子どもに関する条例
(令和7年3月19日更新)
【子どもに関する条例】
〇 子どもに関して様々な条例が自治体で制定されている。その目的、規定内容などは様々であるが、大きく次のように分類することができる。
一つ目は、「青少年健全育成条例」である。青少年の健全育成を目的として、青少年に対する有害行為等を規制することを主たる内容とする条例である。都道府県を中心に青少年健全育成条例、青少年保護育成条例、青少年愛護条例等の名称で制定されており、古くは昭和20年代から制定されている。このタイプの条例については「青少年健全育成条例」を参照されたい。
二つ目は、「子ども権利に関する条例」である。平成6年に「児童の権利に関する条約」が我が国で批准されたことを受けて、子どもの権利を保障し、それに関する施策を推進することを主たる目的として制定されている条例である。子どもの権利を保障するために総合的な内容を定めた総合条例(以下「子どもの権利保障をはかる総合的な条例」という。)が制定されることが多いが、子どもの権利の救済のためのオンブズマンや委員会等の設置に関する条例も制定されている。このタイプの条例については「子どもの権利に関する条例」を参照されたい。
三つ目は、「子ども・子育て支援に関する条例」である。子どもに関する施策、子育てに関する施策等を推進するため、基本理念、自治体等の責務や役割、施策の基本方向等を定める条例である。理念的な規定を中心に定める条例、子ども支援及び子育て支援に関して総合的な施策の推進について規定する条例、子育て支援に関する施策を中心に規定する条例、少子化対策に関する施策を中心に規定する条例、子どもの育成に関する施策を中心に規定する条例などがある。本稿では主としてこのタイプの条例を取り上げるが、基金の設置、助成金等の支給、施設の設置・運営、附属機関の設置等のみを定めた条例や法律の施行条例は対象外とする。
四つ目は、「子どもに関する個別条例」である。子どもに対する虐待、いじめ、受動喫煙、読書活動、表彰、ゲーム依存、食育等の個別分野の施策について規定する条例である。このタイプの条例については、それぞれ「児童虐待に関する条例」、「いじめ防止に関する条例」、「不登校対策に関する条例」、「子どもの学力・教育環境・遊び場に関する条例」、「家庭教育支援条例」、「受動喫煙防止に関する条例」、「読書に関する条例」、「ほめる条例」、「ネット・ゲーム依存症に関する条例」、「食育・朝ごはんに関する条例」等を参照されたい。
〇 「子ども」の表記については、「子ども」、「子供」及び「こども」の三つがある。
常用漢字表は「子供」としており、公文書では通常「子供」が用いられる(子供・若者育成支援推進大綱など)。
法令では「子ども」とするものが多い(子どもの読書活動の推進に関する法律、就学前の子どもに関する教育、保育等の総合的な提供の推進に関する法律、子ども・若者育成支援推進法、子ども・子育て支援法、子どもの貧困対策の推進に関する法律など)。他方、令和4年に制定されたこども家庭庁設置法及びこども基本法は「こども」を用いており、「こどもの日」(国民の祝日に関する法律2条)、「認定こども園」(就学前の子どもに関する教育、保育等の総合的な提供の推進に関する法律2条6項等)なども「こども」を用いている。
自治体の条例では「子ども」とするものが多いが、「子供」(東京都子供への虐待の防止等に関する条例など)や「こども」(東京都こども基本条例など)とするものもある。
〇 法令で子ども、児童、青少年、少年、若者等の用語が用いられる場合、各種法令におけるこれらの呼称とその年齢区分については「各種法令による子供・若者の年齢区分」(令和4年版 子供・若者白書 付録7)を参照されたい。なお、こども家庭庁設置法及びこども基本法は、「こども」の定義を「心身の発達の過程にある者」としており、年齢による概念とはしていない。
児童の権利に関する条約については、通常「子ども権利条約」と呼ばれることが多い(例えば、ユニセフHP「子どもの権利条約」)。同条約について、文部科学省は「本条約についての教育指導に当たっては,『児童』のみならず『子ども』という語を適宜使用することも考えられる」(平成6年5月20日文部事務次官通知「「児童の権利に関する条約」について」)としている。
自治体の条例で、子ども、青少年、児童等の用語が用いられる場合、「子ども」は「18歳未満の者」するものが多いが、「20歳未満の者」や「15歳未満の者」とするものもある。一方、「青少年健全育成条例」はほとんどが「青少年」としており、「青少年」は概ね「18歳未満の者」又は「6歳以上18歳未満の者」としている。「児童」は、児童福祉法に基づいて設置される児童相談所、児童館、児童クラブ等に関する条例で用いられることが多い。
〇 子どもに関する条例の制定状況については、都道府県及び指定都市の条例は、令和4年版子供・若者白書が「青少年に関する条例」(付録4 288頁~293頁)を掲載しており、都道府県及び市区町村の条例は、少し古くなるが、平成24年版子ども・若者白書が「子どもに関する条例の制定状況及びその規定内容」(参考資料14)を掲載している。また、荒巻重人・喜多明人・半田勝久編「解説子ども条例」(三省堂 平成24年8月)は、子ども条例の意義や課題などについて解説するとともに、平成24年6月現在制定されている主な子ども条例の制定経緯、特徴等について掲載しており、牧瀬稔「子ども政策の現状と展望①~⑥」(地方行政 令和2年6月15日、22日、7月13日、20日、27日、8月3日)は、子どもに関する条例をいくつかのタイプに分類したうえで主な条例について解説をしている。本稿は、これらの資料、著書、解説を参考にしている。
なお、自治体法務研究では2007年春号で「少子化対策と条例」、2015年冬号で「子育て支援と自治体」、2019年秋号で「子どもの見守りと自治体の役割」、2022年秋号で「子ども政策と自治体」をそれぞれ特集しているので、参照されたい。
〇 参考までに、子ども、児童等に関する法律等の主なものの時系列的な制定動向は、以下の通りである。
昭和22年12月 | 児童福祉法制定 |
平成6年4月 | |
平成12年5月 | |
平成13年12月 | |
平成15年7月 | |
平成18年6月 | |
平成21年7月 | |
平成24年8月 | |
平成25年6月 | |
平成26年11月 | |
平成28年6月 | 児童福祉法改正(児童の権利等の明文化等) |
令和4年6月 |
