ハロウィーンに関連する条例

(令和5年11月6日更新)

【ハロウィーンと条例】

〇 秋に入ると、街角や店先でハロウィーンの飾りが見られ、また、10月31日のハロウィーン当日前後になると、仮装イベントなども各地で開催される。日本でも、ハロウィーンは、欧米に起源をもつクリスマスやバレンタインデーなどと同様に、季節を彩る行事の一つとして定着してきた。

〇 こうしたハロウィーン行事に関連して、条例が制定され、又は改正される事案が見られる。2事例であるが紹介する。なお、クリスマスやバレンタインデーなどの行事に関連して条例が制定されたなどの事例は、調べた範囲では確認できない。

 

【東京都渋谷区の条例】

〇 まず、渋谷区の事案である。平成元年6月に、

東京都渋谷区

渋谷駅周辺地域の安全で安心な環境の確保に関する条例

令和元年6月20日公布

令和元年6月20日施行

が制定された。

〇 「近年、ハロウィーンや年末カウントダウン等の特定の期間において、一部の来街者による迷惑行為等により、渋谷駅周辺地域の安全で快適な秩序が脅かされる事態が発生しています。そこで渋谷区では、令和元年6月20日施行の本条例によって必要な責務とルールを定め、マナーの向上及び迷惑行為の防止を推進することにより、区民、事業者及び来街者の安全・安心を確保し、渋谷区が成熟した国際都市へと進化していくことを目指します。」(渋谷区HP「渋谷駅周辺地域の安全で安心な環境の確保に関する条例」)としている。

 条例制定に先立ち、渋谷区は「渋谷ハロウィーン対策検討会」を設置して対策のあり方を検討したが、令和元年5月15日に取りまとめられた中間報告では、「近年、不特定多数の来訪者が集まり、器物破損や暴行、ゴミの大量放置などの問題が繰り返されてきたハロウィーン期間中の一連の問題に対し、特定のイベントなどは無く自然発生的に生じた結果であることや渋谷を訪れる人自体を拒否することはできないなどの理由から、既存の対策で問題を解決することは困難とし、解決策の一部として、必要なルールを定め規制措置を取るための条例制定を検討すべきとした。」(シブヤ経済新聞令和元年9月15日記事)とされる。

〇 本条例は、渋谷駅周辺地域のうち渋谷区の規則で定める区域内の公共の場所で、ハロウィーンの期間(10月31日及び11月1日並びに10月24日から同月30日までの金曜日、土曜日及び日曜日)、年末のカウントダウンの期間(12月31日及び1月1日)及びその他区長が特に必要と認める期間に、飲酒を禁止している(6条)。区長は、この規定に違反した者に対して、中止するよう指導することができる(8条)としている。罰則規定は置いていない。事業者に対しては、区が実施する酒類の販売自粛等の施策に協力しなければならない(4条)としている。

 あわせて、渋谷駅周辺地域の公共の場所において、正当な理由なく、音響機器等により音を異常に大きく出す行為、放尿等をする行為、街路灯、標識、屋根等に上る行為などの迷惑行為も禁止している(7条)が、6条で定める飲酒の禁止と異なり、対象期間を限定せず、通年適用される。区長による指導の規定も置いていない。

〇 令和5年は、本条例に基づき、10月27日(金曜日)の18時から24時、28日(土曜日)、29日(日曜日)、30日(月曜日)及び10月31日(火曜日)の0時から5時及び18時から24時、11月1日(水曜日)の0時から5時は渋谷駅周辺地域の規制区域の公共の場所での飲酒が禁止された。

 

【兵庫県の条例】

〇 次に、兵庫県の事案である。兵庫県は、令和2年10月、ハロウィーンの日に暴力団が子どもたちをその事務所に招くこと等を禁止することを目的として、

兵庫県

暴力団排除条例

平成22年10月7日公布

令和2年10月6日改正公布

平成23年4月1日施行

令和2年10月26日改正施行

を改正した。

〇 新20条から新23条及び新35条2項を新たに追加し、あわせて所要の改正を行っている(暴力団排除条例の一部を改正する条例(令和2年兵庫県条例35号)参照)。

〇 「国内最大の暴力団・山口組が長年、ハロウィーンの日に子どもたちを神戸市の総本部に招き入れている事態に歯止めをかけようと、兵庫県で組事務所に正当な理由なく子どもたちを立ち入らせることなどを禁じる改正暴力団排除条例が成立しました。国内最大の指定暴力団・山口組は長年、10月のハロウィーンの日にあわせ、神戸市灘区にある総本部に子どもたちを招き入れ、仮装した組員が菓子を配っていました。子どもたちと組員との関わりに歯止めをかけようと、兵庫県警察本部は暴力団排除条例の改正案を議会に提出しました。・・・改正暴力団排除条例は5日の県議会で全会一致で可決・成立し、31日のハロウィーンの日の前の今月26日から施行されます。」(NHK NewsWeb令和2年10月5日)とされる。

〇 暴力団員は、正当な理由がなく、暴力団事務所等に青少年を立ち入らせてはならない(21条1項)、青少年に対し、金品その他の財産上の利益の供与をしてはならない(21条2項)、青少年を暴力団の支配下に置く目的で、面会の要求、電話、電子メールの送信、つきまとい、待ち伏せし、住居等の付近における見張り、住居等への押し掛け、住居等の付近のうろつき等の行為をしてはならない(21条3項)としている。

 また、公安委員会は、暴力団員がこれらの行為に違反していると認めるときは、暴力団員等に対し、中止の命令等を行うことができ(改正後条例22条)、命令に違反したした者は、6月以下の懲役又は50万円以下の罰金に処する(35条)としている。

〇 なお、暴力団排除条例については「暴力団排除条例」を参照されたい。



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