首長等や議員によるハラスメントに関する条例

(令和6年12月2日更新)

【制定状況】

〇 自治体職員のハラスメントの防止等については、通常、自治体の要綱や規程等において定められており、また、議員については、政治倫理条例で規定する政治倫理基準において定めているものがある。しかし、職員や議員のハラスメントの防止等に関して、単独条例を制定している自治体がある。令和6年11月28日時点で制定されているものとして、次の75団体の76条例が確認できる。すなわち、

東京都狛江市 狛江市職員のハラスメントの防止等に関する条例 平成30年7月4日公布 平成30年11月1日施行
埼玉県川越市 川越市議会ハラスメント根絶条例 平成31年3月7日公布 平成31年3月7日施行
茨城県牛久市 牛久市職員のハラスメント防止に関する条例 令和元年12月24日公布 令和元年12月24日施行
大阪府忠岡町 忠岡町議会ハラスメント防止条例 令和2年9月11日公布 令和2年9月11日施行
青森県七戸町 七戸町議会ハラスメント防止条例 令和2年12月4日公布 令和2年12月4日施行
埼玉県東松山市 東松山市議会ハラスメント防止条例 令和2年12月24日公布 令和2年12月24日施行
青森県三戸町 三戸町職員のハラスメントの防止等に関する条例 令和3年3月15日公布 令和3年3月15日施行
青森県五戸町 五戸町職員のハラスメントの防止等に関する条例 令和3年3月19日公布 令和3年4月1日施行
東京都世田谷区 世田谷区議会議員による職員に対するハラスメント

に関する条例

令和3年6月25日公布 令和3年6月25日施行
福岡県中間市 中間市議会ハラスメント根絶条例 令和3年9月27日公布 令和3年9月27日施行
大阪府池田市 池田市の職員及び市議会議員のハラスメント防止

に関する条例

令和3年9月30日公布 令和3年9月30日施行
宮崎県三股町 三股町議会ハラスメント根絶条例 令和3年11月11日公布 令和3年11月11日施行
北海道愛別町 愛別町議会ハラスメント防止条例 令和4年3月16日公布 令和4年4月1日施行

令和4年9月16日改正施行

徳島県吉野川市 吉野川市議会議員による職員に対するハラスメント

に関する条例

令和4年3月23日公布 令和4年3月23日施行
三重県四日市市 四日市市議会ハラスメントの防止等に関する条例 令和4年3月24日公布 令和4年3月24日施行
福岡県 福岡県における議会関係ハラスメントを根絶する

ための条例

令和4年7月5日公布 令和5年1月1日施行

(一部令和5年4月1日施行)

鹿児島県曽於市 曽於市ハラスメント防止条例 令和4年9月5日公布 令和4年9月5日施行
宮崎県えびの市 えびの市議会ハラスメント根絶条例 令和4年9月28日公布 令和4年9月28日施行
北海道恵庭市 恵庭市議会ハラスメント根絶条例 令和4年10月17日公布 令和4年10月17日施行
熊本県山都町 山都町職員のハラスメントの防止等に関する条例 令和4年12月16日公布 令和4年12月16日施行
福岡県築上町 築上町議会ハラスメント根絶条例 令和4年12月20日公布 令和4年12月20日施行
熊本県あさぎり町 あさぎり町議会議員及び町長等のハラスメントの防止

に関する条例

令和4年12月20日公布 令和4年12月20日施行
神奈川県大和市 大和市ハラスメント防止条例 令和4年12月27日公布 令和5年4月1日施行
大阪府 大阪府内の地方議会における府民の政治参画の推進

に関する条例

令和5年2月28日公布 令和5年3月1日施行

(一部令和5年3月24日施行)

宮城県蔵王町 蔵王町議会ハラスメント防止条例 令和5年3月15日公布 令和5年3月15日施行
徳島県松茂町 松茂町議会ハラスメント防止条例 令和5年3月15日公布 令和5年3月15日施行
青森県大鰐町 大鰐町議会ハラスメント防止条例 令和5年3月20日公布 令和5年3月20日施行
熊本県人吉市 人吉市議会ハラスメント防止条例 令和5年3月22日公布 令和5年3月22日施行
東京都利島村 利島村における議会関係ハラスメントを根絶する

ための条例

令和5年3月27日公布 令和5年4月1日施行
岐阜県本巣市 本巣市議会議員によるハラスメントに関する条例 令和5年3月30日公布 令和5年3月30日施行
千葉県柏市 柏市議会ハラスメント防止条例 令和5年6月2日公布 令和5年6月2日施行
兵庫県洲本市 洲本市議会ハラスメント防止条例 令和5年7月4日公布 令和5年7月4日施行
秋田県三種町 三種町議会ハラスメント防止条例 令和5年9月15日公布 令和5年9月15日施行
青森県板柳町 板柳町議会ハラスメント防止条例 令和5年9月19日公布 令和5年9月19日施行
鳥取県八頭町 八頭町議会ハラスメント防止条例 令和5年9月25日公布 令和5年9月25日施行
宮城県東松島市 東松島市議会ハラスメント防止等に関する条例 令和5年9月29日公布 令和5年9月29日施行
千葉県長生村 長生村議会ハラスメント防止条例 令和5年11月16日公布 令和5年11月16日施行
岡山県美咲町 美咲町議会議員ハラスメント防止条例 令和5年12月15日公布 令和5年12月15日施行
茨城県結城市 結城市ハラスメント防止条例 令和5年12月19日公布 令和6年1月1日施行
岡山県鏡野町 鏡野町議会ハラスメント防止条例 令和5年12月21日公布 令和5年12月21日施行
大阪府岬町 岬町議会ハラスメント防止条例 令和5年12月22日公布 令和5年12月22日施行
岡山県笠岡市 笠岡市の市長等、職員及び議員のハラスメン防止

に関する条例

令和5年12月25日公布 令和5年12月25日施行
香川県三豊市 三豊市議会ハラスメント防止条例 令和5年12月25日公布 令和6年1月1日施行
三重県大台町 大台町議会ハラスメント防止条例 令和5年12月27日公布 令和5年12月27日施行
茨城県阿見町 阿見町ハラスメント防止条例 令和6年2月21日公布 令和6年2月21日施行
長崎県 長崎県議会におけるハラスメントを防止するための条例 令和6年3月1日公布 令和6年6月1日施行
京都府南山城村 南山城村議会ハラスメント防止条例 令和6年3月8日公布 令和6年4月1日施行
熊本県南関町 南関町職員のハラスメント防止に関する条例 令和6年3月11日公布 令和6年3月11日施行
福島県金山町 金山町議会ハラスメント防止条例 令和6年3月15日公布 令和6年3月15日施行
新潟県糸魚川市 糸魚川市議会ハラスメント防止条例 令和6年3月15日公布 令和6年3月15日施行
島根県津和野町 津和野町議会ハラスメント根絶条例 令和6年3月15日公布 令和6年3月15日施行
鳥取県大山町 大山町議会ハラスメント防止条例 令和6年3月21日公布 令和6年3月21日施行
広島県府中町 府中町議会議員による職員に対するハラスメント

