月27日公布 | 令和5年4月1日施行 |
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佐賀県 | 令和7年3月18日公布 | 令和7年3月18日施行 |
〇 都道府県で最初に制定されたのは、平成18年12月の埼玉県条例である。平成23年6月のスポーツ基本法制定までに制定されたものは埼玉県、鹿児島県及び千葉県の3条例であるが、スポーツ基本法制定後は18条例が制定されている。
〇 議員提案による制定が、14条例と多い。スポーツ振興・推進に関しては、その趣旨・内容については比較的異論が少なく、議員間で議論し、提案することに、なじみやすい面があると言える。
〇 条例名は、埼玉県、鹿児島県及び千葉県の3条例は「スポーツ振興」条例しているが、スポーツ基本法制定後制定された18条例は群馬県、奈良県及び佐賀県の条例を除き「スポーツ推進」条例としている。3条例はスポーツ振興法に倣った条例名とされたのに対して、15条例はスポーツ基本法がスポーツを「推進」する(2条等)との表現を使っていることに対応したものと考えられる。
〇 埼玉県条例は、「まちづくり」条例としているが、「様々な役割と機能を有するスポーツは、するだけではなく、見る、学ぶ、支える、極めるなど、ハード、ソフト両面から振興することにより、県民一人一人がスポーツを通じて豊かな地域社会を形成することを目指しています。スポーツの持つ力を埼玉のまちづくりに生かす観点から、単にスポーツ条例ではなく、スポーツ振興のまちづくり条例とさせていただきました。」(平成18年12月14日埼玉県議会定例会本会議議事録 議案提出者答弁)としている。
〇 千葉県条例は、「体育・スポーツ振興」条例としており、21条例の中では唯一「体育」の振興も目的に加えている。なお、「体育」を「健康で充実した生活を送るために必要な身体能力、知識等を習得するために身体運動を通して行われる教育活動」(2条1号)と定義づけ、学校等での教育活動であるとしている。
〇 奈良県条例は、条例名を「誰もが、いつでも、どこでもスポーツに親しめる地域づくりの推進に関する条例」としている。
〇 佐賀県条例は、条例名を「SAGAスポーツピラミッド構想推進条例」としているが、「SAGAスポーツピラミッド構想」とは「世界に挑戦する佐賀ゆかりのトップアスリートの育成を通じてスポーツ文化(する、観る、支える、育てる、稼ぐ)の視野を拡大し、さらなるトップアスリートの育成につながる好循環を確立することで、スポーツのチカラを活かした人づくり、地域づくりを進めるプロジェクト」(佐賀県HP「SSP/SAGAスポーツピラミッド構想」)であり、「県が掲げる「SAGAスポーツピラミッド構想」(以下「SSP構想」という。)の推進に関し、基本理念を定め、県の責務等を明らかにするとともに、SSP構想の推進に関する施策の基本となる事項を定めることにより、総合的かつ計画的に施策を推進し、スポーツの力を生かした世界に誇れる人づくり及び地域づくりを進めること」(1条)を目的としている。
〇 千葉県、山口県、岐阜県、愛媛県及び佐賀県の条例は、条例制定前後に開催された国民体育大会(令和6年から「国民スポーツ大会」)が契機となっている。千葉県条例は、千葉県資料「千葉県体育・スポーツ振興条例解説資料」において「ゆめ半島ちば国体」(平成22年)が、山口県、岐阜県及び愛媛県の条例は、前文で、それぞれ「山口国体」(平成23年)、「ぎふ清流国体」(平成24年)、「えひめ国体」(平成29年)、「SAGA2024国スポ・全障スポ」(令和6年)が契機になっている旨明記している。
〇 平成25年9月に東京オリンピック・パラリンピックの開催が決定したが、それ以降制定された条例は、東京オリンピック・パラリンピック等を控え、競技能力の向上等を図ることなどが意識されているものと考えられる。石川県条例と山形県条例は、県のスポーツ選手がオリンピック競技大会、パラリンピック競技大会等の国際的・全国的な規模の大会で優秀な成績を収めることができるようにする旨の規定を置き(石川県条例15条1項、山形県条例14条1項)、大分県条例は、前文で「本県においては、ラグビーワールドカップ2019の開催及び大規模大会も開催可能な武道をはじめとする屋内スポーツの拠点施設の供用開始を控えており、併せて2020年東京オリンピック・パラリンピックが開催されることから、スポーツの推進に向けた機運が高まりを見せている。」としている。
〇 条例の内容については、それぞれの条例によって様々であるが、目的、基本理念、県の責務、県民・スポーツ団体・事業者等の役割等のほか、計画の策定、県民参加の促進、生涯スポーツの推進、子ども・青少年スポーツの推進、学校における体育の推進、障害者スポーツの推進、健康の保持増進、競技水準の向上、地域の活性化、施設の整備等を規定するものが多い。
佐賀県条例は、アスリート及び指導者の育成、就業支援の取組、スポーツビジネスの推進、スポーツのイベント運営の基本的考え方、新たなスポーツ(eスポーツ、アーバンスポーツ等)への対応等の規定も置いている。
