知的財産や地域ブランドの育成・保護に関する条例

 (令和6年1月12日更新)

【はじめに】

〇 地域経済を活性化させるため、地域の生産物やサービスのブランド化を進めるとともに、それに関連する知的財産を創出し、育て、保護することが求められる。

 こうした地域ブランドや知的財産を育成・保護することを目的として、そのための単独条例を制定している自治体がある。また、地域産業、農林水産業、中小企業、観光等の振興を図る条例において、関係する規定を置く自治体は少なくない。

〇 これらの条例の内容としては、従前はブランド化の推進や知的財産の創出に力点が置かれていたが、地域で研究・開発した農林水産物等の知的財産が海外等に流出し、侵害される事態が発生したことなどを受けて、近年は知的財産や地域ブランドの保護に関して具体的な規定を置くものも増えてきている。

〇 本稿では、こうした知的財産や地域ブランドの育成・保護に関する条例を概観する。

 

【知的財産の育成・保護に関する条例】

(知的財産の育成・保護を目的とする条例)

〇 知的財産の育成・保護を目的とする単独条例としては、次のような条例がある。すなわち、

鳥取県

鳥取県知的財産の創造等に関する基本条例

平成18年3月28日公布

平成18年4月1日施行

青森県

青森県知的財産による新事業等の創出の推進に関する条例

平成21年3月25日公布

平成21年3月25日施行

佐賀県

佐賀県知的財産の創造等に関する基本条例(令和4年6月30日廃止)

佐賀県知的財産を大切にし、みんなで守り、育て、新たに生み出す条例

平成21年3月25日公布

令和4年6月30日公布

平成21年4月1日施行

令和4年6月30日施行

である。

〇 鳥取県条例、青森県条例及び「佐賀県知的財産の創造等に関する基本条例」(以下「佐賀県旧条例」という。)は、いずれも平成20年前後に制定されている。平成14年12月に知的財産基本法が制定され(平成15年3月に施行)、地方公共団体の責務として「地方公共団体は、基本理念にのっとり、知的財産の創造、保護及び活用に関し、国との適切な役割分担を踏まえて、その地方公共団体の区域の特性を生かした自主的な施策を策定し、及び実施する責務を有する。」(6条)と規定され、また、商標法が平成18年4月改正施行され、新たに地域団体商標制度が導入されたが、これらの条例はこうした動きを踏まえて制定されたものと考えることができる。

〇 鳥取県条例及び佐賀県旧条例は「知的財産の創造、保護及び活用」を目的とし、青森県条例は「知的財産による新事業等の創出(知的財産の創造、保護及び活用による新たな事業及び付加価値の創出)」を目的としている。

 3条例とも、「知的財産」とは「知的財産基本法2条1項に規定する知的財産」(鳥取県条例及び佐賀県旧条例は同法2条1項を引用、青森県条例は同法2条1項と同一内容を規定)としている。

〇 鳥取県条例は、政策の目標(3条)を掲げ、県の責務(4条)、大学等、事業者、金融機関等及び県民の取組(9条~12条)を定めるとともに、県の取組として、風土づくりの推進、人材の基盤整備、産学金官の連携及び県による知的財産の創造等(5条~8条)を規定している。併せて、県職員による職務発明の取扱いについて詳細な規定(13条~25条)を置いている。

 青森県条例は、県の責務(3条)、事業者、大学等及び金融機関の取組(4条~6条)を定めるとともに、県の取組として、連携の強化、啓発、相談処理体制の整備及び財政上の措置(7条~10条)を規定している。

 佐賀県旧条例は、基本理念(3条)のほか、県、市町、大学等、事業者及び県民の責務(4条~8条)を定めているが、基本構想の策定(4条2項)を県の責務としている。

〇 佐賀県は、令和4年6月30日に旧条例を廃止して、「佐賀県知的財産を大切にし、みんなで守り、育て、新たに生み出す条例」(以下「佐賀県新条例」という。)を制定した。