に関する条例

令和6年3月22日公布 令和6年3月22日施行
茨城県水戸市 水戸市議会ハラスメントの根絶に関する条例 令和6年3月26日公布 令和6年3月26日施行
徳島県小松島市 小松島市議会ハラスメント防止条例 令和6年3月27日公布 令和6年3月27日施行
大阪市 大阪市会ハラスメント防止条例 令和6年3月29日公布 議長が定める日施行
千葉県鴨川市 鴨川市議会ハラスメント防止条例 令和6年3月29日公布 令和6年3月29日施行
福岡県筑紫野市 筑紫野市議会ハラスメント防止条例 令和6年3月29日公布 令和6年3月29日施行
宮崎県串間市 串間市議会ハラスメント防止条例 令和6年3月29日公布 令和6年3月29日施行
山形県庄内町 庄内町議会ハラスメント防止条例 令和6年6月5日公布 令和6年6月5日施行
兵庫県加西市 加西市議会ハラスメント防止条例 令和6年6月5日公布 令和6年6月5日施行
長崎県波佐見町 波佐見町議会ハラスメント防止条例 令和6年6月19日公布 令和6年6月19日施行
神奈川県開成町 開成町議会ハラスメント防止条例 令和6年6月24日公布 令和6年6月24日施行
岡山県浅口市 浅口市職員のハラスメントの防止等に関する条例 令和6年6月26日公布 令和6年6月26日施行
沖縄県南城市 南城市ハラスメント防止条例 令和6年8月8日公布 令和6年8月8日施行
兵庫県三田市 三田市議会ハラスメント根絶条例 令和6年8月20日公布 令和6年8月20日施行
北海道倶知安町 倶知安町議会ハラスメント防止条例 令和6年9月3日公布 令和6年9月3日施行
岐阜県飛騨市 飛騨市議会ハラスメント防止条例 令和6年9月3日公布 令和6年9月3日施行
岐阜県白川町 白川町ハラスメント防止条例 令和6年9月9日公布 令和6年9月9日施行
茨城県石岡市 石岡市議会ハラスメント防止条例 令和6年9月12日公布 令和6年9月12日施行

岐阜県各務原市

各務原市長等及び職員のハラスメント防止等に関する条例

令和6年9月27日公布

令和6年10月1日施行

各務原市議会議員のハラスメント防止等に関する条例

令和6年9月27日公布

令和6年10月1日施行

福島県白河市 白河市議会ハラスメント防止条例 令和6年10月1日公布 令和6年10月1日施行
群馬県館林市 館林市議会ハラスメント防止条例 令和6年10月8日公布 令和7年4月1日施行
福岡県春日市 春日市議会ハラスメント防止条例 令和6年10月11日公布 令和6年10月11日施行
岐阜県中津川市 中津川市議会ハラスメント防止条例 令和6年11月28日公布 令和6年11月28日施行

である。

〇 狛江市、五戸町、池田市、曽於市、大和市、結城市、笠岡市、南城市及び白川町の条例は特別職を含む職員又は議員によるハラスメントを、あさぎり町条例は特別職の職員又は議員によるハラスメントを、川越市、忠岡町、七戸町、東松山市、世田谷区、中間市、三股町、愛別町、吉野川市、えびの市、築上町、蔵王町、松茂町、大鰐町、人吉市、本巣市、柏市、洲本市、板柳町、八頭町、東松島市、美咲町、鏡野町、大台町、阿見町、長崎県、糸魚川市、津和野町、大山町、府中町、水戸市、小松島市、鴨川市、筑紫野市、串間市、庄内町、加西市、波佐見町、倶知安町、白河市、館林市、春日市及び中津川市の条例は議員によるハラスメントを、牛久市、山都町、南関町及び浅口市の条例は特別職を含む職員によるハラスメントを、三戸町条例は一般職職員等によるハラスメントを、それぞれ対象にしている。

 また、福岡県、大阪府及び利島村の条例は、議員によるハラスメント又は議員若しくは議員となろうとする者に対するハラスメントを対象にしている。

 四日市市、恵庭市、三種町、長生村、岬町、三豊市、南山城村、金山町、大阪市、開成町、三田市、飛騨市及び石岡市の条例は、議員によるハラスメントのみならず、議員と職員間のハラスメントを対象にし、職員から議員に対するハラスメントも対象にしている。

 各務原市の条例は、特別職を含む職員によるハラスメントを対象にする条例(各務原市市長等・職員条例)と議員によるハラスメントを対象にする条例(各務原市議員条例)を別個に制定している。

〇 三戸町条例、五戸町条例、曽於市条例、山都町条例、南関町条例、浅口市条例、白川町条例及び各務原市市長等・職員条例は首長提案により制定されているが、他の68条例は議員提案により制定されている。

〇 以上の条例の概要を一覧表にすると、以下の通りになる。

 

【狛江市の条例】

〇 狛江市条例は、「前市長のセクハラ問題の際、同市の『狛江市職員のハラスメントの防止に関する規則』は市長などの特別職や市議会議員が対象になっていないなどの問題点が明らかになったのを受け」、市議会議員による策定作業が進められ、「条例には対象を特別職に拡大するとともに、第三者委員会の設置や調査結果の公表などを盛り込んだ」(K-Press川崎・狛江のインターネット新聞 2018年6月29日)とされる。市議会における審議での主な質疑・応答については、「こまえ市議会だより No.210 平成30年8月15日号」で紹介されている。

〇 「ハラスメント」を「セクシュアル・ハラスメント、パワー・ハラスメントその他の職員に対する誹謗、中傷、風評の流布等により人権を侵害し、又は不快にさせる行為」と定義づけた(2条3号)うえで、市長,副市長及び教育長並びに議員は「ハラスメントの事実があると疑われたときは,自ら誠実な態度を持って疑惑の解明に当たるととも、その責任を明確にするよう努めなければならない」(3条4項)とし、職員は市長が定める「職員に対する指針」(5条)に従い、「ハラスメントをしてはならない」(4条3項)としている。市長は、事実関係の公正な調査によりハラスメントの事実が確認された場合は、市長等又は議員については公表を、職員については懲戒処分等を、それぞれ行うことができる(11条1項)としている。

〇 相談窓口の設置(7条)、相談員の選任(8条)及び苦情処理委員会の設置(9条)について規定するとともに、相談・苦情の手続(10条)等について定めている。

【川越市の条例】

〇 川越市条例は、「市議による市職員へのハラスメントが問題となったことを受け、議員のハラスメントの防止、根絶を目的に議員から提出され」、「全会一致で可決」され、「ハラスメント防止策として議員への研修の実施を盛り込んだほか、ハラスメントが確認された議員の氏名の公表などを明記した」(時事通信平成31年3月7日配信記事)とされる。

 条例の提案理由については「平成31年第1回定例会3月7日本会議会議録」を、条例の制定経緯等については大泉一夫「議員のハラスメント防止の条例制定への経緯」(地方議会人2021年5月号)を参照されたい。

〇 「ハラスメント」については、狛江市条例と同一の定義をし(1条)、「議員は、当該議員によるハラスメントがあると疑われたときは、自ら誠実な態度を持って疑惑の解明に当たるとともに、その責任を明確にするよう努めなければならない」(3条3項)としている。議長は、「職員からハラスメントに関する苦情の申出があったときは、・・・速やかに、当該苦情に係る事実関係を把握し」(5条)、「議員によるハラスメントがあったことを確認したときは、当該ハラスメントを行った議員の氏名の公表その他の必要な措置を講じなければならない」(6条1項)としている。

【牛久市の条例】

〇 牛久市条例は、平成26年9月に制定された「牛久市役所パワーハラスメント防止条例」が廃止されたうえで、令和元年12月に制定された。「牛久市役所パワーハラスメント防止条例」は、パワーハラスメントを防止することを目的とし、特別職職員を含む職員全員にパワーハラスメントを禁止するとともに、相談窓口の設置、審査委員会の設置等を規定していた。市役所においてパワハラ事例が多いとして、議員提案で制定されたものであった。

〇 牛久市条例も、議員提案により制定されているが、「本年(令和元年)5月には、女性活躍推進法や労働施策総合推進法などのセクハラ、パワハラ防止対策の強化を目的とする、いわゆる『パワハラ防止法』が成立しました。・・・牛久市には、これまでハラスメントに関して2014年に制定した『牛久市役所パワーハラスメント防止条例』と2013年に制定された『牛久市職員のハラスメント防止に関する要綱』がありました。今回の条例は、これらの条例や要綱との整合性を図るとともに、パワハラ、セクハラだけでなく、近年大きな問題になっているマタニティハラスメント、モラルハラスメントも類型として組み込んでいます。」(条例提案理由 「令和元年第3回定例会12月20日本会議会議録」)としている。