〇 なお、山口県条例については、自治体法務研究2015年秋号条例制定の事例CASESTUDY「山口県スポーツ推進条例」を参照のこと。
【市区町村条例の制定状況―昭和の時代】
〇 市区町村では、令和7年3月18日時点で確認できるものとして、47条例(現在施行されているもの)が制定されている。それを、制定時期から、①昭和の時代に制定されたもの、②平成に入ってからスポーツ基本法制定までに制定されたもの、③スポーツ基本法制定後に制定されたものの3つに分けて、以下、概観する。
〇 昭和の時代に制定されたものは、以下の9条例である。
北海道倶知安町 | 倶知安町スポーツ振興条例 |
昭和47年12月12日公布 | 昭和47年12月12日施行 |
平成23年12月23日全面改正により、倶知安町スポーツ推進条例(平成23年12月16日公布・施行)
北海道積丹町 | 昭和48年3月15日公布 | 昭和48年3月15日施行 |
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北海道京極町 | 昭50年6月16日公布 | 昭和50年6月16日施行 |
平成24年4月1日改正施行前は、京極町スポーツ振興条例
埼玉県横瀬町 | 昭和50年12月25日公布 | 昭和50年12月25日施行 |
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長崎県長与町 | 昭和51年8月2日公布 | 昭和51年8月2日施行 |
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埼玉県川島町 | 昭和52年10月1日公布 | 昭和52年10月1日施行 |
平成24年4月1日改正施行前は、川島町スポーツ振興条例
北海道弟子屈町 | 昭和56年7月9日公布 | 昭和56年7月9日施行 |
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埼玉県長瀞町 | 昭和58年12月27日公布 | 昭和59年1月1日施行 |
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北海道赤井川村 | 昭和60年3月22日公布 | 昭和60年4月1日施行 |
〇 9条例は、北海道内市町村が5条例、埼玉県内市町村が3条例、長崎県内市町村が1条例となっており、地域的に極めて限定されている。
〇 9条例は、当初すべて「スポーツ振興条例」という名称であったが、このうち5条例はスポーツ基本法制定後改正され「スポーツ推進条例」と名称が変更されている(倶知安町条例は、全部改正)。
〇 9条例のうち、最初に倶知安町条例が昭和47年12月に制定されている。平成24年4月に全部改正されたが、条例名の変更、目的規定における根拠法をスポーツ振興法からスポーツ基本法に変更、体育指導委員をスポーツ指導委員に変更するものであり、基本的な内容には変わりはない。目的、定義、スポーツ推進審議会、スポーツ推進委員及びスポーツ指導員の設置の規定のほか、「町技」の指定・推進の規定を置いている。北海道の他の4条例も、ほぼ同様の内容であり、赤井川村を除き、すべて「町技」に関する規定を置いている。なお、倶知安町は、スキーを「町技」に指定している。
〇 埼玉県の3条例及び長崎県長与条例は、目的、定義、施策の方針、計画の策定、施設の整備、顕彰等の規定を有し、ほぼ同様の内容である。
【市区町村条例の制定状況―平成の時代・スポーツ基本法制定まで】
〇 平成に入ってからスポーツ基本法制定までに制定されたものは、以下の10条例である。
東京都葛飾区 | 平成2年3月16日公布 | 平成2年4月1日施行 |
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福島県矢吹町 | 平成8年3月18日公布 | 平成8年4月1日施行 |
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埼玉県秩父市 | 平成17年4月1日公布 | 平成17年4月1日施行 |
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島根県出雲市 | 平成18年6月28日公布 | 平成18年6月28日施行 |
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東京都品川区 | 平成19年12月10日公布 | 平成20年4月1日施行 |
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長野県長野市 | 平成21年9月25日公布 | 平成21年9月25日施行 |
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埼玉県東松山市 | 平成21年12月18日公布 | 平成22年4月1日施行 |