また、政府における少子化対策、子育て支援対策等の取組みは、平成2年の「1.57ショック」により問題が認識され、検討が始められたとされる。そして、平成6年12月に「エンゼルプラン」、平成11年12月に「新エンゼルプラン」が策定された。それ以降、上記の法律等に基づいて、今日に至るまで、切れ目のない対策が講じられてきている。こうした取組みの状況については、令和4年版少子化社会対策白書第2章第1節「これまでの少子化対策」(特に、48・49頁第1-2-5図「これまでの取組」)を参照されたい。
【「子ども・子育て支援に関する条例」と「子どもの権利保障をはかる総合的な条例」の制定状況の概観】
〇 「子ども・子育て支援に関する条例」と「子どもの権利保障をはかる総合的な条例」の制定状況をあわせて概観する。個々の条例を「子ども・子育て支援に関する条例」と「子どもの権利保障をはかる総合的な条例」のいずれに分類するかの判断は、必ずしも容易ではない。「子ども・子育て支援に関する条例」であっても、何らかの形で子どもの権利に関する規定を置くものは多く、一方で、「子どもの権利保障をはかる総合的な条例」であっても、子育て支援等に関する規定を置くものは少なくない。したがって、ここでは、両タイプの条例の制定状況をあわせて概観することとする。
「子ども・子育て支援に関する条例」または「子どもの権利保障をはかる総合的な条例」であって、令和6年12月20日時点で制定されていることが確認できるもの(過去に制定されたものの市町村合併その他の理由により廃止されたものは除く。)は、以下の通りである。
なお、制定年は公布日を基準としている。条例名に☆を付しているものは「子どもの権利保障をはかる総合的な条例一覧」(子どもの権利条約総合研究所作成 令和6年5月現在)において「子どもの権利保障をはかる総合的な条例」とされたものである。また、基金の設置、助成金等の支給、施設の設置・運営、附属機関の設置等のみを定めた条例や法律の施行条例は対象外としている。
① 都道府県の条例
都道府県における条例の制定状況は、以下の通りである。30団体で33条例を制定していることが確認できる。長野県は長野県の未来を担う子どもの支援に関する条例及び県民の希望をかなえる少子化対策の推進に関する条例を、山梨県はやまなし子ども・子育て支援条例及びやまなし子ども条例を、徳島県は徳島県子どものはぐくみ条例と徳島県こども未来応援条例のそれぞれ2条例を制定している。「青少年の健全育成に関する条例」がほぼ全団体で制定されているのに対して、半数強の団体が制定していることとなる。
平成16年に北海道子どもの未来づくりのための少子化対策推進条例及び高知県こども条例(平成25年に全部改正され高知県子ども条例)が制定された。その後、通常は年に1、2団体のペースで条例が制定されているが、特に平成19年は8団体と多くの団体が条例を制定している。
令和3年に東京都こども基本条例が議員提案により制定され、令和4年は3月に長野県の県民の希望をかなえる少子化対策の推進に関する条例及び山梨県のやまなし子ども条例が議員提案により、奈良県の奈良っ子はぐくみ条例が知事提案により制定されている。
令和5年12月に、京都府は、平成19年制定の京都府子育て支援条例及び平成27年制定の京都府少子化対策条例を廃止したうえで、子育て環境日本一・京都の実現に向けた取組の推進に関する条例を知事提案により制定している。
令和6年に徳島県こども未来応援条例が議員提案により、新潟県こども条例が知事提案により、埼玉県こども・若者基本条例が議員提案により、それぞれ制定されている。
平成16年 | 北海道子どもの未来づくりのための少子化対策推進条例 (高知県こども条例(平成25年全部改正)) |
平成18年 | 滋賀県子ども条例 秋田県子ども・子育て支援条例 |
平成19年 | 大阪府子ども条例 神奈川県子ども・子育て支援推進条例 (石川県)いしかわ子ども総合条例 |
平成20年 | 長崎県子育て条例 |
平成21年 | (富山県)とやまの未来をつくる子育て支援その他の少子化対策の推進に関する条例 |
平成22年 | 山形県子育て基本条例 (福島県)子育てしやすい福島県づくり条例 |
平成23年 | 三重県子ども条例 |
平成25年 | 高知県子ども条例 徳島県子どものはぐくみ条例 |
平成26年 | (鳥取県)子育て王国とっとり条例 ☆長野県の未来を担う子どもの支援に関する条例 |
平成27年 | (香川県)子育て県かがわ少子化対策推進条例 (岩手県)いわての子どもを健やかに育む条例 |
平成29年 | (山梨県)やまなし子ども・子育て支援条例 |
平成30年 | (栃木県)とちぎの子ども・子育て支援条例 |
令和3年 | 東京都こども基本条例 |
令和4年 | (長野県)県民の希望をかなえる少子化対策の推進に関する条例 (山梨県)☆やまなし子ども条例 |
令和5年 | (京都府)子育て環境日本一・京都の実現に向けた取組の推進に関する条例 |
令和6年 | 徳島県こども未来応援条例 ☆新潟県こども条例 埼玉県こども・若者基本条例 |
② 指定都市の条例
指定都市では、12団体が制定していることが確認できる。条例を制定しているのは半数弱の団体である。平成12年に川崎市が「子どもの権利に関する総合条例」として全国に先駆けて条例を制定した。平成20年に制定されたなごや子ども条例は令和2年に改正されてなごや子どもの権利条例となっている。平成3年に新潟市子どもの条例が、令和6年に横浜市こども・子育て基本条例及び北九州市子ども基本条例 が、それぞれ議員提案により、令和7年に千葉市こども・若者基本条例が市長提案により制定されている。5団体が「子どもの権利保障をはかる総合的な条例」を制定している。
平成12年 | ☆川崎市子どもの権利に関する条例 |
平成18年 | 岡山市市民協働による自立する子どもの育成を推進する条例 |
平成20年 | (名古屋市)☆なごや子ども条例(令和2年改正 ☆なごや子どもの権利条例) |
平成22年 | 浜松市子ども育成条例 |
平成23年 | (京都市)子どもを共に育む京都市民憲章の実践の推進に関する条例 |
平成27年 | ☆相模原市子どもの権利条例 |
令和3年 | ☆新潟市子どもの条例 |
令和6年 | 横浜市こども・子育て基本条例 北九州市子ども基本条例 |
令和7年 | 千葉市こども・若者基本条例 |
③ 市区町村の条例
指定都市を除く市区町村では、173団体が制定していることが確認できる。平成11年に箕面市子ども条例が制定されている。その後、平成13年から平成16年までは毎年1、2団体が制定していたが、平成17年以降は、毎年、数団体以上が制定している。特に、平成18年は11団体、平成19年は10団体、平成24年は14団体が制定している。平成29年は4団体、平成30年は3団体、平成31年・令和元年は3団体であったが、令和2年には13団体、令和3年には10団体、令和4年には15団体、令和5年には12団体、令和6年には13団体、令和7年には1団体(令和7年3月13日時点で確認できるもの)が制定しており、制定団体が急増している。なお、173団体中61団体が「子どもの権利保障をはかる総合的な条例」を制定している。