〇 「ハラスメント」を「パワーハラスメント、セクシュアルハラスメント、マタニティハラスメント、モラルハラスメント及びその他のハラスメント」と定義づけ(2条1号)、さらに、それぞれのハラスメントの種別ごとに個別に定義規定を置いた(2条2号~6号)うえで、「職員は、互いの人格を尊重し、他の職員を職務遂行上の対等なパートナーと認め、ハラスメントをしてはならない。」(4条)としている。一般職職員のみならず、市長、副市長、教育長等をも対象にしている(2条8号)。相談窓口の設置(7条)、ハラスメント対策委員会の設置(8条)を規定するとともに、相談等の申出等の手続について定めている(6条)。

【忠岡町の条例】

〇 忠岡町条例は、川越市条例とほぼ同様の内容を規定しているが、対応措置(6条)において、議長は、議員によるハラスメントがあったことを確認したときは、当該ハラスメントを行った議員の氏名の公表その他の必要な措置のほか、「申し出た職員の被害回復においても必要な措置を講じなければならない。」としている。

【七戸町の条例】

〇 七戸町条例も、川越市条例とほぼ同様の内容を規定しているが、「議会は、町長から議員によるハラスメントがあったことを報告されたときは、総務企画常任委員会から意見を聴き、当該ハラスメントを行った議員の氏名の公表その他の必要な措置を講じなければならない。」(6条2項)としている。職員に対しては、七戸町職員のハラスメントの防止等に関する規則(令和2年10月1日公布・規則)が制定されている。

【東松山市の条例】

〇 東松山市条例は、令和2年12月に制定されたが、併せて、東松山市議会基本条例及び東松山市議会議員政治倫理条例も改正されている。

〇 「ハラスメント」を「①言葉、行為等により、相手を傷つけ、苦痛を与える行為、不快にさせる行為又は不利益を与える行為、②社会的若しくは性的差別により、相手に精神的又は身体的な苦痛を与える行為、③職務上の地位、役職等の優位性を背景に、適正な職権の範囲を超えて、相手に精神的又は身体的な苦痛を与える行為、④性的指向、性自認等の望まない情報の暴露により、プライバシーを侵害し、相手を傷つける行為」(2条)と定義づけ、「議員は、当該議員によるハラスメントがあると疑われたときは、自ら誠実な態度を持って疑惑の解明に当たるとともに、その責任を明確にするよう努めなければならない。」(3条2項)としたうえで、議長は、「議員によるハラスメントの相談及び申立てがあった場合には、迅速かつ適切に必要な措置を講じなければならない」とし、「相当の理由があると認めるときは、事実関係の調査及び確認」を行い、各会派の代表からなるハラスメント審査会の調査結果を尊重して「ハラスメントが確認された場合は、ハラスメントを行った議員に対して指導、助言、注意その他必要な措置を講じる」ものとしている(4条)。

【三戸町の条例】

〇 三戸町条例は、職員の職場におけるハラスメントの防止を目的としている。

〇 ハラスメントを「セクシュアル・ハラスメント、パワー・ハラスメント、モラル・ハラスメント、妊娠・出産・育児又は介護に関するハラスメント及びその他の人権侵害」(2条2号)と定義づけたうえで、「職員は勤務時間の内外を問わず、ハラスメントをしてはならないものであるとともに、この条例の趣旨に従いハラスメントの防止等に努めなければならない。」(4条1項)としている。ハラスメント相談窓口(6条)及びハラスメント対策委員会(7条)を設置し、ハラスメントを受けた職員等の相談及び苦情等の対応、事実関係の調査、事案の処理等を行うこととし、「町長は、ハラスメントの態様等に応じ、ハラスメントを行った職員に対しては、懲戒処分その他の必要な措置を講ずるものとする。」(10条)としている。

【五戸町の条例】

〇 五戸町条例は、狛江市条例とほぼ同様の内容を規定しているが、相談窓口の設置(7条)、相談員の選任(8条)、苦情処理委員会の設置(9条)等についても規定している。

【世田谷区の条例】

〇 世田谷区条例は、川越市、忠岡町、七戸町及び東松山市の条例と同様に、議員による職員に対するハラスメントを防止することを目的としているが、条例名を「議員による職員に対するハラスメントに関する条例」とし、また前文では「議員の地位による影響力を不正に利用したハラスメント行為は断じて許されるものではない。議員と職員という特殊な人間関係を背景としたハラスメントは顕在化しにくい上に、不当に職員の尊厳を傷つけ、最悪の場合、回復不能な肉体的・精神的な被害をもたらし、ひいては人材の喪失、行政の停滞を招くことになり、さらには議員への区民の信頼を裏切ることにもなりかねない。」と記述するなど、その趣旨を明確にしている。

〇 ハラスメントについての定義規定は特に置いていない。「議員は、職員に対するハラスメントが個人の尊厳を不当に傷つけ、労働意欲を低下させることを自覚し、職員の人格を尊重して活動しなければならない。」(2条1項)とし、「議会は、区長から職員に対するハラスメントに関する事案の報告があったときは、必要な措置を講ずるものとする。」(5条)としている。

【中間市の条例】

〇 中間市条例は、議員による職員に対するハラスメント及び議会内における議員間のハラスメントを防止することを目的としている。

〇 議員の責務として「議員は、市民の代表者として、権能及び責務を自覚するとともに、常に高い倫理意識を持ち、ハラスメントが個人の尊厳を不当に傷つけ、人権侵害に当たること及び職員の労働意欲を低下させることを自覚認識し、議員間又は職員の人格を尊重してハラスメントの防止根絶に努めなければならない。」(3条1項)等を規定している。

【池田市の条例】

〇 池田市条例は、市長等の特別職を含む職員と市議会議員の両方を対象にしている。

〇 「職員又は市議会議員から他の職員又は市議会議員へのハラスメントを防止することにより、職員及び市議会議員が個人としての尊厳を尊重され、良好な職員の職場環境及び市議会議員が活動できる環境を確立すること」(1条)を目的とし、職員及び市議会議員の責務として「職員及び市議会議員は、他の職員及び市議会議員を職務遂行上の対等なパートナーとして互いの人権を尊重し、他の職員及び市議会議員に対しハラスメントをしてはならない。」(3条1項)等を規定している。

〇 「家庭用サウナを市役所に持ち込むなどした大阪府池田市の前市長による市職員へのパワハラ問題を受け、市議会で・・・、ハラスメント防止条例案が議員提案され、全会一致で可決した」(朝日新聞令和3年10月1日記事)とされる。

【三股町の条例】

〇 三股町条例は、川越市条例とほぼ同様の内容を規定している。

〇 条例違反の事例が発生し、「懲罰特別委員会を開催し、調査した結果、実際にパワーハラスメントがあった」ことを確認したとしている(三股町HP「町議会ハラスメント根絶条例違反が発生)。

【愛別町の条例】

〇 愛別町条例は、中間市条例と同様に、議員による職員に対するハラスメント及び議会内における議員間のハラスメントを防止することを目的としている。

〇 制定の背景としては、町が職員同士のハラスメント防止に関する要綱の整備を進めていることや北海道内の他の市町村において上司のパワーハラスメントで職員が自殺したことがあるとされる(北海道新聞令和4年3月17日記事参照)。

〇 議員によるハラスメントについて、「ハラスメントの防止根絶に努めなければならない。」(改正前3条1項)としていたが、令和4年9月16日改正施行により、「ハラスメントをしてはならない。」(改正後3条1項)としている。