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さいたま市 | 平成22年3月25日公布 | 平成22年4月1日施行 |
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山口県下関市 | 平成22年3月29日公布 | 平成22年3月29日施行 |
議員提案 | |
埼玉県熊谷市 | 平成23年3月24日公布 | 平成23年4月1日施行 |
議員提案 |
〇 10条例のうち、埼玉県内市町村が4条例、東京都特別区が2条例となっている。
〇 秩父市条例は、内容的には、昭和の時代に制定された埼玉県の3条例とほぼ同じである
〇 文化(芸術)とスポーツの両方の振興を図ることを目的とするものが、4条例ある。このうち、最も制定時期が早いのが葛飾区条例であるが、5条から構成され、文化及びスポーツに関する行事に対する助成が主たる内容となっている。また、矢吹町条例は、基本原則、町の責務、文化・スポーツ環境の整備等を定め、品川区条例及び長野市条例は、基本理念、市(区)の責務、市(区)民の役割等を定めている。
〇 条例名に「まちづくり」を冠する条例が、品川区条例及び長野市条例を含め、7条例ある。
〇 このうち、最も制定時期が早いのが出雲市条例であり、同じく「まちづくり」を条例名に入れている埼玉県条例よりも制定がやや早い。出雲市は、平成17年に21世紀出雲芸術文化のまちづくり条例、出雲市福祉のまちづくり条例、出雲市男女共同参画のまちづくり条例及び出雲市食育のまちづくり条例を、平成18年に出雲市景観まちづくり基本条例、平成19年に出雲市安全で安心なまちづくり条例、平成20年に出雲市まちづくり基本条例を制定しており、一連のまちづくり条例の一つであると言える。基本目標、基本方策、関係団体の連携協力等の規定を置いている。
〇 東松山市条例は、「市民一人1スポーツ」と「週に一度はスポーツを」をスローガンとし、生涯スポーツの推進、ウォーキングの推進等の規定を置き、さいたま市条例は、計画の策定、施設の整備、スポーツ財産の活用、推進組織の設置等の規定を置いている。
〇 下関市条例及び熊谷市条例は、いずれも議員提案によるものであるが、下関市条例は基本理念、基本的施策等を定め、熊谷市条例は他市条例で定めているもののほかスポーツ選手の育成について規定を置いている。
【市区町村条例の制定状況―平成の時代・スポーツ基本法制定以後】
〇 スポーツ基本法制定後に制定されたものは、以下の28条例である。
北海道黒松内町 | 平成24年9月18日公布 | 平成24年9月18日施行 |
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長野県小諸市 | 平成24年12月25日公布 | 平成24年12月25日施行 |
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愛知県春日井市 | 平成25年3月15日公布 | 平成25年4月1日施行 |
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秋田県横手市 | 平成25年3月22日公布 | 平成25年3月22日施行 |
議員提案 | |
滋賀県近江八幡市 | 平成25年3月25日公布 | 平成25年4月1日施行 |
議員提案 | |
東京都町田市 | 平成25年3月29日公布 | 平成25年4月1日施行 |
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山口県柳井市 | 平成25年6月25日公布 | 平成25年7月1日施行 |
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北海道恵庭市 | 平成26年11月28日公布 | 平成26年11月28日施行 |
議員提案 | |
福岡県宗像市 | 平成27年3月31日公布 | 平成27年4月1日施行 |
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埼玉県ふじみ野市 | 平成27年9月30日公布 | 平成27年10月1日施行 |
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東京都中野区 | 平成28年3月28日公布 | 平成28年3月28日施行 |
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大阪府池田市 | 平成28年6月24日公布 | 平成28年7月1日施行 |
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秋田県由利本荘市 | 平成28年9月26日公布 | 平成28年9月26日施行 |
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三重県四日市市 | 平成28年12月21日公布 | 平成29年1月1日施行 |
議員提案 | |
