地域の雇用政策に関する条例
(令和6年12月11日更新)
【奈良県の条例】
〇 奈良県は、令和4年3月、地域の雇用政策について定める条例を制定した。すなわち、
奈良県 | 令和4年3月30日公布 |
令和4年4月1日施行 |
|
である。
〇 条例制定のねらいを、前文では、「地域経済が持続的に発展し、県民が安心して暮らすことができる地域社会を実現していくためには、終身雇用を前提として新規卒業者を採用し、事業者が人材を育成する等の従来の日本型雇用から、地域において、人材を育成し、多様な人材が自らの適性、ライフステージ等に応じて希望する形態で就労し、また、一旦離職しても再就職し活躍することができる地域主導型雇用へ、これまでの雇用についての考え方及び仕組みは変化しなければならない。」としたうえで、「地域における多様な人材の育成、就労の促進及び再就職の支援について、基本理念を明らかにしてその方向性を示し、本県における雇用に関する様々な施策を体系化し、国、市町村及び関係団体等と連携することにより、日本型雇用に代わる地域における望ましい雇用の仕組みを実現するための施策を積極的に推進するため、この条例を制定する。」としている。
〇 地域の雇用政策の柱を「多様な人材の育成」、「就労の促進」及び「再就職の支援」とし、これらの施策は「地域において、多様な人材を育成し、就労を希望する全ての人がそれぞれの適性、ライフステージ、生活様式等に応じて自らの希望する職業及び働き方により就労し、離職した場合においても再就職することができる地域社会を実現することが、人口の減少、少子高齢化等の急激な進展に伴う我が国の雇用情勢の変化に適切に対応し、これまでの雇用についての考え方及び仕組みを変化させ、地域経済の持続的な発展並びに県民生活の安定及び向上につながるとの認識の下、推進しなければならない。」(3条)と規定し、その基本理念を明らかにしている。
〇 県の責務(3条)、事業者、関係団体等及び県民の役割(5条~7条)、「多様な人材の育成」、「就労の促進」及び「再就職の支援」に関する基本的施策(8条~10条)のほか、その他の措置として、国・市町村・関係団体等との連携・協力、協議の場の設置、財政上の措置及び実施状況の公表(11条~14条)について規定している。
〇 本条例のねらい、内容等については、自治体法務研究2022年冬号CLOSEUP先進・ユニーク条例「地域における多様な人材の育成、就労の促進及び再就職の支援に関する条例」を参照されたい。
【地域の雇用と条例】
〇 地域の雇用に関しては、地域において新規の雇用を増加させた事業者に対する給付金の支給や税の減免を定める条例は、少なくない。例えば、
京都府 | 企業等の立地促進に関する条例 |
平成13年12月26日公布 | 平成14年4月1日施行 |
兵庫県 | 平成14年3月27日公布 | 平成14年4月1日施行 | |
石川県輪島市 | 平成18年2月1日公布 | 平成18年2月1日施行 |
|
岩手県住田町 | 昭和61年3月25日公布 | 昭和61年4月1日施行 |
などがある。
〇 また、地域雇用の創出に関して定める基本条例として、
北海道 | 平成17年3月31日公布 | 平成17年3月31日施行 |
がある。
〇 障害者の雇用促進に関しては、
大阪府 | 平成21年10月30日公布 | 平成22年4月1日施行 |
|
徳島県 | 平成24年10月19日公布 | 平成24年10月19日施行 |
|
岡山県総社市 | 平成23年12月19日公布 | 平成23年12月19日施行 |
などがある。
〇 就労困難者への就労支援に関しては、
静岡県富士市 | 平成29年2月22日公布 | 平成29年4月1日施行 |
|
東京都 | 令和元年12月25日公布 | 令和元年12月25日施行 |
などがある。
就労困難者への就労支援に関する条例については、「就労困難者への就労支援に関する条例」を参照されたい。
〇 地域の雇用政策全般について定める条例としては、上記奈良県条例以外は確認できない。