【吉野川市の条例】

〇 吉野川市条例は、議員による職員に対するハラスメントを防止することを目的としている。

〇 ハラスメントの定義については、東松山市条例と同様の規定を置いている。議会の措置として、「ハラスメントを行った議員の氏名の公表その他の必要な措置を講じなければならない。」(7条)としている。

【四日市市の条例】

〇 四日市市条例は、「議員間又は議員と職員との間において生じた問題について適用する」(3条)としている。

〇 議長の責務(4条)、議員の責務(5条)等を規定しているが、議長の責務として「ハラスメントに起因する問題が生じた場合は、必要な措置を迅速かつ適切に講じなければならない」(4条1項)としている。

【福岡県の条例】

〇 福岡県条例は、政治分野における男女共同参画の推進に関する法律等の趣旨を踏まえ、「福岡県内全ての地方議会に関する議員によるハラスメント又は議員若しくは議員となろうとする者に対するハラスメントを根絶する」(1条)を目的としている。

 政治分野におけるハラスメントに限定したうえで、議員によるハラスメントのみならず、有権者から議員や議員となろうとする者に対するハラスメント(いわゆる「票ハラ(投票ハラスメント)」)をも対象にしている。

〇 ハラスメントを「①議会、職場又は地域における優越的な関係を背景とした言動であって、議会活動、議員活動又は選挙活動(準備活動を含む。)その他の政治活動(以下「政治活動等」という。)上必要かつ相当な範囲を超え、当該言動 の相手とされた者(以下「相手方」という。)の政治活動等の環境を害するもの、②政治活動等における性的な言動であって、相手方がその対応により政治活動等において不利益を受ける等、相手方の政治活動等の環境を害するもの、③政治活動等における妊娠又は出産に関する言動であって、相手方の政治活動等の環境を害するもの、④その他前各号に類する相手方に対する誹謗中傷、事実に反する風説の流布その他の嫌がらせとなる言動であって、日本国憲法が保障する思想の自由、表現の自由等に配慮しても、なお、一般に許される限度を超え、身体的若しくは精神的な苦痛を与え、又は相手方の政治活動等の環境を害するもの」(2条)と定義づけ、県議会議員及び県議会議員になろうとする者は、「公職に参画し、又は参画しようとする者として高い倫理観が求められること及びハラスメントが個人の尊厳を不当に傷つけ、人格権その他の基本的人権を侵害する行為であることを自覚し、政治活動等における自らの言動を厳しく律しなければならない。」(3条1項)、「ハラスメントとなる言動を行っている者があるときは、その者に対し当該言動は厳に慎むべきである旨を指摘するよう努める等、率先して福岡県議会(・・・)からハラスメントを根絶するよう取り組むものとする。」(3条2項)等と県議会議員等の責務を定めるとともに、啓発及び研修(4条)に関する規定を置いている。

 議長は、弁護士その他ハラスメント事案に関する専門的な知識又は経験を有する者数名を相談員に委嘱する(5条1項)としたうえで、県議会議員又は県議会議員になろうとする者であってハラスメントによる被害の申立人は、相談員に対し、被害防止措置等に関する相談を行うことができ(5条3項)、議長は、相談員の報告又は意見を踏まえ、被申立人に対し、注意を喚起し、ハラスメントをしないよう求め、又は勧告する等の措置を講じ(9条1項)、被申立人が前項の規定による勧告に応じないとき等は、相談の内容、調査結果及び当該措置の全部又は一部を公表することができる(9条2項)としている。

 また、市町村議会との連携として、議長は、県内市町村議会の議員及び事務局職員の誰もが参加できる研修を県内市町村議会と連携して実施するよう努める(10条2項)とするとともに、県内市町村議会における、又は県内市町村議会議員の選挙に関するハラスメントについても、議員又は当該議会から相談があった場合には、相談員等に調査を行わせ、必要な助言を行わせることができる(10条3項)としている。

 なお、本条例は、議員対職員のハラスメントは対象にしていない(自治体法務研究2023年春号CLOSEUP先進・ユニーク条例「福岡県における議会関係ハラスメントを根絶するための条例」69頁)とされている。

〇 本条例の内容等については、福岡県議会HP「「福岡県における議会関係ハラスメントを根絶するための条例」が制定されました」及び自治体法務研究2023年春号CLOSEUP先進・ユニーク条例「福岡県における議会関係ハラスメントを根絶するための条例」を参照のこと。

【曽於市の条例】

〇 曽於市条例は、一般職の職員及び市長、議員を含む特別職の両方を対象にしている。

【えびの市の条例】

〇 えびの市条例は、議会内における議員間のハラスメント及び議員の地位を利用した市長等に対するハラスメントを防止し、根絶することを目的としている。

【恵庭市の条例】

〇 恵庭市条例は、議員間又は職員と議員間におけるハラスメントの根絶を目的としている。

 ハラスメントを「パワーハラスメント、モラルハラスメント、セクシュアルハラスメント、妊娠、出産、育児又は介護に関するハラスメント及びSOGI(ソジ)ハラスメント(性的指向や性自認に関して、差別的な言動や嘲笑、いじめや暴力等の精神的又は肉体的な嫌がらせを行う行為をいう。)その他の個人の人格若しくは尊厳を害し、精神的若しくは身体的な苦痛を与え、又は個人の職務環境を害する行為」(2条1号)と定義づけており、「SOGI(ソジ)ハラスメント」との用語を使用している。

  議長は、ハラスメントに起因する問題が生じた場合は、ハラスメント問題に関する第三者委員会を設置する(4条1項)としている。

【山都町の条例】

〇 山都町条例は、特別職を含む職員によるハラスメントを対象としている。

 山都町は、令和3年12月に職員から当時の副町長による当該職員に対するパワハラ被害があった旨の申し出があっため、令和4年3月に山都町第三者調査委員会を設置し、同年8月に同調査委員会からパワーハラスメントに該当する事案が認められたとの答申があり、それを受けて山都町職員懲戒等審査委員会において免職相当とされ、副町長に対して免職処分をしたが、総務省の見解により、同処分を見直し、同年12月に副町長に対しての免職処分を取り消し、辞職を承認したとしている。

【築上町の条例】

〇 築上町条例は、議員による議員の地位を利用した町職員に対するハラスメント及び議会内における議員間のハラスメントを防止・根絶することを目的としている。

 ハラスメントの定義については、東松山市条例、吉野川市条例及びえびの市条例と同タイプの規定を置いているが、この3条例に規定する項目のほか、産前・産後休暇、育児休業及び介護休業等の利用に関する言動により、職員・議員の申出若しくは取得に関する権利や環境が害される行為(2条5号)並びに誹謗、中傷、風評の流布等により相手を不快にさせ、尊厳を傷つけ、不利益を与え、又は脅威を与える行為(2条6号)を加えている。

 異議申立として、「議員は、調査内容に不服がある場合は、議長に異議を申し立てし、訴訟をすることができる。その場合、第6条第2項の公表を判決が確定するまで保留するものとする。」(9条)との規定を置いている。

【あさぎり町の条例】

〇 あさぎり町条例は、議員並びに町長、副町長及び教育長によるハラスメントを対象としている。

 ハラスメントを「パワー・ハラスメント、セクシュアル・ハラスメント、マタニティ・ハラスメント、モラル・ハラスメント、ジェンダー・ハラスメント及びその他のハラスメント」(2条1号)とし、「ジェンダー・ハラスメント」との用語を使用している。ジェンダー・ハラスメントを「性別により区別し、職員に対してその意思に反する言動を強制 し、又はその人格と尊厳を侵害する言動を行うこと等により、当該職員に精神的又は身体的な苦痛を与える行為」(2条6号)と定義づけている。

