観光振興に関する条例
(令和7年4月19日更新)
【制定状況の概観】
〇 自治体における観光振興に関して、基本理念、自治体等の責務や役割、基本方針等を定め、または、そうした理念的な規定に加え、計画策定や具体的な基本的施策等を定める条例(観光振興に関する条例)が制定されている。
こうした観光振興に関する条例は、令和6年12月1日時点で確認できるもの(現在施行されているもの)として、都道府県では35条例(大分県が2条例制定)、指定都市では1条例、その他の市区町村では観光条例、観光基本条例、観光振興条例、観光立市(立町)推進条例、おもてなし条例等の名称で30以上の条例が制定されている。
都道府県では、47団体中34団体、すなわち約7割の団体で制定されているのに対し、指定都市は、20団体中1団体のみで制定され、その他市区町村も、制定している団体は全体の2%程度に過ぎない。
なお、都道府県条例は、35条例のうち19条例、すなわち半数以上の条例が議員提案により制定されている。
〇 制定年は、都道府県条例では、「沖縄県観光振興条例」が昭和54年12月で最も古く、そのあと、平成13年10月の「北海道観光のくにづくり条例」、平成16年8月の「あったか高知観光条例」、平成18年10月の「長崎県観光振興条例」が続いている。
平成18年12月に「観光立国推進基本法」が、議員立法により制定された(平成18年12月20日公布、平成19年1月1日施行)。昭和38年制定の観光基本法が、全部改正されたものである。地方公共団体について、観光基本法は「国の施策に準じて施策を講ずるように努めなければならない。」(3条)としていたのに対し、同法は「観光立国の実現に関し、国との適切な役割分担を踏まえて、自主的かつ主体的に、その地方公共団体の区域の特性を生かした施策を策定し、及び実施する責務を有する。」(4条)としている。
同法制定後、平成18年12月26日の「ひろしま観光立県推進基本条例」を皮切りに、平成19年は1条例、平成20年は6条例、平成21年は7条例と条例制定団体が急増している。また、条例名に「観光立県」の言葉を含むものも少なくない。制定年の新しいものでは、平成28年10月の「観光王国九州とともに輝く福岡県観光振興条例」、平成29年3月の「観光立県とちぎの実現に向けたおもてなしの推進等に関する条例」、平成30年3月の「ふるさと佐賀への誇りを育む観光条例」であるが、最近は観光振興に関する条例の制定件数は少ない。
令和5年3月に兵庫県の「高齢者、障害者等が円滑に旅行することができる環境の整備に関する条例」が制定されたが、この条例は観光振興そのものを目的とするというより、年齢や障害の有無等に関わらず、様々な人々が気兼ねなく旅行できるユニバーサルツーリズムを推進することを目的としている。令和6年3月に大分県の「おんせん県おおいたアドベンチャーツーリズム条例」が、平成27年制定の「おんせん県おおいた観光振興条例」とは別に制定されたが、この条例はアドベンチャーツーリズムを推進することを目的としている。
〇 指定都市で制定されているのは、平成30年9月の福岡市観光振興条例だけである。
〇 指定都市以外の市区町村の条例は、昭和30年代から制定されているが、平成18年12月の観光立国推進基本法制定以降、制定件数が増加している。また、平成25年以降「おもてなし条例」が多く制定されているが、平成25年のIOC総会における2020年オリンピックの東京開催招致演説で「おもてなし」の言葉が使われたことが影響しているものと考えられる。
令和に入ってからは、令和元年6月に愛媛県大洲市「大洲市おもてなし条例」、同年9月に愛媛県八幡浜市「八幡浜市おもてなし条例」、令和2年12月に福岡県みやこ町「みやこ町観光まちづくり振興条例」、令和3年6月に静岡県熱海市「熱海市観光振興条例」、令和4年3月に北海道旭川市「旭川市観光振興条例」が制定されている。
令和5年3月に北海道美瑛町「美瑛町持続可能な観光目的地実現条例」が制定されたが、この条例は観光振興そのものを目的とするというより、既に多くの観光客が訪れていることを踏まえ、持続可能な観光目的地の実現に向けた取組みを推進することを目的としている。
〇 なお、自治体法務研究は、観光について2回にわたり特集として取り上げている(2008年冬号特集「観光立国と自治体の役割」及び2016年秋号特集「インバウンド観光と自治体の役割」)ので、参照されたい。
【都道府県の条例】
〇 都道府県の条例は、以下のとおりである。
沖縄県 | 昭和54年12月25日公布 | 昭和55年3月1日施行 |
知事提案 |
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北海道 | 平成13年10月19日公布 | 平成13年10月19日 |
知事提案 |
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高知県 | 平成16年8月6日公布 | 平成16年8月6日施行 |
議員提案 |
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長崎県 | 平成18年10月13日公布 | 平成18年10月13日施行 |
知事提案 |
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広島県 | 平成18年12月26日公布 | 平成19年1月1日施行 |
議員提案 |
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岐阜県 | 平成19年7月9日公布 | 平成19年10月1日施行 |
知事提案 |