 佐賀県新条例の制定理由として、前文は、「園芸農家の方々の大きな期待を背負ってデビューしたかんきつ『にじゅうまる』。20年以上の年月をかけて品種開発し、関係者による栽培や品質、流通といった管理を徹底することで、販売開始から佐賀県を代表するかんきつブランドとなった。そうした中で、その苗木が不正に流出し、県外で『にじゅうまる』として販売されていた事案が発生した。大切な苗木が持ち出され、関係者による適切な管理がなされていない生産物が市場に出てしまうと、そのブランドへの信頼は大きく失われ、ブランドを大切に育ててきた人たちの努力が無になるおそれがある。そうしたことは決してあってっはならない。」としたうえで、「佐賀の未来を担う貴重な知的財産を、県民みんなで守り、育てる気運をさらに高め、そして佐賀ならではの強みを生かした新たな知的財産を生み出す好循環が佐賀の地に深く根を張ることを目指して、この条例を制定する。」としている。

 佐賀県新条例は、基本的には佐賀県旧条例と同様な構成をしているが、知的財産の「保護、活用及び創造」(1条)を目的としており、佐賀県旧条例が「創造、保護及び活用」(1条)を目的としていたのに対して、「保護」に力点を置いている。

 こうした観点から、県の責務として「県は、自らが有する知的財産を保護し、及び当該知的財産に対する侵害行為を防止するために必要な措置を講ずるとともに、侵害行為が発生し、又は発生するおそれのある場合には、関係法令に基づき適切に対応するものとする。」(4条2項)、事業者の責務として「事業者は、当該事業者が有する知的財産について、他者からの侵害行為その他不当な行為を受けるおそれがあることを認識し、必要な対策を講ずるよう努めるものとする。」(5条3項)等を新たに規定している。

〇 3県の条例の内容や知的財産に関する取組等については、鳥取県HP「鳥取県知的財産の創造等に関する基本条例」及び「鳥取県の知的財産支援」、青森県HP「青森県知的財産支援センター」、佐賀県HP「「佐賀県知的財産を大切にし、みんなで守り、育て、新たに生み出す条例」を制定しました」及び「佐賀県の知的財産に関する取り組み等の情報」を参照されたい。

 

(和牛に係る知的財産の保護を目的とする条例)

〇 和牛に係る知的財産の保護を目的とする単独条例として、

鳥取県

鳥取県産和牛の保護及び振興に関する条例

令和2年10月13日公布

令和2年10月13日施行

がある。

〇 同条例は、前文で「県有種雄牛の遺伝資源の知的財産的価値を未来へと引き継ぎ、県内の畜産業及びこれに関わる産業の健全な発展を図るため、県は、県有種雄牛の持続的な造成並びにその遺伝資源の保護及びその活用に取り組むとともに、ここに、何人も県有種雄牛の遺伝資源をみだりに県外に流出させてはならないことを宣言し、この条例を制定する。」とし、条例制定のねらいを明らかにしている。

〇 県有種雄牛の遺伝資源を知的財産として位置付け(2条1項)、そのうち特に重要な知的財産として厳格に管理することを要する「特定種畜」について知事が告示し(同条2項)、知事は、特定種畜の家畜人工授精用精液の所有権の県への留保、当該家畜人工授精用精液により生産した受精卵や子牛を県と精液使用者との共有とすること等を定めた契約の締結等の措置を講ずる(同条3項)とともに、県有種雄牛の遺伝資源の適正な管理を行うため、告訴、告発、差止請求等の措置を講ずる(同条4項)ものとしている。

〇 同条例の内容等については、「和牛の遺伝資源の保護に関する条例」を参照されたい。

 

(農作物に係る知的財産の保護について規定する条例)