 町長は、総務課にハラスメント相談窓口を設置する(6条)とともに、町長及び議長は、相談員として、ハラスメントに関して見識のある職員から5名(うち、2名以上の女性を含める)を選任する(7条)としている。

〇 あさぎり町では、令和3年11月17日付けで辞職した前副町長について、町長からの前副町長に対するハラスメントの疑い等に関して、議会からの申立てにより、専門的な知見を持つ第三者による公正中立な立場から調査等を行うため、あさぎり町ハラスメントの疑いに関する第三者調査委員会が設置された。

 あさぎり町条例においても、ハラスメント第三者調査委員会の設置に関する規定(9条)が置かれている。

【大和市の条例】

〇 大和市条例は、職員、市長等(市長、副市長及び教育長)及び議員によるハラスメントを対象としている。

 「市長等、議員、職員その他本市に勤務する全ての者は、ハラスメントが個人の尊厳を不当に傷つけ、人権侵害に当たることを理解し、他者に対しハラスメントを行ってはならない。」(8条1項)としているが、この規定は派遣労働者、委託業務に従事する労働者、団体等から派遣されている行政実務研修員に対する関係においても同様(8条2項)としている。

 市長は、弁護士、臨床心理士等のハラスメント事案に係る専門的知識を有する者から選任された第三者によるハラスメント相談窓口を開設する(10条)とともに、ハラスメント対策委員会を設置する(11条)としている。

〇 「令和3年5月7日の大和市議会臨時会当日、金子勝前副市長が任期途中で辞職したのは、大木哲市長のパワーハラスメント的言動が収まらないことに対する抗議の意味での辞職であったと報道され」、その報道を受け令和3年6月1日に大和市議会は「前副市長辞職等に関する調査特別委員会」を設置し、同調査特別委員会は「幹部職員へのアンケート調査や参考人聴取、横浜地方裁判所での陳述内容等の調査を進めた結果、『大和市役所内での行政執行において、大木市長・井上副市長のパワーハラスメントと思われる傾向により、長期間にわたり職場環境が著しく悪化している』と結論づけた。」(「大木哲大和市長に対する問責決議」(令和4年12月21日議決))とされる。

【大阪府の条例】

〇 大阪府条例は、条例名を「大阪府内の地方議会における府民の政治参画の推進に関する条例」としているが、「府内全ての地方議会に関する議員によるハラスメント又は議員若しくは議員になろうとする者に対するハラスメント(・・・)を根絶するため必要な事項を定める」(1条)としており、ハラスメントの根絶を目的としている。

〇 ハラスメントの定義、条例の基本的な構成や内容は、概ね福岡県条例と同様の考え方に立っており、政治分野におけるハラスメントに限定したうえで、議員によるハラスメントのみならず、有権者から議員や議員となろうとする者に対するハラスメント(いわゆる「票ハラ(投票ハラスメント)」)をも対象にしている。

 また、府議会議員及び府議会議員になろうとする者に係るハラスメントについての相談体制の整備、相談事案への対応、相談事案関係者の義務、被害防止措置等に関する規定のみならず、市町村議会との連携に関する規定も置き、府議会議長は、府内市町村議会の議員及び事務局職員の誰もが参加できる研修を県内市町村議会と連携して実施するよう努めるとするとともに、府内市町村議会に関するハラスメントについても、議員又は当該議会から相談があった場合には、相談員に調査を行わせ、必要な助言を行わせることができるとしている。

〇 本条例の内容等については、大阪府議会HP「府民の政治参画の推進」及び自治体法務研究2024年秋号条例制定の事例CASESTUDY「大阪府内の地方議会における府民の政治参画の推進に関する条例」を参照のこと。

【蔵王町の条例】

〇 蔵王町条例は、議員による議員の地位を利用した町職員に対するハラスメント及び議会内における議員間のハラスメントを防止することを目的としている。

【松茂町の条例】

〇 松茂町条例は、議員によるハラスメントを防止、根絶することを目的としている。

【大鰐町の条例】

〇 大鰐町条例は、議員による議員の地位を利用した職員に対するハラスメント及び議員間のハラスメントを防止することを目的としている。

【人吉市の条例】

〇 人吉市条例は、議員間のハラスメント及び議員から職員に対するハラスメントを防止、根絶することを目的としている。

 議長の責務のみならず、副議長の責務も規定している。

【利島村の条例】

〇 利島村条例は、議員によるハラスメント又は議員若しくは議員になろうとする者に対するハラスメントを根絶することを目的としている。

 議長は、議会事務局の職員の中から指定した者を相談員として従事させる(5条)ものとしている。

【本巣市の条例】

〇 本巣市条例は、議員によるその地位を利用した議員及び職員に対するハラスメントを防止することを目的としている。

 ハラスメントを「パワーハラスメント、モラルハラスメント、セクシュアルハラスメント、マタニティハラスメント、ジェンダーハラスメント、SOGI(ソジ)ハラスメントその他の個人の人格若しくは尊厳を害し、精神的若しくは身体的な苦痛を与え、又は個人の職務環境を害する行為」(2条1号)とし、「SOGI(ソジ)ハラスメント」との用語を使用している。

【柏市の条例】

〇 柏市条例は、議員によるハラスメントを根絶し、及び未然に防止することを目的としている。

 議長は、ハラスメント相談窓口を置かなければならない(6条)としている。

〇 柏市議会は、ハラスメント防止条例制定のための検討にあたり、令和4年12月に「ハラスメント防止のための条例制定に向けた検討会」を設置した。同検討会は、10回にわたり会議を開催し、令和5年4月には市職員及び議員を対象にハラスメントに関するアンケートを実施し、同年5月にアンケート集計結果を公表するとともに条例案を議長に答申している。アンケート集計結果及び検討会での協議経過については、柏市HP「柏市議会で実施したハラスメントに関する調査結果の公表」を参照のこと。

【洲本市の条例】

〇 洲本市条例は、議員間のハラスメント及び議員による市長等(市長その他の執行機関及びその補助職員並びに議会事務局の職員)に対するハラスメントを防止することを目的としている。

 ハラスメントを、議員による「議会、職場又は地域における優越的な関係を背景とした言動であって、議会活動、議員活動又は選挙活動(準備活動を含む。)その他の政治活動上必要かつ相当な範囲を超え、当該言動の相手方とされた議員又は市長等その他の者(「相手方等」という。)に精神的若しくは身体的な苦痛を与え、相手方等の人格若しくは尊厳を害し、又は相手方等の執務環境を害することとなるようなもの」及び「相手方等を不快にさせる性的な言動」(2条2項)と定義づけている。

【三種町の条例】

〇 三種町条例は、議員によるハラスメントを防止することを目的とし、議員間又は議員と町職員(特別職を含む)との間に生じた問題に適用するとしている。

 議員によるハラスメントのみならず、職員から議員に対するハラスメントも対象にし、「町長は、町職員(議会の事務局の職員を除く。)からハラスメントと疑われる行為があった旨の申出を受けたときは、議長に通知するものとする。」(7条2項)としている。

【板柳町の条例】

〇 板柳町条例は、議員による議員の地位を利用した、職員に対するハラスメント及び議会内における議員間のハラスメントを防止することを目的としている。

【八頭町の条例】

〇 八頭町条例は、議員による町長等(町長等の補助職員及び議会事務局の職員)に対するハラスメントを防止することを目的としている。

【東松島市の条例】

〇 東松島市条例は、議員によるハラスメントを防止することを目的としている。

【長生村の条例】

〇 長生村条例は、議員及び村職員(特別職を含む)の間のハラスメントを防止することを目的とし、議員が関係する全てのハラスメントに適用し、勤務時間外の事案も含むものとしている。