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島根県 | 平成20年3月21日公布 | 平成20年3月21日施行 |
議員提案 |
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千葉県 | 平成20年3月28日公布 | 平成20年3月28日施行 |
知事提案 |
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愛知県 | 平成20年10月14日公布 | 平成20年10月14日施行 |
議員提案 |
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富山県 | 平成20年12月22日公布 | 平成20年12月22日施行 |
議員提案 |
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熊本県 | 平成20年12月22日公布 | 平成20年12月22日施行 |
知事提案 |
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新潟県 | 平成20年12月26日公布 | 平成21年1月1日施行 |
知事提案 |
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鹿児島県 | 平成21年3月27日公布 | 平成21年4月1日施行 |
議員提案 |
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徳島県 | 平成21年6月25日公布 | 平成21年6月25日施行 |
議員提案 |
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岩手県 | 平成21年3月30日公布 | 平成21年7月1日施行 |
議員提案 |
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鳥取県 | 平成21年7月3日公布 | 平成21年7月3日施行 |
知事提案 |
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神奈川県 | 平成21年10月16日公布 | 平成22年4月1日施行 |
知事提案 |
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和歌山県 | 平成21年12月24日公布 | 平成22年4月1日施行 |
議員提案 |
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愛媛県 | 平成21年12月18日公布 | 平成22年4月1日施行 |
議員提案 |
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宮城県 | 平成23年3月9日公布 | 平成23年4月1日施行 |
議員提案 |
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三重県 | 平成23年10月20日公布 | 平成23年10月20日施行 |
知事提案 |
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山梨県 | 平成23年12月22日公布 | 平成23年12月22日施行 |
知事提案 |
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埼玉県 | 平成24年3月27日公布 | 平成24年3月27日施行 |
議員提案 |
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山形県 | 平成26年3月25日公布 | 平成26年4月1日施行 |
知事提案 |
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群馬県 | 平成26年3月28日公布 | 平成26年4月1日施行 |
議員提案 |
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静岡県 | 平成26年10月28日公布 | 平成26年10月28日施行 |
議員提案 |
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茨城県 | 平成26年11月19日公布 | 平成26年11月19日施行 |
議員提案 |
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宮崎県 | 平成27年3月20日公布 | 平成27年4月1日施行 |
知事提案 |
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大分県 | 平成27年3月25日公布 | 平成27年3月25日施行 |
議員提案 |
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山口県 | 平成27年12月22日公布 | 平成27年12月22日施行 |
知事提案 |
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福岡県 | 平成28年10月11日公布 | 平成28年10月11日施行 |
議員提案 |
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栃木県 | 平成29年3月27日公布 | 平成29年4月1日施行 |
知事提案 |