平成11年 | (大阪府)箕面市子ども条例 |
平成13年 | (東京都)世田谷区子ども条例(☆平成24年改正) |
平成14年 | (北海道奈井江町)☆子どもの権利に関する条例 |
平成15年 | (岐阜県)☆多治見市子どもの権利に関する条例 |
平成16年 | (徳島県)石井町子ども育成に関する条例 (愛媛県)松山市子ども育成条例 |
平成17年 | (東京都)調布市子ども条例 ☆目黒区子ども条例 (山梨県)山梨市少子化社会対策推進条例 |
平成18年 | (北海道)☆芽室町子どもの権利に関する条例 |
平成19年 | (福島県小野町)こどもすこやか育成支援条例 (群馬県)太田市子育て支援条例 |
平成20年 | (群馬県)みなかみ町子育て支援条例 (東京都)☆日野市子ども条例 奥多摩町子ども・子育て支援推進条例 |
平成21年 | (北海道)滝川市の未来を担うこどもの子育て・子育ち環境づくりに関する条例 |
平成22年 | 北海道)☆幕別町子どもの権利に関する条例 (山形県)河北町子育て基本条例 |
平成23年 | (秋田県)由利本荘市子ども条例 (石川県)☆内灘町子どもの権利条例 (兵庫県)丹波篠山市子育ていちばん条例 |
平成24年 | (北海道)旭川市子ども条例 ☆北広島市子どもの権利条例 (青森県)☆青森市子どもの権利条例 |
平成25年 | (北海道)☆士別市子どもの権利に関する条例 (福島県)金山町少子化対策推進条例 |
平成26年 | (秋田県)大仙市子ども条例 (栃木県)☆那須塩原市子どもの権利条例 (新潟県)聖籠町子ども条例 |
平成27年 | (岩手県)金ケ崎町子ども育成条例 (福島県)只見町子育て支援・少子化対策の推進に関する条例 |
平成28年 | (北海道)函館市子ども条例 (静岡県)御殿場市子ども条例 (愛知県)小牧市地域こども子育て条例 |
平成29年 | (北海道)赤平市子育て支援条例 (青森県)深浦町少子化対策推進条例 |
平成30年 | (福島県)郡山市子ども条例 (東京都)☆西東京市子ども条例 (京都府)☆亀岡市子どもの権利条例 |
平成31年 | (岡山県)新見市子ども条例 (福岡県)古賀市子ども・子育て支援条例 |
令和元年 | (兵庫県)西脇市こどもの笑顔をはぐくむ条例 |
令和2年 | (北海道)苫前町子ども子育て条例 壮瞥町子ども・子育て支援条例 東川町子ども・子育て支援条例 |
令和3年 | (福島県)福島市子どものえがお条例 広野町子どもの権利条例 |
令和4年 | (宮城県)東松島市子どもの笑顔と生きる力を育む基本条例 登米市子ども・子育て条例 |
令和5年 | (埼玉県)川口市子どもの健やかな成長のための支援に関する条例 (東京都)荒川区子どもの権利条例 |
令和6年 | (北海道)釧路町こども基本条例 (青森県)☆むつ市こどもの笑顔まんなか条例 |
令和7年 | (東京都)江東区こどもの権利に関する条例 |
【「子ども・子育て支援に関する条例」の具体例】
〇 「子ども・子育て支援に関する条例」の具体的な条例を紹介する。各自治体が制定するそれぞれの条例の内容、規定の仕方は多様であり、明確に峻別することは困難であるが、概ね、理念的な規定を中心に定める条例、子ども支援及び子育て支援に関して総合的な施策の推進について規定する条例、子育て支援に関する施策を中心に規定する条例、少子化対策に関する施策を中心に規定する条例、子どもの育成に関する施策を中心に規定する条例などのタイプに分けることができる。以下、それぞれのタイプ(又は、それぞれのタイプに近いもの)ごとに条例のいくつかを紹介する。なお、「子どもの権利保障をはかる総合的な条例」の具体例については「子どもの権利に関する条例」で紹介する。
① 理念的な規定を中心に定める条例
まず、理念的な規定を中心に定める条例として、例えば、以下のようなものがある。
大阪府 | 平成19年3月16日公布 | 平成19年4月1日施行 |
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滋賀県東近江市 | 平成19年12月21日公布 | 平成20年4月1日施行 |
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三重県 | 平成23年3月23日公布 | 平成23年4月1日施行 |
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高知県 | 平成25年1月4日公布 | 平成25年4月1日施行 |
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秋田県大仙市 | 平成26年3月19日公布 | 平成26年3月19日施行 |
大阪府条例は「子どもの尊厳を守り、健やかな成長を支えることに関し」、三重県条例は「子どもが豊かに育つことができる地域社会づくりについて」、高知県条例は「子どもの尊厳及び権利が守られ、子どもが健やかに成長することができる環境づくりについて」、それぞれ、基本理念を定め、府県の責務、保護者の責務(役割)、学校(関係者)等の責務(役割)、府県民の役割(責務)等を明らかにし、施策の基本となることを定めている。また、大阪府条例は計画の策定、高知県条例は計画の策定及び推進委員会の設置に関する規定を置き、三重県条例は基本理念として「子どもを権利の主体として尊重すること」、「子どもの最善の利益を尊重すること」等を定めている。なお、高知県条例は、平成16年に制定された「高知県こども条例」が全部改正されて、議員提案により制定されている(こうち県議会だより56号「「高知県こども条例」が改正されました」参照)。
東近江市及び大仙市の条例も、子どもに関する施策について、基本理念(基本方針)、市の責務、保護者の責務(役割)、学校(関係者)等の責務(役割)、住民の責務(役割)、計画の策定等の規定を置いている。東近江市条例は基本方針として「こどもの幸福が第一に考えられ、こどもの権利が最大限に守られるまちづくりを推進すること」等を定め、大仙市条例は基本理念として「子どもの人格や権利を尊重すること」、「子どもの最善を考慮した子育てに取り組むこと」等を定めている。また、大仙市条例は、子どもの権利に関する規定(4条)を置いている。