〇 農作物に係る知的財産の保護について規定する条例として、次のような条例がある。すなわち、

滋賀県

持続的で生産性の高い滋賀の農業推進条例

令和2年12月28日公布

令和3年4月1日施行

北海道

北海道主要農産物等の種子の生産に関する条例

平成31年3月15日公布

平成31年4月1日施行

栃木県

栃木県奨励品種の優良な種苗の安定供給に関する条例

令和元年10月11日公布

令和2年4月1日施行

福島県

福島県奨励品種の優良な種苗の安定供給に関する条例

令和4年3月25日公布

令和4年4月1日施行

山口県

山口県種苗条例

令和5年3月14日公布 令和5年4月1日施行

である。

〇 滋賀県条例は、農業振興に関する条例であるが、新品種等の知的財産の保護として、「知事は、県が育成した農作物の新品種、県が発明し、または考案した農作物の栽培方法に関する技術その他の県の有する農業に関する知的財産の適切な保護を図るため、育成者権、特許権、実用新案権その他の知的財産権の取得のための手続を行うとともに、取得した知的財産権を適正に管理するものとする。」(16条)と規定している。

〇 北海道、栃木県、福島県及び山口県の条例は、農作物の種子に関する条例であるが、知的財産の保護に関して、北海道条例は「知事は、優良品種に係る知的財産権の適正な保護が図られるよう、品種育成者に対し、情報提供その他の必要な支援を行うものとする。」(14条)、栃木県条例は「県は、種苗生産等計画策定者、種苗事業者、種苗生産者その他関係者と連携し、奨励品種のうち県が育成をした品種に係る知的財産権を保護するものとし、当該知的財産権の活用に努めるものとする。」(9条)、福島県条例は「県は、県が品種の開発を行った奨励品種に係る知的財産権を適切に管理し、当該知的財産権の活用に努めるものとする。」(14条)、山口県条例は「知事は、県が開発した品種の流出が山口県の農産物の生産に及ぼす影響に鑑み、当該品種に係る知的財産権を適切に管理し、及び活用するものとする。」(12条1項)、「種苗生産者及び種苗生産関係団体は、県が開発した品種に係る知的財産権の適正な保護に配慮するよう努めなければならない。」(12条2項)と、それぞれ規定している。

〇 農作物の種子に関する条例については、「農作物の種子に関する条例」を参照されたい。

 

(その他知的財産に関して規定する条例)

〇 中小企業振興、産業振興、科学技術振興等に関する条例において、知的財産に関して規定を置くものも少なくない。例えば、

京都府

京都府中小企業応援条例

平成19年3月16日公布

平成19年4月1日施行

千葉県柏市

柏市産業振興基本条例条例

平成17年12月21日公布

平成18年4月1日施行

群馬県邑楽町

邑楽町小規模企業振興条例

平成28年9月6日公布

平成28年9月6日施行

などがある。

 京都府条例は、「中小企業における知的財産等の活用等を促進することにより、その経営の安定及び成長発展を図るため」、京都府は「他の企業が保有する知的財産の活用の促進」、「知的財産等に関する情報の提供、助言及び普及啓発」、「知的財産等を活用した円滑な資金供給の確保」等の施策を実施する(14条)と規定し、柏市条例は、産業振興の方針として、「工業については,市内企業の国際競争力の強化を図る観点から,生産技術の高度化,知的財産の創造,保護及び活用並びに地域資源を生かした産学連携及び産産連携を推進する。」(3条2項2号)と規定し、邑楽町条例は、小規模企業に対する基本的施策の一つとして、「商品又は役務の開発の促進、知的財産の創出及び活用の促進その他の新たな事業の展開の促進を図るための施策」(8条1号)を規定している。

〇 文化振興に関する条例において、知的財産に関する規定を置くものもある。

沖縄県

沖縄県文化芸術振興条例

平成25年10月29日公布

平成25年10月29日施行

 沖縄県条例は、「県は、著作物その他の文化的所産の保護及び公正な利用が図られるとともに、それらの活用が積極的に行われ、その価値が最大限に発揮されるよう、著作者の権利及びこれに隣接する権利、意匠その他の知的財産について、これらに関する知識の普及に努めるものとする。」(22条)と規定している。