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佐賀県 | 平成30年3月15日公布 | 平成30年3月15日施行 |
議員提案 |
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兵庫県 | 環境の整備に関する条例 |
令和5年3月22日公布 | 令和5年4月1日施行 |
知事提案 |
大分県 | 令和6年3月22日公布 | 令和6年3月22日施行 |
議員提案 |
〇 沖縄県条例は、昭和47年の本土復帰、昭和50年~51年の沖縄海洋博の後、昭和54年に制定されている。条例制定の目的を、前文で「本県は、我が国唯一の亜熱帯地域として特有の自然景観に恵まれ、また、近隣諸国との長い交流の歴史によって育まれた独特の文化を有している。これらの優れた資源を活用し、広く国民的更には国際的な観光及び保養の場を整備することは、すなわち本県の特性を生かすみちである。しかしながら、現状は、本県の観光がその特性を生かすための基盤の整備及び環境の形成は必ずしも十分とは言えない。我々は、長期的かつ総合的な視点に立って本県の観光の進むべき方向と目標を明らかにし、その実現に努めなければならない。」としている。条例の性格は、単なる基本条例、理念条例ではなく、行為規制を含み、規制違反に対する罰則規定も設けている。すなわち、県、市町村、観光事業者及び県民の責務(2条~5条)、観光基本計画の策定(7条)等を定めたうえで、修景美観区域の指定並びに同区域における植物の伐採等の許可及び工作物の新増築、宅地等の届出の義務付け(8条~12条)、集落景観保存区域の指定並びに同区域における工作物の新増築等の届出の義務付け(13条~15条)、不当な客引き行為、不当な案内の禁止等の禁止(17条~19条)等を規定し、これらの規定に違反した者に対して罰則を科している(29条~34条)。
〇 観光立国推進基本法制定以前に制定された北海道、高知県及び長崎県の条例は、いずれも、基本理念、県(道)の責務及び県(道)民、観光事業者、観光関係団体等の役割を定めるとともに、施策の基本方針、基本計画(ビジョン)の策定等を規定している。これらに加え、北海道及び長崎県の条例は、観光審議会の設置等について規定し、さらに長崎県条例は、市町の観光地づくり実施計画の策定(13条)、観光地づくり重点支援地区及び観光地づくり重点支援分野の認定(14条)並びに観光地づくり推進団体及び観光地づくり地域協定の認定(15条)についても規定している。
〇 観光立国推進基本法制定後に制定された広島県条例は、基本理念(2条)、県の責務(3条)、県民、観光事業者及び観光関係団体の役割(4条~6条)、基本計画の策定(7条)、観光立県推進会議の設置等(23条~27条)等を定めるほか、基本的施策として大きく①魅力ある観光地の形成(9条~11条)、②観光産業の競争力の強化及び観光の振興に寄与する人材の育成(12、13条)、③国際観光の振興(14、15条)、④観光旅行の促進のための環境の整備(16条~22条)の4項目を規定している。これは、観光立国推進基本法が、基本的施策として①国際競争力の高い魅力ある観光地の形成(12条~14条)、②観光産業の国際競争力の強化及び観光の振興に寄与する人材の育成(15、16条)、③国際観光の振興(17、18条)、④観光旅行の促進のための環境の整備(19条~25条)の4項目を規定していることに倣ったものと考えることができる。
〇 岐阜県条例及びそれ以降に制定された条例は、各県においてそれぞれ工夫を凝らしたものであり、その内容は当然ながら条例によって異なる。
これらの条例のうち、島根県条例は、3条で構成され、目的、県の責務及び県民の役割を規定し、佐賀県条例は、6条で構成され、目的、県の責務、県民の役割、県民への情報等の提供、分野等を超えた連携及び推進体制の整備等を規定している。双方の条例とも、基本計画等の策定の規定は置いていない。
福岡県条例も、基本計画等の策定に関する規定は置いていない。県及び市町村、観光事業者、観光関係団体並びに県民の役割のほか、観光行政の総合的な推進、広域観光の振興、広域的魅力情報の発信等について規定している。令和2年4月1日の改正施行により、観光振興財源(福岡県宿泊税基金条例に規定する交付金)の活用(12条)及び民泊に関する協議の場の設置(13条)に関する規定を追加している。なお、福岡県は令和2年4月1日より、福岡県宿泊税条例(令和元年11月19日公布)を施行させている。福岡県の宿泊税については、福岡県HP「宿泊税の概要について」を参照されたい。
これら以外の条例のうち、新潟県、岩手県、和歌山県、愛媛県、宮城県、静岡県及び宮崎県の条例は、基本理念、県の責務、県民、観光事業者、観光関係団体の役割、基本計画等の計画の策定等を規定し、他の県の条例は、これらの規定に加えて具体的な基本的施策を規定している。
岐阜県条例も、同様に具体的な基本的施策を規定しているが、全体の規定の仕方が個性的であり、めざすもの(1条)、合い言葉(2条)、県の役割(3条)、じまん運動を進めるしくみ(4条)、知ってもらおうふるさとのじまん、見つけだそうふるさとのじまん及び創りだそうふるさとのじまん(5条~7条)、おもてなしの心、美しい自然を守る観光、ふるさとの文化にふれる観光、ものづくりの心にふれる産業観光、周りの地域や団体との連携、世界中の人たちとの交流、お客様にやさしいまちづくり及び飛騨・美濃じまんの日(8条~15条)、飛騨・美濃じまん運動実施計画(16条)等の構成となっている。「各地から多くの人たちにこの地へ観光に訪れていただくため、総力をあげて、飛騨・美濃のじまんを知ってもらい、見つけだし、創つくりだす飛騨・美濃じまん運動を進めます」(前文)としている。