② 子ども支援及び子育て支援に関して総合的な施策の推進について規定する条例
子ども支援及び子育て支援に関して総合的な施策の推進について規定する条例として、例えば、以下のようなものがある。
大阪府箕面市 | 平成11年9月30日公布 | 平成11年10月1日施行 |
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東京都調布市 | 平成17年3月23日公布 | 平成17年4月1日施行 |
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大阪府池田市 | 平成17年3月31日公布 | 平成17年4月1日施行 |
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神奈川県 | 平成19年3月20日公布 | 平成19年10月1日施行 |
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福井県越前市 | 平成24年3月23日公布 | 平成24年4月1日施行 |
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香川県高松市 | 平成25年3月27日公布 | 平成25年3月27日施行 |
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兵庫県明石市 | 平成28年12月26日公布 | 平成29年4月1日施行 |
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山梨県 | 平成29年10月20日公布 | 平成29年10月20日施行 |
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福島県郡山市 | 平成30年3月26日公布 | 平成30年4月1日施行 |
箕面市条例は、平成11年に制定されているが、「子ども権利条例」及び「子ども・子育て支援条例」の中では最も制定時期が早い。基本理念として「市と市民は、箕面市の子どもを育てるにあたり、子どもの幸福を追求する権利を保障する。」等を定めるとともに、市及び市民の役割を明らかにするほか、子どもの健康、子ども文化、子どもの意見表明、子どもの社会参加、子どもと環境、学校・幼稚園・保育所・認定こども園、子育て支援、市民活動支援、相互連携、救済等の施策に関する規定を置いている。
調布市及び池田市の条例は、平成17年に制定されている。調布市条例は、人権の尊重に関する規定を置くとともに、子どもと家庭への支援に関する施策として、子どもの健康の保持増進、保護を要する子ども等への支援、子どもの生活の安全確保、子どもにやさしいまちづくりの推進、子育て家庭への支援、子どもの相談体制の充実等を規定し、池田市条例は、市の施策として、基本目標を明記したうえで、子ども・子育て家庭への支援、健康の確保及び増進、教育環境の整備、生活環境の整備、子育てと仕事の両立の推進、子どもの安全確保等を規定している。
神奈川県条例は、子ども・子育て支援を「子どもの人権が尊重されるための措置、子ども及び子どもを生み、育てる家庭に対する支援、県民の職業生活と子どもを生み、育てるための家庭生活との両立が図られるようにするための取組その他子どもの安全な生活が確保されるとともに、子どもが健やかに生まれ、かつ、育つことができるようにするための取組」(2条1号)と定義づけている。特に、事業者に対する認証制度に関する規定(16条)を置いている。山梨県条例は、平成29年に議員提案により制定されている。
越前市条例は、特に、地域自治組織及び市民活動組織の役割についても規定している。また、「私たちの取組」として、家庭への支援、親と子どもの健康増進のための支援、援助を必要とする子どもへの支援、子どもに関する相談体制の充実、子どもの社会参加の促進、教育の充実、安全で安心な環境づくり、地域における支援について規定している。高松市条例は、基本的施策として、子どもの成長への支援、子育て家庭への支援、子どもを虐待等から守るための対策、子どもの貧困対策、相談支援体制の充実等を規定している。
明石市条例は、こどもを「20歳未満の者その他これらの者と同じくこの条例に基づく支援を受けることが適当である者」(2条1号)としている。特に、こどもの状況に応じた適切な支援として、障害のあるこどもへの支援、虐待の予防等に関する取組、いじめ及び体罰の防止等に関する取組、不登校及びひきこもりに関する取組、経済的に困難な家庭のこどもへの支援、離婚前後のこども養育支援、戸籍のないこどもへの支援等についても規定している。郡山市条例も、子どもの状況に応じた適切な支援について、明石市条例と同様な規定を置いている。
なお、高松市条例については、自治体法務研究2014年秋号CLOSEUP先進・ユニーク条例「高松市子ども・子育て条例」を参照されたい。
③ 子育て支援に関する施策を中心に規定する条例
子育て支援に関する施策を中心に規定する条例として、例えば、以下のようなものがある。
千葉県流山市 | 平成19年9月28日公布 | 平成20年4月1日施行 |
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群馬県太田市 | 平成19年12月21日公布 | 平成20年4月1日施行 |
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長崎県 | 平成20年10月14日公布 | 平成20年10月14日施行 |
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鹿児島県姶良市 | 平成25年3月27日公布 | 平成25年4月1日施行 |
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鳥取県 | 平成26年3月25日公布 | 平成26年3月25日施行 |
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北海道赤平市 | 平成29年12月15日公布 | 平成30年4月1日施行 |
長崎県条例は、子育て環境の整備として、妊娠・出産の支援、子育て支援の充実、家庭教育への支援、まちづくり、仕事と家庭生活の調和等を、子どもの心と命を守るための取組として、相談・支援体制の充実、関係機関の連携による対応等を規定している。鳥取県条例は、子育て支援等を「子どもの出産及び健やかな成長のための環境整備、子どもの貧困対策その他の子どもを産み、育てることに関するあらゆる支援、援助及び応援」(2条2項)と定義づけたうえで、別表で子育て支援等に関する施策を施策区分ごとに具体的に規定している。
