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無電柱化の推進に関する条例

                                                 (令和3年9月15日作成)

【無電柱化の推進】

〇 国土交通大臣は令和3年5月25日に「無電柱化推進計画」を策定した。同計画は、「はじめに」において、

 「我が国では、昭和60年代初頭から、電線類を地中へ埋設するなど無電柱化について計画的に取り組まれてきており、一定の整備が図られてきた。
 しかしながらその水準は、欧米はもとよりアジアの主要都市と比較しても大きく立ち後れている状況である。全国には依然として、道路と民地をあわせて約3600万本の電柱が建っており、減少するどころか増加しているのが現状である。
 これまで無電柱化は、防災性の向上、安全性・快適性の確保、良好な景観形成の観点から実施してきたが、近年、災害の激甚化・頻発化、あるいは高齢者の増加等により、その必要性が高まっている。
 特に、近年の台風や豪雨等の災害では、倒木や飛来物起因の電柱倒壊による停電並びに通信障害が長期間に及ぶケースも報告されており、電力や通信のレジリエンス強化も求められているところである。」

 と述べ、わが国において無電柱化をさらに計画的かつ迅速に推進しなければならないとする背景と必要性を述べている。

  そのうえで、同計画は令和3年度から7年度までの5年間で、「防災・減災、国土強靱化のための5か年加速化対策」で着手する約2400km も含め、新たに約4000qの無電柱化に着手することを目指し、可能な限り進捗を図るとしている。その際、平均して約2割のコスト縮減に取り組むとしている。

〇 無電柱化の推進については、平成28年に議員立法により「無電柱化の推進に関する法律」(以下「無電柱化法」という。)が制定された(平成28年12月16日公布・施行)。

  同法は、無電柱化を「電線を地下に埋設することその他の方法により、電柱(・・・)又は電線(・・・)の道路上における設置を抑制し、及び道路上の電柱又は電線を撤去すること」と定義づけたうえで、災害の防止、安全かつ円滑な交通の確保、良好な景観の形成等を図るため、無電柱化の推進に関し、基本理念を定め、国及び地方公共団体の責務等を明らかにし、並びに無電柱化の推進に関する計画の策定その他の必要な事項を定めることにより、無電柱化の推進に関する施策を総合的、計画的かつ迅速に推進することを目的(1条)としている。

  基本理念(2条)、国の責務(3条)、地方公共団体の責務(4条)、関係事業者の責務(5条)及び国民の努力(6条)を定めたうえで、無電化推進計画について、国土交通大臣に策定を義務づけ(7条)、都道府県及び市町村に策定の努力義務を課している(8条)。

  また、無電柱化の推進に関する施策として、国民の理解及び関心の推進(9条)、無電柱化の日(10条)、無電柱化が特に必要であると認められる道路の占用の禁止等(国及び地方公共団体は、災害の防止、安全かつ円滑な交通の確保、良好な景観の形成等を図るために無電柱化が特に必要であると認められる道路について、道路法37条1項による道路の占用の禁止、制限等の措置を講ずる)(11条)、電柱又は電線の設置の抑制及び撤去(関係事業者は、道路事業や市街地開発事業等が実施される場合、電柱・電線を道路上に新設しないようにするとともに、既存の電柱・ 電線を撤去する)(12条)、調査研究、技術開発等の推進等(13条)、関係者相互の連携及び協力(14条)並びに法制上の措置等(15条)について規定している。

〇 上記の「無電柱化推進計画」(令和3年5月25日国土交通大臣決定)は同法7条に基づいて策定されたものであり、「無電柱化推進計画」(平成30年4月6日国土交通大臣決定)に引き続き策定されている。

〇 政府における無電柱化の取組み等については、国土交通省HP「無電柱化の推進」を参照されたい。また、国土交通省「無電柱化推進のあり方検討委員会」の令和2年度第1回(令和2年6月10日)配布資料「資料2-1 無電柱化の推進に関する取組状況」等も参考になる。

 

【無電柱化の推進に関する条例】

〇 無電柱化の推進に関して単独の条例を制定している自治体が、わずかながらある。以下の自治体の条例である。

茨城県つくば市

つくば市無電柱化条例

平成28年9月30日公布

平成28年9月30日施行

東京都

東京都無電柱化推進条例

平成29年6月14日公布

平成29年9月1日施行

長野県白馬村

白馬村無電柱化推進条例

平成30年6月18日公布

平成30年6月18日施行

〇 この3条例のうち、つくば市条例は無電化法の制定前に制定されており、独自の規定を置いている。

  他方、東京都条例と白馬市条例は無電化法の制定後に制定されており、内容は無電化法を踏まえたものとなっている。

 

(つくば市条例)

〇 つくば市条例は、「電線類を地下に埋設することによる無電柱化を図り、もって都市の防災機能の向上、安全かつ円滑な交通の確保及び景観の整備に資すること」(1条)を目的とし、条例で無電柱化区域を設定し、同区域内においては無電柱化の実施と街灯の設置を開発事業者等に義務づけ、その他の地区においても一定の条件を満たした場合には無電柱化の実施の努力義務を課すことを規定している。