兵庫県条例は、「高齢者、障害者等が円滑に旅行することができる環境を整備することにより、持続可能な観光地域づくりの推進及びユニバーサル社会の実現に寄与する」(前文)を目的とし、基本理念(2条)、県の責務(3条)、市町、観光関連事業者、支援団体等及び県民の役割(4条~7条)、計画の策定(8条)、観光関連事業者の登録、人材の育成、相談員、普及啓発等の基本的な施策(9条~17条)を規定している。兵庫県条例の内容等については自治体法務研究2023年秋号CLOSEUP先進・ユニーク条例「高齢者、障害者等が円滑に旅行することができる環境の整備に関する条例」を、兵庫県のユニバーサルツーリズムの取組みについては兵庫県HP「ユニバーサルツーリズムの推進」を参照されたい。
大分県の「おんせん県おおいたアドベンチャーツーリズム条例」は、平成27年制定の「おんせん県おおいた観光振興条例」とは別に、議員提案により令和6年3月に制定された。アドベンチャーツーリズムを「旅行者が地域の住民と共に地域独自の自然や地域のありのままの文化を体験する旅行形態であって、旅行者に驚きや感動をもたらすもの」(2条1号)と定義づけたうえで、「アドベンチャーツーリズムの推進に必要な施策を効果的に実施し、もって人々と自然・文化とのふれあいを通じた豊かな人材の育成、自然・文化の保全及び地域の活力の創造を実現すること」(1条)を目的としている。基本理念(3条)、県の責務(4条)、県民・ガイド・事業者の役割(5条、6条)、県民理解の促進、ガイドの育成、事業者の支援、普及啓発、環境の整備、推進体制の整備等の基本的施策(7条~13条)を規定している。
【指定都市の条例】
〇 指定都市の条例は、以下のとおりである。
福岡市 | 平成30年9月20日公布 | 令和2年4月1日施行 |
議員提案 |
〇 福岡市条例は、議員提案により、制定されている。基本理念(2条)、市の責務(3条)並びに市民及び事業者の役割(4,5条)について定めているが、基本計画等の策定に関する規定は置いていない。基本的施策として、観光産業の振興、受入環境の整備、観光資源の魅力の増進等、MICEの振興及び持続可能な観光の振興(6条~10条)を規定しているが、さらに財源の確保に関して、「市長は,この条例に基づく施策に要する費用に充てるため,地方税法・・・第5条第7項の規定に基づき,宿泊税を課する。」(11条1項)及び「前項に規定するもののほか,宿泊税については,別に条例で定める」(11条2項)と規定している。11条2項の規定を踏まえ、福岡市宿泊税条例が市長提案により制定され、令和元年11月19日に公布、令和2年4月1日に施行された。福岡市の宿泊税については、福岡市HP「宿泊税について」を参照されたい。
【指定都市以外の市区町村の条例】
〇 指定都市以外の市区町村の条例を、条例の名称毎に示すと、以下のとおりである。
観光条例 |
三重県菰野町 |
昭和32年12月20日公布 |
昭和32年12月20日施行 |
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香川県高松市 |
昭和33年4月1日公布 |
昭和33年4月10日施行 |
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沖縄県伊平屋村 |
昭和50年7月1日公布 |
昭和50年7月1日施行 |
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沖縄県与那国町 |
昭和63年1月6日公布 |
昭和63年1月6日施行 |
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香川県琴平町 |
平成元年12月18日公布 |
平成2年4月1日施行 |
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長崎県松浦市 |
平成18年1月1日公布 |
平成18年1月1日施行 |
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兵庫県宍栗市 |
平成24年3月14日公布 |
平成24年3月14日施行 |
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高知県仁淀川町 |
令和5年3月10日公布 |
令和5年4月1日施行 |
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観光基本 条例 |
鹿児島県南種子町 |
昭和47年6月23日公布 |
昭和47年6月23日施行 |
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群馬県草津町 |
平成19年6月15日公布 |
平成19年7月1日施行 |
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千葉県南房総市 |
平成21年12月18日公布 |
平成21年12月18日施行 |
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熊本県高森町 |
平成25年6月26日公布 |
平成25年6月26日施行 |
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観光振興 条例 |
北海道余市町 |
昭和52年12月19日公布 |
昭和52年12月19日施行 |
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長野県下諏訪町 |
平成元年3月22日公布 |
平成元年4月1日施行 |