流山市及び姶良市の条例は、子育て支援に関する理念的な規定を置いており、太田市条例は、子育て支援に関する基本的施策として、生命の尊厳等についての教育の充実、子どもの安全な生活等の確保のための支援、子育て家庭に対する支援、職業生活と家庭生活の両立のための措置等を、赤平市条例は、同じく基本的施策として、安心して子どもを生み育てられる環境づくり、親と子が健やかに暮らせるための支援の充実、親子の育ちを応援する学びや体験の場の提供、支援が必要な親子を優しく包む施策の実施、いじめ及び虐待への対応、親子を見守る安心で快適なまちづくり等を規定している。
なお、流山市条例については、自治体法務研究2015年冬号条例制定の事例CASESTUDY「流山市子育てにやさしいまちづくり条例~子育て支援の取組~」を参照されたい。
④ 少子化対策を中心に規定する条例
少子化対策を中心に規定する条例として、例えば、以下のようなものがある。
北海道 | 平成16年10月19日公布 | 平成16年10月19日施行 |
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山梨県山梨市 | 平成17年7月1日公布 | 平成17年7月1日施行 |
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青森県深浦町 | 平成29年3月10日公布 | 平成29年3月10日施行 |
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長野県 | 令和4年3月10日公布 | 令和4年3月10日施行 |
北海道条例は平成16年に制定された。少子化対策を「安心して子どもを生み育てることができ、子どもが健やかに成長できる社会の実現に向けて行うすべての取組」(2条)と定義づけ、基本理念、道の責務、事業者の責務、道民の役割、実施計画の策定等を定めるほか、基本的施策として、社会全体による取組の促進、子どもの権利及び利益の尊重、地域における子育て支援体制等の充実、保育サービス等の充実、雇用環境等の整備、母子保健医療体制等の充実、児童健全育成等の促進、児童虐待防止対策の充実、教育環境の整備、生活環境の整備、経済的負担の軽減等を規定している。
山梨市及び深浦町の条例は、少子化(社会)対策に関する基本理念、市町の責務、市町民の責務、事業者の責務、基本的施策等について規定している。なお、深浦町は、条例の制定にあわせ、平成17年に制定した「深浦町出逢い・めぐり逢い支援条例」を廃止している。
長野県条例は、平成27年に制定された長野県の未来を担う子どもの支援に関する条例とは別に、令和4年に制定されている。少子化対策を「結婚、妊娠、出産及び子育ての希望をかなえることができる社会の実現に向けて行う少子化を克服するための全ての取組」(2条)と定義づけ、基本理念、県の責務、市町村との連携等、県民の役割、事業者の役割、学校の役割、行動計画の策定等を定めるほか、基本的施策として、就業の支援、結婚の支援、妊娠、出産及び子育ての支援、職場環境の整備、ライフデザイン教育の推進、地域の特性を生かした取組、社会全体の気運醸成等を規定している。
⑤ 子どもの育成を中心に規定する条例
子どもの育成を中心に規定する条例として、例えば、以下のようなものがある。
石川県金沢市 | 平成13年12月19日公布 | 平成14年1月1日施行 |
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長崎県佐世保市 | 平成18年6月29日公布 | 平成18年6月29日施行 |
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岡山市 | 平成18年12月27日公布 | 平成19年4月1日施行 |
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長野県千曲市 | 平成27年3月25日公布 | 平成27年3月25日施行 |
金沢市条例は、平成13年に制定されている。子どもを「おおむね15歳未満の者」(2条1項)と定義づけたうえで、「子どもを取り巻く社会環境の変化に対応した新しい時代の子どもの育成について、その基本理念、大人の責務、基本的な施策等を明らかにする」(1条)こととしている。市は、行動計画を策定するともに、子どもの自然体験活動等の充実、子どもの自主的な活動への支援、子どもの健全育成事業、子どもに関する相談体制の充実等の基本的施策を推進するものとしている。同条例の制定にあわせて、昭和54年制定の金沢市児童健全育成事業条例等を廃止している。
佐世保市及び千曲市の条例も、子どもを概ね15歳未満(まで)の者と定義づけている。そのうえで、次代を担う子どもの育成について、基本理念、市民、保護者、地域等の役割、市の責任と役割等を定めるとともに、相談体制の充実、虐待の防止、子育て支援、活動への支援、子どもの社会参加の促進等の基本的施策を規定している。
岡山市条例は、子どもを18歳未満の者とし、子どもの育成に関して,基本理念を定め,家庭,学校園,地域社会,事業者及び市の責務を明らかにするとともに,市が推進する施策について規定している。
⑥ 特に特徴的な内容を持つ条例
「子ども・子育て支援に関する条例」のうち特に特徴的な内容を持つ条例としては、次のようなものがる。
石川県 | 平成19年3月22日公布 | 平成19年4月1日施行 |
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京都市 | 平成23年3月23日公布 | 平成23年4月1日施行 |
石川県条例は、9章99条から構成されている。「子どもが健やかに生まれ育ち、自立した大人となり、希望する結婚をし、そして安心して子どもを生み、育てることができる環境づくりについて、基本理念を定めるとともに、結婚から妊娠、出産、子育てに至るまでの一貫した支援、乳幼児の出生及び発達の保障、青少年の健全な育成、若者の自立に向けた支援、若者の結婚に向けた支援、地域社会全体による子育て支援、子育てをする雇用労働者への配慮、食育の推進並びに子どもの権利擁護に関し、それぞれ必要な事項を定めることにより、子どもに関し一貫した施策を総合的に推進」(1条)することを目的としており、「子ども・子育て支援条例」のみならず「青少年健全育成条例」の内容を有し、さらには妊産婦及び乳幼児の医療支援、在宅育児支援、児童虐待防止や食育などに関する規定も置き、まさに、子ども、乳幼児、児童、青少年等に関する「総合条例」としての性格を有する。