石川県金沢市 | 平成30年3月26日公布 | 平成30年4月1日施行 |
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新潟県長岡市 | 平成30年6月26日公布 | 平成30年10月8日施行 |
議員提案 | |
千葉県市原市 | 平成31年3月6日公布 | 平成31年3月6日施行 |
議員提案 | |
岩手県盛岡市 | 平成31年3月27日公布 | 平成31年3月27日施行 |
議員提案 | |
群馬県前橋市 | 令和元年10月1日公布 | 令和2年1月1日施行 |
議員提案 | |
北海道旭川市 | 令和2年3月26日公布 | 令和2年4月1日施行 |
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福島県楢葉町 | 令和3年3月10日公布 | 令和3年3月10日施行 |
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静岡県小山町 | 令和3年3月22日公布 | 令和3年3月22日施行 |
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北海道知内町 | 令和3年9月24日公布 | 令和3年10月1日施行 |
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宮城県山元町 | 令和4年9月16日公布 | 令和4年9月16日施行 |
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香川県三豊市 | 令和5年3月28日公布 | 令和5年4月1日施行 |
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埼玉県入間市 | 令和5年9月26日公布 | 令和5年10月1日施行 |
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石川県加賀市 | 令和5年9月27日公布 | 令和5年9月27日施行 |
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埼玉県戸田市 | 令和6年3月29日公布 | 令和6年4月1日施行 |
〇 それ以前のものとは異なり、地域的に偏ることなく、全国各地で制定されている。
〇 3分の1弱の条例が、議員提案により、制定されている。
〇 条例の内容については、それぞれの条例によって様々であるが、基本理念、市町村の責務、市民や事業者の役割、計画の策定等を中心としたものや、これらに加えて、生涯スポーツの推進、地域の活性化、障害者スポーツの推進、人材の育成、指導者の養成、競技水準の向上、スポーツ施設の整備等を定めるものがある。
〇 このうち、町田市条例、金沢市条例及び前橋市条例は、ホームタウンチーム(市内に活動の拠点を置きトップレベルの競技活動を行うプロスポーツチーム)についての規定を置き、ホームタウンチームに対する支援やホームタウンチームの競技活動を通じての地域の活力や一体感の醸成等への役割等を定めている。
また、地域の活性化を図るため、四日市市条例は「プロスポーツの開催又は誘致に積極的に取り組むものとする」(14条)とし、金沢市条例は「事業者及びスポーツ関係団体と連携し、競技会等の開催又は誘致その他必要な施策を講ずる」(10条3項)等とし、三豊市条例は「各種スポーツ大会又は競技会の誘致、スポーツイベント又はプロスポーツの開催」等(12条2項)を行うこととし、加賀市条例は「各種のスポーツ行事及びプロスポーツの開催及び誘致に積極的に取り組む」(19条)等としている。また、長岡市条例は、施策の基本方針として「大規模な競技会、プロスポーツその他の高度な水準のスポーツに市民が触れることのできる機会の充実及びスポーツを通じた交流人口の増加を図ること」(7条5号)を掲げている。
さらに、市原市条例は、「市は、国際的・全国的な競技会に出場することが見込まれる競技者について、広く市民に広報するなど、市民が競技者を支援する機運の向上に努めるものとする」(11条)としてトップアスリートに対する支援を定めるとともに、「国内外からのスポーツをきっかけとした来訪者を招くための施策を講じるとともに、これらの来訪者を歓迎するための態勢を整えることに意を用いるものとする」(18条1項)として市外からの来訪者の受け入れ態勢の充実についても規定している。
〇 楢葉町条例は、スポーツツーリズムを「スポーツと地域資源を組み合わせ、新たな価値の創造を図る旅行のこと」(2条4号)と定義づけをうえで、「町は、町内のスポーツ施設及び観光資源を活用することにより、町内外に向け、町の持つ魅力を最大限引き出したスポーツツーリズムを推進するものとする。」(3条6項)と規定している。
〇 なお、春日井市条例については、自治体法務研究2015年秋号条例制定の事例CASESTUDY「春日井市スポーツ振興基本条例」を参照のこと。