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福島県会津若松市 |
平成8年9月27日公布 |
平成8年9月27日施行 |
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富山県魚津市 |
平成23年3月18日公布 |
平成23年4月1日施行 |
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神奈川県箱根町 |
平成23年3月22日公布 |
平成23年4月1日施行 |
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神奈川県厚木市 |
平成24年12月25日公布 |
平成24年12月25日施行 |
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静岡県小山町 |
平成25年3月27日公布 |
平成25年4月1日施行 |
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沖縄県久米島町 |
平成25年6月19日公布 |
平成25年7月1日施行 |
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山口県美祢市 |
平成25年6月28日公布 |
平成25年7月1日施行 |
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沖縄県那覇市 |
平成27年3月24日公布 |
平成27年4月1日施行 |
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山形県高畠町 |
平成28年9月21日公布 |
平成28年10月1日施行 |
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福岡県みやこ町 |
令和2年12月18日公布 |
令和3年4月1日施行 |
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静岡県熱海市 |
令和3年6月28日公布 |
令和3年6月28日施行 |
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北海道旭川市 |
令和4年3月25日公布 |
令和4年4月1日施行 |
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観光 立市(町) 推進条例 |
山梨県富士河口湖町 |
平成19年3月22日公布 |
平成19年4月1日施行 |
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京都府京丹後市 |
平成21年3月30日公布 |
平成21年4月1日施行 |
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神奈川県湯河原町 |
平成22年11月30日公布 |
平成23年4月1日施行 |
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神奈川県横須賀市 |
平成26年12月2日公布 |
平成27年4月1日施行 |
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おもてなし 条例 |
埼玉県秩父市 |
平成25年12月19日公布 |
平成25年12月19日施行 |
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三重県尾鷲市 |
平成27年6月1日公布 |
平成27年6月1日施行 |
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東京都品川区 |
平成27年12月10日公布 |
平成27年12月10日施行 |
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佐賀県嬉野市 |
平成29年12月19日公布 |
平成29年12月19日施行 |
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茨城県大洗町 |
平成30年6月13日公布 |
平成30年6月13日施行 |
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愛媛県大洲市 |
令和元年6月26日公布 |
令和元年6月26日施行 |
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愛媛県八幡浜市 |
令和元年9月30日公布 |
令和元年9月30日施行 |
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その他 |
北海道美瑛町 |
令和5年3月16日公布 |
令和5年4月1日施行 |
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長野県白馬村 |
令和7年3月18日公布 |
白馬村宿泊税条例 施行の日施行 |