京都市条例は、平成19年に定められた子どもを共に育む京都市民憲章の実践に関し必要な事項を定め、これを総合的に推進するものとして制定されている。憲章で定める6項目ごとにそれを実践するための取組を規定するとともに、憲章の実践に関する緊急の方策として、児童虐待対策、いじめ対策、児童ポルノ対策、薬物乱用対策、性感染症対策、インターネットの不適切利用対策、電子・映像メディア依存対策に関する規定も置いている。「青少年健全育成条例」としての性格も有する。
【令和に入って制定された条例】
〇 令和の時代に入って制定された「子ども・子育て支援に関する条例」と「子どもの権利に関する総合条例」であって、令和7年3月13日時点で制定が確認できるものは、以下の通りである。令和2年以降、条例制定件数は大幅に増加している。
兵庫県西脇市 | 令和元年9月26日公布 | 令和2年4月1日施行 |
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北海道苫前町 | 令和2年3月9日公布 | 令和2年3月9日施行 |
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北海道壮瞥町 | 令和2年3月9日公布 | 令和2年4月1日施行 |
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栃木県高根沢町 | 令和2年3月12日公布 | 令和2年4月1日施行 |
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神奈川県鎌倉市 | 令和2年3月13日公布 | 令和2年3月13日施行 |
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北海道東川町 | 令和2年3月16日公布 | 令和2年4月1日施行 |
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茨城県常陸太田市 | 令和2年3月24日公布 | 令和2年4月1日施行 |
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福岡県宇美町 | 令和2年3月27日公布 | 令和2年4月1日施行 |
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山梨県甲府市 | 令和2年3月30日公布 | 令和2年3月30日施行 |
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香川県丸亀市 | 令和2年3月30日公布 | 令和2年4月1日施行 |
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千葉県四街道市 | 令和2年3月31日公布 | 令和2年5月5日施行 |
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和歌山県上富田町 | 令和2年6月15日公布 | 令和2年6月15日施行 |
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愛知県西尾市 | 令和2年12月23日公布 | 令和2年12月23日施行 |
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岩手県宮古市 | 令和2年12月24日公布 | 令和3年1月1日施行 |
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福岡県那珂川市 | 令和3年3月3日公布 | 令和3年4月1日施行 |
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栃木県真岡市 | 令和3年3月19日公布 | 令和3年4月1日施行 |
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大阪府和泉市 | 令和3年3月25日公布 | 令和3年4月1日施行 |
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東京都 | 令和3年3月31日公布 | 令和3年4月1日施行 |
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大阪府枚方市 | 令和3年3月31日公布 | 令和3年3月31日施行 |
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福島県広野町 | 令和3年6月11日公布 | 令和3年6月11日施行 |
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福島県福島市 | 令和3年6月23日公布 | 令和3年6月23日施行 |
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東京都江戸川区 | 令和3年6月30日公布 | 令和3年7月1日施行 |
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愛媛県東温市 | 令和3年9月24日公布 | 令和3年9月24日施行 |
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岐阜県笠松町 | 令和3年12月22日公布 | 令和4年3月1日施行 |
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東京都多摩市 | 令和3年12月23日公布 | 令和4年4月1日施行 |
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新潟市 | 令和3年12月27日公布 | 令和4年4月1日施行 |
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徳島県阿波市 | 令和4年3月2日公布 | 令和4年4月1日施行 |