 議長は、議会事務局にハラスメント相談窓口を置く(7条)としている。

 そのうえで、議員によるハラスメントのみならず、職員から議員に対するハラスメントも対象にし、「議長は、村職員が関係するハラスメントに関する申出があつたときは、村に対し事実確認のための調査を求めるものとする。」(8条5項)、「議長は、前条の事実確認等の結果、村職員による議員へのハラスメントを確認したときは、村に対し当該職員への指導、助言、注意その他改善のために必要な措置を講じることを求めるものとする。」(9条2項)との規定を置いている。

〇 長生村では、令和5年4月に当時の議長が走行中の公用車内で、22時頃後部座席から運転していた女性職員の左腕を殴る暴行、また、髪を引っ張ったり、シートベルトで締め上げ、軽傷を負わせた疑いで、同年5月に逮捕されている(長生村HP「村議会議長の逮捕に係る村議会記者会見について」参照)。

 この事件を受けて、長生村議会は、職員及び議会議員を対象にハラスメントに関するアンケートを行い、その結果を同年9月に公表している。

【美咲町の条例】

〇 美咲町条例は、議員による議員の地位を利用した町職員に対するハラスメント及び議会内における議員間のハラスメントを防止することを目的としている。

 議長は、議会運営委員会内にハラスメント相談窓口を置く(6条)ものとしている。

【結城市の条例】

〇 結城市条例は、職員、市長等(市長、副市長、教育長)及び議員のハラスメントを防止することを目的としている。

 「職員、市長等及び議員は、ハラスメントが個人の尊厳を不当に傷つけ、人権侵害に当たることを理解し、他者に対しハラスメントを行ってはならない。」(7条)と規定している。

【鏡野町の条例】

〇 鏡野町条例は、議員による議員及び町職員に対するハラスメントを防止することを目的としている。

 議長は、事実関係の調査及び確認を行うために、6人以上の議員からなる議会ハラスメント審査会を設置することができる(4条3項)としている。

【岬町の条例】

〇 岬町条例は、議員間及び議員と職員との間におけるハラスメントの防止を目的とし、議員間又は議員と職員(特別職を含む)との間に生じた問題に適用するとしている。

 議長は、ハラスメントの調査及び問題解決のため、必要に応じて、第三者によるハラスメント調査会を設置することができる(6条2項)としている。

【笠岡市の条例】

〇 笠岡市条例は、市長等(市長、副市長、教育長、病院事業管理者)、職員及び議員のハラスメントを防止することを目的としている。

 市長は、人事担当職員の相談員及び人事担当課が設置する相談員をあらかじめ選任し、その相談員は男女のいずれか一方の数が総数の10分の4未満にならないよう努めなければならない(7条)とするとともに、ハラスメントに関して専門的知識を有する者から選任された第三者によるハラスメント相談窓口を置く(8条)とし、併せてハラスメント対策委員会を設置する(10条)としている。

【三豊市の条例】

〇 三豊市条例は、議員間又は議員と職員との間におけるハラスメントの防止を目的とし、議員間又は議員と職員(市長、副市長、教育長を含む)との間に生じた問題に適用するとしている。

 議長は、ハラスメントに関する相談及び苦情について、外部の有識者からなる第三者から意見を聴取することができる(7条)としている。

【大台町の条例】

〇 大台町条例は、大台町条例は、議員間のハラスメント及び議員から職員(特別職を含む)に対するハラスメントを防止することを目的としている。

 議長は、ハラスメント相談窓口を置かなければならない(6条)としている。

【阿見町の条例】

〇 阿見町条例は、議員による職員(一般職)に対するハラスメント及び議会内における議員間のハラスメントを防止することを目的としている。

【長崎県の条例】

〇 長崎県条例は、議員によるハラスメントを防止することを目的としている。

 議長は、弁護士その他のハラスメント事案に関する専門的な知識又は経験を有する者を相談員とする体制を設置する(6条1項)としている。

【南山城村の条例】

〇 南山城村は、議員及び村職員の間のハラスメントを防止することを目的としている。

 議員に対する研修等は年1回実施しなければならない(4条)とするとともに、ハラスメント相談窓口を議会事務局に置く(5条)とし、また、議長は、必要に応じて審査委員会を設置できる(6条2項)とし、その構成については南山城村ハラスメント対策委員会と南山城村議会と協議の上定める(6条4項)としている。

【南関町の条例】

〇 南関町条例は、特別職を含む職員によるハラスメントを対象としている。

 ハラスメント相談窓口(6条)及びハラスメント対策委員会(7条)を設置し、「町長は、委員会の報告を受け、懲戒処分の必要があると認めた場合は、必要な措置を講ずるものとする。」(9条)としている。

【金山町の条例】

〇 金山町条例は、議員による町職員(特別職を含む)及び議員へのハラスメント又は町職員(特別職を含む)による議員に対するハラスメントを根絶することを目的としている。

【糸魚川市の条例】

〇 糸魚川市条例は、議員間のハラスメント及び議員から職員(特別職を含む)に対するハラスメントを防止し、根絶することを目的としている。

【津和野町の条例】

〇 津和野町条例は、議員間及び職員と議員間におけるハラスメントの根絶することを目的とし、議員間又は職員(一般職)と議員間において生じたハラスメントの問題について適用するとしている。

 議長は、「ハラスメントに起因する問題が生じた場合は、速やかに社会的信望があり、識見の高い者から指名選任した委員によるハラスメント問題に関する第三者委員会を設置し、当該事案の調査及び把握に努め、その解決に必要な措置を迅速かつ適切に講じなければならない。」(4条1項)としている。

【大山町の条例】

〇 大山町条例は、議会内における議員間のハラスメント及び議員による議員の地位を利用した町職員(特別職を含む)に対するハラスメントを防止することを目的としている。

 議長は、ハラスメント相談窓口を置く(6条1項)ものとし、ハラスメント相談窓口は、相談を受けたときは速やかに事実関係を調査して、その結果を議長に報告する(6条2項)ものとしている。申出者又は行為者は、議長の対応措置(7条)に異議があるときは、議長に異議申立てをすることができる(8条)としている。

【府中町の条例】

〇 府中町条例は、議員による議員の地位を利用した職員に対するハラスメントを防止することを目的としている。

〇 府中町議員が議会事務局職員に対して不当要求行為やパワー・ハラスメントを行った疑いがあるとして府中町議会議員政治倫理条例に基づき審査の請求があった事案に関して、府中町議会議員政治倫理審査会は令和6年2月14日に審査結果を取りまとめ、その事実を認めるとともに、議長に対して職員に対するハラスメントを防止する条例制定の勧告等をしている(「府中町議会議員政治倫理審査会の審査結果について(報告)」参照)。

【水戸市の条例】

〇 水戸市条例は、議員によるハラスメントを防止し、根絶することを目的としている。

【鴨川市の条例】

〇 鴨川市条例は、議員間のハラスメント及び議員から職員に対するハラスメントを防止し、根絶することを目的としている。

【小松島市の条例】

〇 小松島市条例は、議員による職員に対するハラスメントを根絶し、及び未然に防止することを目的としている。

 議長は、「必要に応じて実態を把握するためのアンケート調査を実施するとともに、議員に対し必要な研修等を実施しなければならない。」(5条)、「ハラスメント相談窓口を複数置かなければならない。」(6条)、議員によるハラスメント等に関して、「市長は、議長に対しその改善を行うよう申し入れることができる。」(10条1項)等としている。

【大阪市の条例】

〇 大阪市条例は、議員間又は議員と職員との間におけるハラスメントの防止を目的とし、議員間又は議員と職員(特別職を含む)との間において生じた問題について適用するとしている。