〇 つくば市は、同条例の制定の背景を次のように述べている。

 「つくば駅を中心とする中心市街地やつくばエクスプレス沿線開発地区の各駅前などは、計画的にまちづくりが行われたことから、無電柱化されており、良好な街並みが創出されています。
 しかしながら、平成17年から国家公務員宿舎などの売却が開始され、その跡地における新たな開発では、架空線により電線類を整備する箇所も現れてきました。
 無電柱化は、良好な景観のみならず都市の防災機能の向上や円滑な交通の確保においても大きな役割を果たしていることから、今後も継承する必要があります。
 そのため、既に無電柱化している区域の無電柱化を維持するとともに、市内全域で無電柱化を促進する条例を制定しました。」
                                         (つくば市HP「つくば市無電柱化条例」)

〇 無電柱化区域は別図で4か所設定し、無電柱化区域においては、

@ 電線類の敷設を要請する者は、一定の場合を除き、電柱を設置することなく、電線類を地下に埋設することにより管路等の設備を整備し、電線路を地下に埋設するための費用を負担しなければならない(3条1項)

A 内線(電気事業者または電気通信事業者以外の者が所有する電線類)を敷設する者は、一定の場合を除き、電柱を設置することなく、電線類を地下に埋設することにより敷設しなければならない(同条2項)

B 開発行為に伴い電線類を地下に埋設して道路を新設する者は、街灯その他の照明を設置しなければならない(5条1項)

  無電柱化区域以外の区域においては、

@ 敷設する電線類と既設の電線類との接続箇所が既に地下に埋設されている場合及び市街化区域において1ヘクタール以上の開発行為を行う場合は、無電柱化に努めなければならない(4条1項、2項)

A 市街化区域における1ヘクタール以上の開発行為に伴い電線類を地下に埋設して道路を新設する者は、街灯その他の照明を設置するよう努めなければならない(5条2項)

 等としている。

〇 無電柱化区域における無電柱化等の規定(3条、5条1項)に違反し、又は違反するおそれがある者に対して、市長は、勧告をし、勧告に従わない場合は公表することができる(6条、7条)としている。

〇 同条例の内容等については、前記つくば市HP「つくば市無電柱化条例」を参照されたい。

 

(東京都条例)

〇 東京都条例は、「都市防災機能の強化、安全で快適な歩行空間の確保及び良好な都市景観の創出を図るため、無電柱化の推進に関し、基本理念を定め、東京都(・・・)及び関係事業者の責務等を明らかにし、並びに都の区域における無電柱化の推進に関する計画(・・・)の策定その他の必要な事項を定めることにより、無電柱化の推進に関する施策を総合的、計画的かつ迅速に推進すること」(1条)を目的としている。

〇 目的(1条)、定義(2条)、基本理念(3条)、都の責務(4条)、関係事業者の責務(5条)、都民の協力(6条)、東京都無電柱化計画(7条)、都民の理解及び関心の増進(8条)、道路の占用の禁止等(9条)、電柱又は電線の設置の抑制及び撤去(10条)、調査研究、技術開発等の推進等(11条)並びに関係者相互の連携及び協力(12条)の全12条から構成されている。

  無電柱化法では努力義務とされている無電柱化計画の策定を、知事に義務づけている(10条)。

  条例の構成や内容は、無電柱化法を踏まえたものとなっている。

〇 東京都は、7条の規定に基づき、平成30年3月に「東京都無電柱化計画」を策定し、令和3年6月に「東京都無電柱化計画(改定)」を策定している。また、東京都の無電柱化の取組み等については、東京都HP「東京の無電柱化」を参照されたい。

 

(白馬村条例)

〇 白馬村条例は、「災害の防止、安全かつ円滑な交通の確保、良好な景観の形成等を図るため、無電柱化(・・・)の推進に関し、基本理念を定め、白馬村(・・・)の責務等を明らかにし、及び村の区域における無電柱化の推進に関する計画の策定その他の必要な事項を定めることにより、無電柱化の推進に関する施策を総合的、計画的かつ迅速に推進すること」(1条)を目的としている。

〇 目的(1条)、基本理念(2条)、村の責務(3条)、関係事業者の責務(4条)、住民の努力(5条)、白馬村無電柱化推進計画(6条)、住民の理解及び関心の増進(7条)、無電柱化の日(8条)、無電柱化が特に必要であると認められる道路の占用の禁止等(9条)、電柱又は電線の設置の抑制及び撤去(10条)、調査研究、技術開発等の推進等(11条)、関係者相互の連携及び協力(12条)及びの法制上の措置等(13条)の全13条から構成されている。

  無電柱化法では努力義務とされている無電柱化計画の策定を、村長に義務づけている(10条)。

  条例の構成や内容は、無電柱化法を踏まえたものとなっている。

〇 白馬村は、6条の規定に基づき、平成30年3月に「白馬村無電柱化推進計画」を策定している。




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