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長野県 | 令和4年3月10日公布 | 令和4年3月10日施行 |
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新潟県佐渡市 | 令和4年3月18日公布 | 令和4年4月1日施行 |
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福島県南相馬市 | 令和4年3月24日公布 | 令和4年4月1日施行 |
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埼玉県ふじみ野市 | 令和4年3月24日公布 | 令和4年4月1日施行 |
福岡県田川市 | 令和4年3月24日公布 | 令和4年4月1日施行 |
宮城県東松島市 | 令和4年3月25日公布 | 令和4年4月1日施行 |
東京都中野区 | 令和4年3月28日公布 | 令和4年4月1日施行 |
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神奈川県横須賀市 | 令和4年3月29日公布 | 令和4年7月1日施行 |
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山梨県 | 令和4年3月29日公布 | 令和4年3月29日施行 |
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大阪府熊取町 | 令和4年3月30日公布 | 令和4年4月1日施行 |
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奈良県 | 令和4年3月30日公布 | 令和4年4月1日施行 |
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埼玉県北本市 | 令和4年3月31日公布 | 令和4年10月1日施行 |
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静岡県富士市 | 令和4年4月1日公布 | 令和4年4月1日施行 |
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宮城県登米市 | 令和4年9月15日公布 | 令和4年10月1日施行 |
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愛知県瀬戸市 | 令和4年9月22日公布 | 令和4年10月1日施行 |
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富山県南砺市 | 令和4年12月16日公布 | 令和5年4月1日施行 |
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島根県邑南町 | 令和4年12月19日公布 | 令和4年12月19日施行 |
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東京都荒川区 | 令和5年3月2日公布 | 令和5年4月1日施行 |
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徳島県鳴門市 | 令和5年3月14日公布 | 令和5年4月1日施行 |
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鹿児島県鹿児島市 | 令和5年3月20日公布 | 令和5年5月5日施行 |
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東京都武蔵野市 | 令和5年3月22日公布 | 令和5年4月1日施行 |
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長野県佐久市 | 令和5年3月22日公布 | 令和5年4月1日施行 |
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奈良県田原本町 | 令和5年9月21日公布 | 令和5年9月21日施行 |
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福岡県大牟田市 | 令和5年9月21日公布 | 令和6年1月1日施行 |
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埼玉県川口市 | 令和5年9月28日公布 | 令和6年4月1日施行 |
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長野箕輪町 | 令和5年12月18日公布 | 令和6年4月1日施行 |
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岡山県鏡野町 | 令和5年12月21日公布 | 令和5年12月21日施行 |
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京都府 | 令和5年12月22日公布 | 令和6年4月1日施行 |
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大阪府泉佐野市 | 令和5年12月22日公布 | 令和6年1月1日施行 |
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東京都町田市 | 令和5年12月28日公布 | 令和6年5月5日施行 |
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青森県むつ市 | 令和6年3月15日公布 | 令和6年4月1日施行 |
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徳島県 | 令和6年3月19日公布 | 令和6年3月19日施行 |
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新潟県見附市 | 令和6年3月21日公布 | 令和6年4月1日施行 |
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静岡県藤枝市 | 令和6年3月21日公布 | 令和6年4月1日施行 |