〇 条例名が観光条例である条例のうち、宍粟市条例を除く他の6条例は、厳密な意味では観光振興に関する条例とは言い難いと考えられる。すなわち、菰野町、伊平屋村、与那国町及び松浦市の条例は、観光区域等を指定したうえで当該区域における一定の行為を規制し、また、高松市及び琴平町の条例は、一定の客引き行為等を禁止することが、主たる内容となっている。松浦市条例は、昭和40年制定の合併前の旧福島町観光条例がベースになっていると考えられ、琴平町条例は、昭和31年制定の琴平町観光条例が全部改正されて制定されている。菰野町条例及び高松市条例は昭和30年代、伊平屋村条例は昭和50年代、与那国町条例は昭和60年代に制定されており、これら昭和時代に制定された観光条例は、沖縄県条例を含めて、規制条例の性格を色濃く有していると言える。
昭和24年制定の宍粟市条例は、基本理念、市、市民等の役割、基本計画の策定、具体的な基本的施策等を規定している。
令和5年制定の仁淀川町条例は、観光客への付きまとい、客引き行為、看板の違法な設置等を禁止するほか、新たに駐車場を設置する観光関連事業者に対して駐車場設置届を義務づけている。
〇 条例名が観光基本条例である条例のうち、昭和47年制定の南種子町条例は、町の施策、観光思想の普及高揚、観光行政に関する組織の整備及び運営の改善等のみを規定し、また、観光立国推進基本法制定後に制定された草津町、南房総市及び高森町の条例は、概ね観光立国推進基本法に倣った規定内容となっている。
〇 条例名が観光振興条例である条例のうち、昭和52年制定の余市町条例及び平成8年制定の会津若松市条例は、市(町)や観光事業者等の責務・役割、観光振興計画の策定、審議会の設置等を規定し、平成元年制定の下諏訪町条例は観光振興助成金の交付措置について規定している。
観光立国推進基本法制定後に制定されたその他の条例は、それぞれの条例によって規定内容は異なるものの、基本理念、市(町)、市民(町民)、観光事業者等の責務・役割、観光振興計画(基本計画)の策定、具体的な基本的施策等を規定している。
みやこ町条例は「観光まちづくり振興条例」としている。
熱海市条例は令和3年6月に制定されているが、熱海市長は「観光振興条例では、市は観光施策を推進するための体制の整備と、必要な財政上の措置を講ずることが定められています。今後、観光振興条例に沿って、熱海型DMO(観光地域づくり法人)の設立、及び観光目的財源の確保を進めていきたいと考えています。」(市長メッセージ154「熱海市観光振興条例」(広報あたみ2021.7月号))としている。
旭川市条例は令和4年3月に制定されているが、旭川市は「新型コロナウイルス感染症の影響により、観光関連産業は多大な損害を受けており、回復に向け、今後は新しい生活様式を取り入れた観光施策の視点が必要になってきます。感染症を契機に、観光関連産業の重要性を改めて認識し、市民、観光事業者、観光関係団体、行政などが,観光の振興に係る理念を共有し,それぞれの責務や役割を再認識しながら,オール旭川で観光の振興に取り組むことが必要であり,この条例はこの実現に向けた新たな出発点になるものと考えております。 」(旭川市資料「旭川市観光振興条例解説書」1頁)としている。
〇 条例名が観光立市(立町)推進条例である条例のうち、富士河口湖町、京丹後市及び湯河原町の条例は、概ね観光立国推進基本法に倣った規定内容となっており、横須賀市条例は、基本理念、市の責務、市民等の役割、基本計画の策定、具体的な基本的施策等を規定している。
〇 条例名がおもてなし条例である条例のうち、秩父市条例を除く6条例は、議員提案により制定されたものである。いずれの条例も、基本理念、市(町)の責務(役割)、市民(町民)の役割(協力)等が規定されているが、計画策定や基本的施策等は規定されていない。理念条例である。
ちなみに、「おもてなし」を「来訪者を温かく迎え、心を込めて接し、思いやりを持って振る舞うこと」(秩父市条例2条1項)、「郷土への誇りと愛着を持って、心からの笑顔、挨拶、声掛け等により大洲市を訪れる人・・・を温かく迎え、心を込めて接し、思いやりを持って振る舞うことで、来訪者が『訪れてよかった、また行きたい』と思えるようにすること」(大洲市条例2条1項)などと定義づけている。
〇 その他の条例の美瑛町条例及び白馬村条例は、持続可能な観光地づくりを目指しているが、オーバーツーリズムに対応するための条例であると言える。
美瑛町条例は、「町、町民、観光事業者及び訪問者が相互に協力し、持続可能な観光目的地の実現に向けた取組を推進すること」(1条)を目的とし、基本理念(3条)、町の責務と役割(4条)、町民、観光事業者及び訪問者の役割(5条)、美瑛町観光マスタープランの策定(6条)のほか、迷惑な行為等の禁止(7条)、立入制限区域の指定(8条)等規制的な規定も置いている。
白馬村条例は、「本村の観光地経営に関し、基本理念を定め、村の責務並びに村民、観光事業者、観光関係団体及び来訪者の果たすべき役割を明らかにするとともに、観光地経営に必要な財源の確保とその使途の基本方針を定めること」(1条)を目的とし、基本理念(3条)、村の責務(4条)、村民、観光事業者、観光関係団体及び来訪者の役割(5条~8条)、白馬村観光地経営ビジョンの策定(9条)、白馬村観光地経営会議の設置(10条)のほか、財源の確保として、別途「白馬村宿泊税条例」の制定と併せて、法定外目的税として宿泊税を課すこと(11条)、宿泊税の使途の基本方針(12条)、観光地域づくり基金の設置(14条)等の規定を置いている。
オーバーツーリズム対策に関する条例については、「オーバーツーリズム対策に関する条例」を参照されたい。
〇 なお、三重県四日市市と和歌山県有田市は、「観光・シティプロモーション条例」を制定している。両条例については、「シティプロモーションに関する条例」を参照されたい。
三重県四日市市 | 平成28年3月23日公布 | 平成28年4月1日施行 |
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和歌山県有田市 | 平成29年3月24日公布 | 平成29年4月1日施行 |