 議長は、弁護士その他のハラスメント事案に関する専門的な知識又は経験を有する者を相談員とする体制について、別に定めるところにより整備する(7条1項)としている。

【筑紫野市の条例】

〇 筑紫野市条例は、議会内における議員間のハラスメントを防止し、及び議員による議員の地位を利用した、市職員に対するハラスメントを防止することを目的としている。

【串間市の条例】

〇 串間市条例は、議員間のハラスメント及び議員による市長等(市長等執行機関及びその職員)に対するハラスメントの防止を目的としている。

 串間市議会ハラスメント審査会を置く(7条1項)としている。

【庄内町の条例】

〇 庄内町条例は、議員によるハラスメントを未然に防止し、根絶することを目的としている。

 議長は、ハラスメント相談窓口を置かなければらない(6条)としたうえで、「窓口に職員又は議員から苦情等があったときは、議会事務局職員の立会いの下、速やかに当該職員又は当該議員から聞き取りを行わなければならない。」(7条1項)、「前項の規定により当該職員又は当該議員が今後の対応を希望する場合は、当該苦情等を申し立てとして取り扱うものとする(7条2項)、「申し立てがあったときは、当事者間の調停の場を設けなければならない。」(8条)、「当事者間が納得しないときは、議会運営委員会に諮り、別に定めるところにより専門的知識及び経験を有する者による第三者委員会を直ちに設置し審査しなければならない。」(9条本文)等としている。

〇 庄内町議会は、「庄内町議会ハラスメント防止条例 逐条解説」を作成し、「庄内町議会議員によるハラスメントに係る事実把握及び防止に関する要綱」を制定している。

【加西市の条例】

〇 加西市条例は、議員間のハラスメント及び議員から職員等(特別職、派遣労働者、業務委託契約等を締結している事業等に従事する労働者、企業、団体等から派遣されている行政実務研修員を含む)に対するハラスメントを防止することを目的としている。

 議長は、ハラスメント相談窓口を議会事務局に設置し(4条)、また、ハラスメント審査会(5条2項)を設置するとともに必要と認めるときは外部の有識者からなる第三者から意見を聴取することができる(5条3項)としている。

【波佐見町の条例】

〇 波佐見町条例は、議会内における議員間のハラスメント及び議員の地位を利用した町職員に対するハラスメントの防止及び根絶を目的としている。

 議長は、議会事務局内にハラスメント相談窓口を設置する(6条)とともに、ハラスメント審査会を設置することができる(8条2項)としている。

【開成町の条例】

〇 開成町条例は、議員間又は議員と職員(特別職を含む)との間におけるハラスメントの防止及び根絶を目的としている。

 議長は、別に定めるところにより、ハラスメント相談窓口を置く(5条2項)としている。

【浅口市の条例】

〇 浅口市条例は、職員(特別職を含む)に対して、ハラスメントを禁止している。

 市長は、相談員を配置する(8条)とともに、ハラスメント対策委員会を設置する(9条)としている。

〇 なお、議会は、浅口市条例の制定に併せて、浅口市議会議員政治倫理条例を改正し(浅口市議会議員政治倫理条例の一部を改正する条例)、政治倫理基準に「パワーハラスメント、セクシュアルハラスメント、妊娠、出産、育児又は介護に関するハラスメント、その他誹謗、中傷、風評等により相手方に対して人権を侵害し、又は不快にさせる行為をしないこと」を追加している。

【南城市の条例】

〇 南城市条例は、市長等(市長、副市長及び教育長)、議員、職員及びその他本市に勤務する全ての者に対して、ハラスメントを禁止している。

 市長は、外部相談窓口を設置する(8条)とともに、第三者委員会を設置することができる(10条)としている。

〇 南城市議会は、南城市役所内におけるハラスメントに関する特別委員会を設置し、アンケート調査を実施し、その結果を公表している(南城市議会HP「ハラスメントに関するアンケート調査の結果」参照)。

【三田市の条例】

〇 三田市条例は、議員及び職員等(特別職を含む)によるハラスメントをを防止し、根絶することを目的とし、①議員から職員等に対するハラスメント、②議員から議員に対するハラスメント、③ 職員等から議員に対するハラスメントについて適用するとしている。

 議長は、「ハラスメントの根絶に関する行動指針を定め、議員に対し周知徹底を図るものとする。」(7条)とし、「相談及び申立ての窓口」を議会事務局に置くことができる(9条2項)とするとともに、外部の有識者からなる第三者委員会として「ハラスメント審査会」を置くことができる(13条1項)としている。

〇 三田市議会は、「三田市議会のハラスメント根絶に向けた行動指針」及び「三田市議会ハラスメント根絶条例施行規程」を制定している。

〇 三田市は議員からのハラスメントに関する実態調査アンケートを実施し、その結果を公表し(三田市HP「議員からのハラスメントに関する実態調査アンケート」参照)、三田市議会は議員へのハラスメントに関する実態調査アンケートを実施し、その結果を公表している(三田市議会HP「三田市議会ハラスメント根絶条例の制定について」参照)。

【倶知安町の条例】

〇 倶知安町条例は、議員による議員の地位を利用した、町職員に対するハラスメント及び議員間のハラスメントの防止及び根絶を目的としている。

 議長は、事実関係の調査及び確認を行うため、「議長が指名する議員2名のほか、社会的信用があり、識見の高い者から選任する外部第三者2名及び職員2名に よるハラスメント審査委員会を設置する」(4条2項)としている。

【飛騨市の条例】

〇 飛騨市条例は、議員間及び議員と職員等(特別職を含む)との間において生じた問題について適用するとしている。

 議長は、ハラスメント相談窓口を議会事務局に設置する(6条1項)とともに、原則としてハラスメント調査・審査会を設置し(6条1項)、必要と認めるときは、「弁護士その他のハラスメント事案に関する専門的な知識又は経験を有する者を調査・審査会委員とすることができる」(6条7項)としている。

【白川町の条例】

〇 白川町条例は、町長等(町長、副町長及び教育長)、職員(一般職)及び議員に対して、ハラスメントを禁止している。

 町長は、職員からの相談・苦情を受け、事実関係を調査し、必要な措置を行うため、人事担当課に相談窓口を設置する(10条1項)とともに、相談窓口に相談員を置く(10条2項)としている。苦情処理員会及び第三者調査委員会を設置する(12条1項、13条1項)としたうえで、相談員は適当と判断するときは苦情処理委員会に処理を依頼する(11条7項)ものとし、町長は事案の当事者が町長等又は議員の場合は第三者調査委員会の意見を聴いたうえで必要な措置を行わなければならない(11条3項)としている。

【石岡市の条例】

〇 石岡市条例は、議員間又は職員(一般職)と議員間におけるハラスメントの防止を目的としている。

 議長は、ハラスメント相談窓口を置かなければならない(5条)とするとともに、事実関係の調査及び確認を行うために、石岡市法令遵守の推進に関する条例6条1項に規定する石岡市公正職務審査会に調査を求める(6条3項)ものとしている。

【各務原市の条例】

〇 各務原市は、市長提案による「各務原市長等及び職員のハラスメント防止等に関する条例」(各務原市市長等・職員条例)と議員提案による「各務原市議会議員のハラスメント防止等に関する条例」(各務原市議員条例)を同時期に別個に制定している。

〇 各務原市市長等・職員条例は、市長等(市長、副市長、教育長及び非常勤特別職員)及び職員によるハラスメントを禁止する(6条1項)とともに、ハラスメント相談員(職員のうちから市長が任命)の設置(8条)、ハラスメント処理委員会(委員は、職員のうちから市長が任命)の設置(10条)及びハラスメント審査会(委員は、ハラスメントに関する識見を有する者のうちから市長が委嘱)の設置(12条)について規定し、市長等による事案についてはハラスメント処理委員会で事実確認等の調査を行う(10条2項2号ア)とともにハラスメント審査会が市長の諮問に応じ事実認定、問題解決のための必要な措置等を行い(12条1項、2項)、議員による事案についてはその処理は議長に依頼する(9条)としている。