 

【地域ブランドの育成・保護に関する条例】

(農林水産物のブランド化の推進を目的とする条例)

〇 農林水産物のブランド化の推進を目的とする単独条例としては、次のような条例がある。すなわち、

石川県

石川県の特色ある農林水産物を創り育てるブランド化の推進に関する条例

令和2年3月26日公布

令和2年4月1日施行

令和3年4月1日改正施行

新潟県

新潟県農林水産物のブランド化推進に関する条例

令和4年3月29日公布

令和4年3月29日施行

である。

〇 石川県条例は、前文で「石川県の強みを生かした農林水産物のブランド化により、農林水産業の持続的な発展のみならず、石川県の魅力向上への昇華を経て、地域経済の活性化はもとより、石川県民の誇りの醸成にも寄与することを目指し、共通理念の下、行政、農林漁業関係団体、農林漁業者が連携し、本県の特色ある農林水産物を創り育てるブランド化を推進することを決意し、この条例を制定する。」とし、条例制定のねらいを明らかにしている。

 「ブランド化」を「農林水産物の持つ有意な差異を生かし、当該農林水産物の価値を向上させること」(2条1号)と定義づけたうえで、基本理念(3条)を定め、県の責務としての基本的な方針の策定(4条、5条)、関係団体の役割と連携(8条、9条)、財政上の措置(10条)について規定するとともに、ブランド品目の認定(6条)に関する規定を置いている。

 こうした制定当初の規定に加えて、令和3年4月1日改正施行により、ブランド品目の種苗の厳格な管理と不正流出の防止に関する規定を追加した。

 すなわち、「県及び生産者は、県産農林水産物のブランド化を推進するため、相互に協力して、ブランド品目の生産に必要な技術の維持向上及び継承に努めるとともに、ブランド品目の種苗を厳格に管理し、種苗の不正な流出の防止を徹底するものとする。」(7条1項)としたうえで、県が開発し、育成者権を有するブランド品目の種苗を生産者に利用させる場合は、規則で定めるところにより通常利用権の設定を行う(同条2項)とするとともに、県は、県が有する育成者権の侵害又は侵害のおそれのある行為があった場合、①種苗法に基づく当該侵害の停止若しくは予防の請求、当該侵害により自己が受けた損害の賠償の請求又は信用回復の措置の請求、②当該行為を行う生産者の種苗の処分の指示、③当該行為を行う生産者に設定された通常利用権の取消し等の措置を講ずる(同条3項)ものとしている。

 石川県条例の内容、ブランド化の取組等については、石川県HP「石川県の特色ある農林水産物を創り育てるブランド化の推進に関する条例」及び「農林水産部ブランド戦略課」を参照されたい。

〇 新潟県条例は、議員提案により、制定されている。

 「ブランド化」を「農林水産物の持つ有意な差異を生かし、当該農林水産物の価値を高め、消費者の信頼を確保し、及び共感を得ることを目指すこと」(2条1項)と定義づけたうえで、基本理念(3条)を定め、県の責務としての基本方針の策定(4条、11条)、市町村との連携(5条)、生産者、関係団体及び事業者の役割(6条~8条)、県民の協力(9条)、財政上の措置(10条)、ブランド品目の生産に関する技術の向上・継承、連携協力体制の整備、施策の公表(13条~15条)について規定するとともに、県推進ブランド品目の選定(12条)に関する規定を置いている。

 新潟県条例の内容については、新潟県議会HP「新潟県農林水産物のブランド化推進に関する条例(令和4年2月定例会制定)」を参照されたい。

 

(地域ブランドの使用と使用料について定める条例)