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福島県伊達市 | 令和6年3月22日公布 | 令和6年4月1日施行 |
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岐阜県山県市 | 令和6年3月22日公布 | 令和6年3月22日施行 |
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東京都北区 | 令和6年3月27日公布 | 令和6年4月1日施行 |
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北海道釧路町 | 令和6年3月29日公布 | 令和6年4月1日施行 |
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埼玉県戸田市 | 令和6年3月29日公布 | 令和6年3月29日施行 |
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新潟県 | 令和6年3月29日公布 | 令和6年4月1日施行 |
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横浜市 | 令和6年6月14日公布 | 令和7年4月1日施行 |
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福岡県糸島市 | 令和6年9月30日公布 | 令和6年9月30日施行 |
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埼玉県 | 令和6年10月18日公布 | 令和6年10月18日施行 |
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東京都国立市 | 令和6年11月28日公布 | 令和7年4月1日施行 |
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三重県桑名市 | 令和6年12月5日公布 | 令和7年4月1日施行 |
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北海道石狩市 | 令和6年12月19日公布 | 令和7年4月1日施行 |
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北九州市 | 令和6年12月20日公布 | 令和7年4月1日施行 |
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岡山県美作市 | 令和6年12月20日公布 | 令和6年12月20日施行 |
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千葉市 | 令和7年3月13日公布 | 令和7年4月1日施行 | |
東京都江東区 | 令和7年3月13日公布 | 令和7年4月1日施行 |
各条例の内容は様々であるが、あえてタイプ別に分けるとすれば、甲府市、那珂川市、江戸川区、笠松町、新潟市、田川市、中野区、横須賀市、山梨県、熊取町、北本市、富士市、瀬戸市、南砺市、荒川区、武蔵野市、佐久市、町田市、むつ市、藤枝市、北区、新潟県、糸島市、桑名市及び石狩市の条例は子ども権利条例タイプ、丸亀市、上富田町、和泉市、東京都、枚方市、東温市、多摩市、佐渡市、田原本町、箕輪町、鏡野町、泉佐野市、釧路町、横浜市、埼玉県、国立市、北九州市、美作市、江東区及び千葉市の条例は理念的な規定を置く条例(条例名を基本条例としているものを含む)タイプ、西脇市、苫前町、壮瞥町、高根沢町、鎌倉市、東川町、宇美町、四街道市、宮古市、広野町、福島市、阿波市、南相馬市、東松島市、登米市、邑南町、鳴門市、鹿児島市、大牟田市、川口市、徳島県、見附市及び伊達市の条例は子ども支援・子育て支援に関して総合的な内容を規定する条例タイプ、常陸太田市、真岡市、ふじみ野市、奈良県、京都府、山県市及び戸田市の条例は子育て支援を中心に規定する条例タイプ、長野県条例は少子化対策を中心に規定する条例タイプ、西尾市条例は子どもの育成を中心に規定する条例タイプとみなすことができよう。
これらの条例のうち、高根沢町条例は子どもを15歳未満の者としている。多摩市条例は子ども・若者(概ね30歳代までの市民)を対象にし、埼玉県条例はこども・若者(新生児期から青年期に至るまでのある者で、心身の発達の過程にあるもの)を対象にしている。また、南砺市、京都府、徳島県、見附市、新潟県、横浜市、石狩市及び千葉市の条例は「こども」の定義をこども基本法と同じ「心身の発達の過程にある者」としている。
子どもの「居場所」の確保等について規定するものが多い(西脇市条例14条、苫前町条例14条、鎌倉市条例18条、宇美町条例12条2項、四街道市条例9条、宮古市条例21条2項、東京都条例7条、福島市条例12条、新潟市条例15条2項、中野区条例19条、山梨県条例18条、富士市条例12条、南砺市条例14条、邑南町条例12条、鳴門市条例14条、鹿児島市条例12条、武蔵野市条例13条・14条、泉佐野市条例19条、町田市条例16条、むつ市条例11条、徳島県条例7条、藤枝市条例21条、伊達市条例16条、北区条例14条、戸田市条例16条、新潟県条例21条1項、埼玉県条例16条、国立市条例20条、桑名市条例12条、石狩市条例10条3項)。例えば、鎌倉市条例は、子どもの居場所の確保として、「市は、子どもが自分らしく遊び、休息し、集い、安心して人間関係を作り合うことができる場の確保及び充実に努めるものとする。」(18条)と規定している。なお、福島市条例は、子どもの居場所の確保とともに、「保護者の居場所」の確保についても規定している(14条)。
西尾市条例は、食育の推進(13条)、道徳性の向上(14条)、読書活動の推進(15条)等についても規定している。また、山梨県条例(21条及び22条)、伊達市条例(22条)及び北九州市条例(14条)は、ヤングケアラーに対する支援や配慮について規定し、北九州市条例はさらに、性的指向等の多様性についての理解(15条)、食育の推進及び学校給食費無料化・負担軽減施策の検討(22条)等についても規定している。
なお、福島市条例及びふじみ野市条例については、自治体法務研究2022年秋号条例制定の事例CASESTUDY「福島市子どものえがお条例」及び「ふじみ野市こどもの未来を育む条例」を参照されたい。