〇 各務原市議員条例は、議員によるハラスメントを禁止する(6条1項)とともに、議会ハラスメント相談員(議会事務局の職員をもって充てる)の設置(5条)、議会ハラスメントン調査委員会(委員は、議員のうちから選任)の設置(7条)及び議会ハラスメント審査会(委員は、ハラスメントに関する識見を有する者のうちから議長が委嘱)の設置(9条)について規定し、事案の相談は議員からに限り(5条3項)、議長が審議が必要と認めた事案、議員から審議を希望する旨の申出があった事案、職員が議員からハラスメントを受けたとして市長から処理の依頼を受けた事案等は議会ハラスメントン調査委員会が審議し(7条1項)、議長が審査が必要と認めた事案、市長からの依頼案件であって委員会報告を受けた事案、委員会が特に困難であるとした事案、当事者から審査を希望する旨の申出があった事案等は議会ハラスメント審査会が審査する(9条1項)としている。

 なお、議員は、口頭、電話、文書、ソーシャルネットワーキングサービス、メール、掲示板等の手段による誹謗、中傷、事実に反する風説の流布等により、相手方の人格若しくは尊厳又は勤務環境を害するような議員活動や職員に対する過大な要求、長時間の要望、交渉等に伴う拘束その他の行政運営を妨害するような議員活動はハラスメントとなり得ることを十分認識し、誠実かつ適切に活動をしなければならない(4条4項)と規定している。

〇 各務原市市長等・職員条例と各務原市議員条例とは、ハラスメントの定義を同じものとする(各務原市市長等・職員条例2条2号~6号、各務原市議員条例1号~4号)とともに、議員から職員に対する事案の処理は市長が議長に依頼し(各務原市市長等・職員条例9条)、職員から議員に対する事案の処理は議長が市長に依頼する(各務原市議員条例6条2項)とするなど、両条例は相互の規定の調整がなされている。

【白河市の条例】

〇 白河市条例は、議員間又は議員から職員(特別職を含む)へのハラスメントの防止及び排除を目的としている。

 議長は、議会事務局内にハラスメント相談窓口を設置し、相談員は事務局職員を持って充てる(6条)とするとともに、「調査を公正かつ適正に行うため必要と認めるときは、外部の有識者から意見を聴取することができる」(8条2項)としている。

【館林市の条例】

〇 館林市条例は、議員によるハラスメントの防止及び根絶を目的としている。

 議長は、事実関係の調査及び確認を行うために、議員で組織するハラスメント審査会を設置することができる(4条3項)とし、「必要があると認めるときは、外部の有識者、関係者等を審査会に出席させ、説明、意見、助言等を求めることができる」(4条4項)としている。

【春日市の条例】

〇 春日市条例は、議員間のハラスメント及び議員から職員(任命権者が任用する職員、市の業務に従事する労働者及びこれらに準ずる者)に対するハラスメントの防止及び根絶を目的としている。

【中津川市の条例】

〇 中津川市条例は、議員による議員間及び職員(特別職を含む)に対するハラスメントの防止及び排除を目的としている。

 

【人事院規則及び法律の規定】

〇 国家公務員のハラスメント防止に関しては、人事院規則で規定されている。セクシュアル・ハラスメントについては「人事院規則10-10セクシュアル・ハラスメントの防止等」(平成11年4月1日施行)、マタニティ・ハラスメントについては「人事院規則10-15妊娠、出産、育児又は介護に関するハラスメントの防止等」(平成29年1月1日施行)、パワー・ハラスメントについては「人事院規則10-16パワー・ハラスメントの防止等」(令和2年6月1日施行)が、それぞれ定められている。これらについては、人事院HP「ハラスメント防止について」を参照のこと。

〇 労働者全般に対するハラスメントの防止に関しては、これまで、セクシュアル・ハラスメント及びマタニティ・ハラスメントについては、「雇用の分野における男女の均等な機会及び待遇の確保等に関する法律」において、「事業主は、職場において行われる性的な言動に対するその雇用する労働者の対応により当該労働者がその労働条件につき不利益を受け、又は当該性的な言動により当該労働者の就業環境が害されることのないよう、当該労働者からの相談に応じ、適切に対応するために必要な体制の整備その他の雇用管理上必要な措置を講じなければならない。」(11条1項)及び「事業主は、職場において行われるその雇用する女性労働者に対する当該女性労働者が妊娠したこと、出産したこと、労働基準法第六十五条第一項の規定による休業を請求し、又は同項若しくは同条第二項の規定による休業をしたことその他の妊娠又は出産に関する事由であって厚生労働省令で定めるものに関する言動により当該女性労働者の就業環境が害されることのないよう、当該女性労働者からの相談に応じ、適切に対応するために必要な体制の整備その他の雇用管理上必要な措置を講じなければならない。」(旧11条の2第1項、現11条の3第1項)と規定されていた。

 令和元年6月に「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律等の一部を改正する法律」(令和元年6月5日公布)が制定されたことに伴い、「労働施策の総合的な推進並びに労働者の雇用の安定及び職業生活の充実等に関する法律」が改正され、新たにパワー・ハラスメントに関する規定が設けられた。すなわち、「事業主は、職場において行われる優越的な関係を背景とした言動であって、業務上必要かつ相当な範囲を超えたものによりその雇用する労働者の就業環境が害されることのないよう、当該労働者からの相談に応じ、適切に対応するために必要な体制の整備その他の雇用管理上必要な措置を講じなければならない。」(30条の2第1項)と規定するとともに、相談等を理由とする不利益な取扱いの禁止(30条の2第2項)、国、事業主及び労働者の責務(30条の3)等についても定めている。あわせて、「雇用の分野における男女の均等な機会及び待遇の確保等に関する法律」も改正され、セクシュアル・ハラスメント及びマタニティ・ハラスメントについても、相談等を理由とする不利益な取扱いの禁止、国、事業主及び労働者の責務等の規定が追加された。これらの規定は、原則として令和2年6月1日施行とされている。以上に関しては、厚生労働省HP「職場におけるハラスメントの防止のために(セクシュアルハラスメント/妊娠・出産・育児休業等に関するハラスメント/パワーハラスメント)」を参照のこと。

〇 政治分野における男女共同参画の推進に関する法律(平成30年5月23日公布・施行)は、令和3年6月16日に改正施行され、国・地方公共団体の施策の強化として、政治分野におけるハラスメントの防止に関する規定が追加された。すなわち、「国及び地方公共団体は、政治分野における男女共同参画の推進に資するよう、公選による公職等にある者及び公職の候補者について、性的な言動、妊娠又は出産に関する言動等に起因する問題の発生の防止を図るとともに、当該問題の適切な解決を図るため、当該問題の発生の防止に資する研修の実施、当該問題に係る相談体制の整備その他の必要な施策を講ずるものとする。」(改正後9条)と規定している。併せて、「国及び地方公共団体は、政治分野における男女共同参画が推進されるよう、議会における審議を体験する機会の提供、公選による公職等としての活動に対する関心を深めこれに必要な知見を提供する講演会等の開催の推進その他の人材の育成及び活用に資する施策を講ずるものとする。」(改正後10条)と規定している。同法の内容等については内閣府男女共同参画局HP「政治分野における男女共同参画の推進」を、 政治分野におけるハラスメント防止に関しては内閣府男女共同参画局HP「政治分野におけるハラスメント防止のための取組」及び三浦まり「政治分野におけるハラスメント防止体制をどう構築するか-条例を手がかりに」(ジェンダー法研究第9号(2022年12月))を参照のこと。

〇 カスタマーハラスメントに関する条例については、「カスタマーハラスメントに関する条例」を参照されたい。

 
 

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