〇 地域ブランドの使用と使用料について定める条例として、次のような条例がある。すなわち、

新潟県佐渡市

佐渡海洋深層水ブランドの使用に関する条例

平成16年4月1日公布

平成16年4月1日施行

沖縄県石垣市

石垣市つんだみブランド使用料条例

平成19年6月15日公布

平成19年7月1日施行

である。

〇 佐渡市条例は、商標登録された「佐渡海洋深層水ブランド」の使用に関し、図柄、使用の範囲、使用許可、使用料、目的外使用又は権利譲渡等の禁止等を定めている。

 佐渡海洋深層水ブランドの使用等に関しては、佐渡市HP「佐渡海洋深層水ブランドマークのご紹介」を参照されたい。

〇 石垣市条例は、石垣市が企画・開発した商品その他販売方法である「つんだみブランド」の使用に関し、公募、使用料等を定めている。

 

(地域ブランドの認定や推進のための委員会、審査会等の設置について定める条例)

〇 地域ブランドの認定や推進のための委員会、審査会等の設置について定める条例がある。例えば、

三重県

三重ブランド認定委員会条例

平成19年7月4日公布

平成19年7月4日施行

愛媛県伊予市

伊予市ブランド認定審査会条例

平成29年3月17日公布

平成29年4月1日施行

千葉県松戸市

松戸市農産物ブランド化推進協議会条例

平成26年12月25日公布

平成27年4月1日施行

などである。

〇 三重県条例は三重ブランド認定委員会の設置等を、伊予市条例は伊予市ブランド認定審査会の設置等を、松戸市条例は松戸市農産物ブランド化推進協議会の設置等を、それぞれ規定している。

〇 三重ブランドについては三重県HP「三重ブランド」を、伊予市ブランドについては伊予市HP「ますます、いよし。ブランド」を、松戸市の農産物ブランド化については松戸市HP「松戸産農産物のブランド化を推進しています」を、それぞれ参照されたい。

 

(その他地域ブランドの創出やブランド化の推進について規定する条例)

〇 地域産業振興、農林水産業振興、観光振興等に関する条例において、何らかの形で地域ブランドの創出やブランド化の推進について規定する条例は多い。例えば、

徳島県

徳島県食料・農林水産業・農山漁村基本条例

平成20年12月25日公布

平成21年4月1日施行

福岡県

観光王国九州とともに輝く福岡県観光振興条例

平成28年10月11日公布

平成28年10月11日施行

神戸市

神戸らしいファッション文化を振興する条例

令和3年6月17日公布

令和3年6月17日施行

青森県むつ市

むつ市のうまいは日本一推進条例

平成30年3月20日公布

平成30年3月20日施行

奈良県桜井市

桜井市三輪素麺の普及の促進に関する条例

平成29年6月19日公布

平成29年7月7日施行

山形県高畠町

たかはた食と農のまちづくり条例

平成20年9月24日公布

平成21年4月1日施行

沖縄県中城町

中城村食料・農業・農村基本条例

平成23年7月4日公布

平成23年7月4日施行

などがある。

〇 徳島県条例は、とくしまブランドの創出として、「県は、本県の農林水産業の持続的な発展並びに農林水産物の供給力及び農林水産業者の所得の向上を図るため、生産から消費に至るまでの一体的な取組の下で、とくしまブランドの創出のために、次節から第7節までに規定する施策とあいまって必要な施策を講ずるものとする。」(15条)と規定するとともに、海外への販路の拡大として、「県は、とくしまブランドが海外に進出し、海外の市場においても消費者の高い評価を受けることができるよう、本県の農林水産物の輸出の支援のための施策を講ずるものとする。」(16条)と規定している。

 福岡県条例は、「地域ブランド」を「商品若しくはサービスを購入し、又は観光等の目的地を選択する際に考慮され、その判断に多大の影響を及ぼし得る価値であって、当該商品の産地若しくはサービスの提供地又は観光等の目的地の優れた特徴として定着した評価又は印象に関連して形成されるもの」(2条1号)と定義づけたうえで、県の役割として、「県は、県の観光振興に関する情報の収集、整理及び必要とする者への提供に努めるとともに、福岡県の地域ブランドを確立し、県内各地域の特性を活かした観光振興を図るための施策を総合的に策定し、実施する責務を有する。」(3条1項)等と規定している。

 神戸市条例は、ブランド化の推進等として、「事業者は、自らの事業に係る神戸の地場産品等のブランド化その他の魅力向上の取組に努めるものとし、市は、事業者の取組を支援するよう努めるものとする。」(7条1項)、「事業者は、自らの事業に係る神戸の地場産品等について、イノベーションを起こし、海外を含む新たな市場の開拓に取り組むよう努めるものとし、市は、事業者の取組を支援するよう努めるものとする。」(同条2項)と規定している。

 むつ市条例は、地域特産品等のブランド化の推進として、「市は、地域の食の魅力向上を図るため、ジオの恵みを用いた郷土料理の継承及び地域特産品の開発を図るとともに、それらを提供する飲食店の拡大等により「むつ市のうまい」のブランド化を推進するものとする。」(10条)と規定している。

 桜井市条例は、前文で「三輪素麺は、本市の優れた地域資源として、桜井市地域ブランドに認定され、更に、他とは違い手延べによる細く白い優れた品質を保持し、国が地域特有のブランドとして保護する「地理的表示保護制度」の登録も受けたところである。」としたうえで、条例の目的を「この条例は、素麺発祥の地とされる本市において、長年受け継がれてきた伝統的な手延べ製法により製造されてきた地域ブランドである三輪素麺の普及のために、三輪素麺を食する習慣を広め、伝統文化への理解の促進及び本市の地域経済の活性化を図ることを目的とする。」(1条)と規定している。

 高畠町条例は、食のブランド化として、「町は、地域の特性を活かした農産物の生産振興、販売、流通等の促進及びたかはたブランド(たかはたブランド認証要綱(平成19年10月9日制定)により認証された農産物をいう。以下同じ。)の確立を図るため」、「消費者等の需要に応じた収益性の高い農産物に係る情報の的確な把握及び当該情報を活かした農産物の生産の拡大に関する施策」、「たかはたブランドに係る生産者及び生産組織の育成に関する施策」、「町内産農産物の信頼を高め、需要及びその販路拡大に関する施策」及び「観光産業及び食品関連事業者等との提携による町内産農産物の利用促進に関する施策」の実施に努める(27条)としている。

 中城町条例は、「中城ブランドの確立」を「農産物の生産振興、加工等による農産物の高付加価値化等により、村の農産物を他産地に誇れる地域産品として確立し、地場産業の振興に結びつけていくこと」(2条1号)と定義づけたうえ、「村は、中城ブランドの確立を図るため、消費動向に対応した新しい農産物の開発及び生産の振興並びに付加価値の高い農産物の生産体制の確立等特色ある産地づくりを推進するとともに、地場産品を愛用する運動の展開その他必要な施策を講ずるものとする。」(11条)と規定している。

〇 市民参加条例において、地域ブランドについて規定する条例もある。すなわち、

福井県鯖江市

鯖江市民主役条例

平成22年3月26日公布

平成22年4月1日施行

である。

 鯖江ブランド創造として、「わたしたちは、ふるさと学習で学んだ成果を基に、これらをふるさとの宝として更に磨きをかけることにより、自信と誇りの持てる鯖江ブランドをつくり出し、鯖江らしさを全国に発信するとともに、市民主役のまちづくりにいかすよう努めます。」(4条)と規定し、ふるさと産業に関して、「わたしたちは、地元で作られた農林商工業の産品を、業種や産業を越えて鯖江ブランドとして磨き上げ、競争力と発信力のあるふるさと産業をつくり出し、活性化するよう努めます。」(5条)と規定している。



条例の動きトップに戻る